サニーサイドアップグループ、販促施策の特需剥落で1Q減益も、会社利益計画に対して概ね順調に進捗、統合効果は今後本格化
2024年6月期第1四半期 決算説明
次原悦子氏:株式会社サニーサイドアップグループ代表取締役社長の次原悦子でございます。
当社はPR、ブランディング等を担う事業会社を傘下に持つ、コミュニケーションをデザインする企業です。1985年の創業以来、「まだ知られていないモノ・ヒト・コトを世の中に伝えたい」として、数多くの「たのしいさわぎ」を世の中に送り出してきました。
環境は目まぐるしく変化を続けていますが、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」との想いに変わりはなく、今後もそれを実現する企業でありたいと考えています。
当社では、2023年5月19日公表の中長期経営方針に沿って、連結子会社3社間の吸収合併を完了し、コア事業強化に向けた施策や中長期的な成長を視野に入れた戦略投資に着手しています。
アジェンダ
それでは、2024年6月期第1四半期の決算について説明申し上げます。説明内容は「①2024年6月期第1四半期連結決算レビュー」「②事業状況」「③中期成長戦略の進捗」となります。
エグゼクティブサマリー
2024年6月期第1四半期の連結業績は、前第1四半期に売上を牽引した大手コンビニエンスストア向けの販促施策の特需が消失し、減収減益となりました。
前第1四半期は、巣ごもり需要の継続や映画興行とのタイアップ企画等を背景に、キャラクター等のIP(知的財産)を活用した販促施策の大型受注が進みましたが、特需の反動減が業績に影響しました。
営業利益率は8.6パーセントへ上昇しておりますが、コア事業として報告セグメントを集約したブランドコミュニケーション事業で収益性の高いPR領域が改善し、収益構造が変化したことによるものです。
通期業績予想に対する進捗率は、前第1四半期に比べて低いものの、会社利益計画に対して概ね順調に進捗しており、通期業績予想を据え置いています。
事業状況として、ブランドコミュニケーション事業では、クライアントリレーションの強化や効率改善への取り組みが進展し、フードブランディング事業では、国内の収益改善が継続しました。ビジネスディベロップメント事業では、現実世界と仮想世界を融合するXR技術を用いたサービス提供を開始しました。
中期成長戦略の進捗は、「成長のための事業ポートフォリオ」でコア事業と位置付ける「ブランドコミュニケーション」、次期成長の柱とする「ブランドテック」、長期目線で育成する「サステナブルテック」のそれぞれで、期初に計画した施策や投資に着手したところです。
PR市場の先にあるブランドコミュニケーション市場で成長を実現するためにも、コア事業で統合効果を本格的に創出してまいります。
連結決算ハイライト
それでは、2024年6月期第1四半期連結決算について説明申し上げます。
売上高は32億4,600万円、営業利益は2億7,800万円で、第1四半期としては3年ぶりの減収減益となりました。前第1四半期に連結売上高を牽引した大型コンビニエンスストア向けの販促施策の減少が連結業績に影響しました。一方、フードブランディング事業では32.1パーセント増収となり、好調な業績が継続しました。
営業利益率は8.6パーセントとなり、前年同期の7.7パーセントより0.8ポイント改善しました。これは主に、ブランドコミュニケーション事業の収益構造の変化によるもので、比較的利幅の薄い販促施策の売上構成比が低下し、収益性の高いPR領域の改善が進んだことが寄与しています。
通期業績予想(営業利益)に対する進捗率は17.8パーセントとなり、前第1四半期の対期初業績予想進捗率36.1パーセントに比べて低い結果となりました。ただし、会社利益計画に対して概ね順調に推移しており、通期業績予想を据え置きました。
季節性や案件比重の高い第2四半期以降、提案のさらなる強化と統合効果の創出により、通期業績予想の達成を目指してまいります。
連結業績サマリー
売上高は32億4,600万円、営業利益は2億7,800万円で、30.6パーセント減収、23.0パーセント減益となりました。
営業利益以下の段階利益で減益幅が拡大し、経常利益は前年同期比29.0パーセント減の2億8,600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同55.0パーセント減の9,600万円となりました。
前第1四半期の営業外収益に助成金収入5,900万円を計上しておりますが、当第1四半期にその計上はなく、また、イベント等への出資を通じてPR等サービスを提供する連結子会社において、出資金評価損9,600万円を特別損失に計上したことも影響しました。
一方、営業利益率はPR領域の強化により、前年同期の7.7パーセントから8.6パーセントへ上昇し、過去2期と比べても改善が見られました。
四半期別売上高推移
第1四半期の売上高は、前年同期に比べて14億円減少しました。なお、大手コンビニエンスストア向けの販促施策の減収額は約16億円となります。
四半期別営業利益推移
前第1四半期は販促施策の大型受注が続き、利益も順調に伸びましたが、当第1四半期はその反動減により、前年同期に比べて8,200万円減益となりました。なお、販促施策の減収に伴う減益額は約1億2,000万円となります。
報告セグメントの変更
当社では、前述の中長期経営方針において、コア事業を「ブランドコミュニケーション」と再定義し、株式会社サニーサイドアップを存続会社とする連結子会社3社間の吸収合併を実施したのを契機に、経営管理区分を見直し、「ブランドコミュニケーション事業」として報告セグメントを集約しました。変更後の報告セグメントは、ブランドコミュニケーション事業、フードブランディング事業、ビジネスディベロップメント事業の3つとなります。
なお、2023年6月期のセグメント別業績につきましては、変更後のセグメントに組み替えて表示しています。2022年6月期以前のセグメント別実績につきましては、旧区分の2事業を合計して参考値として表示しております。
セグメント別業績
ブランドコミュニケーション事業の売上高は23億6,000万円、セグメント利益は4億9,100万円となりました。販促施策の減収影響をPR領域の強化で補いましたが、13.2パーセント減益となりました。なお、営業利益率は20.8パーセントとなり、前年同期より6.2ポイント改善しています。
フードブランディング事業の売上高は8億3,800万円、セグメント利益は4,900万円となりました。同事業では国内収益の改善が続いた結果、32.1パーセント増収となり、セグメント利益は黒字転換しています。
ビジネスディベロップメント事業の売上高は4,700万円、セグメント利益は300万円となり、71.1パーセント減収、87.0パーセント減益となりました。減収は主に、2023年7月に連結子会社1社の全株式を譲渡し、同社が連結対象から外れたことによるもので、減益は主にXRの費用が先行したことによるものです。
営業利益変動要因
営業利益の変動要因を事業セグメント別に見ると、フードブランディング事業で5,100万円改善したものの、ブランドコミュニケーション事業で7,400万円、ビジネスディベロップメント事業で2,300万円それぞれ減少しました。
ブランドコミュニケーション事業を提供サービス別に見ると、PR領域の強化で4,700万円改善したものの、販促施策の減収により1億2,200万円悪化しました。
全体構造から変動要因を捉えると、比較的利幅の薄い販促施策の減収と収益性の高いPR領域の改善という構造変化があったものの、減収が利益に大きく影響した結果となりました。
2024年6月期通期業績予想
通期業績予想は公表値を据え置き、売上高は210億円、営業利益は15億6,000万円、経常利益は15億4,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益9億3,000万円としております。
この達成に向けて、第2四半期以降、ブランドコミュニケーション事業で統合効果を本格的に創出してまいります。また、第2四半期は過去の傾向から見ても売上高が通期で最大となる傾向があることから、第2四半期以降、提案をさらに強化してまいります。
ブランドコミュニケーション事業 業績推移
次に、事業の状況について説明申し上げます。
ブランドコミュニケーション事業では、PRを中心とするコミュニケーションサービスに加えて、キャラクターなどのIP(知的財産)を活用して販促施策を手掛けております。当事業には株式会社サニーサイドアップのほか、日本・韓国のアーティストやプロスポーツ選手のキャスティングを行う株式会社クムナムエンターテインメント、人気タレントを起用したCMや記者発表のPR等を担う株式会社エアサイド、ファッション関連のPRやイベントを手掛ける株式会社ステディスタディが含まれております。
当事業の売上高は23億6,000万円、営業利益は4億9,100万円となりました。
株式会社サニーサイドアップでは、連結子会社3社間の吸収合併が完了し、これまで株式会社ワイズインテグレーションでも展開していた販促施策を統合しました。また、株式会社スクランブルで展開していたインフルエンサーマーケティングを取り込み、PR領域の強化につなげています。
ブランドコミュニケーション事業 収益構造
当事業の営業利益率20.8パーセントは、過去2期と比べて改善しました。販促施策・商品企画の売上構成比低下の影響もありますが、株式会社サニーサイドアップのPR領域で改善が進んだことが寄与しています。
同社では2023年7月より新たな経営体制の下、クライアントリレーションの強化に向けて取り組みました。クロスセル、アップセル等の提案を強化し、クライアント当たり売上高が増加したほか、スポットに比べて利益率の高いリテナー比率も上昇しました。
ブランドコミュニケーション事業 業種別売上構成
事業環境は前年から大きく変わっておらず、特定業種に依存することなく、多様な業種にバランスよく対応しています。当社グループが特に強みとするのは、コスメ・ファッション、食品・飲料のほか、商業施設等の「場」やスポーツイベントに関するPRです。
「場」に関するPRについて、都心を中心に開業が続く商業施設・ホテルのPRを順調に受注していますが、これまでの官公庁や地方自治体とともに地域の観光や文化振興支援等に携わってきた知見を活かして、「地方創生ユニット」を発足しています。
ブランドコミュニケーション事業 第1四半期ハイライト
ブランドコミュニケーション事業で手掛けたPRの事例紹介となりますが、東京都港区の施設開業に伴うPR、オフィス、住宅、商業施設、文化施設、教育機関や医療機関など、多様な機能が集積した都市づくりのPRを担当させていただいています。
スライド右の画像はイメージとなりますが、ビジネスは都心のみならず、地方にも広がっており、前述の「地方創生ユニット」で地域活性化や観光産業に関するコンサルティング業務やPRも手掛けています。
フードブランディング事業 業績推移
フードブランディング事業では、オーストラリア・シドニー発のオールデイダイニング「bills」の国内におけるブランディング、韓国におけるライセンス管理と店舗運営を行っています。国内では直営7店舗、韓国2店舗を展開しております。
当事業の売上高は8億3,800万円、営業利益は4,900万円となりました。32.1パーセントの大幅増収となった主な要因は、インバウンド需要の本格回復等を受けて、銀座店、表参道店を中心に国内売上が大幅に伸長したことに加え、前第1四半期は2022年5月より改装のために休業していた横浜赤レンガ倉庫店(神奈川県横浜市中区)が2022年12月のリニューアルオープン以降、営業となったことによるものです。また、季節メニュー導入等を通じた客単価上昇も増収に寄与しました。
営業利益は2023年6月期第1四半期まで赤字が継続していましたが、売上回復に伴い、4四半期連続で黒字を確保しています。
ビジネスディベロップメント事業 業績推移
ビジネスディベロップメント事業には、株式会社サニーサイドエックス、ウェルビーイングや女性活躍推進等の社会課題の解決に資するコミュニケーションサービスを提供する株式会社グッドアンドカンパニーが含まれています。当事業は、新規事業の開発・創出を通じてグループの事業領域を拡充する位置づけにあり、セグメント特性上、費用が先行する傾向にあります。
当事業の売上高は4,700万円、営業利益は300万円で、71.1パーセント減収、87.0パーセント減益となりました。2023年7月の連結子会社1社の全株式譲渡は、約1億円の減収に影響しました。
成長のための事業ポートフォリオ
それでは、中期成長戦略の進捗について、説明申し上げます。
当社では、「ブランドコミュニケーション」「ブランドテック」「サステナブルテック」からなる「成長のための事業ポートフォリオ」を定めておりますが、2024年6月期からの3か年はコア事業と位置付ける「ブランドコミュニケーション」を強化して成長を図ります。
また、その周囲を取り巻くテクノロジーを「ブランドテック」として育成し、コア事業の強化につなげながら、3年から5年で次の成長の柱に育成する予定です。さらに、女性のヘルスケア、キャリアとの両立など、ライフデザインを啓発するプロジェクトに長年取り組んできた経緯から、社会的課題をテクノロジーで解決する「サステナブルテック」に10年程度の長期目線で取り組むことを計画しています。
コア事業の極限までの成長
コア事業であるブランドコミュニケーション強化の方向性について、説明申し上げます。
吸収合併完了後の新生サニーサイドアップは、クライアントと長期的な関係性を構築していくことをあらためて重視しています。3社の知見・ノウハウを集結させて幅広いサービスを提案し、積極的にアップセルやクロスセルを行うなど、高付加価値化を目指しています。また、3社が有していた経営資源を集約して、人員配置を最適化し、生産性の向上にも取り組みます。
新生サニーサイドアップ 統合変革の進捗
第1四半期の統合効果はまだ限定的ではあるものの、アップセルやクロスセルを意識した活動が広がってきています。
新生サニーサイドアップでは、問い合わせを中心としたビジネスから提案力の強化へ、3社が有するPR、商品企画、インフルエンサーマーケティングのノウハウを融合し、クロスセルやアップセル等の提案を行うための組織体制を構築しました。同時に、案件収益管理もより徹底し、高収益案件に資源を集中させています。また、クライアントのマーケティング責任者との関係性強化にも着手しました。
さらに、教育拡充として、高度なマーケティングトレーニングを開始しておりますが、その内容につきましては、人的資本経営ガイドラインの次のスライドで説明申し上げます。
提供サービス トピックス
ブランドコミュニケーションでは、高付加価値化への取り組みとして、外部との提携を活用しています。
Z世代を代表するインフルエンサーをSNSマーケティングプロデューサーとして招聘したほか、音声プラットフォームの開発・運営企業と提携し、インフルエンサーの音声を活用したソリューションを付加しました。
また、全国各地の、主に知的障がいのあるアーティストとライセンス契約する企業とコンテンツパートナーシップを締結し、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の視点を取り入れた提案を行うなど、ソリューションの幅を広げています。
ブランドテックの進捗
ブランドテックのスタートとして、2023年9月にXRスタジオを自社内に開設しました。クライアント主催のイベントから、個人クリエイターが発信する「TikTok」や「YouTube」の撮影、配信まで対応が可能です。
また、XR映像の撮影時に発生する電力に環境負荷が小さく、再生可能な自然由来のエネルギーを100パーセント利用した「X-GREEN(グリーン電力証明書付きXR STUDIOパッケージ)」の提供を開始しています。
サステナブルテックの進捗
長期目線で取り組むサステナブルテックにつきましては、2023年9月に女性のウェルビーイングにフォーカスしたファンド「NEXTBLUE2号投資事業有限責任組合」に出資しています。
同領域の企業を直接当社が選定するのは非常に困難であることから、ファンドを通じて出資し、同ファンドが同領域のスタートアップ企業を選定しています。
同領域の企業へ間接的に出資することで個人が自分らしく活躍できる社会の実現を目指すとともに、同領域の海外企業のPR等コミュニケーションサービスの支援につなげたいと考えています。
人的資本経営ガイドライン
企業としての成長と同時に大切にしたいのが、サニーサイドアップグループを支える人財であり、目指すべき指針を「人的資本経営ガイドライン」として示しております。
当社グループは、性別・年齢・国籍等の属性にかかわらず、機会を等しく提供することを基本方針としており、女性活躍推進に向けて各種施策を講じています。ガイドライン策定時、当社の取締役女性比率として30パーセント超を維持したいと表明していましたが、2023年9月26日時点で50.0パーセントになりました。
また、グループ管理職女性比率44.7パーセントを今後は50パーセントを目途に高めたいと考えています。なお、私、代表取締役社長次原悦子は2021年6月より、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)のダイバーシティ推進委員会委員長を務めており、より一層取り組んでいく所存です。
エンゲージメント・スコアにつきましては、2023年10月に従業員を対象に調査を実施しており、現在、その結果を精査、分析しております。今後、目標を設定し、目標に対する進捗を確認していく予定です。
人財教育 トピックス
教育への投資として、「SUNNY UNIVERSITY」が開講しました。当カリキュラムでは、マーケティング領域を中心に、ファイナンスやプラニングなどについて外部から講師を招聘し、実践的なトレーニングを提供しています。2023年11月以降、株式会社サニーサイドアップ代表取締役社長リュウ シーチャウが自ら講師を務める講座も予定されています。
中長期の事業成長イメージ
最後に、中長期的な事業成長イメージを示しておりますが、2024年6月期からの3か年は「ブランドコミュニケーション」を中心に成長し、3年から5年で「ブランドテック」を次の成長の柱として育成し、10年程度の長期目線で「サステナブルテック」事業を創造していくように、それぞれの成長を積み重ねて大きな成長につなげていきます。
第1四半期には「ブランドコミュニケーション」で考えていたクライアントリレーション強化への取り組みをスタートさせ、「ブランドテック」や「サステナブルテック」への投資にも着手することができました。
第1四半期業績は前年同期との比較において厳しい結果となりましたが、コア事業の強化に向けて、また、中長期的成長に向けての施策を着実に進めております。第2四半期以降、統合効果が結実するよう、施策への取り組みを加速するとともに、クライアント企業様の期待に応えられるような、付加価値の高い提案を行っていきたいと考えております。
株主さま、また投資家のみなさまにおかれましては、サニーサイドアップグループのこれからの活動に引き続きご支援をいただけますと幸いです。ありがとうございました。
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