ユーロ/円、円買い主体で大幅下落!足もとの注目ポイントは?

著者:津田隆光
投稿:2023/12/08 10:26

日銀正副総裁コメントが円高フローのトリガーに

ユーロ/円・日足・複合チャート
ユーロ/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「154.000円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①】同レートで下値サポートなら、「160.000円」付近までの戻り
【シナリオ②】同レート割れなら、「150.000円」付近までの下落も視野
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「150.000~160.000円」


ユーロ/円の重要ポイントとして着目していた「160.000円での下値サポート成否」ですが、今月1日の終値ベースで同レートを割り込む動きに。その後じりじりと下値を切り下げる中、昨日(7日)の参院財政金融委員会において植田総裁が、その前日(6日)に行われた氷見野副総裁による日銀の政策修正前倒し示唆を後押しするような発言をしたことが材料視され、円高フローが大きく加速。ユーロ/円についても円買い主体で売り込まれ、一時7月28日以来となる「153.023円」まで下落しました。


上図の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を下抜ける“逆転”(上図黄色丸印)が示現していること、3) ローソク足の上方に赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)および、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がりでの推移になりつつある(上図青色点線丸印)ことから、現在のユーロ/円・日足チャートは、下降トレンドを示すチャート形状であると判断します。

他方、本稿執筆(8日午前8時)時点においてⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・-2σラインをアンダーシュートしていること、さらにはⅱ) ローソク足と赤色雲の下辺である先行1スパンとの間に乖離が生じていることを鑑みると、刹那的に200日MAを割り込む動きとなったユーロ/円は足もとではやや速度オーバーの状態と見ることもできるでしょう。


そんな中、喫緊の注目ポイントは・・・上述した、200日MAをメドとする「154.000円」(上図黄色矢印および黒色線)で下値サポートされるか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて「154.000円」で下値サポートされた場合は、「下値固め」→「反発フロー」となりそうです。当該ケースでは、「SARの買いサインへの転換」や「下降バンドウォーク崩れ」、また「-DI>+DIの乖離縮小」なども伴いながら、心理的な節目である「160.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの戻りもあり得そうです。

[シナリオ②]
一方で、「154.000円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「重要線割れ」→「下降モメンタムのさらなる加速」へのトリガーとなりそうです。当該ケースでは、「(BB・±2σラインの拡張である)エクスパンションのさらなる進展」や「遅行スパンの下放れ」、また「-DI>+DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、心理的な節目である「150.000円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落も視野に入れるべきでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、足もとでは円相場主体で不安定かつ神経質な相場付きが継続するとの想定の下、当面※のユーロ/円は「150.000~160.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)

足もとでは、日本時間本日午後4時に発表されるドイツの11月CPI(消費者物価指数)とともに、同午後10時30分に発表される米11月雇用統計の結果がユーロ/円の相場動意となりそうです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想