【QAあり】True Data、11期連続増収 主力サービスの成長に加え新領域のストック型売上が業績貢献を開始
2025年3月期第1四半期決算説明会
米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉です。本日は当社の2025年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、主に2025年3月期第1四半期決算の概要と最近のトピックについてご説明します。決算のご説明に入る前に、当社をご理解いただくため、当社の事業概要と中期の数値目標および今期の重点施策について簡単にご説明します。
True Dataの事業モデル
まず、当社の事業概要をご説明します。スライドに山の絵と川の絵がありますが、山を小売業と思っていただければと思います。お客さまである小売業ごとのセキュアな専用環境を私どもが用意し、そこで日々の大量の小売業のデータを管理しています。
データの管理はもちろんですが、契約や規約、個人情報保護のような規制関係によりデータをどのように使えるかも変わってくるため、このようなものの管理も確実に行っています。
こうした管理を確実に行うことによって、小売業が自社データをDXで有効活用できます。分析したり、AIで活用したり、マーケティングしたりすることが可能となります。すなわち、テクノロジーだけではデータは活用できません。当社は、確実に管理されたデータをテクノロジーとあわせて活用することを実現しています。
(データの精製)データを活用するまでの流れ
データ活用やDXがなかなか進まない社会課題があります。この社会課題の本質に気づいている人は少ないのが現状です。そこが当社のビジネスの優位性になっています。当社は多くの企業を支援しながら企業の未来を創れる、そしてワンストップで課題を解決できるデータプラットフォームであるということです。
少し具体的にお話しします。データプラットフォームはわかりづらいため、料理に例えました。一例として、消費財メーカーがデータ活用することをイメージしていただけたらと思います。スライド一番左に「データ取得」とあるのが小売業のデータです。
データは原材料で、お客さまであるさまざまな小売業のデータを取得しています。その後、データは下ごしらえが必要になります。これが商品マスタメンテナンスやデータクレンジングです。
データは下ごしらえされ、きれいになって初めて、道具であるAIなどによる分析が可能となります。その結果をわかりやすく可視化し、インサイトしたり意味を読み取ったり活用したりする流れとなっています。
(データの精製)商品マスタメンテナンスの具体例
商品マスタメンテナンスの具体例をお話しします。スーパーA、スーパーBなど複数の小売業において、同一商品が異なる名前でデータベースに入っています。これを一緒に分析しようとしても、同じ商品とは認識できません。したがって、商品名やメーカー名、ブランド名、商品分類などを整えて初めて分析できるデータに下ごしらえできます。
(データの精製)データクレンジングの具体例
日付の入れ方も、それぞれの小売業で異なります。このデータも先ほどと同様にこのままでは分析に使うことはできず、下ごしらえをして初めてAIなどで分析できます。
(データの精製)データを活用するまでの流れ
我々は、AIやプラットフォーム上に乗せるSaaSといったストック型ソリューションを販売しています。
このプロセス全体をデータプラットフォーム上で実現することで、消費財メーカーはこのデータプラットフォームを通じて自社データを分析・活用できるようになります。これこそが我々が新規事業としてスタートした「POS分析クラウド」です。
「セキュリティは問題ない。AIもある。しかし、データの下ごしらえができない」「小売業ごとの契約や規約などの管理ができない」といった課題の解決を、我々はプラットフォーム上でデータ管理・活用を含めてワンストップで実現しており、これが提供価値だと思っています。
2026年3月期 数値目標
2024年3月期の決算説明資料で示した2026年3月期の数値目標と今期の業績予想についてお話します。
売上高については、オーガニックグロースのみで20億円以上を目指しています。利益面では、成長投資はしっかりと行いつつ、継続的に利益率を高めていき、営業利益率8パーセント以上にあたる営業利益1億6,000万円を目指しています。当社のビジネスは限界利益率が高く、売上の伸び以上に利益が伸びていく構造のため、2026年3月期以降、早期に営業利益率10パーセント超を視野に入れていきます。
今期の業績予想は営業利益1億円、営業利益率5.6パーセントとしていますが、2026年3月期の利益目標達成に向けて、原価率が高いサービスや案件の抜本的な見直しによるさらなる利益構造の強化の取り組みを始めています。
(参考)26年3月期 数値目標達成に向けた成長イメージ
こちらのスライドでは、先ほどご説明した数値目標をどのような打ち手や事業領域で積み上げていくかについて、ざっくりしたイメージを示しています。
既存の主力サービスは年率10パーセント以上の成長、新事業領域は年率20パーセント以上の成長というイメージです。今のところおおむねこのイメージに近い成長ペースで進んでおり、来期の数値目標達成に向けて順調な進捗だと考えています。
25/3期重点施策の進捗 1Qの取組み
5月15日に2024年3月期の決算説明資料で開示した今期の重点施策についての進捗です。いずれの取り組みも順調に進捗しています。
特に2025年3月期第1四半期では、スライド左上の小売業のDX推進において、「ショッピングスキャン」およびAIを含むDXソリューション一式の大型案件を受注しました。現在、導入に向けた準備を進めています。既にこの領域は来期分の受注に取り組んでいます。
また、スライド左下に記載している消費財メーカーのDX貢献においては、新しいサービスとして、「Eagle Eye DashBoard」をリリースしました。データ活用が進んでいない消費財メーカーのボリュームゾーンを、我々はホワイトゾーンと呼んでいますが、「Eagle Eye DashBoard」は簡単に市場データを分析できる、現場に寄り添ったツールとなっていることから、ホワイトゾーン開拓のサービスとして拡販を目指しています。
さらに、「Eagle Eye DashBoard」のようなソリューションは作りましたが、販売とセットで進める必要がありますので、販売チャネル多様化のために、ホワイトゾーンの販売網を多く持つ大手企業との協業の検討を進めています。
2025年3月期 第1四半期決算 ハイライト
2025年3月期第1四半期の決算についてご説明します。ハイライトを3つにまとめました。
1つ目です。売上高は3億8,000万円と11期連続の増収で、計画どおりの推移です。
2つ目です。ストック型売上高比率は95.2パーセントです。既存サービスに加えて新領域のストック型売上を徐々に積み上げています。
3つ目です。営業利益は2,200万円で、前年同期比6,000万円増と大幅増となっています。利益率向上に向けた取り組みも順調に進捗しています。成長投資を行いながら、つまり競争力を高めながらコストを下げることに今期からチャレンジしています。
ビッグデータは蓄積して管理しておくだけでも莫大なコストがかかる特性があります。そのため、利益・収益を生まない案件は整理しています。よって、ネットで見た売上成長は少し緩やかに見えるかもしれませんが、利益体質を強める「年輪経営」を進めながら、しっかりと事業を作っています。
損益計算書サマリー
損益計算書です。2024年3月期第1四半期の数字と比較して記載しています。売上高は3億8,000万円で、11期連続の増収です。2024年3月期第1四半期の大型スポット案件の反動で小幅の増収となっています。
営業利益は2,200万円です。前年同期と比較して、大型の減価償却費や販管費の圧縮により、各段階の利益は大幅増で黒字化となっています。2024年3月期第1四半期まで基幹システムの開発における大型の減価償却費がありましたが、これが終了し、今期は売上原価が減少しています。
また、2024年3月期第1四半期は一時的な成長投資のための研究開発費と、人員増強に伴う採用費などがあったため、今期の販管費は前年同期比で反動減となっています。2024年3月期第1四半期は絶好のタイミングとなったため、中長期の成長のために集中投資を行いました。このような大規模な採用費などはワンタイムコストのため、今期はありません。
通期業績予想に対する進捗率
通期業績予想に対して売上高・利益はおおむね計画どおりに推移しています。原価率が高いサービスや案件の抜本的な見直しによるさらなる利益構造の強化は順調に進捗しています。2026年3月期の数値目標達成に向けて、さらなる利益構造の強化に取り組んでいます。
ハイライト① 売上高推移:1Q
売上高の推移です。True Dataの事業売上は11期連続の増収です。順調に増収を続けています。
ハイライト① 売上高推移:四半期別
四半期単位の売上高です。スポット型売上高の動向によって凸凹はありますが、順調に成長を継続しています。
2025年3月期第1四半期の売上は、2024年3月期第4四半期から減少しています。2024年3月期第4四半期は、「ショッピングスキャン」などの、初期の導入売上やスポット型売上が多く積まれていたため、反動減となっています。ただし、あくまで我々がフォーカスしているのは利益のしっかりしたストック型売上です。
ハイライト① 売上高増減分析:対前年同期
スライドのグラフは、左端が2024年3月期第1四半期の売上高3億7,300万円、右端が2025年3月期第1四半期の売上高3億8,000万円です。その増減の中身を分解して示しています。
ストック型の売上「Eagle Eye」、前期に受注した「ショッピングスキャン」や「POS分析クラウド」、その他ストック型売上の業績貢献が進み、徐々に売上高を積み上げています。一方で、スポット型売上は前期に大型案件がありましたため、反動減となっています。
ハイライト② ストック型売上高推移:1Q
スライドのグラフは、ストック型の売上高の推移を示しています。グラフの太い赤線で囲んだ部分がストック型売上高です。今期は95.2パーセントと高水準となっており、順調に成長しています。
ハイライト② ストック型売上高推移:四半期別
スライドのグラフは、ストック型売上高を四半期別に示したものです。ストック型の売上高の全体的な推移を見ると、中期的には順調に成長しています。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:四半期別
ここからはストック型売上について小売業向け、消費財メーカー向けに分けてご説明します。
スライドのグラフは、小売業向けのストック型売上高の四半期推移を示したものです。前期に受注した「ショッピングスキャン」の導入が進み、ストック型売上高を徐々に積み上げています。
(参考)小売業向けストック型売上高推移:1Q
こちらは参考スライドです。前のページのスライドのグラフから、各年度の第1四半期だけを切り出しました。2025年3月期第1四半期は前年同期比5.3パーセントの増収となっています。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:四半期別
消費財メーカー向けのストック型売上高についてご説明します。「Eagle Eye」は新規顧客の獲得などにより、成長を継続しています。重点施策の進捗でもご説明したとおり、大きなポテンシャルを持つホワイトゾーンの開拓に向けて、新サービスとして「Eagle Eye DashBoard」をリリースしました。
また、ホワイトゾーンへの販売拡大に向けた大手企業との協業は、継続して協議を進めています。このような取り組みを進めることで、「Eagle Eye」は今後の成長可能性を大いに期待されています。
(参考)消費財メーカー向けストック型売上高推移:1Q
こちらは参考スライドです。前ページのスライドのグラフから、各年度の第1四半期だけを切り出しました。ストック型売上高全体では緩やかな伸びとなっていますが、契約社数は順調に増加しています。
ハイライト③ 営業利益推移:1Q
利益についてご説明します。スライド左側のグラフは、直近5年度と2025年3月期の第1四半期の営業利益の推移を示したものです。2025年3月期第1四半期の営業利益は2,200万円と、黒字に転換しています。
スライド右側のグラフは、直近5年度と今期業績予想の通期営業利益の推移を示したものです。今期業績予想の通期営業利益1億円に対して、2025年3月期第1四半期はおおむね計画どおりに進捗しています。
ハイライト③ 営業利益増減分析:対前年同期
スライドのグラフは、前年同期に対する営業利益の増減分析を行ったものです。左端が2024年3月期第1四半期の営業損失3,700万円、右端が2025年3月期第1四半期の営業利益2,200万円です。その増減の中身を分解して示しています。
売上高は600万円の微増となりました。費用は、基幹システムに関わる減価償却費負担が2024年3月期第1四半期で終了し、利益の押し上げ要因となりました。前期に実施した一時的な研究開発費や採用費の反動減で、その他の販管費も大幅に減少しています。その結果、2025年3月期第1四半期の営業利益は、前年同期比6,000万円増の2,200万円となりました。
ハイライト③ コスト構造:対前年同期
スライドのグラフは、2025年3月期第1四半期のコスト全体を前年同期と比較したものです。費用全体では前年同期比13.1パーセント減となっています。
(参考)貸借対照表サマリー
バランスシートの状況です。前期末から大きな変化はありません。
トピックス 最近の主な取り組み
こちらのスライドには、最近の当社の取り組みの中から、代表的なものを6つ記載しています。赤い吹き出しで「Pick Up」とある3トピックについて具体的な内容をご紹介します。
トピックス Pick Up①
1つ目は、市場トレンドがチェックできる購買データ閲覧サイト「ウレコン」についてです。「ウレコン」の登録者数が、4月に3万人を突破しました。
「ウレコン」は、日用品や食品約500カテゴリの直近3ヶ月のデータを、誰でも無料で閲覧できるサイトです。地域ごとの売れ筋商品のランキングを見たり、個別商品の購入者の性別・年代といった属性、リピーターやファンが付いている割合を確認したりすることで、市場のトレンドを把握することができます。
小売業や消費財メーカーといったさまざまな企業からマーケティングに活用いただいているほか、教育機関が授業の教材として利用するなど、ビジネスからデータ活用人材の育成まで幅広いシーンでご活用いただいています。
このようなビッグデータ活用のニーズは拡大しており、登録者数も過去最多を記録しています。
トピックス Pick Up②
2つ目は、当社が連携協定を結んでいる気仙沼市の女性向けデジタル研修についてです。地域課題として、子どもの貧困への対応が求められています。お母さん方は子育てや教育に努力していますが、なかなか難しい部分があります。
地域の就労環境として営業事務の仕事がなく困っているということですが、データの仕事はリモートで行うこともできます。したがって、東北のお母さん方が子育てをしながら全国の企業のDXに関わるような仕事や、もしくは東京の会社と世界につながるような仕事をすることも可能です。このような構想を実現するため、当社ではスライドのような取り組みを行っています。
実際に当社では、70代半ばのデータサイエンティストが現役で働いています。また、昨年度は50歳の地方在住のお母さんを採用しました。文系の方ではありますが、データアーティストとして教育を受けていただき、フルリモートで働き、楽しみながら活躍しています。もちろん、若者もとても活躍しています。
このような取り組みができるのがデータの仕事だと思っていますので、このような地域においても取り組みを広げながら、いろいろな方の未来を一緒に作っていきたいと思っています。
トピックス Pick Up③
3つ目は、これからデータの活用を開始する消費財メーカーへ向けた新ツール「Eagle Eye DashBoard」の提供開始についてです。
ホワイトゾーンと呼んでいる、これからデータ活用に取り組む層がどんどん広がっていく中で、人材があまり多くない会社でも現場で活用できるようにすることを目的に、統計の知識がなくても、クリックするだけで誰でも簡単に全国規模の売上情報をチェックでき、そのまま営業資料などに活用できる戦略的なツールをリリースしました。
当社は今後もあらゆる人がストレスなくデータ活用できるツールを提供し、企業のDX推進を支援していきたいと思っています。
私からのご説明は以上です。
質疑応答:大手小売業からの大型案件受注に関する業績への影響について
司会者:「重点施策において、大手小売業から大型案件を受注したとの説明がありましたが、業績への影響はどの程度でしょうか?」というご質問です。
米倉:業界の最大手クラスの小売業から、「ID-POS」領域での「ショッピングスキャン」、販促領域のAIなどを含めてDXソリューション一式の導入と、現場での運用支援を受注しました。売上のポテンシャルとしては、中期的には年間で億単位となる可能性があります。
一方で、ソリューションの稼働までに一定時間を要するため、今期の業績への影響は限定的と考えています。業績貢献への本格化は来期と考えています。
質疑応答:ホワイトゾーン開拓に向けた大手企業との協業検討について
司会者:「ホワイトゾーン開拓に向けた新サービスのリリースは、今後が楽しみなニュースです。拡販に向けて、大手企業との協業検討を進めているとのことですが、どのような企業との協業を進めているのでしょうか?」というご質問です。
米倉:こちらのサービスのソリューションはリリースしており、販売チャネルの強化を並行して進めています。
まだ具体的な企業名などはこの場で申し上げられませんが、メーカーを中心とした販売網を多く持つ大手企業との協業検討が進展しています。これが実を結んで動き始めるのは、今後の話となります。
今まで当社は、基本的には直販営業を中心とした販売体制でした。こちらは、対象となるお客さまはかなりプロの方が比較的多いこともあり、そのようなお客さまに対応できるコミュニケーションが求められてきたという背景があります。
一方で、今後はデータをそれほど活用されてこなかった方々へもアプローチしていきます。そこで、ネットワークを十分に持つ大手企業との協業によって、当社がまだリーチできていない大きなゾーンを開拓していくことを考えており、数万社のメーカーが当社のポテンシャル顧客、ターゲットになる可能性があると考えています。
大手企業からの協業の提案は、ここ最近で特に増えてきています。ビッグデータプラットフォームである当社の価値を多くの企業に感じていただいていると実感しています。引き続き、オーガニックグロースに加えて、協業をテコにした成長戦略を追求していく考えです。
質疑応答:「Eagle Eye」拡販における大手企業との協業効果について
司会者:「『Eagle Eye』でホワイトゾーン開拓に向けて大手企業と協業したとの話でしたが、契約社数は第1四半期においては増えていません。効果はこれからということですか?」というご質問です。
米倉:大手企業との協業は検討中の段階で、詳細については今後リリースすると思います。その後、若干のタイムラグがあるかもしれませんが、業績貢献していくことを期待しています。
質疑応答:「Eagle Eye」と「Eagle Eye DashBoard」の違いについて
司会者:「『Eagle Eye DashBoard』でホワイトゾーンを開拓するとのことでした。これまでもホワイトゾーンを狙っていたと思うのですが、既存の「Eagle Eye」と比較して何が異なるのでしょうか?」というご質問です。
米倉:「Eagle Eye」は、消費財メーカーのマーケティングのプロが求めていることを実現するような分析ができるツールです。一方で、「Eagle Eye DashBoard」は専門知識がなくても、クリックするだけで誰でも簡単に全国規模の売上情報をチェックできるツールです。そのため、メーカーの営業担当者がそのまま小売業への提案資料に使うことができます。
既存の「Eagle Eye」ユーザーがさらに追加で「Eagle Eye DashBoard」を導入することもあると思いますし、まずは「Eagle Eye DashBoard」だけを使い、より深い分析をしたい時に「Eagle Eye」も導入するという流れもできてくると思っています。
うまく裾野を形成しながら、データの活用に慣れてきたら専門的なところまで対応できるようなソリューションの流れを作りたいと考え、「Eagle Eye DashBoard」をリリースしました。
質疑応答:ビジネスアナリティクス領域および広告領域の見通しについて
司会者:「重点施策において、ビジネスアナリティクス領域および広告領域でのストック型売上が業績に貢献し始めるとのご説明がありました。特にビジネスアナリティクス領域において、前期は計画を上回る受注がありましたが、今期の見通しはいかがでしょうか?」というご質問です。
米倉:ビジネスアナリティクス領域および広告領域について、現時点では計画どおりだと認識しています。ただし、取り組みには少し濃淡をつけています。
ビジネスアナリティクス領域は先に立ち上がり、ニーズがかなりあると確認できました。今はいったん受注を止めて、サービスの導入や運用プロセスの見直しなど、よりスケールし、収益性を高められるように動いています。これを今期の上期にしっかりと取り組み、下期にまた受注のアクセルを踏むことを考えています。
一方で、広告領域については、前期にサービスを開始した楽天グループとの取り組みが順調に進んでおり、計画に対してはオントラックで進んでいます。
質疑応答:今期の成長投資の計画について
司会者:「前期から利益が大幅に増加したのは、一時的な成長投資の反動減とのことですが、今期の成長投資についてはどのような計画なのでしょうか?」というご質問です。
米倉:前期の第1四半期には、位置情報やAIなどの新しいサービスの開発に向けた研究開発費や、大幅な人員の増強による採用費が増加し、一時的な成長投資が集中しました。
今期の第1四半期も一定程度の研究開発費や採用費はありますが、前期と比較して大幅に減少しています。
基本的に、当社の経営資源である人材を育て、ノウハウを貯めること、あるいは今回「Eagle Eye DashBoard」をリリースしましたが、このようなトップラインを引き上げるための新サービスに関わるAIを含めたシステムに対しては、成長投資を実施する計画です。
もう少し言うと、人材については前期のような大幅な増員は計画していません。ただし、事業の進捗と利益水準を確保した上での、一定程度の採用は計画をしています。前期はたまたまチャンスだと思い、大きく踏み込んだということです。
また、システムについては、新サービスの立ち上げと開発には積極的に投資をするというスタンスです。そのため、トップラインを引き上げる一方で、案件の選別を強めていきますので、場合によっては既存の契約を更新しないケースもあります。
そのため、ネットの売上成長が見かけ上は緩くなる可能性があります。しかし、利益率が高まり筋肉質になることは、今後さらなるチャレンジを進めていく上で大事なプロセスだと考え、取り組んでいます。
質疑応答:「Eagle Eye DashBoard」の開発費について
司会者:「『Eagle Eye DashBoard』には、あまり開発費がかからなかったということでしょうか?」というご質問です。
米倉:はい、おっしゃるとおりです。以前、システム全体を基盤から抜本的に作り替えた時にはかなりの投資になりましたが、今後はそこまで費用をかけなくても、市場トップレベルのAIソリューションをどの領域でも出していけるという感触を現時点では得ています。すでにいろいろなものを部品化して組み込んでいますので、プラスアルファで一部の開発をするだけで新サービスが作れる環境が整っています。
質疑応答:人流データとPOSデータの組み合わせへの対応について
司会者:「前期に位置情報に関する投資を行ったとのことですが、消費者の人流データとPOSデータを紐づけるような最近の技術動向に、貴社は対応していますか?」というご質問です。
米倉:現在は我々が思っていたとおり、「ID-POS」を軸にして、いろいろな情報を組み合わせて活用する時代に入ったと思っています。例えば、「YouTube」に広告を出した時にどのような効果が出るかといったことを、情報を組み合わせる中で分析できます。このように組み合わせる情報の中には、人流データすなわち移動情報や決済情報、ECデータ、モバイルなどが含まれます。
今、小売業界ではリテールメディアというテーマがかなり注目されており、いろいろな企業がこれに取り組んでいるところです。我々もリテールメディア領域で、情報を紐づけて活用しています。
これを実現するには、テクノロジーの面だけでなく、冒頭でお伝えした会員との規約・契約や、IDの利用承諾といったことをすべて管理する必要があります。加えて、小売業者ごとに異なる名前になっている商品情報をすべて統一するなどの作業も組み合わせることで初めて実現するものです。
我々は技術的な部分はもちろんクリアしていますし、そのために昨年度もかなり投資し、研究開発を行いました。それ以外の部分も整っていますので、我々のサービスはこれからどんどん拡大していくと考えています。
質疑応答:第2四半期以降の進捗見通しや計画について
司会者:「通期計画における第1四半期の実績が売上・利益ともに20パーセント台前半となっており、進捗に遅れがあるように見えます。第2四半期以降の計画や見通しを教えてください」というご質問です。
米倉:当社の売上はストック型が9割超となっており、期初から期末に向けて売上が積み上がっていくモデルです。また、利益についてはストック型サービスの限界利益率が高いため、ストック型サービスの伸長に合わせて利益が増加するような構造になっています。そのため、我々としてはおおむね計画どおりの進捗と考えています。
一方で、現在、当社の利益率は5パーセント台に到達しましたが、2026年3月期に掲げている営業利益率8パーセント以上という目標を達成するために、原価率の高いサービスや案件の抜本的な見直しに着手したところです。そのために、売上高の成長だけではなく利益構造の強化もあわせて図りながら、持続的な企業価値の向上を目指して取り組みを進めています。
質疑応答:スポット型売上の計画や見通しについて
司会者:「スポット型売上が第1四半期の時点で前期と比較して大きく減少していますが、スポット型売上の計画や見通しについて教えてください」というご質問です。
米倉:スポット型の案件についてもストック型と同様に、収益性を重視した案件の選別を行っています。現時点では、前期と同程度の売上となる想定です。
ただし、大きな売上の見込める案件があったとしても、収益性が十分確保できない案件は見送るケースもあります。これは将来的に絶対に効いてくるのではないかと思っています。
そのため、利益面では中期的な安定成長の土台は固めつつ、スポット売上は変動要素も大きいものと考えています。このあたりは、今期に少しチューニングした部分です。
質疑応答:海外での新サービス立ち上げの進捗について
司会者:「海外での新サービス立ち上げについては、現在どのような進捗なのでしょうか?」というご質問です。
米倉:海外については、ベトナム市場から進出することを戦略として考えています。当社が出資するTECHUPCOM社と一緒に、日本の中小規模を含む消費財メーカー向けに海外市場における販売のマーケティング支援を行うことを想定しています。現在、テスト導入に向けた準備は順調に進捗しています。具体的なサービスのリリース時期が確定した際には、投資家のみなさまへお伝えします。
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