【QAあり】高島、中計最終年度までの2年で従来以上の積極的株主還元を実施 今期は1株当たり80円の年間配当を予定
目次
福岡英明氏(以下、福岡):高島株式会社財務統括部長の福岡です。ただいまより、2025年3月期第2四半期決算についてご説明します。
目次をご覧ください。2025年3月期第2四半期決算の概要、2025年3月期連結業績予想、株主還元については私からご説明します。中期経営計画サステナV(バリュー)の進捗は、社長の高島からご説明します。
エグゼクティブサマリー
2025年3月期第2四半期の決算の概要について、まずはエグゼクティブサマリーです。売上高は前年同期比で10.4パーセント増の463億9,200万円、営業利益は同8.9パーセント減の9億800万円となりました。
経常利益は同27.6パーセント減の8億3,300万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は同32パーセント減の4億8,200万円となりました。
連結業績 P/L
連結損益計算書についてご説明します。売上高は、建材、産業資材、電子・デバイスの3セグメントすべてが増収となり、前年同期比10.4パーセント増の463億9,200万円となりました。営業利益は、連結子会社増による販管費、のれん償却、顧客関連資産償却の増加により、同8.9パーセント減の9億800万円となりました。
経常利益は、在外子会社における現地通貨安の影響による為替差損が増加したことなどにより、同27.6パーセント減の8億3,300万円となりました。
また、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期では投資有価証券売却益を計上していましたが、中間期では売却を実施していないため、同32パーセント減の4億8,200万円となりました。EBITDAは、同9.9パーセント増の17億600万円となりました。
EBITDAの推移
EBITDAの四半期ごとの推移はスライドのグラフのとおりで、稼ぐ力も向上しています。
3つの事業セグメント
当社の事業は、建材、産業資材、電子・デバイスの3つのセグメントに分けられます。
2024年3月期にアセットアロケーションの見直しを実施しており、産業資材セグメントの事業再編、主要な固定資産の売却に伴い、賃貸不動産セグメントを廃止し、従来、賃貸不動産セグメントに区分していた一部物件を、「建材」「産業資材」に変更しています。
事業の概要として、建材セグメントでは住宅建築物向けに、壁材、基礎杭工法、断熱材、太陽光パネル関連資材など、建設・建装にかかわる商材を取り扱っています。
産業資材セグメントでは、繊維資材、樹脂部材、機能資材などの商材を取り扱っています。電子・デバイスセグメントは、デバイスではメーカーより電子部品を調達し供給する電子部品販売ビジネスを行い、アセンブリでは自社工場で基板実装を行う製造受託ビジネス(EMS)を行っています。
セグメント情報
各セグメントにおける利益の状況、及び各セグメントが直接的に担う利益水準をより明確にするため、全社賦課経費を各セグメントに配布する前のセグメント利益を開示しています。全社賦課経費は調整額に含めて開示しています。
建材セグメント全体の売上高は前年同期比14.7パーセント増の301億7,800万円、セグメント利益は同31.1パーセント減の6億7,000万円となりました。
産業資材セグメント全体の売上高は同4.2パーセント増の85億4,700万円、セグメント利益は同29.3パーセント増の4億4,100万円となりました。
電子・デバイスセグメント全体の売上高は同3.6パーセント増の76億8,200万円、セグメント利益は同76.8パーセント増の3億6,300万円となりました。
セグメント別概況 建材
建材セグメントの主な要因について、ご説明します。建設資材分野は、大型物件を獲得したこと、及び2023年6月に連結子会社化した岩水開発について、前年同期に2ヶ月分の寄与であったものが、当期については6ヶ月分の寄与となったことにより、増収となりました。
断熱資材分野は、住宅市場において出荷が低迷したこと、再生可能エネルギー資材分野は販売網を見直したことにより、減収となりました。
セグメント利益については、建設資材分野において一部物件の収益性が下振れたこと、及び高島株式会社の産業資材事業を子会社へ移管したため、従来産業資材セグメントが負担していた間接経費が当セグメントに賦課され負担が増加したことにより、減益となりました。
セグメント別概況 産業資材
産業資材セグメントの主な要因について、ご説明します。樹脂関連資材分野は、自動車部材や電子機器・精密機器部材用の物流資材を中心に受注が拡大しましたが、2024年4月に高島ロボットマーケティング株式会社を売却したことにより、減収となりました。
繊維関連資材分野は、トラック資材を中心とする重布関連が復調したこと、及び防衛省向け装備品の需要が拡大したことにより、増収となりました。
セグメント全体としては、繊維関連資材分野の増収が利益増加に寄与しました。
セグメント別概況 電子・デバイス
電子・デバイスセグメントの主な要因について、ご説明します。
電子・デバイスセグメントには、デバイスとアセンブリの2つの分野があります。デバイス分野は、コロナ禍後の消費動向変化に伴い、市場全体に積み上がっていた製品在庫の出荷が進んだこと、及び電子部品の供給不足の反動で主要顧客に積み上がっていた部品在庫の出荷が進んだことにより、受注数が増加し増収となりました。
アセンブリ分野は、デジタルカメラ関連及びエアコン関連が堅調に推移していることにより、増収となりました。日本国内の民生用電子機器市場、白物家電市場は、依然厳しい状況にあります。
連結業績 B/S
貸借対照表について、ご説明します。前期末比で総資産は41億2,000万円減少し、562億8,800万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金、未払法人税等がそれぞれ減少したことです。詳細は、次ページでご説明します。
自己資本比率は、42.8パーセントとなりました。
連結業績 B/S
資産の部について、前期末と比較した主な要因はスライドのとおりです。
流動資産は前期末比11パーセント減の390億4,300万円となりました。主な要因は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産がそれぞれ減少したことです。
固定資産は同4.3パーセント増の172億4,500万円となりました。主な要因は、投資有価証券、その他固定資産がそれぞれ増加し、一方でのれんが減少したことです。
連結業績 B/S
負債及び純資産について、前期末と比較した主な要因はスライドのとおりです。
流動負債は前期末比14.2パーセント減の277億4,100万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金、未払法人税等がそれぞれ減少したことです。
固定負債は同0.4パーセント減の44億6,200万円となりました。主な要因として、長期借入金が減少し、一方でその他固定負債が増加したことなどが挙げられます。
純資産合計は同2.1パーセント増の240億8,400万円となりました。主な要因は、配当金の支払いにより利益剰余金が減少し、為替換算調整勘定、その他有価証券評価差額金がそれぞれ増加したことです。
連結業績 CF
キャッシュフローについてご説明します。第2四半期末における現金及び現金同等物は90億3,300万円となり、前期末比で32億9,100万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュフローでは、12億4,300万円の減少となりました。主な要因は、税金等調整前中間純利益の計上によって残高が増加し、法人税等の支払い、仕入債務が減少したことです。
投資活動によるキャッシュフローは、7億2,800万円の減少となりました。主な要因は、貸付による支出が減少したことです。
財務活動によるキャッシュフローは、16億3,200万円の減少となりました。主な要因として、配当金の支払いと長期借入金の返済が挙げられます。
2025年3月期 連結業績予想
2025年3月期の通期連結業績予想について、修正はありません。営業活動の強化により、下期での挽回を図っていきます。
2025年3月期 セグメント別連結業績予想
セグメント別連結業績予想についても、修正はありません。
株主還元
株主還元についてご説明します。株主還元の基本方針は、「『戦略的投資を伴う持続的成長企業』を目指し成長投資を拡大させる一方で、資本効率性を意識した株主還元を実施すること」としています。
具体的には、連結配当性向40パーセント以上の配当を毎期行い、総還元性向50パーセントを目標としていました。こちらを、当期はROE8パーセント以上の達成に向けて「資本効率性のさらなる向上が必要である」という認識のもと、サステナV(バリュー)の最終年度までの2年間の限定措置として、配当性向80パーセント以上、総還元性向100パーセントに変更しました。
その後の株主還元方針については、次期中期経営計画策定時に検討し、発表します。当期においては1株当たり80円の年間配当を予定しており、業績予想に基づく連結配当性向は85.8パーセントとなります。
目指す姿
高島幸一氏(以下、高島):代表取締役社長の高島です。中期経営計画サステナV(バリュー)の進捗についてご説明します。
中期経営計画サステナV(バリュー)は、「カーボンニュートラル社会の実現(2050)」に向けて大きく変化する、市場の成長機会を捉えた戦略組み立てによる価値創造を通じ、サステナ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目指しています。
高島の持続的成長ストーリー
市場の成長機会と捉えているサステナ社会に貢献する省エネ化・省力化のニーズに対し、ターゲット市場で必要な機能・ソリューションを提供する機能商社として価値を創造し、提供していきます。
中期経営計画サステナV(バリュー)の経営指標・財務方針
サステナV(バリュー)では、将来投資事業及び基盤拡大注力事業を戦略領域と定め、成長投資を150億円規模で実施する計画です。事業についてもポートフォリオの組み替えを行い、選択と集中を実施します。
中期経営計画最終年度である2026年3月期の経営費用は、連結売上高1,100億円、営業利益26億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円としています。
中期経営計画サステナV(バリュー)進捗
当期はサステナV(バリュー)の2年目となります。中期経営計画では企業価値向上に向けて、利益成長と資本生産性の向上を基本方針としています。
まず1つ目の利益成長に向けて、収益の向上とトップラインの成長を目指していきます。中期経営計画開始前ですが、前期は新エネルギー流通システム、信防エディックス、岩水開発のM&Aも実行しています。並行して、既存事業の選択と集中を進めています。
具体的な取り組みとしては産業資材事業本部の再編を進めており、2024年1月に設立した高島インダストリーズが4月から本格的に稼働し、本部の再編を主導しています。
また、デジタルグリッド事業を手がけているDGキャピタルグループとの資本提携を介した協業のため、株式会社DG Takashimaを設立しました。人財への投資も進めており、前期に引き続き、当期も中途採用を活発に行い、営業力の強化を図っています。
その他、女性エンパワーメントの推進、社員教育に関する委員会の設立を進め、人的資本の拡大を進めています。
資本生産性向上では、政策保有株式売却のほか、不動産売却によるアセットアロケーションの見直しを実施しました。成長投資として、アセットアロケーションの見直しに伴い、当初設定した投資枠を150億円へと拡大しています。政策保有株式の削減については、今期以降も純資産比率10パーセント未満を目指していきます。
また、株主のみなさまに向けては積極的に還元を進めています。配当性向40パーセント以上を80パーセント以上に、総還元性向50パーセントを100パーセントに、当期・来期の2年間限定ではありますが、上方修正しました。
サステナビリティ・ロードマップ
サステナビリティへの取り組みでは、2022年にサステナビリティ委員会を設置後、活動を推進してきました。
当期は2050年カーボンニュートラル社会の実現への貢献のために、サステナビリティ・ロードマップを作成しました。
現状評価
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。2024年5月にもお示ししましたが、2024年3月期末時点での現状評価です。
3月の年初来高値の時には、PBR1倍を超えたものの、その後の株価ではPBR1倍割れとなっています。PBR1倍を上回ることは経営の責務であると考えており、引き続きPBRの向上に努めていきます。
現在は、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」のアップデートのため、議論を行っているところで、近々結果を公表する予定です。
①資本コストや株価を意識した経営の方針、目標 ②具体的取組み
資本コストや株価を意識した経営の方針、目標、具体的な取り組みです。経営方針などは、スライドをご覧のとおりです。
先ほどお伝えしたとおり、産業資材事業本部の再編を進めており、2024年1月に設立した高島インダストリーズが、4月から本格的に稼働し始めています。
デジタルグリッド事業を手がけているDGキャピタルグループとの資本提携を介した協業のために、株式会社DG Takashimaを設立しました。この会社では、「デジタルグリッドルーター」を製造していく予定です。
質疑応答:建材落ち込みの理由について
司会者:「建材の落ち込みの理由について、詳しく教えてください」というご質問です。
高島:建材の落ち込みということですが、実際にトップラインは伸びています。ただし前年と比べた場合、大型案件と利益性の低い案件が混ざったことで、収益性がマイナスになりました。
また、子会社になり産業資材事業本部が再編されたため、建材への固定費の賦課が増えました。このような要因により、利益面が落ちています。
質疑応答:親会社株主に帰属する当期純利益の減少見通しついて
司会者:「親会社株主に帰属する当期純利益が前年比で66パーセントほど減少する見通しです。こちらは、どのような理由からでしょうか?」というご質問です。
福岡:前期はアセットアロケーションの見直しに伴って実施した、固定資産の売却益がありました。今期は特別利益が剥落するため、減少する見通しです。
参考までに、2023年の当期純利益は15億8,500万円です。
質疑応答:競合他社について
質問者:御社の競合他社、ライバル企業について、上場企業でいえば、どのような会社ですか?
高島:こちらは非常に比較しにくいのが現状です。商社にもいろいろあり、1つは大商社と呼ばれるところですが、どちらかといえば川上・川下に投資してしっかり押さえていくパターンです。そのため、当社はこの部類に入りません。
よくあるのが専門商社です。それぞれの領域の専門商社として、総合的にセグメントをカバーしている会社があります。建材等においても、資材関連、住宅関連の資材等を扱う商社が存在します。
ただし、当社の場合はセグメントが非常に限られており、そこで複合的な機能を提供します。総合的な専門商社よりも、複合的にいろいろな機能を提供するという意味では比較できません。
我々としては、このようなユニークさを前面に出しながら、ニッチトップを目指せるセグメントに対して、さまざまな機能を提供し、競争力をさらに拡大したいと考えています。当社は比較が非常に難しい、ユニークな存在だとご理解いただければと思います。
質疑応答:PERを高めるための施策について
質問者:スライドの28ページで、右側にPBRの状況を示していますが、御社のROEは、2024年3月期が22.4パーセントです。こちらには特殊な事情があるかと思いますが、PERの低さが気になります。
今後、株式市場からの成長期待を高めるために、IRや事業戦略などで、PERを高めるための施策は考えていますか
高島:当社が中計で指標として挙げているのが、ROEとROICです。当然ながら、PBRも意識しています。
PERは、具体的な指標として常に見ているものの、それに向けた特別な活動はしてはいません。
質問者:投資家から見ると、御社はPBRを引き上げるためにROE8パーセントを謳っていますので、それなりの水準だと思います。しかしPERが低いことから、PBR1倍を超えないのではないでしょうか?
株式市場の中で、御社の成長期待が高まれば、おのずとPERが引き上がり、PBRも1倍を超えてくると考えています。市場に対する成長期待のメッセージを発していただけるとありがたいです。
高島:次の成長に向けた一番重要なポイントは、事業投資だと思っています。人財投資も大事ですが、これからも事業投資を継続していくスタンスです。
当社はこの数年間に、3件のM&Aを行いました。そのような意味では、ここ2年間ぐらいで成長の兆しが見えるようになってきました。これを、いかに成長できるかたちで継続していくかに尽きると思っています。
これまでも成長に向けた仕込みを進めてきましたが、今後も進めていくスタンスです。明確に市場に出せるよう、発表していきたいと考えています。
質疑応答:東証の新TOPIXについて
質問者:御社はプライム市場を選択されているという理解でよいでしょうか?
高島:おっしゃるとおりです。
質問者:現在、東証が新TOPIXの検討に入っています。御社の現状から見て、新TOPIXに残れるのか、あるいはボーダーラインなのか、会社としてどのように認識していますか?
高島:プライム市場も、経過措置の中でクリアすることで、適合計画書を出して、適合する努力を行ってきました。おかげさまで、2024年1月から3月には適合するかたちになっており、今の進捗でいけば適合できると思います。
しかし、これはあくまでも通過点です。我々としては、さらに価値を創造して、企業価値を向上させていくという方向性があります。
新しいTOPIXの基準については、若干ハードルが高い部分があります。その領域まで進んでいく意思はありますが、単純に計算して、まだハードルが高いと認識しています。
質問者:社長としては、新TOPIXに移行したい気持ちが強いということでしょうか?
高島:なかなか言いづらい部分ではありますが、そのような方向性で、中長期で努力したいと考えています。
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