ヒップ、売上高の増収を達成・各利益も期初予想を上回る 技術者の早期稼動や技術料金上昇が寄与
2025年3月期 第2四半期 決算のポイント
田中伸明氏:株式会社ヒップ代表取締役社長の田中です。2025年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
初めに、業績概要として、当期の決算のポイントについてご説明します。外部環境において、顧客企業では自動車関連を中心に、いずれの業種も製品開発に積極的で、技術者の需要は引き続き高い状況で推移しました。
業績の概況・トピックスは、4点あります。1つ目は、稼働人員の増加と、技術料金の上昇によって売上高の増収を達成できたことです。
2つ目は、技術者の稼動が早期に進んだことと、技術料金の上昇が順調に進んだことで、期初予想では営業利益と経常利益の前年同期比での減益を見込んでいましたが、増益となりました。
3つ目は、社員の処遇改善です。前期から積極的に取り組んでおり、今期も継続して行っています。4つ目は、積極的な採用活動により、中途技術者の採用が例年以上に進みました。
2025年3月期 第2四半期 決算概要
2025年3月期 第2四半期の決算の概要についてご説明します。売上高は29億3,500万円で前年同期比4.3パーセント増となっています。売上原価は22億8,000万円で前年同期比5.1パーセント増、営業利益は2億7,100万円で前年同期比5.4パーセント増、中間純利益は1億8,400万円で前年同期比17.5パーセント減となりました。
売上原価が増加したのは、前期から取り組んでいるベースアップや賞与の増額など、社員の処遇改善を継続したことによるものです。
売上原価は増加したものの、売上高の増加や販管費の効率的な活用によって、営業利益は前年同期比5.4パーセントの増益となりました。
中間純利益が減少したのは、前期に繰延税金資産の回収可能性の見直しがあり、税金費用の減少があった影響によるものです。売上高および各利益は、いずれも期初予想を上回りました。
稼働率(2023年4月~2024年9月)
当社事業に関わる指標についてご説明します。1つ目の指標は稼働率です。第2四半期の稼働率は93.5パーセントで、前年同期比1.3ポイント増となっています。
前期と比較して4月の新卒入社の人数が少なかったことや、自動車や車載システムなどの堅調な引き合いに対して早期の提案を進めたことで、期初から90パーセント以上の高い稼働率を維持しました。9月には稼働率が95.9パーセントになっており、順調に稼働が進んでいます。
技術者の需要は非常に大きいため、今後もしっかりと教育研修を実施することで、お客さまにご提案ができる状況を維持していきます。
技術料金
2つ目の指標は技術料金です。第2四半期は4,223円で、前年同期比プラス133円となりました。
スライドのグラフからわかるように、昨年および今年にかけて大きく上昇しています。当社では適正な技術料金の確保を進めています。契約更新や業務内容が変わる時など、さまざまなタイミングでお客さまとの交渉を行っています。技術者の価値をしっかりとご説明し、ご理解いただいた上で、技術者の単価アップを実施しています。
2024年4月に改訂した新価格表に基づき、お客さまとの契約交渉を進めています。交渉が順調に進んでいる結果として、契約単価が上昇しています。引き続き技術者の価値を高め、お客さまとの交渉を続けていきます。
技術者数
技術者数です。技術者数は第2四半期末で779名となりました。前年同期比プラス20名、2.6パーセントの増加となっています。内訳は4月新卒採用が48名、中途採用が19名です。中途採用については、前年同期比プラス9名となりました。当社では年2回の新卒入社を実施しており、10月には3名が入社しています。
技術者の採用環境は今、厳しさを増しています。そうした中で、当社では現在、教育体制の強化を初めとした会社の魅力を高める取り組みに力を入れています。一人ひとりの求職者に対して、会社方針や当社での働き方、キャリアアップについてしっかりと説明を行い、共感をいただくことで仲間を増やしています。
私自身も採用活動に参加しており、そのような取り組みが例年よりも多くの中途入社につながってきていると実感しています。今後も技術者にとっての魅力をさらに高め、引き続き積極的な採用姿勢をとっていきます。
稼働時間
1日当たりの平均稼働時間です。今期は8.64時間となりました。前年同期からは0.04時間の減少と若干減少しているものの、おおむね8.6時間から8.8時間の間を推移しています。
今後も大幅に減少することはないと想定しています。お客さまのプロジェクトの進捗状況などにもよりますが、引き続き同水準で推移していくものと考えています。
売上高 上位10社 比率
売上高の上位10社の比率です。今期は25.8パーセントとなりました。前年同期比0.2ポイント増となっています。
当社は特定のお客さまに偏ることなく、幅広い取引を目指しています。メリットは2つあります。1つ目は、経営が安定することです。特定のお客さまや業種に偏ると、業績や開発スケジュールに影響を受ける割合が高くなるため、幅広いお客さまや業種との取引は経営の安定につながると考えています。
2つ目は、技術者の実践におけるスキル向上です。技術者がお客さまのプロジェクトに参画して実践を積むことが、本当の意味でスキルを身につけることにつながり、仕事の幅を広げることになります。そのような選択肢を少しでも広げるために、さまざまな業種やお客さまとの取引が重要と考え、取引先を増やすことを目指してきました。
10年前には、上位10社の比率は34パーセント程度でした。そこからさまざまなお客さまに提案を続け、現在は25.8パーセントとなっています。引き続きこのような展開で多くのお客さまに提案ができるよう、営業活動を行っていきます。
事業分野別売上高
事業分野別の売上高です。輸送用機器は、自動車関連の高い需要が続き、航空機関連の需要も旺盛で、変わらず順調に伸びてきています。構成比としては一番高く、32.5パーセントを占め、前年同期比9.6パーセント増となっています。
続いて多いのが情報処理・ソフトウェアです。構成比は25パーセントを占めており、前年同期比10.6パーセント増と最も高い伸び率となっています。
自動車メーカー各社は、EV開発やハイブリッドなど多方面にわたる開発を積極的に行っており、多くの受注をいただいています。情報処理・ソフトウェア分野においても、自動運転、安全走行技術など、輸送用機器が高い割合を占めています。それ以外の分野においても積極的な開発を行っていることには変わりはありません。
若干の増減はあるものの、お客さまからの需要は高く、各社が非常に積極的に開発を進めているため、我々もしっかり提案していきたいと考えています。
新たなステージへのチャレンジ
今期から取り組んでいる、創立30周年に向けた取り組みについてご説明します。今期は、新たなステージへのチャレンジとして、技術者の顧客に選ばれる強い会社になるためにビジネスモデルの再構築に取り組んでいます。
目指す姿は「キャリア形成を支援する企業」です。技術者は「成長できる環境で働きたい」「さまざまな開発・設計に携わりたい」「組織のしがらみなく働きたい」など、いろいろな思いを持っています。その思いに応えるため、技術者のベネフィットを追求していくことが重要だと考えています。
社員一人ひとりが成長性のある環境で、さまざまな開発現場の第一線において、安心してプロの技術を顧客に提供していくことこそ、我々に求められているところであり、目指すべきところだと考えています。
そのために取り組んでいることとして、具体的にはまず教育があります。毎年新たな仲間が入社しますが、設計や開発に携わりたい新卒や未経験の方たちに、ベースとなる教育をしっかりと行うことが重要です。
今年から教育をより実践に近いかたちでリニューアルしました。第一線で活躍する現役の技術者が教育担当者として教えています。長期的な視野において、技術者が成長していけるベースを作ることに重点を置いています。
また、お客さまのさまざまなプロジェクトにつきながら、スキルを伸ばしていく必要があります。営業担当者が一人ひとり技術者に寄り添い、今後の方針や新たに取り組みたい業界・分野をもとに、しっかりと足並みを揃えてスキルを伸ばし、幅を広げていく活動を行っています。
さらに、処遇などの経済的メリットが感じられることも必要です。昇給や賞与などをしっかりと行った上で利益を出していくことが目標です。働く場所の希望にも添えるよう、提案や営業活動、受注活動を行っています。
また、テレワークや時短勤務、副業など、さまざまな働き方の希望に応えていくことも、働きやすい環境作りには必要です。仕事内容についても、当社では専門性の高い開発設計業務に特化することで、技術者にとっての魅力を高めています。
幅広い業種、顧客、業務の受注を確保しているため、スキルを高め、本人のキャリアに対する意向を尊重した業務ローテーションを実現できることも大きな強みとなっています。このように働く環境を魅力的なものに整備することで、技術者一人ひとりに成長の可能性を感じてもらうことが大切です。
加えて、この業界は独特で、技術者一人ひとりがさまざまなお客さまのところで日々仕事に取り組んでいるため、つながりやサポートを強化することも大事だと思っています。そのつながりをより強化できるよう、新たな取り組みを今まさに実施しているところです。
当社では、このようなことを進めながら、技術者中心の会社として仕組みを作っていきます。これから我々の仲間になる方にも、当社の魅力や考え方をしっかりとアピールし、採用活動を実施していきたいと考えています。
創立30周年へ向けて
まずは、当社の技術者の価値を上げます。それがお客さまの価値を高めることにつながります。そして、最終的には社会価値や企業価値の向上を図り、株主のみなさまへ還元するという流れが大切だと思っています。
これから創立30周年に向けて、まずは技術者の価値を上げることに全力で取り組み、そのための施策や体制作りを行っていく方針です。
2025年3月期 通期業績予想
2025年3月期の通期業績予想についてご説明します。足元の状況は変わらず、引き続き技術者の需要は堅調です。第2四半期の数値は期初予想を上回っていますが、通期の業績予想は5月に公表した数値から変更していません。引き続き、技術者の価値を高める施策や体制作りに全力で取り組み、業績予想の達成に向けて邁進していきます。
2025年3月期の業績予想については、売上高は58億8,200万円で前年同期比3.9パーセント増、営業利益は5億5,400万円、経常利益は5億5,100万円で前年と同水準です。当期純利益は3億7,200万円、前年同期比4.1パーセント減を計画しています。
業績予想の前提条件
通期業績予想の前提条件となる指標です。こちらも期初予想から変更はありません。稼働率は94.7パーセントと若干プラスに見ています。稼働時間は8.67時間で前年と同等になります。
採用数は86名です。現在進めている中途採用では38名の採用を計画していますが、この数字にとらわれず積極的な姿勢を維持していきます。そして、2025年4月の新卒入社は70名を想定しています。
これらをしっかりと遂行し、業績目標を達成していきたいと考えています。
配当政策について
最後に、配当政策についてご説明します。基本方針に変更はなく、株主のみなさまへの安定的な利益還元を継続していきます。2025年3月期の配当は、3年連続増配の51円を予定しています。
スライド下段のグラフのとおり、当社では安定的な配当により利益還元を行っています。配当性向も過去の20パーセント台から大きく改善し、前期には50パーセントを超えました。今後も引き続き累進的配当を目指しており、今期も1円増配の51円を予定しています。
また、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を目的に、自己株式の取得を実施します。今年の2月にも実施しましたが、本日の決算短信と同時に、適時開示でToSTNeT-3において、6万株を上限に買付を行う旨を公表しました。今後も株主のみなさまにしっかりと還元しながら、会社を成長させていきます。
以上、2025年3月期第2四半期決算についてご説明しました。当社は来年の創立30周年に向け、ビジネスモデルの再構築に取り組んでいます。社員一丸となって知恵を出し合い、アイデアを持ち寄ることで新しい体制を作っています。
そして、業務効率化や情報共有の強化に向けた新たな取り組みも開始しました。社員や株主のみなさまをはじめとするステークホルダーの方々のためにも、会社をさらに伸ばしていくことができるよう、一生懸命経営に努めていきます。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。本日は、ご清聴いただき誠にありがとうございました。
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