デリカフHD Research Memo(9):農と健康をつなぐ創造企業としてSDGsに取り組む

配信元:フィスコ
投稿:2024/01/09 16:19
*16:19JST デリカフHD Research Memo(9):農と健康をつなぐ創造企業としてSDGsに取り組む ■デリカフーズホールディングス<3392>の今後の見通し

(3) サステナビリティ経営の推進
同社グループは「農と健康をつなぐ創造企業」を経営方針に掲げており、天の恵みである野菜を100%使い切ることを目指して、持続可能な青果物流ビジネスの創出を図り、持続可能な社会の実現に取り組んでいる。フードロス削減については生野菜、カット野菜、冷凍野菜の販売、並びにミールキット事業や自社ECサイトでの販売に取り組んでいる。

直近では焼津水産化学工業(株)と野菜の端材を活用したプラントベースの調味料「ベジブロード」を共同開発し、大手外食チェーンへの販売を開始、顧客企業で「ベジブロード」を用いた商品を販売している。また、「ベジブロード」を活用した「ごぼうスープ」「大根スープ」などの開発を行い、自社商品として販売を開始した。いずれも顧客企業や産地農家にとってのサステナビリティの取り組みにつながるため、導入する意義のある商品であると言えよう。業績への影響は軽微だが、フードロス削減の取り組みの一つとして今後も続ける方針だ。その他、全国5ヶ所の事業所に残渣リサイクルシステムを導入して日々発生する野菜ゴミを堆肥化し、農産物の肥料として活用する循環型の事業活動※も行っている。

※東京事業所では、1日当たり11トン分を処理することで生ごみの量と処理コストの低減に役立てている。


青果物流事業の拡大を通じた脱炭素社会の構築に向けては、野菜の販売量拡大に取り組むことで農作物の生産量を増やし、その結果として二酸化炭素の吸収量拡大に貢献している。同社は事業活動を通じて、二酸化炭素の吸収量を2021年3月期の7,040トンから、2024年3月期は42%増の10,000トンに拡大することを目指している。また、省エネルギー化への取り組みとして、東京と神奈川の事業所において「排水未利用冷熱を活用した温度差エネルギー冷却システム」を導入し、カット野菜製造ラインから排出される水の冷熱を利用して電力コスト削減につなげているほか、東京事業所では屋上に太陽光発電システムを設置するなど、クリーンエネルギーの活用にも取り組んでいる。

人財育成の取り組みに関しては、1年前に発足したキャリア推進プロジェクトでグループの新たな人財育成プログラムの構築と、企業の存在意義や経営理念、行動指針などの再定義を行い、Mission、Vision、Value、Credoの形で明文化した。人財育成プログラムでは、入社1~3年目の若手社員の研修だけでなく、4年目以降の社員に対する階層別研修や次世代の幹部候補生育成講座も新たにスタートした。

同社グループでは約600人のベトナム人実習生が従事している(約3年間勤務)。今後も成長を持続するうえで外国籍の人財は重要との考えから国際人財室を設置し、国籍問わず働きやすい企業風土の形成に取り組んでいる。その他、半日単位の有給休暇取得制度の導入や女性の育児時短規程改定、賃上げ(平均上昇率8.7%)を実施するなど、働きやすい環境を整備することで人財の定着率向上につなげている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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