*12:11JST 三機工業 Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は工事が進捗し、1,281百万円の営業利益を計上
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2024年3月期第2四半期:受注残を順調に消化し営業利益を計上。次期繰越高は過去最高水準
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高89,459百万円(前年同期比21.7%増)、営業利益1,281百万円(前年同期は1,260百万円の損失)、経常利益1,878百万円(同751百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,409百万円(同770百万円の損失)となった。手持ち工事を順調に消化したことに加え、前年同期の売上高が一部工事の工程見直し等により低水準であったことから増収率は高くなった。売上総利益率は13.4%となり前年同期の12.5%から大きく改善した。販管費の増加が2.6%に留まったこともあり、1,281百万円の営業利益を計上した。営業損益は前年同期(1,260百万円の損失)から大きく回復し、2022年3月期同期(1,025百万円の利益)も上回った。受注高は125,381百万円(前年同期比5.4%増)と堅調であり、期末の次期繰越高も224,348百万円(同14.4%増)と高水準を維持した。この次期繰越高は、第2四半期末として過去最高水準となった。
2. 2024年3月期の業績見通し:営業利益は75.6%増と期初予想(38.7%増)から上方修正
2024年3月期については、受注高210,000百万円(前期比8.1%減)、売上高215,000百万円(同12.6%増)、営業利益9,500百万円(同75.6%増)、経常利益10,000百万円(同60.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,700百万円(同41.1%増)と予想している。第2四半期の結果を受けて、期初予想(売上高10.0%増、営業利益38.7%増)を上方修正した。売上総利益率は15.1%(同0.9ポイント上昇)の見込みで、販管費は同6.5%増を予想している。上半期の実績(売上高、受注高、売上総利益率)が堅調であったことから、この予想が達成される可能性は高く、工事の進捗状況によってはさらなる上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase3:順調に進捗
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)は、ステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としており、現時点でこの目標は変わっていない。これらの定量的目標の達成は容易ではないだろうが、重要なことは、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくかだと弊社は考えている。今後の同社のさらなる「質的な変化」に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:2024年3月期の配当性向は56.9%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当については、2021年3月期80円(特別配当を含む)、2022年3月期85円(同)、2023年3月期75円(同)を行った。自己株式については、2022年3月期に1,000千株を取得したことに続き、2023年3月期も1,500千株を取得した。この結果、過去10年間(2014年3月期から2023年3月期まで)の総還元性向(加重平均)は91.6%に達している。進行中の2024年3月期は、普通配当70円(予想配当性向56.9%)、自己株式の取得1,500千株(上半期で48千株取得済み)を予定している。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実施中
・2024年3月期第2四半期は営業利益を計上。2024年3月期は75.6%営業増益へ上方修正
・株主還元に前向き。2024年3月期は70円配当(配当性向56.9%)、自社株買い1,500千株を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2024年3月期第2四半期:受注残を順調に消化し営業利益を計上。次期繰越高は過去最高水準
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高89,459百万円(前年同期比21.7%増)、営業利益1,281百万円(前年同期は1,260百万円の損失)、経常利益1,878百万円(同751百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,409百万円(同770百万円の損失)となった。手持ち工事を順調に消化したことに加え、前年同期の売上高が一部工事の工程見直し等により低水準であったことから増収率は高くなった。売上総利益率は13.4%となり前年同期の12.5%から大きく改善した。販管費の増加が2.6%に留まったこともあり、1,281百万円の営業利益を計上した。営業損益は前年同期(1,260百万円の損失)から大きく回復し、2022年3月期同期(1,025百万円の利益)も上回った。受注高は125,381百万円(前年同期比5.4%増)と堅調であり、期末の次期繰越高も224,348百万円(同14.4%増)と高水準を維持した。この次期繰越高は、第2四半期末として過去最高水準となった。
2. 2024年3月期の業績見通し:営業利益は75.6%増と期初予想(38.7%増)から上方修正
2024年3月期については、受注高210,000百万円(前期比8.1%減)、売上高215,000百万円(同12.6%増)、営業利益9,500百万円(同75.6%増)、経常利益10,000百万円(同60.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,700百万円(同41.1%増)と予想している。第2四半期の結果を受けて、期初予想(売上高10.0%増、営業利益38.7%増)を上方修正した。売上総利益率は15.1%(同0.9ポイント上昇)の見込みで、販管費は同6.5%増を予想している。上半期の実績(売上高、受注高、売上総利益率)が堅調であったことから、この予想が達成される可能性は高く、工事の進捗状況によってはさらなる上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase3:順調に進捗
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)は、ステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としており、現時点でこの目標は変わっていない。これらの定量的目標の達成は容易ではないだろうが、重要なことは、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくかだと弊社は考えている。今後の同社のさらなる「質的な変化」に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:2024年3月期の配当性向は56.9%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当については、2021年3月期80円(特別配当を含む)、2022年3月期85円(同)、2023年3月期75円(同)を行った。自己株式については、2022年3月期に1,000千株を取得したことに続き、2023年3月期も1,500千株を取得した。この結果、過去10年間(2014年3月期から2023年3月期まで)の総還元性向(加重平均)は91.6%に達している。進行中の2024年3月期は、普通配当70円(予想配当性向56.9%)、自己株式の取得1,500千株(上半期で48千株取得済み)を予定している。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実施中
・2024年3月期第2四半期は営業利益を計上。2024年3月期は75.6%営業増益へ上方修正
・株主還元に前向き。2024年3月期は70円配当(配当性向56.9%)、自社株買い1,500千株を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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