アビスト、成長戦略である新領域の売上高が計画を上回って推移 第20期以降、再び成長軌道へ

投稿:2023/11/21 13:00

本日の内容

進顕氏:株式会社アビスト代表取締役社長の進顕です。ただいまより、2023年9月期決算についてご説明します。よろしくお願いします。

本日は、業績の状況、課題への対策と今後の成長戦略、株主還元方針の順にお話しします。

当社を取り巻く環境について

まず、業績の状況です。当社を取り巻く環境については、資源高、円安等を要因として国内物価が上昇していることに伴い、労働者の平均賃金が上昇しています。当社も今年は例年を上回る賃上げを実施しました。この傾向は今後も続くと見ています。

自動車業界では、過去最高の生産台数を更新する会社もあり、堅調に推移しています。研究開発も、脱炭素化に向けた世界的な流れが持続しており、新技術開発を中心に高水準を維持しています。

人材業界では、人手不足を背景に需要が堅調に推移しています。特にシステムソフトウエア開発分野において案件が増加しています。しかし、メーカーも含め、各社が採用者数を増加させており、人材獲得競争は激化しています。それに伴い、賃金は上昇傾向にあります。

2023年9月期は増収営業減益

2023年9月期通期の業績です。売上高は前年比プラス1.6パーセントの95億800万円、営業利益は前年比マイナス2.7パーセントの7億1,700万円となりました。また、経常利益は前年比マイナス12.9パーセントの7億2,800万円、当期純利益は前年比プラス96.7パーセントの7億1,600万円となりました。

計画(2023年5月公表値)と実績の差異

各項目の計画と実績の差異についてです。売上高は計画に対し3億6,700万円の未達となりました。これは、新卒及び経験者採用人数が計画を下回ったことと、2023年6月に発表した3Dプリント事業の撤退に伴い、受注ならびに売上が減少したことによるものです。

営業利益・経常利益については、売上高未達による利益減少分となっています。一方で、営業利益率は7.6パーセントと計画どおり推移しました。

当期純利益については、子会社合併に伴う法人税等の調整額によるものであり、一時的な要因です。

現時点で経営戦略上の課題を大きく2点認識しています。1点目は人材の確保です。人材の獲得競争激化もあり、新卒・経験者採用が計画を下回ったことが売上利益に大きく影響しています。

また、2点目は単価改善です。今期の利益率は計画どおり推移しましたが、今後は収益性低下が懸念されるため、対策が必要です。この課題の詳細と対策については後ほどご説明します。

中期経営計画における新領域の売上高は計画を上回る

第18期の全体の売上高は、計画を下回りました。しかしながら、中期経営計画で掲げた成長戦略である新領域の売上高は計画を上回り、順調に推移しました。

新卒を除く技術者稼働率は高稼働率を維持

技術者数と稼働率の推移です。新卒を除く稼働率は95パーセント以上と高水準を維持しています。第17期より、新卒技術者の研修内容の抜本的改革を行い、教育期間が長期化しています。技術力を高め、高難度案件に対応できるよう社内研修の充実に注力しています。

派遣・請負別売上高、一人月売上高の推移 -請負比率高水準を維持-

派遣・請負別売上高と一人月売上高の推移です。派遣においては、戦略的な人員配置転換により高稼働を維持しています。請負においては、案件に対する取引先の要求値が年々上昇する中、若手技術者を育成しながら取引先の要求値に応える組織体制の構築を進めています。

今期は受注案件を厳選したことから、請負の総売上高は減少しましたが、1人あたり売上高は74万7,000円と上昇しました。また、請負業務の売上高比率は、全体の57.2パーセントと引き続き高水準を維持しています。

経営戦略上の課題の整理

次に、課題への対策と今後の成長戦略についてお話しします。まず、経営戦略上の課題の整理です。当社は営業利益に焦点を当てた経営を推進しており、設計開発アウトソーシング事業において、売上高を「人員数」「稼働率」「単価」の要素に分解することができます。

また、売上原価の大部分は人件費です。売上高に関わる人員数は、新卒・経験者ともに採用計画を下回り、人材の確保が1つ目の課題となっています。単価については、教育による技術力向上に対して見合わない単価の案件や、物価および賃金上昇があります。したがって、単価の見直しが2つ目の課題となります。

その他の費用や販管費については、取引内容などの継続的な見直しや効率化等により削減を目指していきます。

課題①人材確保に向けた取組み

人材確保に向けた取り組みです。当社の人材採用の強みは、リクルーターが全国の学校を直接訪問し、強い関係性を築いていることです。当社の事業内容を理解している先生や学校から勧められることで、学生は安心して応募し、ミスマッチを減らすことができています。この強みをより活かすべく、専任のリクルーターの人員を2名から10名へ増員し、より多くの関係者と情報を共有していきます。

一方で、当社の人材採用の弱みは、まだ知名度が高くないためにWebでのPR力が弱く、インターネット経由の応募が少ないことです。この対策として、採用専門コンサルタントを活用し、ペルソナ設定やホームページの刷新、Web媒体の有効活用、求人票の見直しや露出強化を進めていきます。

加えて、協業による人材確保にも取り組みます。従来は案件に対して足りないリソースの分、パートナー企業から経験者を紹介していただいていましたが、今後は未経験者を含めて受け入れ枠を拡大し、当社教育プログラムの受講によりパートナー企業のレベルを押し上げて当社業務を請け負っていただく予定です。

これらの施策により、必要な人材確保を進めていきます。

課題②単価改善に向けた取り組み

続いて、単価改善に向けた取り組みです。技術力の高い技術者が低単価の案件に従事していることがあるため、営業力を高め、高難度案件の受注を増やして技術力に見合った単価を獲得できるようにします。

また、引き続き教育を充実させることで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。加えて、国内物価上昇率や賃金上昇率を踏まえ、都度単価の見直しを行います。

また、研究開発技術を活用し、AR/AIや設計ソリューションを外販することにより、収益化を目指します。さらに、設計効率化ツールなどの活用により、請負業務などの効率化を進めていきます。

従来は専門部署にて開発会議を実施していましたが、より詳細かつタイムリーな開発アイテムの選別やリソースの最適化を目的に、2023年11月より部門横断型の研究開発会議を発足しました。今後さらに開発スピードを加速させていきます。

その他:営業利益向上への取り組み

その他、営業利益向上への取り組みとして、営業利益の達成度に応じた業績連動賞与を導入しました。全社員の営業利益達成に向けて目標を共有していきます。また、事業ポートフォリオの見直しも進めており、3Dプリント事業を廃止し、より高付加価値なソリューション領域へ経営資源を集中させていきます。

中期経営計画の変更概要

以上のような当社の状況と課題の対策を踏まえ、2022年11月に開示した中期経営計画について、2024年9月期の売上高を3億円下方修正し、101億円としました。これは前期に採用人数が計画を下回ったためです。また、利益については、単価改善策を講じることで計画を維持します。

2024年9月期に各対策を推進することで、2025年以降の計画は当初のとおり変更せず、目標を達成していきます。

中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円

2020年以降、利益はほぼ横ばいにとどまっていますが、中期経営計画で掲げた取り組みと今回ご説明した対策を進めることで、第20期以降に再び成長軌道に乗せる計画です。

継続的・安定的な配当で株主還元

株主還元方針についてです。当社は、株主さまに対する利益還元を経営の重要課題の1つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。

配当政策については、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と、配当の安定的拡大を念頭に置き、財政状態および利益水準を勘案した上で、毎期配当性向35パーセント以上を配当していくことを原則としています。

なお、2023年9月期および2024年9月期は1株当たり102円の配当を計画しています。

アビストの株主優待制度

株主優待制度についてご説明します。株主さまからの日頃のご支援に感謝の気持ちを示すとともに、当社の事業についてより理解を深め、より多くの株主さまに株式を安定的に保有していただくことを目的として、株主優待制度を導入しています。

2023年9月末日の株主さまへは、アビスト・プレミアム優待倶楽部のポイントをスライドに記載のとおり進呈しました。また、2024年3月末日の株主さまへは「浸みわたる水素水」を贈呈する予定です。

以上、2023年9月期決算についてご説明させていただきました。ご視聴いただきありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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