*12:27JST SBSHD Research Memo(7):2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円を目指す(1)
■中期経営計画
SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指すべく、3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」を2023年12月期からスタートしている。
経営ビジョンとしては、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を目指す方針だ。
1. 経営数値目標
経営数値目標としては最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げている。3年間の年平均成長率(CAGR)は売上高で4.5%、営業利益で9.8%となる。2023年12月期は海上、航空運賃下落の影響で伸びがやや低くなるものの、2024年12月期より成長が加速する計画となっている。自己資本比率については、収益拡大に伴い2025年12月期末に30.0%(2022年12月期末は23.7%)を目指す。
事業セグメント別では、主力の物流事業を中心にすべての事業が拡大する見通し。物流事業は、後述する重点施策を推進することで売上高CAGR3.9%、営業利益CAGR10.7%を見込んでいる。セグメント利益率は2022年12月期の3.6%から2025年12月期は4.1%に上昇するが、主にはPMI効果が顕在化するSBSリコーロジスティクスやSBS東芝ロジスティクス、SBS古河物流などの向上を見込んでいる。差別化戦略として「LT×IT」の導入も積極的に進めていく方針だが、当面はトライアンドエラーを繰り返しながら運用ノウハウを蓄積する先行投資段階と位置付けており、導入効果が顕在化するのは早くても2025年12月期以降となる見通しだ。不動産事業は、物流施設の売却等により売上高CAGR23.8%、営業利益CAGR3.3%を見込んでいる。その他事業は、EC分野の拡大に伴いマーケティング事業が拡大する見通しで、売上高CAGR4.3%、営業利益CAGR29.1%を計画している。
また、3年間の投資計画は総額980億円(M&A含む)と、直近3年間の実績(550億円)から1.8倍に増額する。内訳は経常投資で160億円(直近3年間の実績は130億円)、戦略投資で820億円(同420億円)となる。戦略投資には物流施設の開発やLT×IT分野などへの投資が含まれる。また、M&Aについても大型案件を中心に継続して検討を進めており、2030年12月期には売上高7,000億円を見据えている。投資資金としては自己資金や借入金のほか、物流施設の早期流動化で賄うことになりそうだ。
2. 重点施策
(1) グループ総合力の強化(グループプラットフォーム戦略と各社の独自戦略)
a) 3PL事業
物流施設開発と組み合わせた独自のビジネスモデルを展開することで圧倒的な競争力を実現し、3PL事業で業界トップティアの地位を確固たるものとすることを目標に掲げている。積極的な人財投入により営業開発力を強化し、既存顧客との取引深耕だけでなく新規顧客並びに新規マーケットを積極的に開拓することで売上規模の拡大を図る。また、物流現場でのサービス提供に留まらず、経営目線でのロジスティックス戦略やスキームの提供など、高付加価値3PL(=4PL)を提案していく。高付加価値3PL(=4PL)の提案については、SBS東芝ロジスティクスのノウハウをグループで共有しながら展開する計画だ。
グループ各社の主な取り組み状況として、SBS東芝ロジスティクスでは営業開発本部を立ち上げにより、社内やグループ内の営業情報の共有促進と意思決定の迅速化が図られており、新規顧客の開拓が進むものと期待される。SBSフレックでは地域別、サービス領域別に組織を再編成し営業体制を強化した。SBS古河物流では国内外の新規営業部門を統合したほか、既存荷主のフォローアップ体制を整備した。
同社では新規開拓と既存深堀りの多面的な営業展開により、3PL事業の売上高を2025年12月期に2,560億円(2022年12月期は2,320億円)、物流事業に占める売上構成比で54.7%(同53.5%)を目指す。
b) EC物流
国内BtoCのEC物販市場は2021年の13.2兆円※から2030年には20兆円(年率4.6%成長)になると予想されており、同市場を積極的に取り込むことで、2030年12月期にグループのEC物流関連売上高を2022年12月期から1,000億円上乗せする目標(「EC1000」プロジェクト)を掲げている。
※出所:経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
顧客開拓にあたっては、スタートアップ企業からBtoB領域を含む大規模EC企業までを「テクノロジー」「インフラ」「マーケティング」の3つの視点からアプローチする。「テクノロジー」では、ITを活用し「業種×規模別」に分類定義した開発/連携方針に沿って、次世代ロボットを活用したハイレベルな設計による低コストで堅牢な物流サービスを提供する。「インフラ」では、EC分野を集約した戦略物流拠点の開設と、自社グループや協力企業を含めたラストワンマイルのネットワークの構築を目指す。「マーケティング」では、業界別に最適化されたプラットフォームと流通加工メニューを提供することで、幅広い顧客ニーズに対応する。
EC物流の拡大に向けて従来はグループ各社が個々に進めてきたEC物流を同社が一括して推進すべく、グループ横断型のプロジェクトチームを「Eコマース事業推進部」「グループ事業戦略部」に拡大し、グループ各社から上がってきたEC物流案件を受託していく体制を整えた。また、同社初となるEC専用大型物流拠点となる「野田瀬戸物流センター(仮称)」を2024年1月に稼働する予定となっている。同センター4万坪のうち1万坪をEC専用フロアとし、IT×LT技術力及びグループの運用ノウハウを結集して、高い生産性とフレキシビリティに富むサービスメニューを提供できる競争力の高い物流拠点にすることを目指している。なお、「野田瀬戸物流センター(仮称)」の残り3万坪は一般物流向けとなるが、現状70%程度まで荷主との契約が進んでおり、オープンまでに100%に近い水準での稼働を目指している。
EC物流の顧客ターゲットに関しては当面、中小EC事業者をターゲットに顧客を獲得し、運営ノウハウと競争力を強化して、大規模EC事業者を取り込んでいく戦略となっている。中小事業者の獲得に向けたプラットフォームとして、2023年1月にECビジネスのフルフィルメントサービスを提供する「EC物流お任せくん」を立ち上げた。順調に顧客獲得が進んでいると見られるが、中規模クラスの顧客開拓を進めるための施策として、各種プロモーション施策を展開していく予定にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
SBSホールディングス<2384>は「ロジスティクス×IT」で成長するメガベンチャーを標榜しており、業界トップティアの地位を確固たるものとし、あらゆる顧客の物流ニーズに応えるとともに、社会と共生し信頼される企業を目指すべく、3ヶ年の中期経営計画「SBS Next Stage 2025」を2023年12月期からスタートしている。
経営ビジョンとしては、1) サービスの提供を通じ顧客の価値創造へ貢献すること、2) 社会インフラとしてESGを重視し、すべてのステークホルダーに貢献すること、3) 継続的かつ業績に応じた利益還元を実施すること、の3点を掲げ、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を目指す方針だ。
1. 経営数値目標
経営数値目標としては最終年度となる2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円、営業利益率5.5%を掲げている。3年間の年平均成長率(CAGR)は売上高で4.5%、営業利益で9.8%となる。2023年12月期は海上、航空運賃下落の影響で伸びがやや低くなるものの、2024年12月期より成長が加速する計画となっている。自己資本比率については、収益拡大に伴い2025年12月期末に30.0%(2022年12月期末は23.7%)を目指す。
事業セグメント別では、主力の物流事業を中心にすべての事業が拡大する見通し。物流事業は、後述する重点施策を推進することで売上高CAGR3.9%、営業利益CAGR10.7%を見込んでいる。セグメント利益率は2022年12月期の3.6%から2025年12月期は4.1%に上昇するが、主にはPMI効果が顕在化するSBSリコーロジスティクスやSBS東芝ロジスティクス、SBS古河物流などの向上を見込んでいる。差別化戦略として「LT×IT」の導入も積極的に進めていく方針だが、当面はトライアンドエラーを繰り返しながら運用ノウハウを蓄積する先行投資段階と位置付けており、導入効果が顕在化するのは早くても2025年12月期以降となる見通しだ。不動産事業は、物流施設の売却等により売上高CAGR23.8%、営業利益CAGR3.3%を見込んでいる。その他事業は、EC分野の拡大に伴いマーケティング事業が拡大する見通しで、売上高CAGR4.3%、営業利益CAGR29.1%を計画している。
また、3年間の投資計画は総額980億円(M&A含む)と、直近3年間の実績(550億円)から1.8倍に増額する。内訳は経常投資で160億円(直近3年間の実績は130億円)、戦略投資で820億円(同420億円)となる。戦略投資には物流施設の開発やLT×IT分野などへの投資が含まれる。また、M&Aについても大型案件を中心に継続して検討を進めており、2030年12月期には売上高7,000億円を見据えている。投資資金としては自己資金や借入金のほか、物流施設の早期流動化で賄うことになりそうだ。
2. 重点施策
(1) グループ総合力の強化(グループプラットフォーム戦略と各社の独自戦略)
a) 3PL事業
物流施設開発と組み合わせた独自のビジネスモデルを展開することで圧倒的な競争力を実現し、3PL事業で業界トップティアの地位を確固たるものとすることを目標に掲げている。積極的な人財投入により営業開発力を強化し、既存顧客との取引深耕だけでなく新規顧客並びに新規マーケットを積極的に開拓することで売上規模の拡大を図る。また、物流現場でのサービス提供に留まらず、経営目線でのロジスティックス戦略やスキームの提供など、高付加価値3PL(=4PL)を提案していく。高付加価値3PL(=4PL)の提案については、SBS東芝ロジスティクスのノウハウをグループで共有しながら展開する計画だ。
グループ各社の主な取り組み状況として、SBS東芝ロジスティクスでは営業開発本部を立ち上げにより、社内やグループ内の営業情報の共有促進と意思決定の迅速化が図られており、新規顧客の開拓が進むものと期待される。SBSフレックでは地域別、サービス領域別に組織を再編成し営業体制を強化した。SBS古河物流では国内外の新規営業部門を統合したほか、既存荷主のフォローアップ体制を整備した。
同社では新規開拓と既存深堀りの多面的な営業展開により、3PL事業の売上高を2025年12月期に2,560億円(2022年12月期は2,320億円)、物流事業に占める売上構成比で54.7%(同53.5%)を目指す。
b) EC物流
国内BtoCのEC物販市場は2021年の13.2兆円※から2030年には20兆円(年率4.6%成長)になると予想されており、同市場を積極的に取り込むことで、2030年12月期にグループのEC物流関連売上高を2022年12月期から1,000億円上乗せする目標(「EC1000」プロジェクト)を掲げている。
※出所:経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
顧客開拓にあたっては、スタートアップ企業からBtoB領域を含む大規模EC企業までを「テクノロジー」「インフラ」「マーケティング」の3つの視点からアプローチする。「テクノロジー」では、ITを活用し「業種×規模別」に分類定義した開発/連携方針に沿って、次世代ロボットを活用したハイレベルな設計による低コストで堅牢な物流サービスを提供する。「インフラ」では、EC分野を集約した戦略物流拠点の開設と、自社グループや協力企業を含めたラストワンマイルのネットワークの構築を目指す。「マーケティング」では、業界別に最適化されたプラットフォームと流通加工メニューを提供することで、幅広い顧客ニーズに対応する。
EC物流の拡大に向けて従来はグループ各社が個々に進めてきたEC物流を同社が一括して推進すべく、グループ横断型のプロジェクトチームを「Eコマース事業推進部」「グループ事業戦略部」に拡大し、グループ各社から上がってきたEC物流案件を受託していく体制を整えた。また、同社初となるEC専用大型物流拠点となる「野田瀬戸物流センター(仮称)」を2024年1月に稼働する予定となっている。同センター4万坪のうち1万坪をEC専用フロアとし、IT×LT技術力及びグループの運用ノウハウを結集して、高い生産性とフレキシビリティに富むサービスメニューを提供できる競争力の高い物流拠点にすることを目指している。なお、「野田瀬戸物流センター(仮称)」の残り3万坪は一般物流向けとなるが、現状70%程度まで荷主との契約が進んでおり、オープンまでに100%に近い水準での稼働を目指している。
EC物流の顧客ターゲットに関しては当面、中小EC事業者をターゲットに顧客を獲得し、運営ノウハウと競争力を強化して、大規模EC事業者を取り込んでいく戦略となっている。中小事業者の獲得に向けたプラットフォームとして、2023年1月にECビジネスのフルフィルメントサービスを提供する「EC物流お任せくん」を立ち上げた。順調に顧客獲得が進んでいると見られるが、中規模クラスの顧客開拓を進めるための施策として、各種プロモーション施策を展開していく予定にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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