日プロ Research Memo(10):社員への還元と持続的成長投資、業績向上、企業価値向上の好循環を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2024/08/28 15:10
*15:10JST 日プロ Research Memo(10):社員への還元と持続的成長投資、業績向上、企業価値向上の好循環を目指す ■成長戦略

1. 物心両面からの基盤づくり
日本プロセス<9651>は基本的な経営戦略として、社員への還元(成果主義による評価)や持続的成長投資(人材、働きやすい環境・制度・設備)が業績向上につながり、さらに企業価値の向上(株主還元)につながる好循環を目指している。働きやすい環境や成果主義に基づく評価による社員の安心・健康・快適・成長・やりがいの向上が、社員の定着・活力・生産性・技術力・品質の向上につながることで業績が向上し、結果として会社の持続的成長や企業価値向上につながるという好循環を生み出すため、物心両面から持続的成長の基盤づくりを継続的に推進している。

社員への還元の実績として2024年5月期は期首に全社平均で2期連続となる3%台の賃上げを実施した。また業績連動賞与は7期連続で最高額を更新し、従業員の平均年収は750万円を超えた。さらに、経営参画意識の向上や株主との価値共有を目的として、従業員に対する譲渡制限付株式報酬制度を導入(2022年5月)している。人材採用は単体ベースでおおむね40名前後の新卒を安定的に採用しており、今後は中途採用を含めて採用を一段と強化する方針としている。


第7次中期経営計画では引き続きT-SESのトータル度向上を推進
2. 第7次中期経営計画
同社は、前中期経営計画「第6次中期経営計画」(2022年5月期~2024年5月期)で、経営ビジョンに「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を掲げ、基本方針として人材育成のための大規模案件請負の推進(大規模案件受注に向けた営業力強化、新規設計力の向上、マネージメント力の向上)と、T-SESのトータル度向上に取り組んできた。T-SESはトータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスの略で、長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。

経営目標数値は未公表だったが、3ヶ年の実績として売上高は23.9%増収、営業利益は36.4%増益という成長を達成した。エネルギー分野、航空宇宙分野、危機管理分野、クラウドシステム分野などで大規模案件を獲得し、T-SESのトータル度向上によって生産性が8.5%向上した結果、営業利益率は中長期目標としていた10%超を達成し、ROE(自己資本利益率)は7.1%まで上昇(2021年5月期実績5.7%から1.4ポイント上昇)した。

そして2024年5月に策定した新中期経営計画「第7次中期経営計画」(2025年5月期~2027年5月期)では、経営目標値に最終年度2027年5月期の売上高120億円以上、営業利益12億円以上、ROE8%以上を掲げた。また株主還元については2025年5月期より配当方針を変更し、安定的な配当の継続と連結配当性向を66%目標(従来はおおむね50%以上目標)とするとともに、新中期経営計画期間中については累進配当政策を導入する。

基本方針は前中期経営計画から継続して人材育成やT-SESのトータル度向上による生産性向上、新規設計案件や大規模案件の受注拡大、採用強化やビジネスパートナーの拡大による技術者増加などにより、前中期経営計画以上の成長を目指すとしている。注力事業・分野としては社会インフラDX分野の強化を目指す。同社の考える社会インフラDXとは、保守性・拡張性が高く、サイバーセキュリティが備わった先進的なシステムへ転換することであり、社会インフラの「セキュア」で「スマート」なプラットフォームへの変革に貢献し、IoT・クラウド・AIなどの最新技術を備えた新たなシステム開発に注力し、特に自動車システムのAD/ADAS関連、ガバメントクラウド等のクラウドシステム、特定情報システムの航空宇宙・危機管理分野の規模拡大を目指す方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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