[資源・新興国通貨12/11~15のポイント&注目通貨] 豪ドル/NZドル:豪中銀総裁の講演が材料になるか

著者:八代和也
投稿:2023/12/11 12:56

今週のポイント

豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは、12-13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に左右される状況になりそうです。FRBの利下げ観測が後退する場合、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは軟調に推移し、一方で米ドル/カナダドルは堅調に推移すると考えられます。

18-19日の日銀金融政策決定会合に向けて、日銀の金融政策に関して新たな報道が出てくる可能性があります。その場合、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が反応しそうです。

メキシコペソは、14日のBOM(メキシコ中銀)の政策会合に注目です(結果は日本時間15日午前4時に判明)。BOMは前回11月まで5会合連続で政策金利を11.25%に据え置きました。

メキシコの11月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比4.32%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同5.30%でした。総合指数の上昇率は10月の4.26%から若干高まったものの、コア指数の上昇率は10月の5.50%から鈍化しました。14日の会合で政策金利は11.25%に据え置かれそうです。

BOMの声明にも注目です。ヒース副総裁は11月17日に「24年2月か3月から、1~3回利下げする可能性がある」と発言。ロドリゲス総裁は11月29日に「24年早々に利下げの議論を開始する可能性がある」と語りました。声明が24年2月の会合での利下げを意識させるような内容になれば、メキシコペソは上値が重くなりそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06500NZドル~1.08000NZドル>

RBA(豪中銀)は5日に政策会合を開き、政策金利を4.35%に据え置くことを決定しました。

RBAの声明はハト派的でした。声明における金融政策の先行きに関する文言は11月の会合時と同じ。「金融政策をさらに引き締める必要があるかどうかは、データとリスク評価次第」としました。声明はまた、「11月の会合以降に入手した国内経済に関する情報は、おおむね(RBAの)予想通り」と指摘。「インフレ期待は引き続きインフレ目標と一致している」「賃金の伸びはインフレ目標に合致している」との見方が示されました。労働市場については、「依然としてタイトではあるものの、徐々に緩和している」としました。市場ではRBAの追加利上げ観測が後退し、豪ドル/NZドルは5日に一時1.06500NZドルへと下落する場面がありました。

今週は、12日にブロックRBA総裁が講演します。ブロック総裁は11月22日に講演し、その時はタカ派的な内容でした(※)。12日の講演がタカ派的な内容になれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。

(※)ブロック総裁は、「豪州のインフレは需要が主導している」「需要主導型のインフレは、CPI上昇率がRBAの目標に戻るには時間がかかることを意味する」「より大幅な金融政策の引き締めが需要主導型のインフレへの正しい対応だ」などと述べました。

14日には、豪州の11月雇用統計とNZの7-9月期GDP(国内総生産)が発表されます。これらが市場予想からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。

今週の注目通貨ペア(2): <米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34500カナダドル~1.37000カナダドル>

BOC(カナダ中銀)は6日に政策会合を開き、政策金利を5.00%に据え置くことを決定しました。据え置きは3会合連続です。

BOCは声明で、「依然としてインフレ見通しへのリスクを懸念しており、必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明。追加利上げの可能性を残しました。

声明は一方で、「金利の上昇が明らかに支出を抑制している」「労働市場は引き続き緩和しており、求人はさらに減少し、失業率は緩やかに上昇している」と指摘。「10-12月期のデータは、経済がもはや需要超過ではないことを示唆している」としました。声明ではまた、前回10月の会合時にあった「物価安定に向けた進展は遅く、インフレリスクが高まっている」が削除されました。BOCの利上げサイクルは終了した可能性が一段と高まったと考えられます。カナダドルの上値を抑える(米ドル/カナダドルの場合は下値を支える)要因になりそうです。

今週は、米国の11月CPI(消費者物価指数)が12日、FOMC(米連邦公開市場委員会)が12-13日に開かれます。これらの結果を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)の早期の利下げ観測が後退する場合、米ドル/カナダドルは堅調に推移しそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想