*15:08JST はてな Research Memo(8):2025年7月期以降は増収増益路線に復帰の見通し
■今後の見通し
2. 成長戦略
はてな<3930>は中期目標として、2026年7月期に売上高45億円を目指している。2024年7月期までを先行投資期間と位置付け、2025年7月期以降は投資効果が顕在化し、年率15%前後の売上成長を実現していく考えだ。2025年7月期以降は社員の増員ペースも緩やかなものとなり、人件費率やDC利用料率も増収効果で低下することで、利益面でも増益路線に転換する見通しだ。中期的には「GigaViewer」を中心としたテクノロジーソリューションサービスが成長エンジンとなり収益をけん引していくことが予想される。
(1) テクノロジーソリューションサービス
2026年7月期の売上目標は2023年7月期比1.5倍増の30億円強を目指す。「GigaViewer」を成長エンジンとして、年率15%超の成長を見込む。「GigaViewer」はWeb版の導入顧客に対して、アプリ版のリプレイスまたは新規アプリの導入を進める戦略だ。アプリ版はWeb版に対して課金率が高く、レベニューシェアによる売上も大きく伸びる可能性がある。現在、開発中の大型案件の完成にまずは注力し、その後にアプリ版の開発案件を広げていく戦略だ。リプレイス案件は新規案件と比べて開発期間が長くなる傾向にあるため、一気に受注件数を伸ばすことは難しいが、開発や運用保守のほか、広告運用・ポイント販売等のレベニューシェア型契約が増えることで、中期的に高成長が続くものと弊社では見ている。電子コミックの国内市場規模はここ数年、年率2ケタ成長を続け、2022年度には5,000億円を超える規模まで拡大した。今後は伸び率も1ケタ台後半に落ち着くことが予想されるが、市場規模は引き続き拡大基調にあり、同社にとってビジネスチャンスは大きいと言える。
一方、「Mackerel」については大手クラウドプラットフォーマー(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど)のサービスを活用している顧客が同社サービスを簡単に利用・運用しやすくなる「インテグレーション機能」の充実や販売パートナーの拡充に加えて、「次世代Mackerelアーキテクチャー」の開発や料金体系の見直しで顧客基盤を拡大する戦略となっている。
「次世代Mackerelアーキテクチャー」とは、サーバーのソフトウェアの状況等を監視するためのオープンソースによる標準化規格「OpenTelemetry※」に対応するためのプロジェクトで、1年半程度かけて各種機能の対応を進めていく予定だ。従来は独自規格であったため、容易に導入できなかった企業に対しても「OpenTelemetry」に対応することで導入が進みやすくなるといった効果が期待される。また、料金体系は従来、監視対象のホスト(サーバー)数に連動した課金体系であったが、料金が高くなりすぎるケースがあったため監視対象となるメトリック数(監視項目数)に連動した課金体系の導入を検討しており、これら取り組みによって顧客基盤の拡大を図っていく。早ければ2025年7月期にもこうした取り組みの成果が顕在化し、売上高も成長軌道に復帰することが期待される。
※OpenTelemetryとは、ソフトウェアのテレメトリーデータ(トレース、メトリック、ログ)を収集し、監視と分析のために遠隔地に送信するための標準化ツールで2021年にVer1.0が公開された。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスでは、ニーズが旺盛な人材採用関連市場への取り組みを強化し、採用目的オウンドメディアの運用件数を拡大していくほか、採用コンサルティングやオプションサービス(SNS広告運用、動画コンテンツ制作支援等)の提案強化に取り組むことで、メディア件数当たりの売上拡大を図っていく戦略で、2026年7月期の売上高で1,000百万円規模を目指す(2023年7月期は697百万円)。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、アドネットワーク広告単価の下落傾向が続くなか、記事コンテンツの有料販売サービスを育成していくことで売上高の回復に取り組む。2026年7月期の売上目標は、2023年7月期並みの水準(421百万円)を目指す。
(4) 新規事業
そのほか、既存の事業やサービスにかかわらず、新規事業の企画・開発にも着手する予定で、自社開発だけでなく他社との提携・資本出資も含めて幅広く検討していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長戦略
はてな<3930>は中期目標として、2026年7月期に売上高45億円を目指している。2024年7月期までを先行投資期間と位置付け、2025年7月期以降は投資効果が顕在化し、年率15%前後の売上成長を実現していく考えだ。2025年7月期以降は社員の増員ペースも緩やかなものとなり、人件費率やDC利用料率も増収効果で低下することで、利益面でも増益路線に転換する見通しだ。中期的には「GigaViewer」を中心としたテクノロジーソリューションサービスが成長エンジンとなり収益をけん引していくことが予想される。
(1) テクノロジーソリューションサービス
2026年7月期の売上目標は2023年7月期比1.5倍増の30億円強を目指す。「GigaViewer」を成長エンジンとして、年率15%超の成長を見込む。「GigaViewer」はWeb版の導入顧客に対して、アプリ版のリプレイスまたは新規アプリの導入を進める戦略だ。アプリ版はWeb版に対して課金率が高く、レベニューシェアによる売上も大きく伸びる可能性がある。現在、開発中の大型案件の完成にまずは注力し、その後にアプリ版の開発案件を広げていく戦略だ。リプレイス案件は新規案件と比べて開発期間が長くなる傾向にあるため、一気に受注件数を伸ばすことは難しいが、開発や運用保守のほか、広告運用・ポイント販売等のレベニューシェア型契約が増えることで、中期的に高成長が続くものと弊社では見ている。電子コミックの国内市場規模はここ数年、年率2ケタ成長を続け、2022年度には5,000億円を超える規模まで拡大した。今後は伸び率も1ケタ台後半に落ち着くことが予想されるが、市場規模は引き続き拡大基調にあり、同社にとってビジネスチャンスは大きいと言える。
一方、「Mackerel」については大手クラウドプラットフォーマー(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど)のサービスを活用している顧客が同社サービスを簡単に利用・運用しやすくなる「インテグレーション機能」の充実や販売パートナーの拡充に加えて、「次世代Mackerelアーキテクチャー」の開発や料金体系の見直しで顧客基盤を拡大する戦略となっている。
「次世代Mackerelアーキテクチャー」とは、サーバーのソフトウェアの状況等を監視するためのオープンソースによる標準化規格「OpenTelemetry※」に対応するためのプロジェクトで、1年半程度かけて各種機能の対応を進めていく予定だ。従来は独自規格であったため、容易に導入できなかった企業に対しても「OpenTelemetry」に対応することで導入が進みやすくなるといった効果が期待される。また、料金体系は従来、監視対象のホスト(サーバー)数に連動した課金体系であったが、料金が高くなりすぎるケースがあったため監視対象となるメトリック数(監視項目数)に連動した課金体系の導入を検討しており、これら取り組みによって顧客基盤の拡大を図っていく。早ければ2025年7月期にもこうした取り組みの成果が顕在化し、売上高も成長軌道に復帰することが期待される。
※OpenTelemetryとは、ソフトウェアのテレメトリーデータ(トレース、メトリック、ログ)を収集し、監視と分析のために遠隔地に送信するための標準化ツールで2021年にVer1.0が公開された。
(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスでは、ニーズが旺盛な人材採用関連市場への取り組みを強化し、採用目的オウンドメディアの運用件数を拡大していくほか、採用コンサルティングやオプションサービス(SNS広告運用、動画コンテンツ制作支援等)の提案強化に取り組むことで、メディア件数当たりの売上拡大を図っていく戦略で、2026年7月期の売上高で1,000百万円規模を目指す(2023年7月期は697百万円)。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、アドネットワーク広告単価の下落傾向が続くなか、記事コンテンツの有料販売サービスを育成していくことで売上高の回復に取り組む。2026年7月期の売上目標は、2023年7月期並みの水準(421百万円)を目指す。
(4) 新規事業
そのほか、既存の事業やサービスにかかわらず、新規事業の企画・開発にも着手する予定で、自社開発だけでなく他社との提携・資本出資も含めて幅広く検討していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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