アクシスコンサルティング、売上高は前年比7.5%増、営業利益は23.7%増で着地 25年6月期末に1株35円で配当開始予定

投稿:2024/08/22 15:00

Agenda

山尾幸弘氏(以下、山尾):アクシスコンサルティング株式会社代表取締役社長の山尾です。2024年6月期通期決算報告をご説明します。よろしくお願いします。

まず、私から決算概要をご説明し、執行役員コーポレート本部長の笹井より、決算の詳細についてご説明します。また最後に、当社の目指すべき世界観と中期経営計画、2025年6月期業績予想について私からご説明します。

2024年6月期 通期業績ハイライト

最初に、2024年6月期通期業績ハイライトです。スライドのとおり、前年に対して増収増益での着地となりました。営業利益については、前期比プラス23.7パーセントと大幅な増益を達成しました。

外部環境については、主要顧客である大手コンサルファームの若手中途採用は縮小傾向にある一方、マネージャー以上の人材需要は堅調に推移しました。その環境変化に対応するため、期初から施策を講じてきました。

上期はかなり苦戦し、施策効果の業績への反映が遅れましたが、下期からスキルシェアを盛り返すことができ、人材紹介も第4四半期で大きく伸ばすことができました。

2024年6月期 決算概要

スライドは、通期の損益計算書です。売上高は46億6,500万円で前期比7.5パーセント増、営業利益は8億3,300万円で前期比23.7パーセント増となりました。利益面については、増収と販管費の効率運用で大幅に伸ばしています。

第3四半期決算で修正した業績予想に対しても、売上・利益面とも上回りました。

市場環境の推移と当社施策の効果

スライドは、市場環境の推移と当社の施策効果をまとめたものです。外部環境として、当社の主要顧客である大手コンサルファームが属するコンサルティング市場は、引き続き拡大成長しています。事業会社からのコンサルティング需要は、DX関連を中心に今後も増加していくと考えられています。

しかし、大手コンサルファーム自体の人材需要には、特徴的な変化が出てきています。新卒採用の割合が大きくなり、中途のポテンシャル採用が絞られているため、期初から若手層の中途採用が鈍化していました。

若手の中途採用がまったくゼロになったわけではありませんが、求められる採用基準がそれだけ厳しくなり、狭き門になっています。

一方、事業会社からの旺盛なコンサル需要に応えるために、案件を担えるマネージャーの採用は堅調に推移しました。若手中途採用が縮小する中、当社も旺盛なマネージャーの採用需要に焦点を当てて施策を講じてきました。

スライド右上のグラフは、平均売上単価の推移です。施策効果として、マネージャー以上の決定割合が高まり、第2四半期以降の平均売上単価は高い水準となりました。

第4四半期は特に、営業施策効果により手数料率の高いマネージャー以上の案件が多く決定し、平均売上単価が大幅に上昇しました。第4四半期は、これまで取り組んできた営業施策の成果として、数少ないチャンスを逃がさず捉えることができました。これは大きな成果です。

しかし、常にチャンスに恵まれるわけではなく、第4四半期の売上単価の水準維持は難しいと考えています。それでも、この難しい環境下において、年間でマネージャー以上の決定人数を伸ばすことができ、当社の実力が底上げされたと実感しています。

2024年6月期は市場環境変化の対応に追われましたが、大きく利益を創出することができ、収益基盤の強さをあらためて確認した1年でした。会社として着実に成長していると評価しています。

足元の状況についてご説明します。業界の特徴として、大手コンサルティングファームの人材需要には波があります。若手だけではなく、案件を担うマネージャーにも一定の波があり、人材需要に少し軟調傾向が見られます。

これまでの大手コンサルファームの採用状況を見ていると、顧客からの需要に応えるために、まずは採用してマンパワーを確保してから、各ユニットでリソースを最適化するための体制に整えていきます。

体制を整えているフェーズでは、具体的な案件に適合するかを厳選して採用を進める必要があります。そのため、短期的に慎重になる傾向があり、その調整が足元で見られています。ただし、これは初めて起きた現象ではなく、これまでも短期間で需要は戻ってきました。

コンサルティング業界は堅調な成長が見込まれることから、人材需要も中長期的には底堅いものとなっています。当社の基本路線は変わらず、基盤となるコンサルファーム向けの人材紹介をベースに、事業会社向けの人材紹介とスキルシェアを伸ばしていきます。

この1年で事業会社向けの人材紹介、スキルシェアの体制を強化し、準備してきました。2025年6月期は、その2つの成長領域に注力していきますので、ご期待ください。

売上高 (四半期推移)

笹井亮兵氏:2024年6月期第4四半期の業績詳細についてご説明します。第4四半期の売上高は、前年同期比でプラス2億9,300万円、26.5パーセント増でした。人材紹介とスキルシェアが大きく伸び、四半期としては過去最高の売上高となりました。

売上高(四半期推移)ー 人材紹介 ー

サービス別に売上高を見ていきます。人材紹介の第4四半期の売上高は、前年同期比でプラス1億7,400万円、22.5パーセント増の大幅増収となりました。過去最高の四半期売上高です。コンサルファーム向けの営業強化施策が実を結び、商機を捉え、手数料率の高いマネージャー以上の案件を多く取り込めたことが寄与しました。

通期の実績を見ると、コンサルファームの若手中途採用が軟調であったため、コンサルファーム向けの決定人数は前期を下回りましたが、今後注力していく事業会社向けの人材紹介には手応えを感じています。

売上高 (四半期推移) ー フリーコンサルBiz (スキルシェア) ー

スキルシェアの第4四半期の売上高です。第4四半期の売上高は前年同期比でプラス35.9パーセントと、こちらも過去最高の四半期売上高を記録しました。売上高と稼働人数の四半期推移からわかるとおり、上期は苦戦をしましたが、体制を整え、営業強化を推進した第3四半期、第4四半期と売上を伸ばすことができました。

売上総利益 (四半期推移)

第4四半期の売上総利益についてご説明します。粗利額は増収効果で前年同期比プラス1億6,800万円、22.2パーセント増となりました。粗利率については、人材紹介が引き続き高い粗利率を維持する一方で、スキルシェアは事業スケールの拡大を優先し、前年同期比で粗利率が減少しています。

サービス別の粗利 (四半期推移)

サービス別の粗利に関してはスライドをご覧ください。

販売費及び一般管理費 (四半期推移)

販管費です。全体として効率的な経費支出に努め、増益に貢献しました。人件費及び採用費については、顧客需要の変化に伴い、採用ターゲットを見直したことで、当初予算から抑えたかたちとなっています。

営業利益 (四半期推移)

営業利益の状況です。コストコントロールを効かせ、販管費は四半期で平準化が進んでいます。第4四半期については、増収効果で大きく利益が出ています。

貸借対照表

財政状態については、引き続き安定した財務基盤の確保を図っています。自己資本比率は77パーセントとなっています。

まとめ

業績説明のまとめです。1点目に、上期の業績はかなり苦戦しましたが、下期からは施策の効果もあり、盛り返してきました。第4四半期は過去最高の四半期売上高を達成しています。通期でも売上高、営業利益は修正予算を達成しました。

2つ目に、人材紹介、スキルシェアともに売上高は前期実績を上回りました。2024年6月期は市況の変化で出足が遅れましたが、事業は着実に成長しています。

3つ目に、顧客需要の変化もありましたが、大幅増益を達成しました。収益基盤は確実に強化されていると考えています。

長期ビジョン (目指す世界観)

山尾:2025年6月期からスタートする中期経営計画についてお伝えします。当社の事業目的は、ハイエンド人材と企業との橋渡し役となり、ハイエンド人材が持つ専門性と能力のシェア・再配置を通じて、我が国の持続的な成長に貢献することです。

長期ビジョンを「ハイエンド人材をあまねく活用できる社会」とし、当社のデータベースとサービスをもって、多くの企業・組織で不足しているハイエンド人材の最適な配置を推進していきます。

当社の役割とビジネスモデル

当社はビジネスモデルとして、人材紹介とスキルシェアの2つの事業を有し、ハイエンド人材、コンサル人材を活用できる仕組みを備えています。祖業であるコンサルティングファーム向けの人材紹介を起点として、あらゆる業界の事業会社へハイエンド人材の活用を広げています。

当社の姿勢

当社事業の根底には、カスタマーサクセスを最大限に追求する姿勢があります。ハイエンド人材のキャリアプラン、企業の人材やスキルに関する課題に対し、双方のニーズを満たし続けるためのサービスを揃えています。

サービスラインナップ

サービスラインナップは、スライドのとおりです。祖業であるコンサルティングファーム向けの人材紹介から、事業会社向けの人材紹介やスキルシェアまでサービス領域を拡大させ、ハイエンド人材と企業の多様なニーズに応え続けています。

長期ビジョンを実現するエコシステム

当社が目指しているのは、当社サービスをプラットフォームとしたエコシステムの拡大です。ハイエンド人材の働き方やキャリアプランを実現するためのインフラ、企業の事業目的を実現するための人材・スキルのインフラとしての活用を促進します。

当社サービスやデータベースとコラボレーションしたい企業を巻き込み、より多くの人材、企業、コラボレーションを集め、ともに価値を生み出していく循環を目指しています。より多くの人材・企業に活用してもらうことで、規模とクオリティが高まり、我が国が直面している社会課題を解決し、これからの社会へ新たな価値をもたらすと信じています。

基本戦略

基本戦略です。業界トップクラスを誇るコンサルティングファーム向けの人材紹介を起点に、事業会社向けの人材紹介を第2の柱として拡大させていきます。加えて、スキルシェアを第3の柱として成長させることで、人材紹介とスキルシェアの相互作用で各サービスの利用度を拡大させていきます。

コンサルファーム向け人材紹介の強化

各戦略のポイントをご説明します。まず、起点となるコンサルファーム向けの人材紹介です。業界トップクラスのコンサルファーム向けの人材紹介は、豊富なハイエンド人材のデータベースを持ち、DXをはじめとした企業ニーズに対応できる人材が多く登録されています。

特に、BIG4のコンサル人材の約4人に1人が登録するなど、大変質の高い人材データベースを誇っています。創業以来、研鑽を重ねてサービスの質を高め、お客さまであるコンサルファームからの信頼を得てきたからこそ、築き上げることができたと自負しています。

将来的には、現役コンサルタントの登録シェアを50パーセントまで高めることを目標とし、コンサルティング業界で最も価値のある、なくてはならない人材データベースに成長させることを目指しています。

事業会社向け人材紹介の強化

強化する事業会社向け人材紹介についてです。DXに関するニーズの高まりにより、事業会社からの相談が急増しています。事業会社向け人材紹介をあらためて注力分野として定め、リソースを投入して成長させていきます。

事業会社向けサービスの強化(サービス提供の例)

事業会社向けのサービスについては、人材紹介とスキルシェアを組み合わせて、お客さまの状況やフェーズに合わせた最適なサービスを提供することが可能です。気軽に利用できる「コンパスシェア」で接点を持ち、人材紹介を含む幅広いサービスでカスタマーサクセスを実現します。

例えば、IPO準備企業であれば、まず「コンパスシェア」で課題整理などをご相談いただき、具体的な準備段階では、上場申請に向けて中心となる人材の採用や、申請書類の作成と体制整備のサポートに「フリーコンサルBiz」を活用いただくなど、各段階で求める人材・スキルに合わせたサービスの提供が可能です。

上場後においても、さらなる成長に向けた事業戦略と実行のためのCIOやCOOの採用、プロジェクトにおけるフリーコンサルタントの有効活用など、企業成長とともに当社サービスを繰り返しご利用いただくことを想定しています。

人材紹介もスキルシェアも提供できる当社ならではの長期的な付き合い方で、企業にとって必要不可欠なパートナー、インフラとなることを目指しています。

自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング

「フリーコンサルBiz」の新サービスです。プロジェクト・マネジメントに強みを持つ自社コンサルタントを採用し、フリーコンサルタントと組み合わせたハイブリッドな体制を導入します。サービス提供の幅を広げ、スキルシェア事業の拡大を図ります。

登録人材向けサービス・ポータルの開発

登録人材のカスタマーサクセスを推進するため、人材紹介で蓄積したデータベースを軸に、サービス・ポータルの利便性を拡張し、求職者サポートを一層充実させていきます。

積極採用・定着・育成

戦略のポイントである「コンサルタントの登録数増加」「事業会社向けサービス強化」「自社社員とフリーランスによるハイブリッドなコンサルティング」「登録人材向けサービス・ポータルの開発」を実現し、顧客ニーズに応えていくために人員増強は必須です。

特に、事業会社向け人材紹介、スキルシェアにおいて、大幅増員を計画しています。先行投資として積極採用し、従業員満足度を高めるとともに、早期戦力化のための教育・育成に重点的に取り組みます。

成長イメージ

長期的な成長イメージです。祖業のコンサルファーム向け人材紹介で安定した収益基盤を確保しつつ、成長性の高い事業会社向け人材紹介とスキルシェアで大きく飛躍させていきます。

また、M&A・アライアンスを積極活用し、成長を加速させていきます。すでに数社との業務提携が進行中であり、業容拡大を大いに期待しています。

中長期目標数値

3ヶ年の業績目標です。売上高はCAGR17.1パーセントを計画しています。利益面については、事業会社向け人材紹介とスキルシェアを成長拡大させるため、人的投資を先行させていきます。そのため、2025年6月期は営業利益の減益を見込み、3ヶ年の営業利益はCAGR12.9パーセントと、中長期の持続的な利益成長につなげていきます。

資本効率については、2027年6月期の目標ROEを17パーセントとして、財務規律を踏まえた最適な資本効率を追求していきます。

2025年6月期 通期業績予想

2025年6月期の通期業績予想です。コンサルティング業界特有の人材需要の波により、大手コンサルファームの人材需要は短期的には鈍化が見込まれますが、注力すべき事業会社向け人材紹介、前期下期に復調したスキルシェアの売上を大きく伸ばしていきます。

利益面については、事業会社向け人材紹介とスキルシェアの人的投資を先行させることで、営業利益は減益予想となっています。

2025年6月期 配当予想

株主還元についてご説明します。2025年6月期から配当を開始し、期末配当で1株当たり35円を予想しています。

当社は、これまでも株主還元は経営の重要課題の1つと認識し、継続的な配当を実施したいとお伝えしてきました。この度、収益基盤の着実な成長や財政状態等を総合的に勘案し、配当を実施する環境が整ったと判断したことから、株主のみなさまのご支援に報いるべく、DOE5パーセントを下限として、安定的、継続的な配当を目指すこととしました。

2025年6月期においては、営業利益は減益予想となりますが、事業は着実に成長しています。投資家のみなさまにおかれましては、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。ご視聴ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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