*15:28JST デイトナ Research Memo(8):2023年12月期は、インドネシア好調で周辺国への事業展開が視野に入る
■今後の見通し
1. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高13,894百万円(前期比4.7%減)、営業利益1,697百万円(同17.5%減)、経常利益1,729百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,151百万円(同19.7%減)を見込んでいる。昨年来、半導体不足による欠品や価格改定前の駆け込み需要対策として、流通各社は予備在庫を積み上げていたため、現在その調整圧力が強く、デイトナ<7228>への発注の動きは鈍い状態だ。また、円安によるコスト上昇も懸念されるため、期初には前期比で増収、増益を予想していたものの、2023年8月に減収減益に下方修正した。期初予想に対しては、売上高で6.7%減、営業利益で3.1%減、経常利益で3.0%減、親会社株主に帰属する当期純利益で4.6%減になった。同社では、流通各社の店舗における在庫調整は第3四半期まで続くと見込んでいるが、EC販売は堅調に推移しており、9月には国内売上全体が前年並みに戻ってきているため、やや固めの予想であると弊社では考えている。また、コロナ禍で増加したライダーに支持される新商品やリニューアル品を提供することで、シェアの拡大を目指す計画である。さらに、インドネシアにおける販売は好調に推移しており、今後はアジア周辺国への事業展開も視野に入れる方針だ。
新商品やリニューアル品の提供として、直近では駐車監視機能を装備したスマホで快適操作できる超小型ドライブレコーダー「Mio MiVue M820WD」を発売した。2023年8月「バイカーズパラダイス南箱根」において発表会を開催し、告知を徹底したうえで販売したところ、9月単月で1,500ユニットを売り上げた。また、6月より予約注文を開始し好調だったモトスマートモニターについては、仕様変更のため注文を一度キャンセルし発売を延期した。開発の最終段階で、電波法条文に対する総務省の解釈として、二輪車は「車」には含まれず、自動車で使用する周波数帯とは異なる周波数を使用する必要があるとの見解が示されたためだ。しかし、ユーザーからは引き続き多くの期待が寄せられている。その他、オーディーブレインが展開する「MaxFritz」ブランドのコンセプトを取り入れた、ライディングウェアなどの販売を強化している。2023年6月からはデイトナ本店に在庫を置き、アマゾンへの直販を開始した。品川から春日井までの間に取扱店舗がないため、デイトナ本店の近隣にできるライダーズカフェ内に店舗を構える計画も進んでいる。
また、2022年7月に新設した新規事業部では、キャンプ用品などアウトドア用品ラインナップの増強を進めるとともに、バイクライダー以外の顧客層確保を視野に入れた専用WEBサイトを立ち上げ、ECサイトやアウトドア専門ショップでの販売を展開している。2023年12月上期には、ブランド告知の意味も込めてクラウドファンディングを活用してキャンプ用テントを販売し、即完売となった。その後、新商品「ワンティピー」「マエヒロドーム」として一般販売を開始し、順調に推移している。
中期経営計画で目標として掲げる「二輪車アフターパーツ以外の事業領域強化」を推進中だ。流通店舗では棚の確保が難しい商品もECサイトでは販売が容易なため、現在、そうした商品について卸販売とEC販売における仕様や価格帯の棲み分けを模索しながらテスト販売を継続しており、今後のEC販売の拡大・強化が見込まれる。また、同社の商品企画や開発力には定評があり、業績に直結していることからも、今後の新商品及びリニューアル品に期待したい。
アジア拠点卸売事業は、インドネシアでの営業活動の管理徹底により販売網の整備が進み、2023年12月期は10億円以上の売上の見込みが立っている。そのため、アジア周辺国での事業展開が視野に入ってきた。アジアでの販売は補修などの部品販売が主体であるため、インドネシアや中国から商品の輸送が容易であり、倉庫などが確保できれば事業展開にはあまり時間を要しない。人口動態から考えて、アジアでの事業拡大が同社の成長エンジンとなっていくことは間違いないと、弊社では考えている。
小売事業は、来店客数が減少しており、コーティング加工の設備導入やショットブラスト※の請負など、サービス作業を充実させることで集客力及び客単価の向上を目指す。リユースWEB事業は堅調に推移しているが、依然として業者間取引比率が高く、直接仕入や直接販売の比率を高めることで利益改善を図る。
※金属などの加工物の表面に細かい砂や鋼製・鋳鉄製の小球を吹き付けて表面を粗く削る加工方法
2. 中期経営計画
同社は2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、3ヶ年(2023年12月期~2025年12月期)の中期経営計画を策定した。市場の変化に柔軟に対応できる「ファブレス型」メーカーの特徴を最大限活用し、既存の二輪事業で勝ち残り、事業の多角化や新事業へのチャレンジを継続することで、次の50年も発展し続ける企業を目指している。数値目標としては、2025年12月期連結売上高17,500百万円(単体売上高10,800百万円)、経常利益2,500百万円を掲げた。
経営方針としては、同社が属する二輪車関連市場の成熟化や衰退といった将来の経営リスクを考慮し、新規事業へのチャレンジ・事業化として新領域での事業展開やM&Aを推進する。二輪車アフターパーツ販売を除く事業領域において、売上構成比25%以上を確保し、2025年12月期には売上高1,300百万円以上の達成を目指す。また、国内市場での商品力・ブランド力を強化し、ユーザー支持率No.1ブランドとしての地位を確立するほか、インドネシアを中心とする海外市場への展開を進め、世界のバイクライダーに認知・支持されるブランド・グループを目指す。さらに、共感・相互成長が期待できる、同業のみならず異業種企業とのグループ化や資本業務提携等により、特に「趣味」の領域でシナジー効果を発揮し、連結売上高200億円以上を現実的に達成できる状態を目指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>
1. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高13,894百万円(前期比4.7%減)、営業利益1,697百万円(同17.5%減)、経常利益1,729百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,151百万円(同19.7%減)を見込んでいる。昨年来、半導体不足による欠品や価格改定前の駆け込み需要対策として、流通各社は予備在庫を積み上げていたため、現在その調整圧力が強く、デイトナ<7228>への発注の動きは鈍い状態だ。また、円安によるコスト上昇も懸念されるため、期初には前期比で増収、増益を予想していたものの、2023年8月に減収減益に下方修正した。期初予想に対しては、売上高で6.7%減、営業利益で3.1%減、経常利益で3.0%減、親会社株主に帰属する当期純利益で4.6%減になった。同社では、流通各社の店舗における在庫調整は第3四半期まで続くと見込んでいるが、EC販売は堅調に推移しており、9月には国内売上全体が前年並みに戻ってきているため、やや固めの予想であると弊社では考えている。また、コロナ禍で増加したライダーに支持される新商品やリニューアル品を提供することで、シェアの拡大を目指す計画である。さらに、インドネシアにおける販売は好調に推移しており、今後はアジア周辺国への事業展開も視野に入れる方針だ。
新商品やリニューアル品の提供として、直近では駐車監視機能を装備したスマホで快適操作できる超小型ドライブレコーダー「Mio MiVue M820WD」を発売した。2023年8月「バイカーズパラダイス南箱根」において発表会を開催し、告知を徹底したうえで販売したところ、9月単月で1,500ユニットを売り上げた。また、6月より予約注文を開始し好調だったモトスマートモニターについては、仕様変更のため注文を一度キャンセルし発売を延期した。開発の最終段階で、電波法条文に対する総務省の解釈として、二輪車は「車」には含まれず、自動車で使用する周波数帯とは異なる周波数を使用する必要があるとの見解が示されたためだ。しかし、ユーザーからは引き続き多くの期待が寄せられている。その他、オーディーブレインが展開する「MaxFritz」ブランドのコンセプトを取り入れた、ライディングウェアなどの販売を強化している。2023年6月からはデイトナ本店に在庫を置き、アマゾンへの直販を開始した。品川から春日井までの間に取扱店舗がないため、デイトナ本店の近隣にできるライダーズカフェ内に店舗を構える計画も進んでいる。
また、2022年7月に新設した新規事業部では、キャンプ用品などアウトドア用品ラインナップの増強を進めるとともに、バイクライダー以外の顧客層確保を視野に入れた専用WEBサイトを立ち上げ、ECサイトやアウトドア専門ショップでの販売を展開している。2023年12月上期には、ブランド告知の意味も込めてクラウドファンディングを活用してキャンプ用テントを販売し、即完売となった。その後、新商品「ワンティピー」「マエヒロドーム」として一般販売を開始し、順調に推移している。
中期経営計画で目標として掲げる「二輪車アフターパーツ以外の事業領域強化」を推進中だ。流通店舗では棚の確保が難しい商品もECサイトでは販売が容易なため、現在、そうした商品について卸販売とEC販売における仕様や価格帯の棲み分けを模索しながらテスト販売を継続しており、今後のEC販売の拡大・強化が見込まれる。また、同社の商品企画や開発力には定評があり、業績に直結していることからも、今後の新商品及びリニューアル品に期待したい。
アジア拠点卸売事業は、インドネシアでの営業活動の管理徹底により販売網の整備が進み、2023年12月期は10億円以上の売上の見込みが立っている。そのため、アジア周辺国での事業展開が視野に入ってきた。アジアでの販売は補修などの部品販売が主体であるため、インドネシアや中国から商品の輸送が容易であり、倉庫などが確保できれば事業展開にはあまり時間を要しない。人口動態から考えて、アジアでの事業拡大が同社の成長エンジンとなっていくことは間違いないと、弊社では考えている。
小売事業は、来店客数が減少しており、コーティング加工の設備導入やショットブラスト※の請負など、サービス作業を充実させることで集客力及び客単価の向上を目指す。リユースWEB事業は堅調に推移しているが、依然として業者間取引比率が高く、直接仕入や直接販売の比率を高めることで利益改善を図る。
※金属などの加工物の表面に細かい砂や鋼製・鋳鉄製の小球を吹き付けて表面を粗く削る加工方法
2. 中期経営計画
同社は2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、3ヶ年(2023年12月期~2025年12月期)の中期経営計画を策定した。市場の変化に柔軟に対応できる「ファブレス型」メーカーの特徴を最大限活用し、既存の二輪事業で勝ち残り、事業の多角化や新事業へのチャレンジを継続することで、次の50年も発展し続ける企業を目指している。数値目標としては、2025年12月期連結売上高17,500百万円(単体売上高10,800百万円)、経常利益2,500百万円を掲げた。
経営方針としては、同社が属する二輪車関連市場の成熟化や衰退といった将来の経営リスクを考慮し、新規事業へのチャレンジ・事業化として新領域での事業展開やM&Aを推進する。二輪車アフターパーツ販売を除く事業領域において、売上構成比25%以上を確保し、2025年12月期には売上高1,300百万円以上の達成を目指す。また、国内市場での商品力・ブランド力を強化し、ユーザー支持率No.1ブランドとしての地位を確立するほか、インドネシアを中心とする海外市場への展開を進め、世界のバイクライダーに認知・支持されるブランド・グループを目指す。さらに、共感・相互成長が期待できる、同業のみならず異業種企業とのグループ化や資本業務提携等により、特に「趣味」の領域でシナジー効果を発揮し、連結売上高200億円以上を現実的に達成できる状態を目指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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