四電工 Research Memo(1):四国エリアを地盤とする総合設備工事会社、首都圏や関西圏にも展開

配信元:フィスコ
投稿:2024/06/24 16:41
*16:41JST 四電工 Research Memo(1):四国エリアを地盤とする総合設備工事会社、首都圏や関西圏にも展開 ■要約

四電工<1939>は四国を地盤とする総合設備工事会社である。電気設備工事から空調・給排水設備工事までワンストップで提供できる技術力や高品質の施工力・保守力をベースに、首都圏や関西圏への事業エリア拡大戦略も推進している。

1. 2024年3月期は修正予想を上回る大幅増益
2024年3月期の連結業績は売上高が前期比3.4%増の92,112百万円、営業利益が同29.6%増の6,444百万円、経常利益が同26.0%増の7,012百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.4%増の4,571百万円となった。受注が高水準に推移したほか、工事の採算性向上も寄与して2024年1月付の修正予想を上回る大幅増益で着地した。工事種類別(単体ベース)では電気・計装工事と情報通信工事が完成時期のずれ込みにより小幅に減少したものの、配電工事、送電・土木工事、空調・管工事が伸長した。

2. 2025年3月期は不透明感を考慮して減益予想も、保守的な印象
2025年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.6%増の100,000百万円、営業利益が同6.9%減の6,000百万円、経常利益が同7.3%減の6,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.5%減の4,000百万円としている。売上面は戦略的な営業活動や営業・工事・原価管理の連携強化などにより受注・売上を積み上げて増収を見込むが、利益面は資機材価格上昇や人手不足の影響など不透明感を考慮して減益予想としている。しかしながら、需要が高水準で受注環境が良好であることに加え、設備工事業界の人手不足による施工力制約が受注案件の採算性向上要因となっていることなどを勘案すれば、弊社は同社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性が高いと考えている。

3. 「中期経営指針2025」の進捗は順調
同社は2021年7月に「中期経営指針2025」(2022年3月期〜2026年3月期)を策定し、数値目標として最終年度2026年3月期の売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE8.0%を掲げた。進捗状況としては、売上高については2025年3月期の予想を1,000億円としており、目標の1,000億円を前倒し達成する見込みだ。営業利益は2024年3月期に64.4億円となり、目標の60億円を前倒し達成した。「中期経営指針2025」では、首都圏・関西圏を中心とする広域的な事業展開を推進しているが、やや進捗が遅れているもようだ。これは四国域内での受注が想定以上であることや関西圏での人手不足の影響などを考慮して、当面の四国域外への展開を抑えていることが主因である。今後は人材の再配置や現地採用の強化、M&Aなどによって徐々に施工力を高め、首都圏・関西圏への展開を強化する方針である。なお同社は2023年8月に「資本収益性の向上に向けた取り組みについて」を公表し、株主還元の充実による適正な資本構成の実現を基本方針としてROEの向上にフォーカスした取り組みを推進している。株主還元については同月に株主還元方針を変更し、連結配当性向の目安を従来の30%以上から40%以上に引き上げた。

■Key Points
・四国エリアを地盤とする総合設備工事会社
・2024年3月期は2024年1月付の修正予想を上回る大幅増益
・2025年3月期は不透明感を考慮して減益予想も、保守的な印象
・「中期経営指針2025」の進捗は順調。ROE向上に向けた取り組みを推進、株主還元も強化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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配信元: フィスコ

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