*11:10JST クラボウ Research Memo(10):事業構造改革に取り組む。注力する半導体製造関連分野の伸びで収益力が向上
■クラボウ<3106>の業績推移
2016年3月期からの業績を振り返ると、売上高は国内外での市場環境の変化や為替相場の影響、さらにはコロナ禍の影響も重なり、2021年3月期まで減収傾向であった。事業別に見ても、総じて低調に推移し、特に繊維事業が国内カジュアル衣料の需要低迷や海外製品との価格競争激化などの外部要因に加え、不採算ビジネスからの撤退などにより低迷していた。2022年3月期以降、売上高が回復してきたのは、構造改革を進めてきた繊維事業の底打ちと、半導体製造関連分野が好調な化成品事業及び環境メカトロニクス事業の伸びによるものである。
一方、利益面では、不動産事業が安定収益源となっているほか、環境メカトロニクス事業などで高付加価値化が進んできたものの、繊維事業の落ち込みなどにより2021年3月期までの売上高営業利益率はおおむね3%台の水準で推移していた。特に、前々中期経営計画「Advance’18」(2017年3月期〜2019年3月期)では、「収益拡大に向けた事業変革」を基本方針として、1) 海外ビジネスの拡大・強化、2) 国内ビジネスの再構築、3) 将来市場を見据えたマーケット志向型事業ヘの転換、4) 高収益ビジネスの追求などにより、各事業の拡大を目指してきたものの、経営環境の変化のスピードが想定よりも速く、また、不採算ビジネスからの撤退や事業縮小による影響もあり、計画を達成することはできなかった。前中期経営計画「Creation’21」についても、「イノベーションによる収益拡大と企業価値の向上」に取り組んだものの、世界的なコロナ禍の影響を受け、変革のスピードが上がらず、計画を達成することができなかった。現在の中期経営計画「Progress’24」に入ってからは、繊維事業の苦戦が続くなかでも、収益性の高い環境メカトロニクス事業の拡大や半導体製造関連分野の伸びにより利益水準が底上げされ、2024年3月期は過去最高の利益水準を更新した。
財政状態については、構造改革や投資有価証券の削減などにより総資産の縮小を図る一方、自己資本も自社株買いを含めた積極的な株主還元により緩やかな増加に抑えたことから、自己資本比率は50%から60%台へ着実に向上してきた。資本効率を示すROEも、売上高営業利益率とほぼ連動した形で改善してきており、2022年3月期以降は6%前後の水準で推移している。
■沿革
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
2016年3月期からの業績を振り返ると、売上高は国内外での市場環境の変化や為替相場の影響、さらにはコロナ禍の影響も重なり、2021年3月期まで減収傾向であった。事業別に見ても、総じて低調に推移し、特に繊維事業が国内カジュアル衣料の需要低迷や海外製品との価格競争激化などの外部要因に加え、不採算ビジネスからの撤退などにより低迷していた。2022年3月期以降、売上高が回復してきたのは、構造改革を進めてきた繊維事業の底打ちと、半導体製造関連分野が好調な化成品事業及び環境メカトロニクス事業の伸びによるものである。
一方、利益面では、不動産事業が安定収益源となっているほか、環境メカトロニクス事業などで高付加価値化が進んできたものの、繊維事業の落ち込みなどにより2021年3月期までの売上高営業利益率はおおむね3%台の水準で推移していた。特に、前々中期経営計画「Advance’18」(2017年3月期〜2019年3月期)では、「収益拡大に向けた事業変革」を基本方針として、1) 海外ビジネスの拡大・強化、2) 国内ビジネスの再構築、3) 将来市場を見据えたマーケット志向型事業ヘの転換、4) 高収益ビジネスの追求などにより、各事業の拡大を目指してきたものの、経営環境の変化のスピードが想定よりも速く、また、不採算ビジネスからの撤退や事業縮小による影響もあり、計画を達成することはできなかった。前中期経営計画「Creation’21」についても、「イノベーションによる収益拡大と企業価値の向上」に取り組んだものの、世界的なコロナ禍の影響を受け、変革のスピードが上がらず、計画を達成することができなかった。現在の中期経営計画「Progress’24」に入ってからは、繊維事業の苦戦が続くなかでも、収益性の高い環境メカトロニクス事業の拡大や半導体製造関連分野の伸びにより利益水準が底上げされ、2024年3月期は過去最高の利益水準を更新した。
財政状態については、構造改革や投資有価証券の削減などにより総資産の縮小を図る一方、自己資本も自社株買いを含めた積極的な株主還元により緩やかな増加に抑えたことから、自己資本比率は50%から60%台へ着実に向上してきた。資本効率を示すROEも、売上高営業利益率とほぼ連動した形で改善してきており、2022年3月期以降は6%前後の水準で推移している。
■沿革
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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