流動性低下には要注意!
【注目ポイント】「96.600円」を上抜けするか否か
【シナリオ①】同レート超えなら、「98.000円」付近までの上昇
【シナリオ②-1】同レートで上値抑制なら、「95.000円」付近までの下押し
【シナリオ②-2】さらに「95.000円」割れなら、「94.000円」付近までの下落も視野
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「95.000~98.000円」
【留意点】海外勢のクリスマス休暇に伴う流動性低下
豪ドル/円のここもとの動きを確認すると、今月7日のいわゆる“植田ショック”に伴う円高フローもあり、一時200日MA(移動平均線)至近である「93.613円」まで下落。その後は、「反発フロー」→「往って来い」の相場付きとなる中、19日の日銀会合を起点に円売り主導で上昇。足もとでは約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA付近での推移となっており、言わば“居心地のいい”価格帯にあると言えるでしょう。
そんな中、上図の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MAが横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態になっていること、3) ローソク足の下方に薄い形状の赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりでの推移になりつつある(上図青色点線丸印)ことから、現在の豪ドル/円・日足チャートは、レンジ相場を示すチャート形状であると判断します。
今後の注目ポイントは・・・上述した21日MAをメドとする「96.600円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜けするか否か。
筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)
[シナリオ①]
これからの時間にかけて「96.600円」を終値ベースで上抜けした場合は、「基準線超え」→「もう一段の上値トライ」となりそうです。当該ケースでは、「(BB[ボリンジャーバンド]・±2σラインの収縮である)スクイーズの進展」や「-DI>+DIの乖離縮小」なども伴いながら、BB・+1σラインのやや上方をメドとする「98.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇となりそうです。
[シナリオ②-1]
一方で、「96.600円」で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の強まり」→「下押し」となりそうです。当該ケースでは、「(赤色雲の下辺である)先行1スパン(≒96.000円)割れ」や「遅行スパンの下放れ」なども伴いながら、心理的な節目である「95.000円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下押しとなりそうです。
[シナリオ②-2]
さらに「95.000円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「心理的な節目割れ」→「もう一段の下値切り下げ」となる可能性も。当該ケースでは、「BB・-2σライン(≒94.370円)割れ」や「-DI>+DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、200日MAをメドとする「94.000円」(上図Ⓑ’紫色線)付近まで下落も視野に入れるべきでしょう。ただし、現時点では200日MAが右肩上がりでの推移となっていることから、下値余地は限定的と見て良さそうです。
上記シナリオ①および②(1、2)を概括すると、今後の豪ドル/円は方向感を模索する相場付きとなる中、当面※は「95.000~98.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とするレンジ相場主体の動きとなりそうです。(※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)
他方、今後円高フローとなり得る材料が出現した場合は、上記[シナリオ②-2]で記載した「94.000円」付近までの下落もあり得る水準として捉えるべきでしょう。
日柄的に、海外勢のクリスマス休暇に伴う薄商いが予想される中、週末から週初にかけて相場動意の乏しい展開となることが予想されます。その一方で、市場参加者の減少に伴う流動性の低下もあり、相場のボラティリティが想定以上に高まる可能性には十分注意すべきでしょう。
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