ビジネスコーチ Research Memo(4):人材開発事業はビジネスコーチングが主力

配信元:フィスコ
投稿:2024/03/29 15:34
*15:34JST ビジネスコーチ Research Memo(4):人材開発事業はビジネスコーチングが主力 ■ビジネスコーチ<9562>の事業概要

2. 人材開発事業
人材開発事業はビジネスコーチングを活用し、顧客企業の人材・組織開発支援を展開している。その他サービスとして企業向け人事コンサルティング、個人向け有料セミナー、コーチ資格取得プログラム販売、個人及び組織向けアセスメントツールの販売なども展開している。

ビジネスコーチングというのは、スキル向上を目的とした一般的な社員教育・研修とは異なり、クライアント(エグゼクティブ、ビジネスリーダー、ビジネスパーソンなど)一人ひとりの行動変容を促し、それを習慣化・定着させることにより、リーダーシップの強化やビジネス目標の達成につなげることを支援するサービスである。「フェーズ1」としてクライアントが自分の行動変容を実現する必要があることに気づく、「フェーズ2」として目標に定めた行動変容を実践して効果があることを確認する、「フェーズ3」として行動変容を継続・定着させて成果につなげる、というフォローアップを重視したプロセス体系を整備してコーチが意図的に実現させる。いわゆる「伴走支援」と呼ばれるサービスである。こうしたビジネスコーチングにより、個々人の成長や組織の成長が促され、さらに周囲への肯定的な影響力が発揮され、組織力向上に向けて好循環が生まれる。この好循環の継続が組織成長とビジネスにおける目標達成の源泉となる。

ビジネスコーチングの形態としては、1人のコーチが1人のクライアントに対してコーチングを実施する1対1型サービスが基本的なサービス形態である。コーチがクライアントの中にある意思、アイデア、能力、魅力等に気付かせ、引き出すことで、クライアントが必要とする行動変容が習慣化・定着して成果を実現するまで支援することを目的としている。また、1人のコーチがクライアントのグループに対してコーチングを実施するサービス形態の1対n型サービスは、コーチがグループ共通の課題に対して質問等のコーチングプロセスを実施し、クライアントは自分自身の考えだけでなく、他者の考えも聞くことで、より多様な気付きを引き出すコーチング形態である。

同社のサービスの特徴・強みとしては、エグゼクティブコーチングの第一人者として世界的に知られるマーシャル・ゴールドスミス博士にビジネスコーチングの教えを受け、さらに同社のビジネスコーチングの実践経験から獲得した知見を体系化し、独自の行動変容プログラムを提供していることが挙げられる。2023年10月にはマーシャル・ゴールドスミス博士を招聘して特別セミナーを開講した。

なお同社のサービス別売上高構成比は、2023年9月期が1対1型サービス34.4%、1対n型サービス55.3%、その他10.4%で、2024年9月期第1四半期が1対1型サービス36.6%、1対n型サービス53.5%、その他9.9%となっている。同社は特に大企業向けエグゼクティブコーチングの1対1型サービスを強みとしている。

人材開発事業の主要KPIの状況、及び取引実績のある主要企業は以下のとおりである。2023年9月期のパートナーコーチ陣の人数(期末)は170名、1対1型コーチング対象者数(年間)は1,254名、取引先企業数(年間)は329社、取引先企業1社当たり売上高(年平均)は3.4百万円となっている。各業種を代表する多様な企業と幅広い取引実績があり、1年間の取引社数は300社を超える水準となっている。取引先企業1社当たり売上高は大企業向けエグゼクティブコーチングの1対1型サービスの伸長に伴って増加基調となっている。なおコーチ陣については、大企業や外資系企業での経営・マネジメント経験が豊富な外部のプロフェッショナル人材がパートナーコーチ(外部委託先)として登録されている。

また同社資料によると、約5,000億円とされる国内の企業向け研修サービス市場の中でも、同社の業界内でのポジションとしては、同社はBtoBで1対1型及び1対n型の両方を提供しており、大企業向け及び行動変容コーチングの領域に位置している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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