*12:01JST コーア商事HD Research Memo(1):中期事業計画の推進により、医薬品セグメントの大幅増益を計画
■要約
コーア商事ホールディングス<9273>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する、医薬品原薬の輸入・販売及び医薬品の製造販売等を行うグループの持株会社である。ジェネリック医薬品原薬の輸入・販売(原薬セグメント)からスタートし、現在は注射剤を主とした医薬品の製造販売、医薬品の受託製造(医薬品セグメント)にも注力する。中長期の事業計画の着実な推進により、成長の継続を目指している。
1. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の連結業績は、売上高で前期比0.4%増の22,134百万円、営業利益で同3.1%増の4.382百万円、経常利益で同6.7%増の4,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.6%増の2,946百万円と、増収増益であった。その結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇の19.8%に改善した。2023年6月期決算発表時の計画比では、売上高は3.7%下回ったものの、営業利益及び経常利益はおおむね計画どおり、親会社株主に帰属する当期純利益は6.4%上回った。売上高が計画を下回ったのは、原薬セグメントの減収が影響した。また、親会社株主に帰属する当期純利益が計画を上回ったのは、2024年6月の公募増資により留保金課税の対象外となり、税負担が減少したことによる。セグメント別には、原薬セグメントは既存品を中心に、得意先の方針変更による在庫調整、行政処分等による得意先の販売量減、競合原薬の採用による受注量減等があった影響で減収であったものの、利益率の高い傾向にある新規品目の売上増加に伴い小幅増益を確保した。一方、医薬品セグメントでは、注射剤の主力製品が増産により販売数量を大幅に増やしたこと、同業他社の販売中止等による代替需要により一部の既存品が好調に推移したことなどで増収となった。また生産量増加や生産性の改善等により利益率が向上したことで10%超の増益となった。自己資本比率は78.3%、ROAは14.4%、ROEも12.8%で、いずれも2024年3月期にプライム上場する全産業平均を上回り、高い安全性と収益性を兼ね備えている。好決算を反映して、1株当たり期末配当を前期比1.0円増の13.0円と増配を続けた。また、株主優待制度も継続しており、成長投資を続ける一方で株主還元にも配慮する経営姿勢は評価できる。
2. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比5.5%増の23,350百万円、営業利益で同5.4%増の4,620百万円、経常利益で同5.3%増の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.5%増の3,080百万円と増収増益の見通しだ。ただ、営業利益率を前期と同水準の19.8%に見込むなど、保守的な業績予想と言えよう。セグメント別には、原薬セグメントは、新規採用品目の増加と既存品の販路拡大により、小幅の増収増益を予想する。医薬品セグメントは、主力製品の増産により売上・利益を確保し、蔵王工場の受託事業を本格的に展開することで、原薬セグメントを上回る増収増益を予想している。また、配当方針を変更し、今後は「原則、毎年増配」を配当の基本方針とし、2025年6月期の1株当たり期末配当は14.0円と前期比1.0円の増配を計画する。引き続き中長期的な成長戦略に従って設備投資を行う一方、増収増益の業績予想を達成して、株主還元にも十分に配慮する方針に変更はない。
3. 中長期の事業計画
同社は2020年に長期事業計画を策定し、持続的成長戦略を公表して10ヵ年長期事業計画を推進してきたが、2024年4月に蔵王第2工場への設備投資を決定したことで、将来の事業運営について一定程度見通すことが可能となった。そのため、新たに長期事業計画の財務目標を公表し、2030年6月期に売上高40,000百万円、営業利益8,000百万円を目指す。2025年6月期以降、売上高・営業利益はともに年率10%超の成長率を見込む意欲的な計画と言える。計画を達成するために、原薬セグメントの収益基盤に加え、成長ドライバーである医薬品セグメントを拡大させることで、両セグメントの営業利益が同規模になることを目指す。この長期事業計画の達成に向けて、今後3ヶ年の中期事業計画では、原薬セグメントでは、新規収載品や長期収載品、既存品のシェア拡大等をターゲットとした新規採用活動の促進や、海外サプライヤーとの関係性強化などを推進する。また、医薬品セグメントでは、開発提案型の受託事業戦略の推進、蔵王工場受託事業の本格展開などを進める。以上の中長期の事業計画を推進するとともに、サステナビリティ活動にも十分に配慮する考えだ。今後の中長期事業計画の進捗状況を注視したい。
■Key Points
・2024年6月期は小幅の増収増益となった。原薬セグメントが計画を下回るも、医薬品セグメントがカバー。高い財務の健全性を誇り、増配を実施
・2025年6月期も増収増益を予想。原薬セグメント、医薬品セグメントともに増収増益を計画。新しい配当方針に基づき、着実な増配を計画
・長期事業計画では、新たに2030年6月期の財務目標を公表。原薬セグメントの収益基盤に加え、成長ドライバーである医薬品セグメントの拡大を計画。目標達成に向けて、今後3ヶ年の中期事業計画を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>
コーア商事ホールディングス<9273>は、東京証券取引所(以下、東証)プライム市場に上場する、医薬品原薬の輸入・販売及び医薬品の製造販売等を行うグループの持株会社である。ジェネリック医薬品原薬の輸入・販売(原薬セグメント)からスタートし、現在は注射剤を主とした医薬品の製造販売、医薬品の受託製造(医薬品セグメント)にも注力する。中長期の事業計画の着実な推進により、成長の継続を目指している。
1. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の連結業績は、売上高で前期比0.4%増の22,134百万円、営業利益で同3.1%増の4.382百万円、経常利益で同6.7%増の4,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.6%増の2,946百万円と、増収増益であった。その結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇の19.8%に改善した。2023年6月期決算発表時の計画比では、売上高は3.7%下回ったものの、営業利益及び経常利益はおおむね計画どおり、親会社株主に帰属する当期純利益は6.4%上回った。売上高が計画を下回ったのは、原薬セグメントの減収が影響した。また、親会社株主に帰属する当期純利益が計画を上回ったのは、2024年6月の公募増資により留保金課税の対象外となり、税負担が減少したことによる。セグメント別には、原薬セグメントは既存品を中心に、得意先の方針変更による在庫調整、行政処分等による得意先の販売量減、競合原薬の採用による受注量減等があった影響で減収であったものの、利益率の高い傾向にある新規品目の売上増加に伴い小幅増益を確保した。一方、医薬品セグメントでは、注射剤の主力製品が増産により販売数量を大幅に増やしたこと、同業他社の販売中止等による代替需要により一部の既存品が好調に推移したことなどで増収となった。また生産量増加や生産性の改善等により利益率が向上したことで10%超の増益となった。自己資本比率は78.3%、ROAは14.4%、ROEも12.8%で、いずれも2024年3月期にプライム上場する全産業平均を上回り、高い安全性と収益性を兼ね備えている。好決算を反映して、1株当たり期末配当を前期比1.0円増の13.0円と増配を続けた。また、株主優待制度も継続しており、成長投資を続ける一方で株主還元にも配慮する経営姿勢は評価できる。
2. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比5.5%増の23,350百万円、営業利益で同5.4%増の4,620百万円、経常利益で同5.3%増の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.5%増の3,080百万円と増収増益の見通しだ。ただ、営業利益率を前期と同水準の19.8%に見込むなど、保守的な業績予想と言えよう。セグメント別には、原薬セグメントは、新規採用品目の増加と既存品の販路拡大により、小幅の増収増益を予想する。医薬品セグメントは、主力製品の増産により売上・利益を確保し、蔵王工場の受託事業を本格的に展開することで、原薬セグメントを上回る増収増益を予想している。また、配当方針を変更し、今後は「原則、毎年増配」を配当の基本方針とし、2025年6月期の1株当たり期末配当は14.0円と前期比1.0円の増配を計画する。引き続き中長期的な成長戦略に従って設備投資を行う一方、増収増益の業績予想を達成して、株主還元にも十分に配慮する方針に変更はない。
3. 中長期の事業計画
同社は2020年に長期事業計画を策定し、持続的成長戦略を公表して10ヵ年長期事業計画を推進してきたが、2024年4月に蔵王第2工場への設備投資を決定したことで、将来の事業運営について一定程度見通すことが可能となった。そのため、新たに長期事業計画の財務目標を公表し、2030年6月期に売上高40,000百万円、営業利益8,000百万円を目指す。2025年6月期以降、売上高・営業利益はともに年率10%超の成長率を見込む意欲的な計画と言える。計画を達成するために、原薬セグメントの収益基盤に加え、成長ドライバーである医薬品セグメントを拡大させることで、両セグメントの営業利益が同規模になることを目指す。この長期事業計画の達成に向けて、今後3ヶ年の中期事業計画では、原薬セグメントでは、新規収載品や長期収載品、既存品のシェア拡大等をターゲットとした新規採用活動の促進や、海外サプライヤーとの関係性強化などを推進する。また、医薬品セグメントでは、開発提案型の受託事業戦略の推進、蔵王工場受託事業の本格展開などを進める。以上の中長期の事業計画を推進するとともに、サステナビリティ活動にも十分に配慮する考えだ。今後の中長期事業計画の進捗状況を注視したい。
■Key Points
・2024年6月期は小幅の増収増益となった。原薬セグメントが計画を下回るも、医薬品セグメントがカバー。高い財務の健全性を誇り、増配を実施
・2025年6月期も増収増益を予想。原薬セグメント、医薬品セグメントともに増収増益を計画。新しい配当方針に基づき、着実な増配を計画
・長期事業計画では、新たに2030年6月期の財務目標を公表。原薬セグメントの収益基盤に加え、成長ドライバーである医薬品セグメントの拡大を計画。目標達成に向けて、今後3ヶ年の中期事業計画を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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