【QAあり】ノバシステム、売上高は四半期ベースで過去最高 システムインテグレーション事業が継続案件を中心に順調に拡大
目次
芳山政安氏(以下、芳山):ノバシステム代表取締役社長の芳山です。本日はよろしくお願いします。それでは、2024年12月期第2四半期決算説明会を始めます。
スライドに記載の目次に沿って、基本情報、事業の強み、2024年12月期第2四半期の決算内容、通期業績予想、中期事業計画の順でお話しします。
(基本情報)事業内容
基本情報です。当社は「スマートに働き よく学び よく遊び 夢や理想に近づく」という企業理念のもと、業務系アプリを開発するシステムインテグレーション事業と、SaaS型で提供するクラウドサービス事業の2つを運営しています。
システムインテグレーション事業は保険業界を中心として、金融のほか、最近では流通・物流に特化しています。保険業界においては、創業以来積み重ねてきた業務知識を中心に、業界における優位性を確保していることが強みです。業界特化型のシステム開発を事業として展開しています。
スライドの円グラフにあるとおり、2023年度の業種別売上高構成比は、保険業界が49.6パーセント、金融が14.7パーセント、流通・物流が13.1パーセントと、基本的にはこの3つの柱で事業を展開していこうと思っています。
また、最近では業務に特化したかたちで、エネルギー、商社、官公庁という全方位でシステムを手がけています。
このように、実績を裏付ける私どもが持つ基本的な技術力と業務知識によってクライアントの業務遂行を実現するためのシステムを開発しているのが、システムインテグレーション事業です。
また、クラウドサービス事業では、飲食店向け営業支援システム「Order Revolution」、受付業務支援システム「アイウェルコ」、そして最近ではAI顔認証入退室システム「アイウェルコトール」を提供しています。
売上比率で言うと、メインビジネスはシステムインテグレーション事業です。こちらの2023年度の売上構成比98.6パーセントに対し、クラウドサービス事業はまだ1.4パーセントにすぎません。
強み① 主要取引先
私どもは、お客さまの業務知識があることを強みとしてシステムを開発・提供しています。スライドにあるとおり、ニッセイ情報テクノロジー社をはじめとする生命保険会社との取引継続年数が非常に長くなっています。
ここでよく注意して見ていただきたいのは、2023年度の当社の元請比率が約45パーセントだということです。一方で、IBMやSCSKなど大手SIerからいただく案件では、約55パーセントという比率になっています。
このように、元請比率が非常に高いことが収益率を高く押し上げる要素になっていると考えているため、しっかりした主要取引先がある強みを実感しています。
強み① 主要取引先(保険システムの参画例)
保険業界における参画例として、新商品となる保険の申し込みから提案書、新規契約、保全・収納、支払が一連の流れとなります。
創業以来、私どもは保険システムを提供しているため、提案書から支払まですべての段階において開発実績があり、特に、入口となる提案書と出口となる支払を中心に手がけています。
強み② 業務知識
長年にわたって取引していただけている一番の理由は、私どもがお客さまの業務を知っていることだと考えています。最近のシステムは非常に複雑化しているため、専門性を要する業務知識のウエイトが高くなっています。
例えば、一口に「IT技術」と言っても、単にプログラムができるかどうかではなく、業務知識を支えるIT技術も持っていることが私どもの特徴です。長いプロジェクトの中には、10年以上携わっているものもあるため、もはや私どもの技術者のほうが客先の現場をよく知っているのではないかと思っています。それゆえに、継続案件が非常に多いということです。
強み③ 継続案件による売上高が約8割
継続案件も、私どもの強みだと捉えています。スライドのグラフでは、2023年度の実績と、2024年・2025年の想定を示していますが、売上高の約8割が前年からの継続案件です。
平均約80件のプロジェクトが常に動いていますが、そのうち約8割は翌年にも持ち越します。昔は、1つのプロジェクトが終わればそこで終わっていましたが、最近ではそのような開発はほとんどなく、終わったらすぐにメンテナンスに入り、継続することが多いです。
このように継続案件が約8割あることで、利益率や固定的な売上高を確保することができる点も私どもの強みだと考えています。
強み④ 需要旺盛な市場
業界自体の成長率が非常に高いことも強みです。経済産業省やIDC Japanの統計を見ていただくとおわかりのとおり、受注ソフトウェア開発市場は年間4.4パーセントも成長しており、2026年には約16兆円規模になるだろうと予想されています。
強み④ 需要旺盛な市場
スライドの表には、主要取引先上位7社を示しています。外注費を推計すると、合計約5,000億円もありますが、我々が受けている仕事はその1パーセントにも届きません。
したがって、市場としては非常に旺盛な需要があると考えています。
強み④ 需要旺盛な市場
なぜここまで市場規模が大きいのかについてご説明します。私どもは、保険、金融、流通・物流などの分野で大きなシステムを開発していますが、非常にレガシーな既存システムが残っている会社が多くあります。昔でいう大型汎用機がいまだに存在し、10年も20年も動いています。
しかし、その中身がわかる社員はほとんどいません。これらをいち早くWeb化することでシステムを簡素化し、次のデータを使えるようにするというモダナイゼーション(近代化)が金融・保険業界で発生しており、私の想定では、この流れは2030年頃まで続くだろうと思っています。
また、最近では「生成AI」というキーワードが出てきていますが、この基本となるのがDXです。いかにデータベースを作り上げるかというニーズが、案件として多く出てきています。
そのため、市場としては、我々はすでに十分に持っていると考えています。
強み⑤ プロジェクトリーダー
この市場をいかに取っていくかということが1つのキーです。私どもは特定の業界に特化していますが、案件を受注するための1つのキーワードは「プロジェクトリーダー」だと考えています。
先ほどご説明したとおり、当社では、常時年間平均約60から80件のプロジェクトが動いています。これらのプロジェクトを遂行するためには、プロジェクトリーダーが必須です。
スライドのグラフにあるように、私どものプロジェクトリーダーの人数は、2023年12月期で約60名です。60名で80件のプロジェクトを回すため、ダブルで担当しているプロジェクトリーダーもいます。
プロジェクトリーダーをいかに増やすかということが、重要になってきます。現在、プロジェクトを遂行できるリーダーは、潜在的には70名います。
そのため、プロジェクトリーダーの育成に非常に力を入れています。スライド右下に記載のとおり、PMP(Project Management Professional)の資格保持者は現在39名です。加えて、IPA(情報処理推進機構)の認定資格であるプロジェクトマネージャなどの上位資格を持った技術者も擁しています。
強み⑥ クラウドサービス(Order Revolution)
クラウドサービス事業についてご説明します。まだ売上比率は小さいですが、非常に大きな期待値を持っています。
1つ目のクラウドサービスは、飲食店向けの注文システム「Order Revolution」です。予約システムからハンディターミナル、セルフオーダーシステム、セルフレジ、キッチンプリンターといったさまざまなシステムを、大小にかかわらず多様な飲食店向けに展開しています。
また、このシステムはセルフレジやセルフオーダーなど、どのシステムからでも対応可能であり、さまざまなバリエーションを持っている点が私どもの特徴です。これはやはり、システムで培った技術力があったからこそ開発できたと確信しています。
強み⑥ クラウドサービス(アイウェルコ)
2つ目のクラウドサービスは、AI受付システム「アイウェルコ」です。スライドにあるとおり、このサービスではタブレット端末を使い、受付業務を簡素化します。
顔認証やQRコード、音声での訪問者の受付が可能です。電話等の受付システムと比較しても、導入コストの差があまりないシステムです。
強み⑥ クラウドサービス(アイウェルコトール)
3つ目のクラウドサービスは、今年リリースしたAI顔認証入退室管理システム「アイウェルコトール」です。このサービスでは、従来はカード認証が多かった入退室管理を顔認証で行います。弊社では、東京、大阪、広島すべての事業所でこのシステムを導入しています。
(1)第2四半期実績 ハイライト
2024年12月期第2四半期決算についてご報告します。売上高は前年比19.5パーセント増の30億9,500万円となった一方、営業利益は前年を割り込みました。売上高30億円という数字は、第2四半期累計で過去最高額を確保しており、計画比103.9パーセントとなっています。
現状では、継続案件を中心に安定した売上が確保できており、これは現場の力であると確信しています。さらに、新規採用・キャリア採用が順調に推移しており、離職率も非常に低いことで売上を確保できたと考えています。売上高については、あまり心配はしていません。
営業利益が前年に比べて落ち込んだ理由は、長期プロジェクトの一部工程において想定を上回る開発コストが発生したためです。しかし、長期プロジェクトの一部だけであることから、あまり心配はしていません。
また、先行投資している部分で原価が増加したことで営業利益が下がっており、こちらは下期での収益寄与を見込んでいます。とあるシステムが若干トラブルとなり、工数がオーバーしたことで発生した問題のため、通期にはあまり影響しないだろうと確信しています。
(1)2024年12月期 通期業績予想 ハイライト
2024年12月期の通期業績予想です。通期の売上高は、63億5,400万円を想定しています。売上ベースは上期でも予想を達成しており、継続案件もいまだに増えています。したがって、通期の売上高はほぼ達成すると確信しています。
営業利益は、先に計上した原価などによって若干落ち込んでいますが、下期からはプライム案件と高単価案件にシフトしていきます。この営業利益のリカバー分の受注はすでに上期で確保しているため、営業利益もほぼ予定どおり推移できると確信しています。
(1)はじめに 長期展望
中期事業計画についてです。
まず、先ほどご説明したとおり、今期の数字はほぼ達成すると見込んでいます。また、今年2月に公表した中期計画についても、ほぼ達成できるだろうと考えています。
同時に、私どもが目標の1つとしているのは、2030年のビジョンの中で、まずは100億円の売上を作ってしまうことです。
そのために、まずは既存ドメインの拡大が必要だと考えており、システムインテグレーション事業を拡大していきます。中でも、いわゆる特別な言語、SAP、生成AI、プライム案件を中心に拡大していく予定です。
(2)中期事業計画 ハイライト
中期事業計画での売上高は、2024年度が63億5,400万円、2025年度が73億700万円、2026年度が84億300万円を想定しています。
今期の63億5,400万円については、ほぼ達成すると確信しています。私どもの売上高の8割は継続案件によるものであることから、2026年度の84億300万円もほぼ達成するだろうという自信があります。
営業利益率は、2024年度が9.0パーセント、2025年度が10.0パーセント、2026年度が11.0パーセントを想定しています。この11.0パーセントをどのように実現するかについては、後ほどご説明します。
(4)成長戦略
計画達成に向けた成長戦略です。まず、我々は十分な市場を抱えており、すでに2025年度の売上に対しても多くの引き合いがあります。
我々のKPIである成長戦略の1つの要は、やはり「人」です。「人」への投資と収益性の向上を成長戦略とした計画を立てています。
成長戦略「人」への投資 / KPI:エンジニア数の推移
まずは、「人」への投資です。私どもの中期経営計画の要として、システムエンジニアの中でも、特にプロジェクトリーダーがいかに育つか、いかに能力を発揮できるかが大きなKPIです。
彼らへの教育や、「人」への投資を惜しまず行うことで、2026年には90名のプロジェクトリーダーが育つと考えています。私どもの平均的なプロジェクトモデルは、1プロジェクトあたり年間約1億円を想定しているため、単純計算で90億円前後の売上となる見込みです。
成長戦略「人」への投資
私どもは「人」への投資として、今期は定期昇給に加え、平均7.8パーセントのベースアップを実施しています。昇給については、業界トップ水準になるまで継続していきたいと考えています。
さらに、待遇面だけではなく、若手が成長するための教育、次期管理職の教育、テクニカルな教育に対して積極的に研修を行っていきます。
もう1つの「人」への投資は、福利厚生の充実です。誕生日休暇、結婚記念日休暇、マタニティ休暇を含め、我々の1つの特徴として、1年に1回、連続5日間以上のリフレッシュ休暇を取得できる制度があります。
リフレッシュ休暇の取得に対し、5万円のリフレッシュ休暇取得手当を支給している点もユニークなシステムではないかと思っています。
これらの投資により、人の成長と、人を大事にする経営姿勢を示したいと考えています。
成長戦略 収益性の向上
収益性の向上です。当初説明した元請比率45パーセントを、2026年には60パーセントまで伸ばしたいと思っています。その理由は、大手SIerから受け取る収益も、元請かつ一括で受けるほうが利益率は非常に高いためです。
今期も受注単価が高くなっていますが、先ほどからお伝えしているように、継続案件の期間が2年、3年、4年と長く、契約時の単価が契約終了まで据え置きとなっている点が1つの特徴です。
ただ、今期から契約している案件の単価は、当然ながら上がっています。したがって、全体の2割は単価が上がると共に、請負比率を高めることで、年間5パーセント程度ずつ、定期的に上昇していくものと思います。
そのため、中期経営計画最終年の目標である営業利益率11.0パーセントは確保できると確信しています。
成長戦略 クラウドサービス(Order Revolution)
クラウドサービスです。我々は、飲食店向けサービスとして「Order Revolution」を展開しています。
現在、飲食店の人手不足が深刻です。このシステムには、POSからセルフオーダーまですべての機能を搭載しています。最近ではセルフレジ機能も提供しており、ビジネスチャンスはまだ多いと確信しています。
今後は直販よりもパートナーシップ戦略をさらに強化していく考えであり、市場として需要はあると考えています。
成長戦略 クラウドサービス(アイウェルコ・アイウェルコトール)
クラウドサービス「アイウェルコ」「アイウェルコトール」です。受付業務や顔認証によるドアセキュリティ解除を行うシステムであり、大阪メトロにおいて顔認証ゲートが導入されているといった事例がある等、顔認証に関してはビジネスとして非常に期待しているため、今後は受注がどんどん増えていくのではないかと思っています。
自社開発商品のため、他社に負けない商品能力と価格で勝負していきたいと考えています。
こちらもパートナー戦略を敷き、不動産会社とパートナーシップ契約を結ぶなど、まだ売上比率は少ないながらもさまざまな対策を練っています。
クラウドサービスとメインビジネスの違いとして、クラウドサービスはSaaS型のビジネスモデルであるため、開発したシステムの利益率が非常に高い点が特徴です。クラウドサービスは利益率を引き上げる大事なセクターであると考えています。
(6)株主還元策
株主還元策についてです。2025年12月期は配当性向30パーセント、中長期的には50パーセントとしたいと考えています。
以上で、本日の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:下期の外注費増加リスクについて
司会者:「上期は、外注費の増加が利益を圧迫しているように見えます。継続案件によるベース収益で通期の利益は達成できるというご説明でしたが、下期も外注費が膨らむリスクはあるのでしょうか?」というご質問です。
芳山:外注リスクのみを考えるとゼロではありませんが、先ほどお伝えしたように、今期利益において、前期で足りなかった部分は、上期で受注済みであることから、問題ないと考えています。順調に遂行するための努力によって解決できると考えています。
質疑応答:案件単価上昇の仕組みと継続性について
司会者:「案件単価を上げる仕組みと、単価上昇の今後の継続性について教えてください」というご質問です。
芳山:先ほどもお伝えしたように、案件単価は年々上がっています。ただし、継続案件の期間が長いため、3年間契約であれば、案件は増えても契約当初の単価のまま継続する性質があります。したがって、今期からの契約においては単価が非常に上がっています。
また、もう1つの手法として、我々は請負で受けている仕事と、準委任で受けている仕事の2種類があります。現在、請負の仕事は年間約5パーセント上昇しており、今後2年間も約5パーセントずつの上昇を見込んでいます。
単価が上昇しても、請負比率を上げることによって利益を確保できます。請負比率を上げると自社努力で利益を出すことができ、生産性が向上します。技術力で利益を出すというスキームを描きやすくなることから、利益を確保するために請負比率を60パーセントまで引き上げていく予定です。
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