*14:05JST アクシスC Research Memo(5):スキルの再配置とシェアを通じて日本の持続的成長に貢献
■中期経営計画
1. 長期ビジョン
アクシスコンサルティング<9344>は「人が活きる、人を活かす。~人的資本の最大化・最適化・再配置~」をミッションに、「事業を通じて、新しい価値を創造し、すべての人が活き活きと働く社会創りをめざします。」を長期ビジョンとして掲げている。長期ビジョンを実現するため、ハイエンド人材と企業の橋渡しすることでスキルの再配置とシェアを行い、ハイエンド人材を広く活用できる社会を構築し、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指している。具体的には、人材と企業・ビジネスパートナーを集めることで「量の拡大」と「人材と案件の質の向上」を進め、人材と企業・ビジネスパートナーに対する魅力を一層向上させる。加えて、より多くの人材や企業が集まるという好循環を構築することで、独自のプラットフォーム型エコシステムを拡大し、長期的な成長につなげていく。
2027年6月期に営業利益12億円を目指す
2. 中期経営計画
同社はプラットフォーム型エコシステムを拡大していくことで、中長期的に業界になくてはならない人材基盤となることを目指している。そのため中期経営計画を策定し、第1の柱である「コンサルファーム向け人材紹介」で業界トップクラス維持、第2の柱として「事業会社向け人材紹介」の拡大、第3の柱として「スキルシェア」の成長を基本戦略に、人材紹介とスキルシェアの相互作用によって複利的成長を見込む。これにより、2027年6月期に売上高で75億円(人材紹介40.77億円、スキルシェア34.23億円)、営業利益で12億円、ROEで17%を達成する計画だ。なお、詳しくは後述するが、中期成長へ向けて人材投資を先行するため、2025年6月期は一旦営業減益になる見込みである。
中期経営計画の達成に向け、5つの重点施策を展開
3. 重点施策
同社は中期経営計画の目標値達成に向け、基本戦略に沿って、(1) 現役コンサルタントの登録シェア拡大、(2) 事業会社向けサービスの強化、(3) 自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング、(4) 会員向けサービスの強化及びポータルの開発、(5) 積極採用と生産性の向上という5つの重点施策を展開していく。
(1) 現役コンサルタントの登録シェア拡大
同社は、ニーズに対応できる属性・成長性・質の高さを誇る業界トップクラスの人材データベースを保有しているが、引き続きクライアントのニーズに応えるべく、時宜に適したコンサルタントを増強する計画だ。具体的には、10%程度といわれるビジネスコンサルティング業界の成長率を上回る20%強のペースで主要23社のコンサルタント登録者数を増やし、2031年6月期には2024年6月期の1万人から4万人へと4倍に拡大する方針である。このうち、BIG4※のバックオフィスを含む登録者数シェアを約25%から約50%へと上昇させ、登録者数を3,900人から14,000人へと拡大する計画だ。
※ デロイトトーマツコンサルティング(同)、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)、KPMGコンサルティング(株)、PwCコンサルティング(同)の4社の総称。
(2) 事業会社向けサービスの強化
スキルシェアを通じた顧客企業との出会いを起点に、人材紹介を含む幅広いサービスによってカスタマーサクセスを実現し、企業にとって必要不可欠な長期的パートナーとなり、継続的な収益獲得につなげていく方針だ。特に、ブランド力はあるが属人的だったため成長性に乏しかったケンブリッジ・リサーチ研究所が、同社が吸収合併したことで効率的かつ効果的な運営を行い、事業会社向けサービスの拡大を加速する考えだ。特にDXへのニーズが強く、相談件数は順調に増加しているようだ。また、サービス提供の例としてスタートアップやIPO準備企業へのアプローチが挙げられる。手軽に利用できるコンパスシェアで将来有望な企業と早期に出会い、IPOの準備開始時には内部統制を専門とする実務経験のあるコンサルタントファーム出身者を採用、IPO準備期には同社が送った人材の要請によりフリーコンサルBizなどを利用して統合基幹システム導入や上場承認作業といったプロジェクトを推進し、IPO後にはさらなる成長を目指して事業戦略の策定や執行のためのCxOの採用につなげていく。
(3) 自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング
従来プロジェクトごとに個々のフリーコンサルタントに依頼し、同社は品質管理のみを行っていたが、プロジェクト・マネジメントに強みを持つコンサルタントを同社が社員として採用することで、フリーコンサルBizで提供しているコンサルティング機能と組み合わせたサービスを提供する計画である。品質管理のさらなる向上だけでなく、プロジェクトの大規模化や、大規模化に伴って増加する傾向のある他社連携への積極的な対応も狙った打ち手と言える。
(4) 会員向けサービスの強化及びポータルの開発
レジュメ管理や求人応募状況管理、副業・フリーコンサル受発注・請求などの機能の開発を2024年7月に開始し、2025年夏から順次リリースする計画だ。さらに、データベースを統合して情報を一元化することで求職者情報を可視化し、求職者のカスタマーサクセスの促進につなげる。また、副業としてコンパスシェアを活用したスポットコンサルなども提案する。このように求職者に対するサポートを一層充実することでナーチャリングの体制をより強固にし、さらなるデータベースの蓄積につなげていく考えである。
(5) 積極採用と生産性の向上
人員強化と従業員満足度向上を図る。企業も求職者も人材紹介や外部人材の活用のニーズが強まっていることから、先行して営業人員を積極的に採用していく。2024年6月期に128人だった営業人員を、2027年6月期には185人に増やす計画だが、2025年6月期には31人の増員を考えている。ほかに大規模プロジェクトニーズに対応して自社でコンサルタントを採用するなど、自社内で人的資本の最適化・再配置を実施する。さらに、キャリアオーナーシップ制度やフルフレックス制度などの定着策、教育研修制度充実や学習コミュニティなどの育成策によって働きがいと働きやすさの両立を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 長期ビジョン
アクシスコンサルティング<9344>は「人が活きる、人を活かす。~人的資本の最大化・最適化・再配置~」をミッションに、「事業を通じて、新しい価値を創造し、すべての人が活き活きと働く社会創りをめざします。」を長期ビジョンとして掲げている。長期ビジョンを実現するため、ハイエンド人材と企業の橋渡しすることでスキルの再配置とシェアを行い、ハイエンド人材を広く活用できる社会を構築し、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指している。具体的には、人材と企業・ビジネスパートナーを集めることで「量の拡大」と「人材と案件の質の向上」を進め、人材と企業・ビジネスパートナーに対する魅力を一層向上させる。加えて、より多くの人材や企業が集まるという好循環を構築することで、独自のプラットフォーム型エコシステムを拡大し、長期的な成長につなげていく。
2027年6月期に営業利益12億円を目指す
2. 中期経営計画
同社はプラットフォーム型エコシステムを拡大していくことで、中長期的に業界になくてはならない人材基盤となることを目指している。そのため中期経営計画を策定し、第1の柱である「コンサルファーム向け人材紹介」で業界トップクラス維持、第2の柱として「事業会社向け人材紹介」の拡大、第3の柱として「スキルシェア」の成長を基本戦略に、人材紹介とスキルシェアの相互作用によって複利的成長を見込む。これにより、2027年6月期に売上高で75億円(人材紹介40.77億円、スキルシェア34.23億円)、営業利益で12億円、ROEで17%を達成する計画だ。なお、詳しくは後述するが、中期成長へ向けて人材投資を先行するため、2025年6月期は一旦営業減益になる見込みである。
中期経営計画の達成に向け、5つの重点施策を展開
3. 重点施策
同社は中期経営計画の目標値達成に向け、基本戦略に沿って、(1) 現役コンサルタントの登録シェア拡大、(2) 事業会社向けサービスの強化、(3) 自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング、(4) 会員向けサービスの強化及びポータルの開発、(5) 積極採用と生産性の向上という5つの重点施策を展開していく。
(1) 現役コンサルタントの登録シェア拡大
同社は、ニーズに対応できる属性・成長性・質の高さを誇る業界トップクラスの人材データベースを保有しているが、引き続きクライアントのニーズに応えるべく、時宜に適したコンサルタントを増強する計画だ。具体的には、10%程度といわれるビジネスコンサルティング業界の成長率を上回る20%強のペースで主要23社のコンサルタント登録者数を増やし、2031年6月期には2024年6月期の1万人から4万人へと4倍に拡大する方針である。このうち、BIG4※のバックオフィスを含む登録者数シェアを約25%から約50%へと上昇させ、登録者数を3,900人から14,000人へと拡大する計画だ。
※ デロイトトーマツコンサルティング(同)、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)、KPMGコンサルティング(株)、PwCコンサルティング(同)の4社の総称。
(2) 事業会社向けサービスの強化
スキルシェアを通じた顧客企業との出会いを起点に、人材紹介を含む幅広いサービスによってカスタマーサクセスを実現し、企業にとって必要不可欠な長期的パートナーとなり、継続的な収益獲得につなげていく方針だ。特に、ブランド力はあるが属人的だったため成長性に乏しかったケンブリッジ・リサーチ研究所が、同社が吸収合併したことで効率的かつ効果的な運営を行い、事業会社向けサービスの拡大を加速する考えだ。特にDXへのニーズが強く、相談件数は順調に増加しているようだ。また、サービス提供の例としてスタートアップやIPO準備企業へのアプローチが挙げられる。手軽に利用できるコンパスシェアで将来有望な企業と早期に出会い、IPOの準備開始時には内部統制を専門とする実務経験のあるコンサルタントファーム出身者を採用、IPO準備期には同社が送った人材の要請によりフリーコンサルBizなどを利用して統合基幹システム導入や上場承認作業といったプロジェクトを推進し、IPO後にはさらなる成長を目指して事業戦略の策定や執行のためのCxOの採用につなげていく。
(3) 自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング
従来プロジェクトごとに個々のフリーコンサルタントに依頼し、同社は品質管理のみを行っていたが、プロジェクト・マネジメントに強みを持つコンサルタントを同社が社員として採用することで、フリーコンサルBizで提供しているコンサルティング機能と組み合わせたサービスを提供する計画である。品質管理のさらなる向上だけでなく、プロジェクトの大規模化や、大規模化に伴って増加する傾向のある他社連携への積極的な対応も狙った打ち手と言える。
(4) 会員向けサービスの強化及びポータルの開発
レジュメ管理や求人応募状況管理、副業・フリーコンサル受発注・請求などの機能の開発を2024年7月に開始し、2025年夏から順次リリースする計画だ。さらに、データベースを統合して情報を一元化することで求職者情報を可視化し、求職者のカスタマーサクセスの促進につなげる。また、副業としてコンパスシェアを活用したスポットコンサルなども提案する。このように求職者に対するサポートを一層充実することでナーチャリングの体制をより強固にし、さらなるデータベースの蓄積につなげていく考えである。
(5) 積極採用と生産性の向上
人員強化と従業員満足度向上を図る。企業も求職者も人材紹介や外部人材の活用のニーズが強まっていることから、先行して営業人員を積極的に採用していく。2024年6月期に128人だった営業人員を、2027年6月期には185人に増やす計画だが、2025年6月期には31人の増員を考えている。ほかに大規模プロジェクトニーズに対応して自社でコンサルタントを採用するなど、自社内で人的資本の最適化・再配置を実施する。さらに、キャリアオーナーシップ制度やフルフレックス制度などの定着策、教育研修制度充実や学習コミュニティなどの育成策によって働きがいと働きやすさの両立を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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