朝日ネット、会員獲得強化によりFTTH接続サービス数が増加 25年3月期中間期は増収増益で、計画に向けて順調に推移

投稿:2024/11/08 13:00

目次

土方次郎氏:株式会社朝日ネット代表取締役社長執行役員の土方です。2025年3月期中間期の決算についてご説明します。こちらが本日の内容です。

売上高の推移

売上高についてです。2025年3月期中間期の売上高は64億9,600万円となりました。前年同期比7.5パーセント増、4億5,300万円の増収です。年度予想である128億円に対する進捗率は50.8パーセントとなりました。計画に向けて順調に推移しています。

売上高 前期比差異

2024年3月期中間期から2025年3月期中間期にかけての売上高4億5,300万円の増加について、主な要因をご説明します。

まずは「v6 コネクト」です。売上高は9,100万円の増収となりました。提携事業者との取り扱い通信量が増加したことが要因です。第1四半期で提携事業者が1社減少となりましたが、売上高は堅調に伸びています。

続いて、ISP「ASAHIネット」の各サービスの増減についてです。他FTTHは3億4,900万円の増収となりました。NTTチャネルやWebチャネルで会員獲得を強化したことによりFTTH接続サービス数が増加し、増収となりました。また、「固定IPアドレスオプション」を2024年2月にリニューアルしたことも増収に寄与しました。

NTT東西と販売チャネルを協業し、マンションオーナーおよび居住者へのインターネット接続サービスを提供している「マンション全戸加入プラン」は3,700万円の増収となりました。NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」と「ASAHIネット ドコモ光」を含む「光コラボ」は1,500万円の増収となりました。

モバイル接続サービスのLTE・WiMAXは100万円の減収となりました。モバイル接続サービスのうちLTEは1,400万円の増収となりました。遠隔に設置した機器へインターネット経由でアクセスするためのSIMカードと固定IPを利用する法人会員が増えています。WiMAXは1,500万円の減収となりました。通信料と端末料を分離し、定額で使い放題の5Gサービスを提供していますが、入会数が伸び悩み前年度に引き続き減収となりました。

他は1,700万円の減収となりました。他に含まれる主なサービスはダイヤルアップ接続サービスなどのナローバンド接続サービスが含まれています。教育支援サービス「manaba」は2024年3月期末に解約した大学の影響により2,000万円の減収となりました。

営業利益の推移

営業利益は12億6,500万円、中間期では過去最高益を更新しました。年度予想である22億円に対する進捗率は57.5パーセントとなりました。営業利益率は19.5パーセントとなりました。計画に向けて順調に推移しています。

営業利益 前期比差異

2024年3月期中間期から2025年3月期中間期にかけて営業利益が4億2,200万円の増益になったことについて、主な要因をご説明します。先ほどのスライドでご説明したとおり、売上高の増加は4億5,300万円となりました。

売上原価と販管費についてです。

1点目は通信費の減少です。2023年3月中間期から今後も増加するトラフィックを効率的に処理するためにネットワーク設備の一部を見直す計画が完了したことで通信回線の費用が減少しました。また、現在の通信回線で取り扱うことができる総トラフィック量を増やせたことで将来に向けたトラフィック増加に備えることが出来ています。

2点目は業務委託費と減価償却費の増加です。基幹システムの更改を複数年計画で進めています。前事業年度から取り組みを進めている基幹システムに加え、ISP・VNE・manabaの開発等で業務委託費や開発費が増加し、2026年3月期まで継続して発生する見込みです。また設備投資に伴う減価償却費は前年横ばいとなりました。

3点目は販売促進費の増加です。主にISP「ASAHIネット」の新規会員を獲得するために費用を投下しています。営業活動量を増加させるための業務委託費、新規会員数に連動するルータプレゼントや代理店手数料等が増加しています。今後も新規会員の獲得に注力する計画です。

EBITDAの推移

EBITDAとEBITDAマージンの推移についてです。2025年3月期中間期のEBITDAは16億9,300万円、EBITDAマージンは26.1パーセントとなりました。

2025年3月期は基幹システムの更改や定期的に発生する機材の更新および今後も増加するトラフィックに対処するためのネットワーク設備投資等を進めます。その結果、EBITDAは32億2,000万円を計画しています。

経営成績

2025年3月期中間期の損益の状況です。売上高、営業利益は先ほどご説明したとおりです。

経常利益は前年同期比49.5パーセント増の12億7,600万円となりました。中間純利益は前年同期比76.1パーセント増の9億7,700万円です。

2025年3月期中間期は特別利益として投資有価証券売却益を1億3,700万円計上しています。

財政状態

2025年3月期中間期の財政状況です。資産は前期末比2億6,800万円増の145億4,700万円、負債は前期末比1億4,700万円増の19億1,900万円、純資産は前期末比1億2,000万円増の126億2,700万円となりました。自己資本比率は86.8パーセントとなりました。

資本コストや株価を意識した経営

資本コストや株価を意識した経営指標についてです。

当社は自己資本当期純利益率(ROE)を全社の目標経営指標として設定し、投資家が期待する利回りである株主資本コスト(5パーセントから6パーセント)を上回るROE10パーセント以上の達成を目標としています。

当社のROEについては、直近3期においてスライドに記載したとおり推移しており、当社が計算した株主資本コストを上回る資本収益性を達成しています。また、株価純資産倍率(PBR)についてもスライドのとおり推移しています。

ROEから株主資本コストを差し引いたエクイティスプレッドは5パーセント前後を計画しています。

株主還元

2025年3月期の配当です。中間配当金については、予定どおり12円とします。2025年3月期の配当金は、中間配当金で12円、期末配当金で12円、年間で1株あたり24円を予定しています。その結果、配当性向は43.2パーセントとなる予定です。

当社は2024年5月9日付けで自己株式の取得を行いました。取得した株式の総数は95万株、取得総額は6億600万円となります。その結果、2025年3月期の総還元性向は81.2パーセントとなる予定です。

朝日ネットの事業

続いて、事業ごとに分解してご説明します。

インターネット接続サービスとして、ISP「ASAHIネット」、VNE「v6コネクト」の売上高を開示しています。インターネット関連サービスとして、教育支援サービス「manaba」、「その他」の売上高を開示しています。

この内容に沿って説明します。

インターネット接続サービスの構造

はじめにインターネット接続サービスの状況についてご説明します。

インターネット接続サービスの構造は、スライド左上の①が当社がISPとして自社サービス「ASAHIネット」を提供している部分、スライド右上の②が当社がVNEとして電気通信事業者へIPv6接続サービス「v6 コネクト」を提供する部分に分かれています。

インターネット接続サービス 売上高

2025年3月期中間期のインターネット接続サービスの売上高はご覧のとおりです。

ISP「ASAHIネット」は47億7,000万円、前年同期比8.9パーセント増、3億9,000万円の増収となりました。VNE「v6 コネクト」は10億5,300万円、前年同期比9.5パーセント増、9,100万円の増収となりました。

ISP「ASAHIネット」インターネット接続契約数の推移

ISP「ASAHIネット」の事業の状況についてご説明します。「AsahiNet 光」などのFTTH接続サービスの契約数は前年同期比3万1,000ID増の48万7,000IDとなりました。ADSL接続サービスの契約数は2,000IDとなりました。モバイル接続サービスの契約数は4万8,000IDとなりました。

インターネット接続サービス契約数の退会率は0.64パーセントとなりました。退会率は引き続き低い水準を維持しています。

ISP「ASAHIネット」取り組み

2025年3月期中間期の取り組み事例についてご説明します。

「ASAHIネット」の売上高は、FTTH接続サービスおよびモバイル接続サービスの契約数に比例して増加し、先行指標として四半期単位でインターネット接続の契約数を開示しています。2025年3月期はNTTチャネル、Webチャネル、大口法人の契約数増加に向けて会員獲得チャネルの強化を進めており、2024年9月末のFTTH接続サービス契約数は増加傾向にあります。

2025年3月期中間期の具体的な活動についてです。

1点目はNTTチャネルの強化です。光コラボレーションモデルの「AsahiNet 光」やNTT東西と協業して販売している「マンション全戸加入プラン」の拡大、NTT東西のフレッツ回線に当社プロバイダサービスのみを提供する「フレッツ光 ネクスト/フレッツ光 クロス」の販売を強化しています。営業体制を強化することでお客様の活用事例やニーズを汲み取る活動を進めています。

2点目はWebチャネルの強化です。広告宣伝費や販売促進費を投下し、当社Webサイト経由で見込顧客と新規入会の獲得を進めています。

またeスポーツのさまざまな可能性をささえ、当社が掲げる「つなぐをつくる、つなぐをささえる。」を実現するための取り組みとしてeスポーツ大会等のイベントへ協賛し、NTT東西が提供する「フレッツ 光クロス」および光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光クロス」の販売強化に取り組みました。

3点目は法人会員の強化です。当社は他ISP事業者と比較すると法人会員の構成比が高いのが特徴です。法人会員が選定する理由として安定した品質の通信回線や固定IPアドレスを利用したインターネット接続などが挙げられます。2024年3月期の第4四半期には、IPv4の固定IPアドレスをIPoE上で利用できるサービスの提供を開始しました。

固定IPアドレスは従来より法人会員からのニーズが高いサービスであり、今回PPPoEのみではなくIPoEでも利用できるように拡張したことで多要素認証やインターネットを経由して遠隔地からアクセスするなどの利用事例が増加しています。固定IPアドレスのサービス提供にあたり、月額利用料を見直したことも増収に寄与しています。

VNE「v6 コネクト」売上高と提携事業者数の推移

続いてVNE「v6 コネクト」についてご説明します。2025年3月期中間期の「v6 コネクト」の売上高は10億5,300万円、前年同期比9.5パーセントの増収となりました。提携事業者数は前期末から1社減少し10社となりました。

「v6 コネクト」は、VNO事業者(電気通信事業者)に対して、NTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を提供するサービスです。当社はVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上しています。

VNO事業者の事業展開においては、「v6 コネクト」を用いた通信品質の維持と事業構造におけるコストコントロールは大きな意味を持ちます。当社は提携するVNO事業者の事業拡大や維持に向けて価格調整やネットワークの維持コストを効率化することで、提携事業者と当社がパートナーとして中期的な関係性を維持することに努めます。

VNE「v6 コネクト」の計画

続いて、VNE「v6 コネクト」の2025年3月期中間期の取り組みについてご説明します。

VNE「v6 コネクト」は、引き続き提携事業者との協業関係を維持すること、および新たなVNO事業者(電気通信事業者)との提携を拡大させることに注力して取り組みます。「フレッツ光 クロス」の提供エリア拡大により従来の1Gbpsから10Gbpsに対応した光アクセスサービスの利用者増加や、インターネット上で中継されるスポーツイベントの視聴やオンラインゲームのアップデートなどによりダウンロードされたコンテンツ利用は将来に向けて増加することを予想しており、今後も増加の一途をたどると予測しています。

NTT東西のNGN網と相互接続しているIPv6ネットワークの構成を一部見直すことにより、従来よりも費用の増加を抑えながら取り扱いトラフィック量を増やす取り組みを計画どおり進めています。

インターネット関連サービス 売上高

続いて、インターネット関連サービスの状況についてご説明します。インターネット関連サービスは、教育支援サービス「manaba」と、メールやセキュリティなどの関連サービスが含まれます。

2025年3月期中間期のインターネット関連サービスの売上高はご覧のとおりです。教育支援サービス「manaba」は前年同期比6.4パーセント減の2億9,200万円となりました。「その他」は2.3パーセント減の3億7,900万円となりました。

教育支援サービス「manaba」契約ID数の状況

教育支援サービス「manaba」についてご説明します。「manaba」は教育機関、主に大学に対して当社が開発、販売、サポートを行っているクラウド型のアプリケーションサービスです。

2024年9月末時点での契約ID数は、前年同期末比1万7,000ID減の76万8,000IDとなりました。2024年3月期末に5大学が契約終了となったことにより、前年同期末比5校減の88大学となりました。

教育支援サービス「manaba」の取り組み

大学を取り巻く環境は、文部科学省が進める教育のDX化が後押しされたことにより、LMSやポートフォリオは新たな価値を求められています。教育支援サービス「manaba」は教育の質保証や大学IRを実現するために必要なサービスの提供が必要と考えており、2025年3月期は前年度に引き続き下記3点を重点取り組みとして活動しています

1点目は変わりつつある学修環境に対応するための各種システムとの連携強化です。

対面とオンラインを併用した授業運営や学修活動における生成AIへの対応など、大学が推し進めるDX化に対応するために各種システムと「manaba」間において教育業界の標準規格であるLTI(Learning Tools Interoperability)に対応するためのサービス開発を進め、2024年7月にLTIに関する認証を取得しました。これにより、例えば生成AIに関する類似性チェックツールの「Turnitin」、Web会議の「Zoom」等は連携が実現可能となりました。

2点目は学修行動を分析するためのログの抽出です。「manaba」は学生が作成したレポートだけではなく、テスト等の繰り返し学習の回数、授業補助教材の閲覧記録などさまざまな学修ログデータを保有しています。

大学が保有しているGPA等の成績情報や授業評価アンケートの満足度に加え、大学における自己点検のデータ等を加えた大学IR(Institutional Research)に利活用できるデータ抽出の開発をおこないました。次は抽出したデータをどのように活用するかのケーススタディを集約しています。

3点目は学生の能動的な学修を促すための機能提供です。アクティブラーニングと呼ばれる学生が能動的な活動を推し進めるための機能開発を進めています。

2025年3月期は教育関係者が集まるイベントへの出展や、「manaba」を利用する大学教員や職員によるユーザー会を開催することで、今後の「manaba」のサービス方針を広める活動を進めています。

2025年3月期 中間期決算まとめ

2025年3月期中間期の決算まとめです。1点目は業績についてです。

2025年3月期中間期の売上高は64億9,600万円となりました。インターネット接続契約数の増加に加え、固定IPアドレスにより増収となりました。営業利益は12億6,500万円となり、過去最高の営業利益となりました。

2点目は事業の状況についてです。ISP「ASAHIネット」はFTTH接続サービスの契約数が前年同期末比で3万1,000ID増の48万7,000IDとなりました。フレッツ光等のFTTH接続サービス契約数が増加しています。

VNE「v6 コネクト」の売上高は、前年同期比9.5パーセント増の10億5,300万円となりました。主に提携事業者が取り扱う1回線あたりトラフィック増加による増収です。教育支援サービス「manaba」の契約ID数は前年同期末比で1万7,000ID減の76万8,000ID、全学導入校は88校となりました。

以上、2025年3月期中間期決算についてご説明しました。ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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