*13:20JST ティア Research Memo(10):M&Aで葬儀社2社を含むグループを子会社化し売上規模は1.3倍に急拡大
■今後の見通し
2. M&Aによる業績への影響と今後の展開
ティア<2485>は2023年11月20日付で、八光殿及び他関連会社を傘下におさめるNSSK-VV3と、東海典礼及び他関連会社を傘下におさめるNSSK-TTの全株式を7,304百万円で取得し子会社化したことを発表した。また、株式取得資金調達のためのシンジケートローンが組成されるまでの短期つなぎ資金として、金融機関から70億円の借入れを実施している。八光殿は大阪府八尾市を中心とした東大阪エリアに葬儀会館を16施設、東海典礼は愛知県東三河エリアを中心に葬儀会館22施設をそれぞれ展開している。
いずれも社歴は40年以上と古く地域に根差した事業展開を通じて、安定した収益基盤を構築しており、地域内での葬儀件数取扱いシェアは5割弱と強いブランド力も有している。両社ともに同社の経営理念と相通じるものがあり、営業エリアも隣接していることからグループ化によるシナジー効果が大きいと判断してM&Aを決断した。ブランドや経営体制については当面、現行のままで継続する方針で、PMIのプロセスや内容については今後各社で協議していくことになる。想定されるシナジーとしては、商品仕入や物流インフラの共通化によるコスト削減、相互にもつリソースを共有することによるサービス品質のさらなる向上、各地域でのシェア拡大などが挙げられる。
2社の直近期の経営成績を見ると、NSSK-VV3は2022年9月期の連結業績※1で売上高2,720百万円、営業利益169百万円、NSSK-TT※2は2023年5月期の連結業績で売上高1,601百万円、営業利益308百万円といずれもコロナ禍を経て業績は回復基調にある。業績数値を単純合算すると、売上高で約43億円、営業利益で4.7億円に近い数字が同社の2024年9月期連結業績に上乗せされることになる。売上規模では1.3倍に拡大する見通しだ。一方、営業利益はのれん償却額が差し引かれるため、償却期間が何年になるかで変動する。純資産額が合算で約19億円のため、のれんは50億円台前半の水準と見込まれ、これを償却期間で定額償却していくことになる。仮に10年償却となった場合は、初年度の営業利益はのれん償却額とほぼ相殺されることになる。また、当面は子会社のガバナンス体制を上場企業グループ並みに強化する必要があるため、体制強化のためのコスト増も見ておく必要がある。のれん償却が数億円単位になりそうなことから、今後の業績は本来の収益力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で見ていく必要がある。
※1 NSSK-VV3は子会社を有しているが連結経営指標を作成しておらず、八光殿の全株式を所有する八光殿ホールディングス(株)の株式取得のために設立されたSPCであるため、連結業績についてはNSSK-VV3の子会社であるNSSK-V3を頂点とした連結経営成績を記載。
※2 NSSK-TTは子会社を有しているが連結経営指標を作成しておらず、東海典礼の株式取得のために設立されたSPCであるため、連結業績についてはNSSK-TTの子会社であるNSSK-Tを頂点とした連結経営成績を記載。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. M&Aによる業績への影響と今後の展開
ティア<2485>は2023年11月20日付で、八光殿及び他関連会社を傘下におさめるNSSK-VV3と、東海典礼及び他関連会社を傘下におさめるNSSK-TTの全株式を7,304百万円で取得し子会社化したことを発表した。また、株式取得資金調達のためのシンジケートローンが組成されるまでの短期つなぎ資金として、金融機関から70億円の借入れを実施している。八光殿は大阪府八尾市を中心とした東大阪エリアに葬儀会館を16施設、東海典礼は愛知県東三河エリアを中心に葬儀会館22施設をそれぞれ展開している。
いずれも社歴は40年以上と古く地域に根差した事業展開を通じて、安定した収益基盤を構築しており、地域内での葬儀件数取扱いシェアは5割弱と強いブランド力も有している。両社ともに同社の経営理念と相通じるものがあり、営業エリアも隣接していることからグループ化によるシナジー効果が大きいと判断してM&Aを決断した。ブランドや経営体制については当面、現行のままで継続する方針で、PMIのプロセスや内容については今後各社で協議していくことになる。想定されるシナジーとしては、商品仕入や物流インフラの共通化によるコスト削減、相互にもつリソースを共有することによるサービス品質のさらなる向上、各地域でのシェア拡大などが挙げられる。
2社の直近期の経営成績を見ると、NSSK-VV3は2022年9月期の連結業績※1で売上高2,720百万円、営業利益169百万円、NSSK-TT※2は2023年5月期の連結業績で売上高1,601百万円、営業利益308百万円といずれもコロナ禍を経て業績は回復基調にある。業績数値を単純合算すると、売上高で約43億円、営業利益で4.7億円に近い数字が同社の2024年9月期連結業績に上乗せされることになる。売上規模では1.3倍に拡大する見通しだ。一方、営業利益はのれん償却額が差し引かれるため、償却期間が何年になるかで変動する。純資産額が合算で約19億円のため、のれんは50億円台前半の水準と見込まれ、これを償却期間で定額償却していくことになる。仮に10年償却となった場合は、初年度の営業利益はのれん償却額とほぼ相殺されることになる。また、当面は子会社のガバナンス体制を上場企業グループ並みに強化する必要があるため、体制強化のためのコスト増も見ておく必要がある。のれん償却が数億円単位になりそうなことから、今後の業績は本来の収益力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で見ていく必要がある。
※1 NSSK-VV3は子会社を有しているが連結経営指標を作成しておらず、八光殿の全株式を所有する八光殿ホールディングス(株)の株式取得のために設立されたSPCであるため、連結業績についてはNSSK-VV3の子会社であるNSSK-V3を頂点とした連結経営成績を記載。
※2 NSSK-TTは子会社を有しているが連結経営指標を作成しておらず、東海典礼の株式取得のために設立されたSPCであるため、連結業績についてはNSSK-TTの子会社であるNSSK-Tを頂点とした連結経営成績を記載。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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