【IRアナリストレポート】レシップホールディングス(7213)

著者:鈴木 行生
投稿:2024/09/04 12:13

~バスのAFC(運賃システム)、TMS(運行管理システム)で先進~

【ポイント】
・今2025年3月期の1Qは、国内の新紙幣対応の運賃収受システムの需要増を受けて、好調に推移した。このペースは2Q以降も続くので、今期の会社計画は大幅上方修正となろう。バス会社が投資計画を早めており、当社の生産性向上も進展していることによる。

・大手バス会社は人流の回復を反映して投資意欲を高めており、ドライバーの人員不足への対応も含めて、バスのTMS(運行管理システム)のIT/DX化を加速させようとしている。それに伴い、新規分野の開発や投資も活発化しつつある。MaaSの一翼を担う当社の路線バス運行支援システム「LIVU」(ライブ)やキャッシュレス決済端末、バスターミナルでの発着情報に利用されるCMP(コンテンツ・マネージメント・プラットフォーム)も市場が広がっている。EVフォークリフト用のバッテリーなどの需要拡大も見込める。

・7月にエクイティファイナンス(公募+第三者割当増資)を実施した。発行株式数は171.3万株、発行価格は615.5円、ダイリューション(希薄化)は12.1%であった。手取金額10.5億円の使途は、新領域のR&Dに約5億円、プリント基板実装の新工場建設に5.5億円を充当する。自動組立ラインの導入で、生産性は大幅に向上しよう。

・今回のファイナンスによって、自己資本比率は40%を超えてくるので、財務基盤は一段と安定する。収益力が高まっているので、今回のファイナンスによる希薄化は十分吸収し、ROEも15%前後を確保することができるので問題ない。

・米国では大型の受注に成功し、バスの運賃箱の納入が来2026年3月期に本格化しよう。これによって、長年の課題であった海外部門が黒字化してこよう。よって、来期も好業績が確保できよう。継続的増配が期待される。

・10年ビジョンを策定し、2030年度で売上高300億円、営業利益率10%を目指す。今2025年3月期から第2フェーズの新3ヵ年計画がスタートした。AFC(自動運賃収受システム)+TMS(運行管理システム)+EMS(エネルギーマネジメントシステム)を事業のコアに、「モノ+コト」のビジネスモデル創りに邁進していく。業績の向上と共に、割安な株価は一段と見直されてこよう。

目次
1.特色 情報処理(非接触ICカード利用)、電力変換(電源)、 光(LED)が得意
2.強み バスの運賃収受システムで国内シェア6割強を有するトップメーカー
3.中期経営計画 10年ビジョンと新中期計画でMaaSと海外市場開拓を推進
4.当面の業績 今期の減益計画を乗り越え、来期は増益へ
5.企業評価 内外での新規受注案件の仕上がりに注目

レシップホールディングス <7213>
企業レーティング B
株価
(2024年9月3日)
596円
時価総額 95億円
(15.89百万株)
PBR 1.16倍
ROE 15.3%
PER 7.60倍
配当利回り 1.7%
総資産 18301百万円
純資産 7016百万円
自己資本比率 38.3%
BPS 515.9円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.3 20215 603 779 227 20.8 8.5
2016.3 16203 -571 -649 -1378 -125.3 7.5
2017.3 16985 483 354 50 4.6 7.5
2018.3 15749 -235 -248 -454 -40.9 7.5
2019.3 21538 1021 1030 438 38.8 8.5
2020.3 26051 1854 1830 891 74.4 8.5
2021.3 15553 -40 35 -124 -9.8 5.0
2022.3 14075 149 325 53 4.2 5.0
2023.3 14253 -310 -207 -249 -19.2 5.0
2024.3 22684 3164 3557 2416 178.0 8.5
2025.3(予) 23000 2000 2000 1200 78.4 10.0
2026.3(予) 25000 2500 2400 1500 97.9 15.0

(2024.6ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2005年11月1:10、2014年4月1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/reshiltupuHD202409.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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