共和電業、ひずみゲージをコア技術に、1969年の上場以来、営業黒字を継続 部品入手難で業績低迷も、現在は回復基調

投稿:2023/11/21 19:00

目次

田中義一氏:みなさま、こんにちは。共和電業代表取締役社長の田中です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日は、当社のご紹介、事業、技術、経営状況、サステナビリティに向けた取り組みについてご説明します。

日本初のひずみゲージメーカー

当社についてご紹介します。当社は、1950年に運輸省運輸技術研究所から「ひずみゲージ」の試作依頼を受け、翌年に商品化に成功しました。当時、日本ではなじみの薄かったひずみゲージの研究開発に取り組み、我が国におけるひずみゲージの普及と計測技術の発展に貢献してきました。

このように、当社の歴史は日本初のひずみゲージ誕生からスタートしました。

計測機器の総合メーカー

当社の計測機器がどのように用いられているのかをご説明します。当社は、ひずみゲージをはじめ、さまざまな現象を高精度に測ることができる計測機器やシステム製品を自社で開発・生産し、お客さまに提供しています。

これらの製品は、お客さまが実施するさまざまな試験や計測において、荷重、圧力、加速度などといった物理量や、ひずみという現象を計測することで、さまざまな分野における研究や製品開発、安全性把握などに役立っています。

共和電業のあゆみ

当社のあゆみについてご説明します。1951年にひずみゲージを販売して以来、世界初の高速鉄道である東海道新幹線の試験列車における各種計測に貢献するなど、お客さまとともに社会の発展を支え続けています。

創立以来、時代の最先端技術への挑戦を計測技術で支援すべく、その時々に必要な製品や価値を届けてきました。

経営ビジョン

当社は「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」というグループ経営ビジョンを掲げています。

各種計測機器の販売や計測コンサルティングを通じて、社会や地域の安全に寄与し続けることを目指しており、お客さまとともに、安心な未来づくりに向けて貢献していきたいと考えています。

会社概要

当社の概要をご説明します。当社は東京都調布市に本社があります。1949年に設立し、今年で創立74年を迎えました。スタンダード市場に上場しており、連結子会社は国内に6社、海外に3社があります。

グループ会社・事業系統図

当社グループの概要はスライドのとおりです。当社グループでは、当社で設計・開発した製品をグループ会社で生産するほか、計測コンサルティング、点検・修理・校正などの業務を各社で分担しています。

計測によって何ができる?

当社の事業と技術についてです。まず、当社製品を用いた計測により何ができるのかをご説明します。計測を行うことで定性的な現象を数値で表し、定量的な情報に変換することができます。スライドの例では、クルマが物体に衝突し、車体が変形します。

計測しない場合には、ただその現象を観察するだけになりますが、計測することでさまざまな箇所にどのくらいの力がかかり、どのくらいの加速度が発生したかという現象を数値で把握することができるようになります。

また、計測した結果、それまでは「想定外」であったことを「想定内」にすることにもなります。例えば、想定外の大きな力が加わってイスが壊れてしまった場合、事前にひずみを計測して強度を把握しておけば、どのくらいの力まで安全に耐えられるかという安全性を考慮することが可能となります。

製品・サービス領域

当社の製品・サービス領域についてご説明します。当社は、日本におけるひずみゲージのパイオニアとして、ひずみゲージをセンシング素子に用いた各種センサのほか、さまざまな用途に向けた計測機器、ソフトウェアなどを開発し、生産・販売を行っています。

また、これらの多種多様な製品を組み合わせた計測システムを、トータルソリューションとしてお客さまに提案し、提供しています。そのほかにも、現地における計測機器の設置や計測業務、計測結果の解析に関する業務まで、お客さまのニーズに応えるべく、幅広い製品をご提供しています。

さらに、信頼性の高い計測や計測機器をお客さまに提供するため、製品の点検・修理、国際基準に則した認定校正をはじめとした校正業務、各種セミナーなどの事業にも力を入れています。

ひずみゲージと、応力・ひずみ計測

ひずみゲージを用いた応力・ひずみ計測は、さまざまな対象物の強度面における安全性を把握できるため、製品や構造物の信頼性確保に役立っています。

対象物は、携帯電話の中の基板や半導体部品などの小さなものから、家電製品、自動車、航空機、ロケット、橋梁や風力発電タワーなどの巨大構造物まで多岐にわたります。いずれも私たちの生活に欠かせないものばかりです。

ひずみゲージとその応用

当社のコア技術であるひずみゲージについてご説明します。ひずみゲージは、さまざまな機能を持った一種の抵抗素子です。その大きさは1ミリメートル以下のものから数センチメートルのものまで、さまざまな種類があります。

ひずみゲージを測定対象物に直接貼り付けることで、外からの力が対象物に加わった時に生じる、目に見えないほどのわずかな変形、すなわちひずみを電気信号として測定します。

当社のひずみゲージには、一般的な環境下で使用するものから、950度までの高温下や、水素環境下で使用できるものまで、さまざまな種類があります。

ひずみゲージを用いた各種センサ

また、ひずみゲージはセンサのセンシングエレメントとしても使われており、当社では荷重、圧力、加速度をはじめとした各種センサの開発・製造・販売も行っています。

測定器ラインナップ

さらに、ひずみゲージや各種センサから出力される微弱な信号を増幅するための測定器類も自社で開発・生産しています。計測対象物や計測環境に応じて、ひずみ測定器、データロガー、シグナルコンディショナ、無線計測機器等をはじめ、計測・解析ソフトウェアを幅広くラインナップしています。

このように、小さな工業製品から大型の社会インフラ構造物に至るまで、さまざまな計測対象に応じた各種センサや計測機器、計測システムを提供することで、社会と暮らしの安全を支え、安心できる未来づくりに貢献しています。

主要事業分野

当社の事業分野についてご説明します。自動車試験分野では、新車開発や先行開発において幅広く使用されるほか、生産ラインにおける品質評価計測などにも用いられています。

運輸・交通インフラ分野では、鉄道、道路、航空宇宙等の分野において、当社の各種製品が使用されています。

工業計測分野では、工場の生産ラインにおける荷重や圧入などの力計測や、材料の強度試験計測など、幅広い分野で当社製品が使用されています。

環境・防災・エネルギー分野では、ダムをはじめとしたインフラ構造物の安全監視や、自然災害に備えた地盤の傾向監視などに、当社製品や計測技術が活用されています。

自動車試験分野

各事業分野について詳しくご説明します。自動車試験分野では、当社の計測技術によって自動車の性能・安全性の向上を支援しています。

操縦安定性・操作性評価試験においては、実車走行時におけるタイヤにかかる力や車体の挙動の計測、ハンドルなどを操作する際にかかる力や角度などの検出に採用されています。

動力を伝えるパワートレインや、ドライブトレインの評価試験においては、機構のさまざまな箇所に発生するトルクや圧力などを計測し、効率的な動力伝達の評価にも使用されています。

自動車試験分野

自動車の衝突試験においては、わずか0.2秒間に発生する車体の変形や、乗員への影響を瞬時かつ正確に把握する計測システムを開発・生産しています。

このシステムを開発して以来、製品の軽量化・小型化を実現し、自動車業界における安全技術の進歩に対応した製品開発を続けており、国内における主要完成車メーカーすべてに採用されています。

運輸・交通インフラ分野

運輸・交通インフラ分野では、車両重量計測システムや各種計測システムなど、当社技術が幅広く使われています。

みなさまのなじみ深いところでは、高速道路の料金所に当社システムが設置されており、ゲートを通過する車両の重量を計測しています。このシステムにより、過積載による道路の損傷を少なくし、道路の維持管理に貢献しています。また、ETCの利用拡大による料金所での渋滞緩和にも役立っています。

運輸・交通インフラ分野 JR渋谷駅線路切換工事におけるサンプリングモアレカメラの活用

JR渋谷駅線路切替工事におけるサンプリングモアレカメラの活用についてご紹介します。2023年1月9日、山手線の渋谷駅にて線路切替工事が行われた際に、切替工事後の最終チェックとして、線路に試験車両を走らせた際の架道橋のたわみ量計測に、当社のサンプリングモアレカメラが使われ、計測業務も担当しました。

本製品は、測定対象物と微小で動的な3次元変位を、1台のカメラで多点同時に測定する計測システムです。本製品を用いることで、遠隔・非接触で、橋梁など大型インフラ構造物の動的変位モニタリングが可能となります。

今後も、インフラ維持管理の高度化や効率化等、社会課題の解決に寄与する、新たな計測ソリューションの創出を図っていきます。

工業計測分野

工業計測分野では、日本経済を支えるモノづくり産業において、産業機械、建設機械、鉄鋼関連など幅広い分野での試験や生産ラインで、当社の計測技術が活用されています。

生産ラインのモニタリング例として、鉄鋼ラインにおける鋼板圧延計測システムがあります。圧延荷重を計測することで、ラインの制御に利用されています。

ほかにも、大型クレーン用の計測システムとして、クレーンにかかる荷重を計測することで過負荷を監視し、転倒を防止するシステム等を開発・販売しています。

工業計測分野 国内初の実大免震試験施設『E-Isolation』における当社計測技術の活用

国内初の実大免震試験施設である「E-Isolation」についてご紹介します。「E-Isolation」は大地震時を想定した、免震ゴムなど大型構造物の免震・制振構造の試験を実施する施設です。

内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の研究として、免震構造・制振構造の確かな利用と発展のために、日本に初めて建設された公的な実大免震試験機です。「E-Isolation」には当社製品が多数採用されており、瞬時に精度の高い計測結果の取得に貢献しています。

今回のような公的な大規模プロジェクトにおいても、当社の計測技術が活用され、社会の安全を実現する一助となっています。

環境・防災・エネルギー分野

環境・防災・エネルギー分野です。当社では、社会を形作るインフラ構造物の安全性確認のために、さまざまな重要構造物への計測を行っています。ダム、トンネル、橋梁など大型インフラ構造物の多くは、高度成長期に建設されたため、劣化に伴う安全性が懸念されています。

当社の計測技術によって、効率的で低コストな健全性モニタリングを行い、重要構造物の健全性を把握することで、災害を未然に防止するだけでなく、最適な維持管理計画によって長寿命化につながります。

環境・防災・エネルギー分野

再生可能エネルギー発電を含めた、エネルギー施設の維持管理への貢献についてご紹介します。水力発電はクリーンエネルギーとして評価されており、ダムの継続的な計測と、計測設備の更新が必要となります。

そのため、ダム堤体観測装置の需要は、今後も堅調に推移していくことが見込まれています。また近年、洋上風力発電に注目が集まっていますが、当社は風車タワーや基礎部の状態監視など、実証実験段階から健全性に関わる計測を実施しています。

このように、当たり前の日常を守るため、当社は計測技術でエネルギー施設の効率的な維持管理に貢献し、社会基盤を支えています。

研究開発について

当社の研究開発体制についてご説明します。当社では、さまざまな製品の開発設計に取り組んでいます。お客さまの多様なニーズに応えるべく、近年は外部の研究機関と連携した共同研究や、当社の保有する既存技術に囚われない新しい製品サービスの探索、将来の製品開発につながる新技術の探求を担当する部署を設置するなど、安心な未来作りに向けた体制を整備しています。

事例として、甲府共和電業内にコンパクトな半導体製造装置であるミニマルファブを導入し、MEMSセンサの研究開発を進めています。ひずみゲージ式とは異なる特徴のあるセンサを自社技術に取り込むことで、将来の事業に活用するための研究を行っています。

お客様事例紹介

当社の計測技術が活用されているお客さまの事例をご紹介します。民間のロケット開発会社であるインターステラテクノロジズ社です。地上設備の設計製造・整備を担当する方にインタビューを実施し、当社との関わり方や、インターステラ社の見据える未来についてうかがっています。詳しい内容は当社ホームページをご覧ください。

業績の推移

当社の経営状況についてご説明します。当社の業績の推移と今後の計画値についてです。当社はコロナ禍に伴う電子部品の供給遅延等もあり業績が低迷しましたが、回復基調にあります。長期目標として、2027年に売上高190億円、営業利益は利益率10パーセントである19億円の達成を目指しています。

株主還元について

株主還元についてご説明します。当社の配当方針は、株主のみなさまへの安定的かつ業績を反映した適正な利益還元を基本としています。

安定的な利益還元という面では、当社はリーマン・ショックやコロナ禍など、さまざまな経済環境の変化や逆風の中でも、1969年の株式上場以来、営業黒字を継続するとともに、この安定した業績により安定した配当を実施しています。

また、昨年より取り組んでいる中期経営計画では、2024年までの3年間について、配当性向50パーセント以上とすることを宣言しています。今期の配当についても、現時点では当初予定の1株当たり13円としていますが、通期の業績等を踏まえ、引き続き修正の要否を検討していきます。

今後も中間配当の導入や、そのほか株主還元策の検討を進めていきますので、当社株式の長期保有、新たな購入についてご検討いただけると幸いです。

持続可能な社会の実現を目指して

サステナビリティに向けた取り組みについてご説明します。当社グループは、CO2排出量削減に向けた計画を策定し、再生可能エネルギーへの転換や、省エネ対応生産設備の導入と、排出量削減に向けた各種施策の検討を進めており、2024年に46パーセントのCO2排出量削減目標の達成を目指しています。CO2排出量削減を早期に達成する事で、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

環境に配慮した経営の実現

当社では、環境に配慮した経営の実現に向けた施策の1つとして、主力生産子会社である山形共和電業の敷地内に、太陽光発電設備の導入を計画しています。2024年夏に稼働できる見通しです。

働きがい向上に向けた取り組み

経営ビジョンの実現と、社員の幸福感を向上させる取り組みとしては、働きがい向上に向けた部門横断型プロジェクト活動を立ち上げ、多様化した働き方への対応、社員の成長とリーダー育成について施策の検討を続けています。一部施策については、2024年からの運用を予定しています。

まとめ

今回の会社説明についてまとめます。はじめに、当社の強みについてです。当社は、ひずみゲージをコア技術とした計測機器の総合メーカーで、当社の計測技術は、広範囲の産業分野で使用され続けており、お客さまからの信頼を得ています。また、「共和電業にしかできない」とお客さまから期待を寄せられる、ニッチな計測ニーズへの対応力が当社の強みとなっています。

次に当社の事業についてです。社会基盤を支える幅広い産業のさまざまなお客さまニーズに応える事業を行っています。安心な社会の未来をつくるため、お客さまの研究開発や安全性の追求に貢献していきます。

続いて業績についてです。株式の上場以来、営業黒字を続ける安定した経営を実現しています。今後も成長に向けた積極的な事業投資や、生産工程の全体最適化・効率化を実行に移していくことで、収益力の向上を図っていきます。

最後に株主還元についてですが、安定した業績に基づく安定配当を実現しています。また近年は、自己株式取得や消却などの株主還元施策を実施し、株主価値向上に努めています。

以上で、私からのご説明を終わります。これからも企業価値向上に向け、引き続き取り組んでいきますので、何卒ご支援賜りますよう、よろしくお願いします。本日は、ご視聴ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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