*13:14JST ムサシ Research Memo(4):2024年3月期は大型選挙がなく減益となったが想定以上の着地
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
ムサシ<7521>の2024年3月期の業績は、売上高33,140百万円(前期比10.6%減)、営業利益1,077百万円(同58.9%減)、経常利益1,123百万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益767百万円(同56.4%減)となった。期間中に大型選挙がなかったことから、主力の選挙システム機材の売上高(単体ベース)が2,572百万円(同56.2%減)となったことが大幅減益の主要因だが、これは期初から予想されていたことであり、むしろ想定を若干上回って着地した。一方で、注力している文書のデジタル化事業の売上高は5,157百万円(同13.4%減)と前期比では減収となったが、これは前期に比べて大型案件が少なかったことによるもので、依然として水準自体は高い。
売上総利益率は24.4%となり前期比で1.1ポイント低下した。これは、後述するように収益性の高い選挙機材システムの売上比率が低下したことによる。このため、減収と合わせて売上総利益は前期比14.4%減の8,087百万円となった。一方で販管費は、コロナ禍からの回復もあり営業活動等が通常のレベルに戻ったことなどから、同2.7%増となった。この結果、営業利益は大幅減益となったが、主力の選挙システム機材が減少することは期初から予想されていたことであり、想定内の結果と言える。設備投資額は411百万円(前期は201百万円)、減価償却費は395百万円(同411百万円)、研究開発費は353百万円(同220百万円)であった。
2. 2024年3月期のセグメント別状況
セグメント別(連結ベース)及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
セグメント売上高は18,984百万円(前期比8.1%減)、セグメント利益541百万円(同47.0%減)となった。情報・産業システム機材は、文書のデジタル化事業や工業検査機材は比較的堅調に推移したが、業務用ろ過フィルターは半導体等の需要減の影響を受けた。また前期に大きく伸びた電子化機器の販売も反動減となった。一方で、印刷システム機材は印刷材料の販売は低調であったが、機器類の販売は比較的堅調であった。
a) 情報・産業システム機材
サブセグメントの売上高(単体ベース)は、7,860百万円(同9.8%減)となった。工業用検査機材の販売が、点検業務需要を取り込み順調に推移した。一方で、注力している文書のデジタル化事業では、官公庁・自治体及び民間企業からの受注がおおむね堅調に推移し、売上高は5,157百万円(前期比13.4%減)となった。前期比では微減であったが、これは案件の受注タイミングの影響により大型案件が少なかったことによる。全体としては高水準の売上高を維持した。業務用ろ過フィルターの販売も、半導体業界からの需要減の影響もあり売上高は593百万円(同15.0%減)となった。
b) 印刷システム機材
印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、8,373百万円(同8.4%減)となった。印刷機器の販売では、POD機器や多目的プリンターなどの販売が伸長したが、印刷材料の販売が需要減の影響で低調に推移した。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
セグメント売上高は、4,674百万円(同34.8%減)、セグメント営業利益は187百万円(同85.2%減)となった。新紙幣への対応などもあり金融汎用システム機材は増収となったが、主力の選挙システム機材は、大型の国政選挙がなかったことから前期比では大幅な減収となった。
a) 選挙システム機材
大型の国政選挙がなかったことから、売上高(単体ベース)は2,572百万円(同56.2%減)となった。大幅減収ではあるが、期初から予想されていたことであり、むしろ想定を若干上回って着地した。これは、大型選挙が全くない年度のボトムラインが底上げされつつあることを物語っている。今後は、後述するようなシステム製品の導入によりボトムラインの底上げと売上高の平準化が進むと予想される。
b) 金融汎用システム機材
金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は1,923百万円(同62.8%増)となった。貨幣処理機器の販売は、金融機関を中心に新紙幣発行の更新需要を取り込み順調に推移した。
(3) 紙・紙加工品セグメント
医薬品や化粧品向け紙器用板紙などの販売は順調に推移した。また、印刷用紙や情報用紙の販売もおおむね順調に推移し、前年同期比で増収となり、セグメント売上高は9,214百万円(同2.3%増)となった。利益面でも、価格修正により販売価格が上昇して収益性が改善され、セグメント利益は189百万円(同44.9%増)となった。
(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
おおむね順調に推移し、セグメント売上高は266百万円(前期比1.5%減)、セグメント利益は155百万円(同20.1%減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2024年3月期の業績概要
ムサシ<7521>の2024年3月期の業績は、売上高33,140百万円(前期比10.6%減)、営業利益1,077百万円(同58.9%減)、経常利益1,123百万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益767百万円(同56.4%減)となった。期間中に大型選挙がなかったことから、主力の選挙システム機材の売上高(単体ベース)が2,572百万円(同56.2%減)となったことが大幅減益の主要因だが、これは期初から予想されていたことであり、むしろ想定を若干上回って着地した。一方で、注力している文書のデジタル化事業の売上高は5,157百万円(同13.4%減)と前期比では減収となったが、これは前期に比べて大型案件が少なかったことによるもので、依然として水準自体は高い。
売上総利益率は24.4%となり前期比で1.1ポイント低下した。これは、後述するように収益性の高い選挙機材システムの売上比率が低下したことによる。このため、減収と合わせて売上総利益は前期比14.4%減の8,087百万円となった。一方で販管費は、コロナ禍からの回復もあり営業活動等が通常のレベルに戻ったことなどから、同2.7%増となった。この結果、営業利益は大幅減益となったが、主力の選挙システム機材が減少することは期初から予想されていたことであり、想定内の結果と言える。設備投資額は411百万円(前期は201百万円)、減価償却費は395百万円(同411百万円)、研究開発費は353百万円(同220百万円)であった。
2. 2024年3月期のセグメント別状況
セグメント別(連結ベース)及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
セグメント売上高は18,984百万円(前期比8.1%減)、セグメント利益541百万円(同47.0%減)となった。情報・産業システム機材は、文書のデジタル化事業や工業検査機材は比較的堅調に推移したが、業務用ろ過フィルターは半導体等の需要減の影響を受けた。また前期に大きく伸びた電子化機器の販売も反動減となった。一方で、印刷システム機材は印刷材料の販売は低調であったが、機器類の販売は比較的堅調であった。
a) 情報・産業システム機材
サブセグメントの売上高(単体ベース)は、7,860百万円(同9.8%減)となった。工業用検査機材の販売が、点検業務需要を取り込み順調に推移した。一方で、注力している文書のデジタル化事業では、官公庁・自治体及び民間企業からの受注がおおむね堅調に推移し、売上高は5,157百万円(前期比13.4%減)となった。前期比では微減であったが、これは案件の受注タイミングの影響により大型案件が少なかったことによる。全体としては高水準の売上高を維持した。業務用ろ過フィルターの販売も、半導体業界からの需要減の影響もあり売上高は593百万円(同15.0%減)となった。
b) 印刷システム機材
印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、8,373百万円(同8.4%減)となった。印刷機器の販売では、POD機器や多目的プリンターなどの販売が伸長したが、印刷材料の販売が需要減の影響で低調に推移した。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
セグメント売上高は、4,674百万円(同34.8%減)、セグメント営業利益は187百万円(同85.2%減)となった。新紙幣への対応などもあり金融汎用システム機材は増収となったが、主力の選挙システム機材は、大型の国政選挙がなかったことから前期比では大幅な減収となった。
a) 選挙システム機材
大型の国政選挙がなかったことから、売上高(単体ベース)は2,572百万円(同56.2%減)となった。大幅減収ではあるが、期初から予想されていたことであり、むしろ想定を若干上回って着地した。これは、大型選挙が全くない年度のボトムラインが底上げされつつあることを物語っている。今後は、後述するようなシステム製品の導入によりボトムラインの底上げと売上高の平準化が進むと予想される。
b) 金融汎用システム機材
金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は1,923百万円(同62.8%増)となった。貨幣処理機器の販売は、金融機関を中心に新紙幣発行の更新需要を取り込み順調に推移した。
(3) 紙・紙加工品セグメント
医薬品や化粧品向け紙器用板紙などの販売は順調に推移した。また、印刷用紙や情報用紙の販売もおおむね順調に推移し、前年同期比で増収となり、セグメント売上高は9,214百万円(同2.3%増)となった。利益面でも、価格修正により販売価格が上昇して収益性が改善され、セグメント利益は189百万円(同44.9%増)となった。
(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
おおむね順調に推移し、セグメント売上高は266百万円(前期比1.5%減)、セグメント利益は155百万円(同20.1%減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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