*14:31JST ミダックHD Research Memo(1):廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団
■要約
ミダックホールディングス<6564>は、廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社である。「ミダック」の社名は、環境を象徴する「水」「大地」「空気」の頭文字に由来している。かけがえのない地球を美しいまま次代に渡すことを使命とし、その前線を担う環境創造集団を目指して事業者の廃棄物処理・管理等に関するソリューション事業を展開している。2022年4月に創業70周年を迎えた。
1. 収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分、及び一般廃棄物の収集運搬・処分を展開し、事業セグメント区分を廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業としている。廃棄物処分事業は、事業者(企業・地方公共団体等)から排出される廃棄物を自社施設で中間処理(焼却、破砕、水処理、コンクリート固化など)及び最終処分する廃棄物処理サービスを提供している。収集運搬事業は、事業者から排出される廃棄物をタンクローリー車やパッカー車などで回収し処理場まで運搬するサービスを提供する。また、仲介管理事業は、自社処理が困難な廃棄物や自社の商圏以外の廃棄物について、自社以外の処理業者へ顧客(排出事業者)を紹介するサービスである。利益率の高い廃棄物処分事業が約9割を占めている。同社の特徴・強みは、同業の多くが収集運搬業のみや中間処理業のみであるのに対して、同社グループは様々な設備を有することで収集運搬から中間処理・最終処分までを請け負う一貫処理体制を構築していることにある。連結ベースの営業利益率は2019年3月期の23.5%から2023年3月期の35.5%まで12.0ポイント上昇し、極めて利益率の高い収益構造となっている。
2. 2024年3月期第2四半期累計は期初計画の減益予想から一転して増益着地
2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比10.9%増の4,194百万円、営業利益が同7.9%増の1,355百万円、経常利益が同8.0%増の1,322百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同2.9%増の753百万円だった。期初計画の減益予想から一転して増益で着地した。廃棄物処分事業における管理型最終処分場「奥山の杜クリーンセンター」の受け入れ枠拡大に伴い、最終処分の好調が牽引した。売上総利益は同14.2%増加し、売上総利益率は1.8ポイント上昇して59.9%となった。利益率の高い最終処分の伸長に加え、原材料などの高騰に伴う処理費用の上昇に対して価格転嫁を進めたことも寄与した。販管費は一般管理費の増加などで22.6%増加し、販管費比率は2.7ポイント上昇して27.6%となった。この結果、営業利益率は32.3%で0.9ポイント低下したが、引き続き30%超の高利益率となっている。営業利益の同98百万円の増減分析は、水処理が28百万円減、焼却処理が68百万円減、最終処分が362百万円増、その他廃棄物処分が43百万円増、収集運搬が14百万円増、仲介管理が5百万円増だった。
3. 2024年3月期通期増益予想は据え置き、さらに上振れの可能性
2024年3月期の連結業績予想は、期初計画を据え置いて売上高が前期比8.8%増の8,454百万円、営業利益が同9.4%増の3,013百万円、経常利益が同6.8%増の2,875百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%増の1,731百万円としている。売上面は管理型最終処分場「奥山の杜クリーンセンター」の受け入れ枠拡大などにより、最終処分を中心に受託量が順調に増加して増収、利益面は販管費の増加を増収効果や中間処理施設稼働率向上などで吸収して増益予想としている。通期予想に対する上期の進捗率は売上高が49.6%、営業利益が45.0%、経常利益が46.0%、親会社株主に帰属する当期純利益が43.5%だった。季節要因で第2四半期に売上高・利益がともに減少する傾向があるため、期初時点で下期偏重の計画(売上高は上期4,044百万円、下期4,410百万円、営業利益は上期1,212百万円、下期1,801百万円)だったことを考慮すれば、順調な水準と言えるだろう。さらに、上期が計画を上回り一転増益で着地したこと、下期は新規連結2社(後述)も寄与すること、グループシナジー向上効果も期待されることなどを勘案すれば、通期予想も上振れの可能性が高いだろうと弊社では考えている。
4. 長期ビジョン「Challenge 80th」及び第1次中期経営計画
同社は2022年4月に創業70周年を迎えたことを機に、10年後の80周年に目指すべき姿を具現化するため、同年6月にミダックグループ10年ビジョン「Challenge 80th」を策定した。そして「Challenge 80th」の実現に向けて5ヶ年の中期経営計画を2次にわたって推進するため第1次中期経営計画を策定した。基本戦略として、業界屈指の総合廃棄物処理企業への進化を推し進め、業界を代表する真のリーダーを目指すため、第1次中期経営計画期間(2023年3月期~2027年3月期)を成長加速のための基盤づくりのステージ、第2次中期経営計画期間(2028年3月期~2032年3月期)を成長加速による業界屈指の地位確立のステージと位置付けた。業績目標数値には、第1次中期経営計画最終年度2027年3月期(M&Aを除きオーガニック成長のみ)の売上高100億円、経常利益50億円、「Challenge 80th」最終年度2032年3月期の売上高400億円、経常利益120億円を掲げている。処理施設や許可を多数保有する優位性を武器として、市場規模の大きい関東エリアへの積極展開により、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す。なお新規施設開発については自社での開発に限定せず、M&Aも積極活用する方針だ。
5. 高利益率の収益構造を評価、中長期視点の成長戦略の進捗状況にも注目
同社の過去5期間の売上高と利益の推移を見ると右肩上がりの拡大トレンドとなっている。さらに利益率も大幅に上昇しており、規模の拡大と利益率の上昇を見事に両立させている。廃棄物処理業というやや地味な印象がある業種だが、この収益拡大基調と高利益率を実現している同社の事業戦略と収益構造を高く評価するべきだろうと弊社では考えている。また最終処分場の新設にはかなりの期間を要するが、同社は中長期的な視点で事業計画を作成し、M&Aも活用しながら成長戦略を着実に実行しており、この点も評価するべきだろう。今後は積極的なM&Aや設備投資など、成長加速のための基盤づくりのステージと位置付けている第1次中期経営計画の進捗状況に注目したいと考えている。
■Key Points
・廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社
・収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
・2024年3月期第2四半期累計は期初計画の減益予想から一転して増益着地
・2024年3月期通期増益予想は据え置き、さらに上振れの可能性
・M&Aも活用して市場規模の大きい関東エリアへ積極展開し、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す
・高利益率の収益構造を評価、中長期視点の成長戦略の進捗状況にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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ミダックホールディングス<6564>は、廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社である。「ミダック」の社名は、環境を象徴する「水」「大地」「空気」の頭文字に由来している。かけがえのない地球を美しいまま次代に渡すことを使命とし、その前線を担う環境創造集団を目指して事業者の廃棄物処理・管理等に関するソリューション事業を展開している。2022年4月に創業70周年を迎えた。
1. 収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分、及び一般廃棄物の収集運搬・処分を展開し、事業セグメント区分を廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業としている。廃棄物処分事業は、事業者(企業・地方公共団体等)から排出される廃棄物を自社施設で中間処理(焼却、破砕、水処理、コンクリート固化など)及び最終処分する廃棄物処理サービスを提供している。収集運搬事業は、事業者から排出される廃棄物をタンクローリー車やパッカー車などで回収し処理場まで運搬するサービスを提供する。また、仲介管理事業は、自社処理が困難な廃棄物や自社の商圏以外の廃棄物について、自社以外の処理業者へ顧客(排出事業者)を紹介するサービスである。利益率の高い廃棄物処分事業が約9割を占めている。同社の特徴・強みは、同業の多くが収集運搬業のみや中間処理業のみであるのに対して、同社グループは様々な設備を有することで収集運搬から中間処理・最終処分までを請け負う一貫処理体制を構築していることにある。連結ベースの営業利益率は2019年3月期の23.5%から2023年3月期の35.5%まで12.0ポイント上昇し、極めて利益率の高い収益構造となっている。
2. 2024年3月期第2四半期累計は期初計画の減益予想から一転して増益着地
2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比10.9%増の4,194百万円、営業利益が同7.9%増の1,355百万円、経常利益が同8.0%増の1,322百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同2.9%増の753百万円だった。期初計画の減益予想から一転して増益で着地した。廃棄物処分事業における管理型最終処分場「奥山の杜クリーンセンター」の受け入れ枠拡大に伴い、最終処分の好調が牽引した。売上総利益は同14.2%増加し、売上総利益率は1.8ポイント上昇して59.9%となった。利益率の高い最終処分の伸長に加え、原材料などの高騰に伴う処理費用の上昇に対して価格転嫁を進めたことも寄与した。販管費は一般管理費の増加などで22.6%増加し、販管費比率は2.7ポイント上昇して27.6%となった。この結果、営業利益率は32.3%で0.9ポイント低下したが、引き続き30%超の高利益率となっている。営業利益の同98百万円の増減分析は、水処理が28百万円減、焼却処理が68百万円減、最終処分が362百万円増、その他廃棄物処分が43百万円増、収集運搬が14百万円増、仲介管理が5百万円増だった。
3. 2024年3月期通期増益予想は据え置き、さらに上振れの可能性
2024年3月期の連結業績予想は、期初計画を据え置いて売上高が前期比8.8%増の8,454百万円、営業利益が同9.4%増の3,013百万円、経常利益が同6.8%増の2,875百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%増の1,731百万円としている。売上面は管理型最終処分場「奥山の杜クリーンセンター」の受け入れ枠拡大などにより、最終処分を中心に受託量が順調に増加して増収、利益面は販管費の増加を増収効果や中間処理施設稼働率向上などで吸収して増益予想としている。通期予想に対する上期の進捗率は売上高が49.6%、営業利益が45.0%、経常利益が46.0%、親会社株主に帰属する当期純利益が43.5%だった。季節要因で第2四半期に売上高・利益がともに減少する傾向があるため、期初時点で下期偏重の計画(売上高は上期4,044百万円、下期4,410百万円、営業利益は上期1,212百万円、下期1,801百万円)だったことを考慮すれば、順調な水準と言えるだろう。さらに、上期が計画を上回り一転増益で着地したこと、下期は新規連結2社(後述)も寄与すること、グループシナジー向上効果も期待されることなどを勘案すれば、通期予想も上振れの可能性が高いだろうと弊社では考えている。
4. 長期ビジョン「Challenge 80th」及び第1次中期経営計画
同社は2022年4月に創業70周年を迎えたことを機に、10年後の80周年に目指すべき姿を具現化するため、同年6月にミダックグループ10年ビジョン「Challenge 80th」を策定した。そして「Challenge 80th」の実現に向けて5ヶ年の中期経営計画を2次にわたって推進するため第1次中期経営計画を策定した。基本戦略として、業界屈指の総合廃棄物処理企業への進化を推し進め、業界を代表する真のリーダーを目指すため、第1次中期経営計画期間(2023年3月期~2027年3月期)を成長加速のための基盤づくりのステージ、第2次中期経営計画期間(2028年3月期~2032年3月期)を成長加速による業界屈指の地位確立のステージと位置付けた。業績目標数値には、第1次中期経営計画最終年度2027年3月期(M&Aを除きオーガニック成長のみ)の売上高100億円、経常利益50億円、「Challenge 80th」最終年度2032年3月期の売上高400億円、経常利益120億円を掲げている。処理施設や許可を多数保有する優位性を武器として、市場規模の大きい関東エリアへの積極展開により、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す。なお新規施設開発については自社での開発に限定せず、M&Aも積極活用する方針だ。
5. 高利益率の収益構造を評価、中長期視点の成長戦略の進捗状況にも注目
同社の過去5期間の売上高と利益の推移を見ると右肩上がりの拡大トレンドとなっている。さらに利益率も大幅に上昇しており、規模の拡大と利益率の上昇を見事に両立させている。廃棄物処理業というやや地味な印象がある業種だが、この収益拡大基調と高利益率を実現している同社の事業戦略と収益構造を高く評価するべきだろうと弊社では考えている。また最終処分場の新設にはかなりの期間を要するが、同社は中長期的な視点で事業計画を作成し、M&Aも活用しながら成長戦略を着実に実行しており、この点も評価するべきだろう。今後は積極的なM&Aや設備投資など、成長加速のための基盤づくりのステージと位置付けている第1次中期経営計画の進捗状況に注目したいと考えている。
■Key Points
・廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社
・収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
・2024年3月期第2四半期累計は期初計画の減益予想から一転して増益着地
・2024年3月期通期増益予想は据え置き、さらに上振れの可能性
・M&Aも活用して市場規模の大きい関東エリアへ積極展開し、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す
・高利益率の収益構造を評価、中長期視点の成長戦略の進捗状況にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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