ドラフト、売上高100億円突破 前年比で大幅な増収増益 プロジェクトの大型化進展等が奏功、中期経営計画も発表
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熊川久貴氏:株式会社ドラフト上級執行役員CFOの熊川です。本日はお忙しい中、2023年12月期決算説明会にご参加くださり、ありがとうございます。
スライドに記載のアジェンダに沿って、当社の概要と事業動向、2月13日に発表した2023年12月期業績、2024年12月期業績見通し、株主還元策の順でご説明します。
また、同日発表した中期経営計画についてもあわせてご説明します。
COMPANY INFORMATION
当社は創業以来、「ALL HAPPY BY DESIGN」を理念として掲げています。世の中には多くの課題がありますが、それらの社会課題をデザインの力で解決していくこと、自社のデザインの力を余すことなく、多様な方向に発揮していくことを目指しています。
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当社グループは、デザイン事業を100パーセントとした単一セグメントです。「デザイン」と言っても、デザイン事業は非常に広範な分野に関与しています。インテリアのみならず、建築、プロダクト、ブランディングなど、デザインを軸に多様な分野を横断して活動を行い、事業や社会の課題解決に取り組んでいます。
兼松
直近の実例の1つとして、大手商社の兼松さまのオフィス移転についてご紹介します。
長い歴史をお持ちの商社さまではありますが、「未来に向けた新しいオフィスに」ということで、今までにないデザインにより、オフィスという位置付けにとどまらない、新しい空間作りが実現しました。
兼松
こちらの兼松さまのオフィスは、昨年度、第36回日経ニューオフィス賞において、最高賞となる経済産業大臣賞を受賞しました。また、同様に海外のアワードも受賞しています。
ミラノサローネ国際家具見本市 2023
デザイン事業の異なる実例としては、自社の新しいライフスタイルブランド「DAFT about DRAFT」のローンチが挙げられます。
空間デザインはもちろんとしながらも、その中に配置される家具やインテリアについても、デザイン性の高いものを新たなブランドとして確立することで、空間全体の構成要素を通じた新基軸の提案を行っています。
昨年4月のローンチから非常に短い期間で、世界でも有数の家具展示会である「ミラノサローネ」への出展が実現しています。今年も、より大掛かりな出展に向けて準備を進めています。
2023年12月期 業績ハイライト 前年同期比
2023年12月期業績についてご説明します。
売上高は107億200万円、営業利益は8億7,000万円、経常利益は8億4,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5億1,600万円となりました。いずれも、前年から大幅な伸長を遂げる結果となっています。
当社の提供するデザインへのニーズは非常に強いものがあり、売上高が大きく伸びる一方、販管費はほぼ計画どおりに推移しました。そのため、大幅な増益となりました。
業績ハイライト 規模別売上高と平均売上高
売上高の中身を分析していきます。スライド左側の規模別売上高の推移のグラフでは、実額で5,000万円から1億円、さらには1億円以上の案件が全体の中に占める比率がより大きくなっており、プロジェクト大型化の様相が見て取れると思います。
また、スライド右側の上位30件のプロジェクト平均売上高のグラフを見ても、前年度1億8,200万円から、当期は2億4,400万円に上昇しています。こちらからも、プロジェクトの大型化が見て取れる結果となっています。
業績ハイライト 直接利益率の推移
こちらのスライドは、プロジェクトの大型化が進む中で、直接利益率がどのように推移しているかを示しています。
スライド左側のグラフは、「設計・デザインビルド」と「設計デザイン」の2つに分けて記載しています。デザインビルドという、いわゆるデザインの最後の仕上げまでを含むプロジェクトは、変わらず35パーセント程度をキープしています。そこに、外注が少ない設計デザインでの高い利益率を合わせると、直接利益率は37.2パーセントとなり、高い水準で推移していることがおわかりいただけると思います。
業績ハイライト 領域別売上高の前期比
売上高を領域別に分解しています。大きく2つに分類しており、スライド左側は、商業施設全般やビル1棟を作り上げるようなプロジェクトを指す「ディスプレイデザイン・建築デザイン・その他」です。こちらが54億2,400万円と、前年比で約40パーセント増加しています。
スライド右側は、オフィスなどの一般企業向け空間デザインを指す「オフィスデザイン・プロジェクトマネジメント・その他」です。こちらは52億7,800万円と、前年比で約20パーセント増加しました。
どちらも増加していますが、「ディスプレイデザイン・建築デザイン・その他」のほうが、「オフィスデザイン・プロジェクトマネジメント・その他」を上回る結果となっています。このようなところにも、ソリューションとしてのデザインの提供先が非常に多岐にわたることが顕在化してきていると言えると考えています。
2024年12月期 業績見通し
2024年12月期の業績見通しです。
詳細については、新しく定めた中期経営計画の中でご説明しますが、当社では受注するプロジェクトを特性に応じて「レギュラープロジェクト」「プロポーザルプロジェクト」「リーディングプロジェクト」の3つに分類して事業を進めています。これら3つがうまく循環・連動して、2023年12月期の実績となっています。
2024年12月期についても、この循環・連動が同様に進み、業績は順調に拡大する見通しを立てているため、売上高は120億円を見込んでいます。
2024年12月期 業績見通し – STOCK&FORECAST
売上高見通しは、過去の傾向などから定めているものではありません。当社では、プロジェクトストックとフォーキャストの組み合わせによって導き出しています。
ここで言うプロジェクトストックとは、当期計上が確定、ないしはほぼ確定しているものを指しています。フォーキャストとは、毎週の営業活動の中で可能性がある金額、つまり引き合いのある金額に対して、そこに獲得率を乗じたものを指しています。
2024年12月期については、期初時点のプロジェクトストックの合計額が85億円となっています。ここに週平均引き合い額1億7,000万円を加味し、残週数を掛け合わせ、さらには獲得率を考慮します。これをベースに総合的に検討し、今期の目標額120億円を算定しています。
ちなみに、昨年度の期初時点でのプロジェクトストックは58億円ですので、こちらと比べると、現時点の予想として120億円という規模は、現実性あるいは妥当性が非常に高いと考えています。
2024年12月期 業績見通し
こちらのスライドでは、トップラインに対して、販管費などを加味した業績見通しを示しています。
販管費は強弱ある費消計画としており、安定的な運用をベースとしながらも、価値創造力を強化していくための人件費拡大や、先述の「ミラノサローネ」への出展等グローバルブランディング強化など、成長のための費用投下はメリハリをつけて行っていきたいと考えています。
結果として、営業利益は9億8,000万円、経常利益は9億6,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5億8,000万円を見込んでいます。
スライドに記載はありませんが、決算短信に記載したとおり、上期・下期のバランスとしては、売上高は上期60億円、下期60億円と予想しています。これまでは比較的下期に偏るような傾向が続いていたのですが、2024年12月期に関しては、比較的平準化が進んだかたちになると見込んでいます。
日比谷セントラルビル改修
こうした売上拡大の支えになっているプロジェクトを、いくつかご紹介したいと思います。
1つは日比谷セントラルビルの改修プロジェクトです。長い歴史を有するビルですが、古くなったからといって、単に壊して建て替えるのではありません。
日比谷セントラルビル改修
既存のものを活かしながらデザインし直すことで、新たな価値を付加し直し、継続的な活用にデザインが寄与できる部分も大きいポイントだと考えています。
UMITO奄美大島白浦
もう1つは、奄美大島で進めている「UMITO」奄美大島プロジェクトです。全国各地にある「UMITO」は、別荘とホテルのハイブリッドの価値を持つ、新しいかたちの滞在施設です。奄美大島では、東シナ海を臨む白浦の海岸沿いと、太平洋側の神の子ビーチ沿いの贅沢なロケーションに新たに1から作り上げる予定となっており、今まさにデザインプランを練っているところです。
株主還元策
最後に、株主の方々への還元策です。従来どおり成長資金を確保し、かつ投下し続けながらも、利益の爬行はあっても安定的な還元を継続していくスタンスは変わっていません。
2023年12月期の配当予想は1株あたり6円としており、現状、2024年12月期も同額予想としています。また、株主優待の当社デザイン「QUOカード」も継続する予定となっています。
以上が、2023年12月期決算のご説明となります。
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続いて、新しい中期経営計画のご説明です。
詳細はファイルのほうでご確認いただければと思いますが、内容はスライドに記載のとおりです。本日はお時間も限られているため、前中期経営計画の振り返りから、ポイントを絞ってご説明します。
成長戦略(方針)と結果
2021年度から2023年度までの前中期経営計画の振り返りから、ご説明とご紹介ができればと思っています。まず、前中期経営計画の中で、成長戦略をどのように定めていたかについてです。
1つ目は、決算説明の中でも触れましたが、業績基盤を形成する「レギュラープロジェクト」、ビジネスチャンスを増加させる「プロポーザルプロジェクト」、ブランド価値向上につながる「リーディングプロジェクト」の3タイプのプロジェクトを同時並行的に循環させることで、さらなる事業拡大を目指しました。
結果は、「レギュラープロジェクト」が拡大するのはもちろん、それとともに「リーディングプロジェクト」の大型案件を売上計上することもあり、2023年12月期の売上高は100億円台に到達しました。
また、この「リーディングプロジェクト」から「レギュラープロジェクト」への循環も具体的にかたちとなり、クライアントからの紹介数は、2020年3月期は8件だったものが、2023年12月期には28件と大幅に拡大しています。
成長戦略(方針)と結果
2つ目は、持続的イノベーションを起こす組織体制の強化です。この方針に沿って、「リーディングプロジェクト」推進のフラッグシップとして山下泰樹建築デザイン研究所を社内組織として設置しました。
その他にも、セルビア・ベオグラードでの海外子会社設立による3Dデザインチームの拡充や、福岡への営業拠点設置による九州地区・西日本地区の需要取り込み、あるいは、先述の新たなライフスタイルブランド「DAFT about DRAFT」のローンチなど、新たな価値創造の取り組みを実現しました。
数値目標と実績
これらを通じた目標数値に対しての結果は、スライドに記載しているとおりです。もともとは、2022年12月期に売上高100億円をターゲットにしていましたが、同期は目標には届きませんでした。これを踏まえて案件管理体制の見直しなどを社内で進めたことで、プロジェクト管理の精度が向上し、1年遅れではありますが、売上高100億円を達成することができました。
以上が前中期経営計画の振り返りです。振り返りをもとに、あらためて2024年度から2026年度までの中期経営計画を立案していますので、ご紹介したいと思います。
成長戦略と課題認識
新たな中期経営計画においても、基本方針は前中期経営計画から変更はありません。「リーディングプロジェクト」をエンジンとするプロジェクトタイプ戦略を継続していこうと考えています。
成長戦略と課題認識
基本方針の具現化の方向性として、スライドに記載されている2点を掲げます。1つは山下泰樹建築デザイン研究所の積極的な活動です。これにより、新しいデザインを実現するとともに、さらに事業の拡大を進めていくことを想定しています。
もう1つは、成長を実現するために必要な人材の確保と育成による組織力の強化です。人材戦略の詳細については、人的資本関連のパートでご紹介したいと考えています。
目標とする経営指標
基本方針に沿って、新たに3つの経営指標を目標として定めました。まず2026年12月期に売上高145億円、営業利益率を9パーセントとします。
目標とする経営指標
さらに、2026年12月末に時価総額150億円を目標とします。この3点を目標として掲げています。
目標とする経営指標
当社グループの知名度およびデザイン力へのニーズは年々高まっており、売上高の伸長につながって表れていると考えています。
同時に、デザイン市場およびディスプレイ市場そのものも拡大基調にある事実もあり、現体制の延長線上で継続的な成長は可能であると考えています。
一方で、当社グループにおいて販売管理費の大きな割合を占めているのは、人件費と地代家賃です。人件費は陣容拡大に合わせて増加する計画なので、これからも一定の水準で増加していくと考えています。地代家賃については、すでにオフィス移転を済ませており、新オフィスは人員増に対応できると考えています。当面の間は、急激な増加はない見込みです。
そのため、販管費率自体は、ここからの3年度の間で低下していくと考えています。営業利益率の9パーセントという目標値は、利益の最大化を図りつつ、同時に成長に必要な投資を行っていく前提で設定したものとお考えいただければと思います。
目標とする経営指標
また、当社グループでは、以前より企業の評価は時価総額(株価)で数値化されると考えています。したがって、本中期経営計画より、時価総額そのものを目標とする経営指標を設定することとしました。
2023年12月末の時価総額は71億円でしたが、2026年12月期の売上高および営業利益率の目標を達成することで、2026年12月期の当期純利益を確保し、さらに継続的な成長と利益拡大、それから当社グループのブランド価値向上によって、市場の期待値であるPERを上昇させ、2026年12月末には時価総額150億円を達成したいと考えています。
基本方針
続きまして、人的資本に関してのパートとなります。
スライドに記載のとおり、当社グループの経営理念「ALL HAPPY BY DESIGN」を具現化するために必要な原動力は、もちろん「人」であると考えています。この観点で人的資本に関する基本方針として、大きく3点掲げています。
1.『当社グループの社員自身がHAPPYである』ための施策
1つ目は「当社グループの社員自身がHAPPYである」こととしています。「ALL HAPPY BY DESIGN」と掲げていますので、HAPPYを作っていく上では、当社の社員自体がその幸せを感じながら働ける環境が必須だと考えています。
HAPPYの基準は人それぞれではありますが、会社という働くフレームを前提とし、環境をハード面とソフト面の両面で整備することで、社員が仕事に対して、幸せを感じながら向き合っていけるように支援していきたいと考えています。
具体的には、スライドの上段にあるとおりです。ハード面では、2022年12月末から2023年1月にかけて、新しいオフィスに移転したことで、よりコミュニケーションが活性化されました。一体感や余裕を持ちながら一層のクオリティアップを図っていける環境が、すでに整っていると考えています。
また、ソフト面はスライドの下段にあるような、新たな各種制度を整備しました。これらはざっと見ていただくと、普通の会社で言うところの、「費用補助」のように見える施策かもしれません。しかし、当社グループにおいてはそうではなく、デザイン集団らしいかたちで、社員のライフスタイルをサポートしていくことを盛り込んでいます。それによって、よりデザイン業に集中していくことを狙っています。
2.『多様性が確保されている』ための施策
2つ目は「多様性の確保」です。優れたデザインを生み出し続けるには、多様なスキル・能力を持ち合わせた社員がそれぞれの個性を発揮して、クライアントの課題解決に取り組むことが、非常に重要であると考えています。
昨今の社会では、例えば女性の採用や管理職登用の目標値を定めるなど、それ以外の視点も含め、多様化に向けての議論が加速していると思います。しかし、当社グループでは、人数目標があるから女性を採用したり、管理職に登用したりすることはなく、性別に限らず、年齢面でも国籍でも、こうでなければいけないという考え方はとっていません。
むしろ、創業以来、能力や成果をもとに、適材適所の人事運営を続けています。その結果として、社員の男女比は拮抗しており、女性のほうが多い比率にも見えると思います。管理職も、男女比が極端に偏ることなく、スライドに記載されている状況となっています。
したがって、大事なのは事業推進に必要な能力・戦力を適切に確保し、その力をいかんなく発揮してもらうことに尽きると思います。これまでの方針を継続し、多様化が進んでいる状態を維持しながら、全員の力がデザイン業に発揮できるようにしていきたいと考えています。
3.『経営理念に共感し、企業文化を継承できる人材を育成する』ための施策
3つ目は「経営理念に共感し、企業文化を継承できる人材の育成」です。
人材育成と言いますと、いわゆる能力開発的な面を指していることが多いと思います。もちろんそのような面も大事であり、業務を通しての能力開発は日々進めてはいます。
しかし、それだけではなく、当社グループの企業理念や企業文化を社内に浸透させていくことも人材育成の大事な要素であると考え、代表の山下が先頭に立って、その浸透に努めています。
具体的に言いますと、日常的なコミュニケーションはもちろんですが、年に数回ある全社集会や年度初めのキックオフイベント、あるいはそれ以外にも設けられる対話型のディスカッションイベントなどを通じて、文化の浸透や経営方針の共有を図っています。今後もこうした施策は継続していきたいと考えています。
2024年以降の経営体制
最後に経営体制についてです。こちらは、すでにリリースしていますが、2024年3月開催予定の定時株主総会、およびその後の取締役会を経て、当社グループは2人の代表取締役が連携して経営にあたることになります。
現代表取締役で創業者でもある山下泰樹は、引き続き代表執行役員も兼ね、デザイナー集団である当社グループを統括します。
一方、新たに追加選定される予定の荒浪昌彦は、執行役員は兼ねずにガバナンスおよびリスク管理を担当し、執行チームをサポートしつつ、会社の安定成長の実現に貢献します。また、株主の方々、あるいは投資家のみなさまとのコミュニケーションを通じて、資本市場の声を経営に反映していく役割も併せて担う予定となっています。
この2人の連携のもと、取締役会の牽制・ガバナンスと執行チームによる事業推進により、さらに機動的で効果的な経営、事業運営を行い、本中期経営計画の実現を目指していきたいと思っています。
中期経営計画についてのご説明は以上となります。
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