*16:08JST SBSHD Research Memo(8):3PL、EC物流、国際物流を強化、高成長を目指す(1)
■中期経営計画
2. 重点施策と進捗状況
(1) グループ総合力の強化(グループプラットフォーム戦略と各社の独自戦略)
a) 3PL事業
3PLの国内市場規模は2023年度で約4.2兆円、うちSBSホールディングス<2384>の市場シェアは5%台後半の水準と業界大手の一角を占めている。業界全体の年平均成長率は2010年度以降、年率8%で拡大を続け、物流業界に占める比率も上昇傾向にある。今後も高騰する人件費や燃料費に加え、2024年問題にかかる労働時間規制などに対応するため、年率10%程度の成長が続くものと予想される。荷主企業が3PLを活用するメリットとして、省コスト化だけでなく今後は物流専業企業としての高い専門性や高度なシステムを活用するメリットが増大すると考えられる。こうしたなか、3PLの豊富な実績と「LT×IT」の専門部隊(約270名)を持つ同社グループは、今後数年間は既存顧客との取引深耕だけでなく、新規顧客を獲得する好機になると弊社では見ている。
同社の2024年12月期の3PL売上高は、前期比0.1%増の2,381億円を計画しており、このうち第2四半期累計で1,194億円、進捗率で50%とほぼ計画通りに進捗した。新規顧客の獲得や既存業務の拡大により荷量減を吸収した。下期は2024年2月に開業した「野田瀬戸物流センターA棟」の稼動率上昇に加えて、同年8月に開業した「物流センター横浜福浦」(1.7万坪満床稼働予定)や同年9月に「医療プラットフォーム」(8,700坪)※の拡大運営がスタートする「柏沼南倉庫」の貢献により一段の売上拡大が期待される。2025年12月期の売上目標2,555億円の達成も射程圏内にあると見られる。
※ 医療機器・消耗品の物流に適した空調システム等が整備されている4F建て倉庫。
b) EC物流
国内BtoCのEC物販市場は2022年の13.9兆円※から2030年には20兆円(年率4.6%成長)になると予想されており、同市場を積極的に取り込むことで、2030年12月期にグループのEC物流関連売上高を2022年12月期から1,000億円上乗せする目標(「EC1000」プロジェクト)を掲げている。2024年12月期の売上高は前期比15.2%増の644億円を計画しており、物流事業に占める構成比率も前期の13.7%から15.2%に上昇する見通しだ。第2四半期累計売上高は290億円で進捗率は45.2%となっているが、「野田瀬戸物流センターA棟」の稼動率上昇に加えて、2024年12月に2番目のEC物流拠点(約2千坪)を大阪で稼働する予定で、通期計画の達成は可能と見られる。
※ 出所:経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
「野田瀬戸物流センターA棟」では第2四半期までに計画通り14社の立ち上げを完了しており、受注状況についても計画を上回るペースとなっている。サプリメントや食品、化粧品等で需要のある定温設備(20度帯、30度帯)や冷凍冷蔵庫(約500坪)を整備していることも、受注が好調な一因と見られる。このため、同センターにおけるEC物流専用フロアを2025年春までに当初計画の1万坪から1.5万坪に拡張する予定となっている。また、2024年3月より大手EC事業者から受託して東名阪エリアで開始した置き配サービスを横展開すべく、自社ブランドを立上げサービスを開始、一般顧客の需要を取り込んでいく戦略だ。2024年12月には棚ロボットや高層型ロボット等の稼動に加えて、EC物流専用WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を立ち上げるなど、「LT×IT」を駆使した生産性向上にも取り組んでいく。
そのほか、中小EC事業者の獲得に向けたプラットフォームとして、2023年1月に開始したECビジネスのフルフィルメントサービス「EC物流お任せくん」については顧客獲得が順調に進んでいる。2024年7月には認知度向上と物流センターの採用力向上を目的に、人気若手俳優による新CMなども投下するなどしており、今後はSNSメディアも積極的に活用しながら、ドライバーや若手社員の採用を強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 重点施策と進捗状況
(1) グループ総合力の強化(グループプラットフォーム戦略と各社の独自戦略)
a) 3PL事業
3PLの国内市場規模は2023年度で約4.2兆円、うちSBSホールディングス<2384>の市場シェアは5%台後半の水準と業界大手の一角を占めている。業界全体の年平均成長率は2010年度以降、年率8%で拡大を続け、物流業界に占める比率も上昇傾向にある。今後も高騰する人件費や燃料費に加え、2024年問題にかかる労働時間規制などに対応するため、年率10%程度の成長が続くものと予想される。荷主企業が3PLを活用するメリットとして、省コスト化だけでなく今後は物流専業企業としての高い専門性や高度なシステムを活用するメリットが増大すると考えられる。こうしたなか、3PLの豊富な実績と「LT×IT」の専門部隊(約270名)を持つ同社グループは、今後数年間は既存顧客との取引深耕だけでなく、新規顧客を獲得する好機になると弊社では見ている。
同社の2024年12月期の3PL売上高は、前期比0.1%増の2,381億円を計画しており、このうち第2四半期累計で1,194億円、進捗率で50%とほぼ計画通りに進捗した。新規顧客の獲得や既存業務の拡大により荷量減を吸収した。下期は2024年2月に開業した「野田瀬戸物流センターA棟」の稼動率上昇に加えて、同年8月に開業した「物流センター横浜福浦」(1.7万坪満床稼働予定)や同年9月に「医療プラットフォーム」(8,700坪)※の拡大運営がスタートする「柏沼南倉庫」の貢献により一段の売上拡大が期待される。2025年12月期の売上目標2,555億円の達成も射程圏内にあると見られる。
※ 医療機器・消耗品の物流に適した空調システム等が整備されている4F建て倉庫。
b) EC物流
国内BtoCのEC物販市場は2022年の13.9兆円※から2030年には20兆円(年率4.6%成長)になると予想されており、同市場を積極的に取り込むことで、2030年12月期にグループのEC物流関連売上高を2022年12月期から1,000億円上乗せする目標(「EC1000」プロジェクト)を掲げている。2024年12月期の売上高は前期比15.2%増の644億円を計画しており、物流事業に占める構成比率も前期の13.7%から15.2%に上昇する見通しだ。第2四半期累計売上高は290億円で進捗率は45.2%となっているが、「野田瀬戸物流センターA棟」の稼動率上昇に加えて、2024年12月に2番目のEC物流拠点(約2千坪)を大阪で稼働する予定で、通期計画の達成は可能と見られる。
※ 出所:経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
「野田瀬戸物流センターA棟」では第2四半期までに計画通り14社の立ち上げを完了しており、受注状況についても計画を上回るペースとなっている。サプリメントや食品、化粧品等で需要のある定温設備(20度帯、30度帯)や冷凍冷蔵庫(約500坪)を整備していることも、受注が好調な一因と見られる。このため、同センターにおけるEC物流専用フロアを2025年春までに当初計画の1万坪から1.5万坪に拡張する予定となっている。また、2024年3月より大手EC事業者から受託して東名阪エリアで開始した置き配サービスを横展開すべく、自社ブランドを立上げサービスを開始、一般顧客の需要を取り込んでいく戦略だ。2024年12月には棚ロボットや高層型ロボット等の稼動に加えて、EC物流専用WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を立ち上げるなど、「LT×IT」を駆使した生産性向上にも取り組んでいく。
そのほか、中小EC事業者の獲得に向けたプラットフォームとして、2023年1月に開始したECビジネスのフルフィルメントサービス「EC物流お任せくん」については顧客獲得が順調に進んでいる。2024年7月には認知度向上と物流センターの採用力向上を目的に、人気若手俳優による新CMなども投下するなどしており、今後はSNSメディアも積極的に活用しながら、ドライバーや若手社員の採用を強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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