【QAあり】Laboro.AI、個社に最適化した「カスタムAI」で顧客基盤を拡大中 2025年はYoY+33%増収を目指す

投稿:2024/11/26 11:00

会社情報

椎橋徹夫氏(以下、椎橋):株式会社Laboro.AI代表取締役CEOの椎橋徹夫です。2024年9月期の通期決算についてご説明します。よろしくお願いします。

当社のことをまだご存じない方に向けて、はじめに企業の概要とビジネスモデルを簡単にご紹介します。

当社は2016年4月に設立し、2023年7月末に東証グロース市場に上場しました。現在、従業員が73名、役員を含めて80名程度で活動しています。

事業内容としては、「カスタムAI」と呼んでいるオーダーメイドのAIソリューション開発と、それを使っていろいろな企業の事業変革を支援しています。

スライド右下には、株主となっていただいている主な企業を記載しています。長い取引をしている一部の主要な企業には、上場前から資本業務提携のかたちで入っていただき、長期的に深い関係性を築きながらイノベーションに取り組むことを大事にしています。

経営陣紹介

椎橋:経営陣の紹介です。当社は代表取締役が2名、社外取締役が2名、執行役員が5名という体制で活動しています。

Laboro.AIのミッション

椎橋:当社のミッションは、「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」です。

当社はAIのソリューション開発事業を行っていますが、ミッションとしては、AIのような新しいテクノロジーとビジネス、産業、社会をつなぎ、イノベーションを後押しすることです。

そのための専門家・プロフェッショナル集団として、技術を培っています。

事業の全体構造

椎橋:当社の事業の全体構造をご説明します。まず、提供サービスは「カスタムAI」です。「カスタムAI」では、顧客企業の戦略や課題に合わせたオーダーメイドのAIソリューション開発と、その導入による事業変革のサポートを行っています。

提供形態には、聞き慣れない言葉だと思いますが、バリュー・マイニング(VM)と、バリュー・ディストリビューション(VD)があります。

当社はAIを活用した産業や企業のイノベーションに取り組むことを目指しており、世の中でもまだ先例がないような新しいチャレンジや、難しいテーマに取り組んでいきます。こちらは当社のミッションとつながる非常に大事なところだと思っています。新しい価値を掘り起こすという意味で、バリュー・マイニングと呼んでいます。

一方で、先例のない新しい取り組みをしていると、成長・スケールするのがなかなか難しいです。多様な取り組みによって培ったノウハウや、共通して使える技術基盤を応用しながら、他のお客さまへ横展開してスケールできるようにしていきます。そのように価値を展開・流通させることを、バリュー・ディストリビューションと表現しています。

バリュー・マイニングでは新しい価値を掘り起こし、バリュー・ディストリビューションではそれを通じたノウハウを応用して横展開していきます。この2つの循環を図ることで、市場成長を超えるスピードでの事業拡大を目指しております。

狙う市場は、バリューアップ型のAIテーマ市場です。コストカットや業務効率化だけでなく、AIによって新しいサービスや製品を生み出したり、ビジネスモデルを大きく変えていったりするテーマに特に注力して取り組んでおります。

「カスタムAI」とは

椎橋:「カスタムAI」についてご説明します。当社の顧客企業の産業領域は非常に広く、それぞれの企業のさまざまな戦略テーマに合わせて、オーダーメイドでAIを開発しています。

カスタムAIを支えるスペシャリスト「ソリューションデザイナ」

椎橋:「カスタムAI」を展開する上で非常に重要なのが、AIの技術とビジネスの両方がわかる人材です。当社では、ソリューションデザイナと呼んでいますが、AIの技術も深くわかるビジネスコンサルタントを指します。

そのような人材やチームを、ユニットチームとして育成します。このチームが、AIのエンジニアと組んで、プロジェクトを率い、プロジェクトで成果を出していくスタイルを採っています。

カスタムAIの2つの提供形態

椎橋:「カスタムAI」の提供形態は2つあります。バリュー・マイニングでは、先例のないテーマにチャレンジします。

そうすると、テーマによっていろいろなノウハウや技術が蓄積されていきますので、それらをバリュー・ディストリビューションにおいて幅広い種類のプロジェクトに応用して展開し、スケールさせていきます。

この2つの事業をうまく回して、循環させながらビジネスを拡大しています。

代表事例:LLM関連のノウハウ・技術蓄積と応用展開の流れ

椎橋:例えば、こちらはLLM(大規模言語モデル)と呼ばれる生成AIの事例です。今、非常に需要が高まっていますが、実は「ChatGPT」等が盛り上がる少し前から、当社はLLM技術の活用に取り組んでいます。

スライドの図は2023年の途中までを示したもので、最近はさらに拡大しています。多様なプロジェクトを通して、LLM活用に関するいろいろなノウハウや、共通利用可能な技術基盤を蓄積しています。そして、それを活かして新しいプロジェクトを組成し続けています。

結果として、毎回ゼロから新しいことに取り組むのではなく、応用してレバレッジを効かせながら事業を拡大させております。

当社が狙う「バリューアップ型AIテーマ」とは

椎橋:当社が狙っているのは、バリューアップ型AIテーマです。AI活用やDXと言っても、スライドの図の縦に記載しているとおり、デジタイゼーション・デジタライゼーションなど、業務効率化やコストカットの取り組みが、世の中ではまだまだ多いです。特に、アナログ・物理データのデジタル化や、業務の効率化による生産性の向上を目的とした取り組みが多いと思っています。

それに対して、AIを使って新しい製品やサービスを創出したり、ビジネスモデルを根本的に変えていったりする取り組みは、いろいろな業界の企業や産業全体の価値を大きく上げ、長期的な成長につながっていくと当社は考えています。

そこで、当社ではバリューアップ型のAIテーマで成果を出すことを目指しています。

(参考)バリューアップ型AIの市場規模予想

椎橋:バリューアップ型AIの市場規模について、いろいろ参考にしながら推計してみると、国内においてはもうすぐ3,000億円くらいの規模になっていくのではないかと思います。

年間で20パーセント弱のスピードで成長している市場をメインに、ビジネスを展開しています。

(参考)取引先企業様(一部例示)

椎橋:スライドでは、当社の取引先企業のうち、開示を許可していただいた企業を一例として掲載しています。

基本的には、各業界の大手企業と幅広く取引しています。

2024年9月期の総括

椎橋:2024年9月期の通期業績についてご報告します。総括として、売上高は15億1,500万円で、前年同期比プラス11パーセントの増収になりました。売上総利益は10億1,500万円で、前年同期比プラス14パーセントの増益となりました。営業利益は1億8,300万円で、前年同期比マイナス11パーセントの減益で着地しました。

売上高については、堅実に成長した一方で、期初予想には8パーセントほど届きませんでした。この背景として、需要は非常に堅調に推移しており、案件のリードや引き合いという意味では力強く進捗しています。

その一方で、体制の拡充がボトルネックになっています。このような難しいテーマに取り組める、優秀なメンバーの採用・育成・定着が課題です。

特に、第3四半期の売上高の下振れが影響してしまい、通期としても期初計画に対して未達となりました。ただ、第4四半期については、四半期ベースで見ると過去最高の売上・利益を達成しており、足元は成長基調になっています。

営業利益が前年同期比で割れたのも、売上が計画に対して少し未達になったためです。もともとバランスを取ったコスト構造で利益率を想定していたところが、売上高の未達によって押し下げられ、営業利益は前期比でやや減益となりました。

事業の進捗については、スライド左下に記載したとおりです。新規の顧客獲得数が20社となりました。この新規の20社については、非常に進展したと感じています。一方で、既存顧客については、売上が一部縮減しました。この理由については、後ほどご説明します。

深い関係を築いて大きな取り組みをしている顧客企業として、売上高1億円を超える顧客が6社に増え、前期から倍増しました。

組織構築の進捗です。2024年9月末時点で、社員数が役員を含めて78名となっています。前期から14名増え、組織も順当に拡大しました。ただし、期初に計画していた人員計画には少し届かず、特に定着・育成の課題が顕在化しています。

そのため、今期は人材への先行投資と、マネジメント強化を図ります。特に定着・育成の強化が最重要テーマになってくると考えています。

それを踏まえて、今期の方針として、売上約20億円、営業利益約2.5億円を目指しています。

売上高/営業利益の推移

椎橋:売上高・営業利益の推移です。売上高は15億1,500万円で、前年同期比プラス11パーセント増加しました。

営業利益は、前年同期比マイナス11パーセントの減益となり、1億8,300万円で着地しました。

売上高/営業利益の四半期推移

椎橋:ただし、四半期ごとに見てみると、第4四半期の売上高は4.3億円と過去最高で着地し、それに伴って営業利益も8,600万円と過去最高水準になっています。

2024年9月期 通期 損益計算書

椎橋:損益計算書です。粗利率は67パーセントで、通期の期初見込みや2023年9月期の実績と比べても、健全な数字で着地しています。

当期純利益についても、営業利益と同じ傾向で、前年と比べると少し下回るかたちで着地しています。

コスト構造

椎橋:コスト構造については、従前より共有している内容から大きな変化はありません。当社は基本的に、長期的な成長に向けて、ソリューションデザイナ、エンジニア、コーポレートのメンバーまで、イノベーションを起こすプロフェッショナルを採用して育成しています。

そこにきちんと投資していますので、人件費や研修採用費がコストの大きな部分を占めています。

顧客ポートフォリオ(1/4):業界別顧客構成(通期累計)

椎橋:業界別に見た、顧客のポートフォリオです。当社は幅広い業界の企業と取引していますが、研究開発型産業、社会基盤・生活者産業という、バリューチェーンの川上と川下の両端に、フォーカスしています。

研究開発型産業では、一番川上の製造業を中心に、研究開発し、そこから新しい製品やサービス・技術を展開していきます。例えば、半導体、建設、化学・素材、自動車などの業界が挙げられます。

もう一つは逆に、社会基盤・生活者産業は、バリューチェーンの川下の生活者・消費者や社会インフラに近い領域です。例えば、人材、メディア、交通・輸送等のインフラ系、消費財業界などです。

それぞれ、バリューチェーンの両端のところを、目下は比較的重点の領域としており、半分ずつぐらいの売上構成になっています。スライド右に示した顧客例のとおり、それぞれの業界を代表する企業と取り組んでいます。

顧客ポートフォリオ(2/4):売上規模別の構成

椎橋:顧客ごとの売上規模別の構成です。売上高1億円以上の企業が、前年の3社から倍増し、2024年9月期は6社となりました。

非常に強固な取り組みをしていくお客さまが増えており、良いスタートだと思っています。

顧客ポートフォリオ(3/4):上位3社の売上構成比の推移

椎橋:太いお客さまが増えていくと、同時に、一部の顧客企業に依存していくかたちになるのではないかというリスクがあります。

スライドのグラフは、上位3社の顧客企業の売上が、全体の売上のどのくらいを占めているのかを示しています。2021年9月から順調に下がっており、今は35パーセントとなっています。

大きな取り組みをしている顧客企業は増えつつも、一部の顧客に依存するリスクは減っているため、バランスの取れた位置づけになっていると考えています。

顧客ポートフォリオ(4/4):既存/新規顧客売上成長率

椎橋:既存顧客と新規顧客の売上成長率です。新規顧客は20社と、期初に計画していた新規顧客数よりも多く、予想よりも加速して進展しました。

既存顧客、つまり2023年9月期に取引があった顧客企業からの、2024年9月期の売上は5パーセントマイナスとなりました。こちらは少し分解して、後ほど背景をご説明します。

社員数の推移

椎橋:社員数の推移です。2024年9月期通期は78名と、2023年9月期末の64名から、14名のプラスとなっています。

プロジェクトに主に携わるソリューションデザイナとエンジニアについては、ソリューションデザイナは約1.5倍に、エンジニアは約1.3倍となりました。特にプロジェクトに携わる組織拡大は、順調に進んだと考えています。

一方で、期初計画では88名を想定していましたが、10人ほど届きませんでした。人材・組織については、2025年9月期の重点的なテーマとして取り組んでいきたいと考えています。

貸借対照表サマリー

椎橋:貸借対照表です。余力を一定確保した健全な財務基盤を構築しています。

1点だけ変化があるところとして、第4四半期にX-AI.Laboというジョイントベンチャーを、グロービング株式会社という戦略・DX領域に強みを持つコンサルティング企業と立ち上げました。その持分が、関係会社株式として、固定資産に含まれています。

2024年9月期 通期の事業進捗(サマリ)

椎橋:事業の進捗および今後の成長戦略についてです。事業進捗の振り返りを、もう少し詳しくご説明します。スライドには、3つの柱を記載しています。

柱①の、新規/新規双方が寄与する顧客基盤の安定的拡大についてです。既存顧客との取り組みで非常に良かった点としては、長期的に取り組んでいるプロジェクトの成果が花開き始めいます。

例えば、開発してきたサービスがローンチに至ったり、成果がかなり見えてきて共同で対外的に発表を行ったりといったことが、複数件出てきています。このことが、スライドで「〇」と評価した一つの判断基準になりました。

一方、AI開発フェーズが一段落したプロジェクトもあり、顧客企業の全体売上で見ると若干縮減しました。

新規顧客については、ソリューションを整備していくバリュー・ディストリビューション領域と連動するかたちで、非常によい進展を見せています。

柱②の、顧客獲得のソリューションの整備についてです。今期、20件の新規顧客を獲得したとご説明しましたが、そのうち半数以上の11件が、ノウハウや技術を固めて共通化し、それを使ってスケールしていく、バリュー・ディストリビューション領域の取り組みでした。

具体的には、強化学習等の技術を使った最適化系のプロジェクトや、「ChatGPT」をはじめとするLLM、生成AI関係のプロジェクトが11件あり、かなり進捗しています。

柱③の、成長の前提となる体制整備についてです。採用については、実は非常にチャレンジングですが、2024年9月期はかなり良いかたちで進展しました。

一方で、採用後にメンバーが早期離脱してしまうケース等が複数出てしまったため、想定よりも定着が進まず、組織の拡大スピードが緩やかだった点が課題だと考えています。

働き方については、新しいメンバーの定着が想定より加速しなかった影響により、特に社歴の長い既存メンバーを中心にメンバーの育成やサポート等から稼働が逼迫し、少し負荷がかかるかたちになりました。

提携/M&Aについては、非連続な成長機会を模索しています。新興系の戦略やDX系のコンサルティングをしているコンサルティングファームのグロービング株式会社と、AIを使ったトランスフォーメーションに関するコンサルティングを行う新会社、X-AI.Laboを立ち上げました。

柱① 顧客基盤の安定的拡大:既存顧客

椎橋:3つの柱について、1つずつもう少し詳細にご説明します。全体で見ると既存顧客からの売上は減少しましたが、スライドに記載のとおり、2023年9月期から2024年9月期で、aの売上が増大した顧客、bの縮小した顧客、cの終了した顧客は、全体で30社くらい、各社10社ずつとなっています。

aの顧客企業は、取引拡大により売上が約3.3億円増大しています。一方で、bとcの顧客企業を合わせると、少しそれを割ってしまうくらい、縮小しています。

この要因ですが、それぞれのプロジェクトを見てみると、プロジェクトは良いかたちで一段落し、内製化に舵を切ったり、いったんリリースして少し運用のフェーズに入ったりしています。したがって、必ずしもネガティブな理由ではありません。

しかしながら、もし仮に想定したように組織を拡大できていたら、同じお客さまに対し、もう一段他のプロジェクトに広げていくなど、プロジェクトを追加で加速していくような提案・営業の活動ができたと思っています。

こうした既存のお客さまへの異なるプロジェクトのご提案を通じて、取り組みの縮小や終了はもう少し抑えられた可能性もあると考えており、こちらもリソースの制約が背景となっています。

柱① 顧客基盤の安定的拡大:新規顧客

椎橋:製造業、人材業界、消費財業界等、幅広い領域で累計20社の新規顧客を獲得しました。

スライドに一部の顧客名を開示していますが、引き続き、業界でプレゼンスを持っている顧客企業との取引が増えていっています。

柱② 顧客獲得に向けたソリューションの整備:VD

椎橋:柱②の、バリュー・ディストリビューションにおける、 顧客獲得に向けたソリューションの整備についてです。新規獲得した20社のうち、7社がLLM関係と生成AI関係、4社が最適化関係です。

いずれも先行して進めていた類似のプロジェクトで培ったノウハウや技術基盤を起点に、業界を問わず幅広に営業活動に活用した結果です。

柱③ 成長の前提となる体制整備:採用/育成

椎橋:採用/育成について、少し分解して、チームごとにソリューションデザイナやコーポレートというかたちで見ていきます。

ソリューションデザイナの採用については、2023年9月期は非常にチャレンジングな課題がありましたが、2024年9月期は良いかたちで進展しました。一方で、新規入社のメンバーを中心に、比較的早期の離退職が発生し、課題が顕在化したかたちとなりました。

エンジニアについては、以前から採用、定着、育成は順調でしたが、採用については少しだけ計画が未達となっていました。ただし、定着、育成含めて少し期がずれた中で、足元で大きな課題はなく、順調に進捗しています。

コーポレートについては、組織拡大に伴って新しいポジションを作り、そこに対する採用は順調に進んでいます。

ただし、コーポレートでは、ソリューションデザイナ、コンサルタント、エンジニアとは異なるキャリアパスの設計が、非常に重要になってきます。そのようなキャリアパスの明確化などのさらなる整理を課題として、対応していこうと考えています。

25年9月期以降の成長戦略

椎橋:今後の成長戦略については、これまでと大きく変わっていません。なによりも成長を支える体制の整備が重要で、2025年9月期の最重要アジェンダとなっています。

その上で、2024年9月期も良いかたちで進んだモメンタムを落とさず、安定的に顧客基盤を拡大していきます。また、非連続な成長に向けて、カスタムAI事業以外の領域にも進出したいと思います。

25年9月期の取組みの方針

椎橋:2025年9月期の取り組みの方針について、さらに踏み込んでお伝えします。

柱①の、市場成長を超えるペースでの安定した収益成長についてです。顧客基盤は、新規も既存もバランスよく成長してきています。

ポートフォリオをいくつかの観点で見てみると、基本的にはバランスよく成長しています。しかしながら、既存顧客からの売上については2024年9月期より少し減少しました。

これに対して2025年9月期は、リソースを拡充した上で、新規、既存ともにあらためて成長していくことを目指します。体制をしっかり拡充していくことで実現できると考えています。

また、新規獲得に向けたソリューションの整備、バリュー・ディストリビューションについては、生成AI、LLMなどが非常に進んでいますが、それをより加速させたいと考えています。

柱②の、成長の前提となる体制整備が、もっとも重要な取り組みだと考えています。2025年9月期は、ソリューションデザイナ、エンジニアの増加をそれぞれ10名程度計画しています。引き続き、必要な採用、定着、育成を部門の中で強化していきます。

当社はソリューションデザイナ、エンジニアをプロジェクトに従事し、イノベーションを起こすプロフェッショナル人材と捉えています。時間はかかりますが、このようなプロフェッショナルを着実に育成していく仕組みが、最終的に当社の競争力の一番の根幹になると考えています。

育成の体系化、OFF-JTやOJTに関して、プロジェクトを運営する中でどのように育成させるのか、もう1段上の形式知化、言語化を組織全体に浸透させることに、2025年9月期は注力していきたいと思います。

並行して、コーポレートも組織として拡大していきますので、コーポレート部門の育成、パスの明確化にも注力していきます。

2025年9月期の期末では、3桁、100人を超えるところを目指しています。組織が拡大している中で、一体感のある組織としてあらためて、「One Laboro」を大切にし、全社のエンゲージメントの強化に注力していきたいと思っています。

柱③の、新たな領域への染み出しの検討については、2024年9月期はX-AI.Laboというジョイントベンチャーを立ち上げることができました。今後はそこでの成果を狙っていきます。また、そのような第2、第3の別領域への進展を目指します。

売上高及び営業利益の見通し

椎橋:2025年9月期における通期業績の見通しです。期初予想ですが、売上高20億800万円、売上総利益13億800万円、粗利率65パーセントを見込んでいます。営業利益2億5,000万円、営業利益率が12パーセントと予想しています。

2024年9月期の実績である営業利益率12パーセントを維持しながら、成長率33パーセントという3割を超える売上成長の実現を計画しています。

中長期的な売上成長のイメージ

椎橋:中期的には、2026年9月期と2027年月期は、2025年9月期の成長率に近いかたちをイメージしています。

コア事業を支える体制構築の見通し

椎橋:体制については、2025年9月期通期期末時点で、人員数107名を目指しています。

コーポレート、ソリューションデザイナ、エンジニア、それぞれ9名、9名、11名となっています。約30名が増え、100名を超える規模を目指して、組織拡大に取り組んでいます。

2024年9月期通期の決算のご説明は以上となります。ぜひご質問等をいただいて、もう少しお話しできればと思います。

質疑応答:離職者増加の要因について

kenmo氏(以下、kenmo):「昨期までの課題感として、人材採用、育成、定着についてのご説明がありました。昨期、離職者が増えた要因について、原因分析できていますか?」というご質問です。

椎橋:離職者の課題が顕在化しましたが、要因を2段階で分析しています。まずは、実にユニークで、あまり世の中にはない役割を担っている、ソリューションデザイナ特有の要因です。

AI技術の深い知見があるだけでなく、戦略コンサルタントをはじめ、高度なビジネス企画やプロジェクトを推進できるビジネス側のプロフェッショナルでもあります。テクノロジー、ビジネスの両方を高度に体現するプロフェッショナルという意味で、難易度の高い業務と言えます。

そのような難易度の高い業務にチャレンジしたいと思っている方、または、その素養とスキルを併せ持った方に参画いただいていますが、世の中にあまりない職種ということもあり、はじめから完璧にこなせる方は非常に少ないです。

実際に仕事をされ、さまざまな経験を経て段階を踏みながら、難易度の高いことも習得していきます。そのようなところを整備していくことは非常に重要です。しかしながら、当社は、組織としてまだまだ未熟なところがあるため、整理された育成環境と言うよりは、OJTの中で切磋琢磨しながら育っています。

そこに対して、ソリューションデザイナとして参画するメンバーも増えている中で、バックグラウンドも多様化しており、多様なバックグラウンドを持つ方が、チームにスムースにオンボードする仕組みの整備/強化が必要です。そしてステップを踏み、一人前になるまでの育成カリキュラムや仕組みを、さらに整備する必要があります。それが進めないと離職者が減らないと分析しています。

加えて、組織が大きくなってきた中で、全社でのエンゲージメントの強化や組織の一体感がより重要になっています。コロナ禍後もリモートワークが比較的多く、それはそれで非常に効率的、効果的なところがあるのですが、人的なつながり、一体感の醸成といった部分に課題があります。

この2段階において、対策していく余地があると考えています。このような分析結果をもとに、そこを強化していくことが2025年9月期に注力すべきテーマです。

質疑応答:今期の取り組みの具体的な内容や進捗状況について

kenmo:今期の取り組みの方針についてです。スライドでは、成長を支える体制の整備として、3項目が挙げられいます。それぞれの具体的な内容や、取り組みの進捗状況等も教えてください。 

椎橋:採用/育成の強化については、2025年9月期の採用と各部門の育成の両部門に対し、支援や連携のために、人材開発室を新たに新設しました。ここでは採用とオンボーディング、定着、育成をシームレスに、かつ各部門と密に連携しながら体制の整備を進めています。

かなり良いかたちで進んでおり、課題のあったソリューションデザイナについても、採用のところの支援に携わっていくことや、また、そこで採用した方の初期オンボーディングでどのようなことをしていくか、さらに育成をどのようなかたちで進めていくのかなど、このあたりのカリキュラムの設計を進めています。

すでに触れた育成のプログラムやオンボードのプログラムに加え、やはり当社の場合、プロジェクトを通じたOJTが重要です。

そこで、シニアメンバーがジュニアメンバーを指導する時の進め方や、逆にジュニアメンバーが共通して持つべき動き方や心得のようなものを言語化し、組織全体でより明示的に共有していく取り組みも検討しています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:在宅ワークの有無や働き方についての現状とこれからを教えてください。

回答:先ほどのご質問に対する回答でも一部触れましたが、コロナ禍以降も比較的リモートワークが多く、個々人のライフスタイル等に合わせた柔軟な働き方が中心となっております。

こうしたリモート中心の働き方は非常に効率的、効果的な一方で、特に新しく参画されたメンバーが組織にスムースにオンボードする上では、組織的なつながりの醸成という観点で課題もあると認識しております。このため、現状のリモート中心の働き方は前提として残しつつ、一方で、一部オンサイト/対面でタテ・ヨコのつながりを作る機会を作るなど、ハイブリッドな働き方は模索していきたいと考えております。

<質問2>

質問:OJTのやり方に特徴はありますか?

回答:基本的にプロジェクトにアサインされ、上司や先輩と協働で仕事をする中でのフィードバックを通じて仕事の進め方や実務で使える専門知見、課題解決の手法を学んでいくかたちとなっております。

こうしたOJTでの上司等からメンバーにフィードバックする着眼点やフィードバックのやり方等について、ベースとなる「型」を整理していくことで、育成の仕組みの強化を進めていく方針です。

<質問3>

質問:M&Aについては触れられていませんが、その予定はないとみてよいのでしょうか?

回答:スライド32ページでご説明させていただいたとおり、「カスタムAIソリューション事業」に隣接する機能への進出を今期は積極的に検討してまいります。隣接領域の能力構築については、M&Aや事業提携等も含め、オーガニック/インオーガニック双方の手法を俎上に載せて検討をしていく方針です。

<質問4>

質問:2025年9月期以降の売上イメージを教えてください。

回答:2025年9月期につきましては、スライド35ページのとおり、20億800万円をターゲットとして事業推進に努める方針です。2026年9月期以降については、具体的なターゲットは開示しておりません。

一方で、当社が注力する「バリューアップ型AIテーマ」の市場は年間約20パーセントで成長する成長市場であると見立てており、2026年9月期以降も市場成長を超えるペースでの拡大を図ることを基本方針としております。

<質問5>

質問:機関投資家から頻繁に質問/要望を受けている項目はありますでしょうか?

回答:個人投資家のみなさまと同様、機関投資家各位とは決算説明会等で定期的に接点を設けて当社の成長戦略や事業の進捗についてご説明・質疑応答を行う機会を設けております。主にご質問いただく内容は、これまでの質疑応答でいただいた体制構築や成長戦略に関する内容が中心です。今後も、機関投資家・個人投資家のみなさまに当社のことをご理解いただけるよう、適時適切なコミュニケーションを図ってまいりますので、ぜひ中長期目線での応援をいただけますと幸いです。

椎橋氏からのご挨拶

椎橋:本日は、ご視聴いただきありがとうございました。当社は、AIのテクノロジーを使い、今後さまざまな領域でイノベーションを起こしていきます。特にバリューアップ、長期の成長に注力していきます。

これは、高度な人材を起点とすることですので、この部分は今でも課題ですが、イノベーションのプロフェッショナルが増えていくことは、非常に良いことだと考えています。ぜひその観点でご注目、また応援していただけると大変うれしく思います。この後とも何卒よろしくお願いします。

配信元: ログミーファイナンス

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