セレコーポレーション Research Memo(5):2024年2月期は賃貸開発事業が全体の業績をけん引

配信元:フィスコ
投稿:2024/05/31 13:05
*13:05JST セレコーポレーション Research Memo(5):2024年2月期は賃貸開発事業が全体の業績をけん引 ■業績動向

1. 2024年2月期の業績概要
セレコーポレーション<5078>の2024年2月期の連結業績は、売上高23,103百万円(前期比8.1%増)、営業利益1,637百万円(同32.8%増)、経常利益1,658百万円(同32.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,109百万円(同30.0%増)となった。全体の売上高に占めるセグメント別売上高の割合は、賃貸住宅事業が39.7%、賃貸開発事業が21.2%、賃貸経営事業が39.1%である。賃貸開発事業では、積極的な販売活動により計画外の販売実績を確保し、売上高増加に大きく寄与した。賃貸住宅事業では、「高付加価値」に見合う販売単価への見直し、賃貸経営事業では新定額精算商品「セレスマートリペアシステム」の販売開始等を行い、ゲスト(入居者)及びオーナーの満足度向上に注力した。利益面においても、売上高及び売上総利益率の改善により大幅増益、販売費及び一般管理費は同146百万円の増加となるも、売上比では同0.1ポイントの減少となった。販管費率の減少は、千葉工場における生産効率の改善や購買先の多角化等の原価低減策の奏功もあるが、それ以上に売上高の伸びが顕著であることが主な要因である。これらの取り組みが利益率の増加に寄与し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が予想値を大幅に上回る実績となった。2024年2月期末時点のKPIについては、建築実績累計が2,778棟(前期末比75棟増)、経営基盤の強化を示す管理戸数が12,314戸(同271戸増)と堅調に推移しているほか、収益の安定性を示す入居率は98.5%(同0.1ポイント増加)と高水準を維持している。全国及び首都圏のアパート建築実績は堅調に推移しており、同社の業況にも反映されている。また、金融機関の融資金利動向に関して、現時点では変動金利は大きく変動しておらず、アパート経営の圧迫や受注状況への影響は出ていない。同社のメイン顧客層は、金利優遇を受けやすい地主・富裕層であるため、仮に金利が上昇した場合であっても影響は限定的であると弊社では見ている。

2. セグメント別の業績概要
(1) 賃貸住宅事業
売上高は9,447百万円(前期比3.9%減)、セグメント利益は639百万円(同11.0%減)となった。好調だった前年同期並の売上水準には至らず、計画比でも93.9%とわずかに未達となったが、新規情報源の開拓や新たなパートナーズ組織の発足、金融機関との関係強化等を通じて、顧客の獲得と管理受託数の拡大に注力した。原価高騰への対策としては、生産性向上や購買先の多角化、新型式の運用開始による原価低減、賃貸経営事業との連携強化等を行い、自社製造の部材を使用する千葉工場では、品質向上と付加価値の創造に努めた。新型式では、建築部材である鉄骨のベース幅について、従来の型式では50センチメートルに限られていたところを30センチメートルに抑えることに成功している。2024年2月期より運用を開始しており、従来の型式と比べて鉄筋量・コンクリート量が少なく済むため、コストダウンにつながっている。また、脱炭素社会の実現に向けて、「東京ゼロエミ住宅」仕様の提案や販売単価の見直しを推進した。新商品販売に向けては、新たな空間設計による付加価値と独自性の高いアパートの開発・研究を行い、共立女子大学、千葉工業大学、東京理科大学と共同研究を実施した。SDGsの持続可能な開発目標に賛同し、省エネルギー性能を強化したアパートの商品開発にも注力した。さらに、中長期的な成長を見据え、優良な技術者の確保や営業コンサルタントの増員、人財育成にも積極的に取り組んだ。

同社は3月の引き渡し案件が多く、4月〜8月は売上が鈍化する時期となる傾向にある。売上高の先行指標である受注状況は計画通り進捗しており、2024年2月期末時点の受注棟数83棟(前期比6.4%増)、引き渡し棟数75棟(同17.6%減)、着工棟数84棟(同0.0%増)と、着実な案件確保がなされていると弊社では見ている。

(2) 賃貸開発事業
売上高は5,052百万円(前期比28.7%増)、セグメント利益は750百万円(同79.1%増)となった。積極的な営業活動が奏功し、計画外の販売実績を確保できたことにより大幅な増収増益を実現した。新規仕入物件の空間設計仕様や外観・外構計画の改善、賃料設定の見直し等の施策を行い、付加価値の提供と利益率向上に注力した。また、人材紹介会社との関係強化や適切な研修・評価による人財育成、販売実績のある紹介業者との関係強化を通じて組織力を強化した。全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を採用し、高い断熱効率を実現した。さらに、中長期的な営業活動を見据え、富裕層が好む資産価値・希少性の高い角地にターゲットを絞り込んだ仕入活動や、販売手法の見直しによる資金効率の改善に取り組んだ。前期契約済の物件引き渡しが第1四半期に集中したことに加えて、第4四半期連結累計期間において計画外の販売となる1件の土地引き渡しにより、大幅な増収増益を達成した。

(3) 賃貸経営事業
売上高は9,323百万円(前期比6.6%増)、セグメント利益は1,101百万円(同15.4%増)となった。賃貸住宅事業と協働し、アパートの企画・設計の段階から受託営業活動に注力し、管理戸数を12,314戸(前期末比271戸増)まで増加させた。新たにオーナー向けのステータス別サービスを開始し、外部の賃料AI査定システムを活用して資産価値の向上を図り、オーナーとの信頼関係を構築した。また、専任の賃貸仲介協力業者の組織「セレリーシングパートナーズ」(2024年2月末で16社)とメンテナンス協力業者の組織「セレメンテナンスパートナーズ」(2024年2月末で10社)との関係を強化し、新定額精算商品「セレスマートリペアシステム」の販売を開始した。これらの取り組みにより、ゲスト(入居者)及びオーナーの満足度を向上させ、高水準の入居率(2024年2月末で98.5%)を維持した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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配信元: フィスコ

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