【IRアナリストレポート】ワッツ（2735）

～ワッツブランドを軸に、次なる事業高度化へ～

【ポイント】
・前期は大幅減益となった。既存店が今一歩で、円安に対応した商品導入に時間を要し、買収店舗の効率化も途上であった。今2024年8月期も減益となろう。不採算店の整理やシステム関連の投資が負担となる。業績の回復は来期からになろう。

・円安の進行が響いている。100円ショップは、海外からの商品調達が圧倒的なので、1ドル140円台への対応には時間を要する。100円では提供できない商品も増加している。ワッツは均一価格を原則とするが、100円以外の高額商品で、顧客ニーズに合わせつつ、全体のバランスを図ろうとしている。

・高額商品の売上比率は、テナント店で上昇している。前期の4Qで15％まで上がっているが、今期は20％を超えてこよう。粗利益の改善に貢献するが、在庫の金額も増えるので、商品の回転率には十分注意する必要がある。

・プロダクトミックスで一定の粗利率を確保し、収益の下支えをしていくが、収益力の回復には時間を要しよう。今後、1）為替が安定し、2）100円という基準価格の変更が業界で目途が立ち、3）その上で、当社の100円ショップを中心としたハイブリット戦略が効果を上げてくれば、売上の拡大と粗利率のアップが見込めるようになろう。

・現在は、仕入れ商品の見直し、高価格商品へのシフト、グループ業態との連携、海外への卸売りなどによって、対応を進めている。音通から100円ショップ事業約140店（音通エフ・リテール）、年商80億円を買収した。2021年10月から連結に入っている。ロードサイド店の改修で、収益の貢献を高めようとしている。

・今後の経営方針は、1）円安対応の実行、2）委託販売の一段の強化、3）ファッション雑貨事業との連携、4）海外卸売の拡大継続にある。主力の100円ショップ業界は競争が激化しており、同質化すると下位は不利になる。10月よりスタンダード市場へ移行した。小回りの利く店舗展開で優位性を発揮しつつ、事業の高度化に着手している。その進捗に注目したい。

目次
1．特色　規模では業界4位ながら、小回りがきく存在
2．強み　迅速な出退店と独自の店舗オペレーションで収益を確保
3．中期経営方針　ワッツブランドをベースに高付加価値化を推進
4．当面の業績　円安への対応に向け、グループ連携を強化
5．企業評価　収益源の多様化に挑戦中

ワッツ <2735>

企業レーティング	.
株価 （2023年10月26日）	562円
時価総額	78億円 （13.898百万株）
PBR	0.63倍
ROE	2.3％
PER	28.0倍
配当利回り	2.7％
総資本	25489百万円
純資産	11964百万円
自己資本比率	46.9％
BPS	887.5円

（百万円、円）

決算期	売上高	営業利益	経常利益	当期純利益	EPS	配当
2014.8	43573	1784	1799	948	70.0	17.0
2015.8	44462	1257	1263	700	51.7	17.0
2016.8	46176	1205	1193	718	53.0	15.0
2017.8	47494	1209	1272	839	62.0	15.0
2018.8	49480	1000	1037	633	46.8	15.0
2019.8	51399	716	656	70	5.3	10.0
2020.8	52795	1768	1731	774	57.8	15.0
2021.8	50702	1669	1586	965	72.1	22.0
2022.8	58347	998	1148	781	57.8	15.0
2023.8	59309	621	648	250	18.5	15.0
2024.8（予）	59100	500	400	270	20.1	15.0
2025.8（予）	62000	900	850	390	29.0	15.0

（2023.8ベース）

（注）ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014.8期の配当は、1部への変更記念配2円、2015.8期の配当は創業20周年の記念配2円を含む。

企業レーティングの定義：当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A：良好である、B：一定の努力を要する、C：相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/waltutu202310.pdf

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