【QAあり】ニチモウ、「浜から食卓まで」独自プラットフォームと豊富なノウハウで、国内外の水産業をトータルサポート
目次
八下田良知氏(以下、八下田):本日は、ご多用中のところご視聴いただき、誠にありがとうございます。私は、ニチモウ株式会社、取締役専務執行役員の八下田良知でございます。はじめての登壇で、お聞き苦しいところもあるかと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
始めに、ニチモウとはどんな会社かを端的に表現した動画をご覧ください。
ありがとうございました。それでは、本日の説明会はご覧の目次に沿ってご説明いたします。
ニチモウとは? 何の会社? 水産物と加工食品と野球ネット?
まず、「ニチモウ」が何をしている会社かをみなさまの身近な生活シーンからご紹介いたします。
先ほどの動画でもご覧いただきましたが、ニチモウが手掛けた養殖の「サーモン」は、大手すしチェーンなどで大変ご好評をいただいております。
次に、数多くのメジャーリーグの球場に採用されている防球ネットでございます。これは漁業用の網である「漁網」をニチモウ独自の技術を活かして陸上用に応用したもので、耐久性に優れたネットを、野球場やゴルフ練習場、遊具などさまざまな施設に提供しております。
次に、今では日本の食卓に欠かせない、冷凍ギョウザや、シュウマイ・春巻きなどの中華総菜でございます。ニチモウは食品メーカーに各種機械や製造ライン、トレー・包装資材など幅広い機資材を一括提供しております。また、現場のニーズに合わせて省人省力化に貢献しております。
最後に、今やニチモウを代表する商材である「カニ」でございます。担当者が直接検品した高品質な原料だけを買付けし、こだわりぬいたカニを提供していることから、大手カニ専門店や通販、ふるさと納税の返礼品など多くのお客さまから高い評価をいただいております。
これらはほんの一部で、まだまだ多くの商材がみなさまの生活に関わっております。では、いかにしてこのような幅広い事業を展開する会社になったのかご説明いたします。
ニチモウとは? 創立1919年、100年を超える水産業のビジネスサポーター
始めに会社概要ですが、ニチモウはスライドをご覧のとおり、創業は明治43年(1910年)で、創立は大正8年(1919年)と、100有余年の歴史を持つ、漁業・水産業を事業基盤とした水産専門商社でございます。
当社のDNAは、漁業・水産業に関して蓄積されたエンジニアリング力
100年以上続く歴史の始まりは、1919年8月17日、創業メンバーである林田甚八と岩本千代馬が、“日本一の漁網会社を目指す”という目標のもと、山口県下関市に漁網・漁具資材を提供する会社として発足いたしました。
「漁業・水産領域」から事業を派生的に拡大
当初は、日本一の漁網会社を目指して漁船に関わるすべての機資材を取り扱うことで事業を拡大してまいりました。この間に当社のコア事業である海洋事業から、新たに機械・資材・食品の各事業が派生し、1970年代に200カイリ規制が到来することに備え、事業の多角化が推進され、1972年に現在の社名である「ニチモウ」に商号変更し、その後は水産専門商社として発展してまいりました。
現在では、漁獲から加工・生産、そして流通・販売までトータルにサポートする体制を構築し、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」ニチモウグループを形成しております。
各事業がニーズに合わせて進化・領域拡大
続いて、各事業別の進化についてご説明いたします。
海洋事業は、起源である漁網・漁具の販売から、現在では、養殖に関連した機資材・生育管理・成魚販売までトータルにサポートして事業を展開しております。
食品事業は、当初はカマボコの原料である冷凍すり身の販売から、現在ではカニ・助子・サーモンなど幅広い水産物を取り扱うようになり、売上の60パーセント以上を占める主力事業であります。
機械事業では、当初の漁船向け食品加工ラインの納入から、現在では工場一括の総合エンジニアリング事業を展開し、資材事業につきましても、各種包装資材や衛生資材を提供する包括的なサービスを展開しております。
ビジネスモデル:水産業中心のプラットフォーマー
続きまして、当社のビジネスモデルと強みについてご説明いたします。
スライドのイメージ図からもおわかりのとおり、ニチモウの事業領域である漁業・水産業において、各事業が組み合わさり、連携することで川上である漁獲・養殖から加工・生産、そして川下である物流・販売まで、一貫してトータルにサポートする体制を構築し、お客さまのニーズに沿ったサービスの提供に努めております。
また、長年培った知識やノウハウとこれに応じた商材を提供できる存在、すなわちニチモウは「プラットフォーマー」であると考えております。
独自のプラットフォームを活用したビジネス例 ~養殖~
では、実際にプラットフォーマーとして、どのようなビジネスを行っているのか、ニチモウグループが注力している養殖事業をモデルにご説明いたします。
昨今の自然環境の変化や水産資源の減少などにより、安定生産が見込める養殖事業が注目を集めております。
しかしながら、新規参入のハードルは決して低くはありません。何をすべきか、何が必要でどこから調達すべきかなど、「何から手を付けてよいのかわからない」といった悩みを持たれる漁業関係者から、まずお声がけをいただくのがニチモウです。
ニチモウは養殖事業に携わって40年以上の経験から得た技術とノウハウをもとに、全国の漁業関係者から「とりあえずニチモウに聞いてみよう・ニチモウなら何とかしてくれるだろう」と寄せられる悩みにお応えしております。
また、漁業・水産業を支援する企業は多数ございますが、プライム市場に上場している水産系の企業は数える程度しかありません。この点も安心してお任せいただけるポイントであると考えております。
スライドでご説明いたしますと、まず、ご依頼をいただきましたら、すぐに担当者が現場に足を運んでお困りの点をうかがい、事業の確立から製造・販売までお手伝いいたします。具体的には、事前調査・計画立案から資材調達・試験操業、生育・出荷管理、そして製品の生産・販売まで、ニチモウグループの一貫した体制でトータルコーディネートいたします。
あくまでニチモウはエンジニアリング会社であるため、主体はお客さまであることも、競合他社と異なるポイントです。また、このような事業を通じて、漁業関係者の雇用の創出など、地域産業の活性化に貢献するサポーターとしての役割も担っております。
このビジネスモデルは、お客さま側からは、窓口が1つにまとまることによる簡便さや、グループ連携によるコストパフォーマンス、きめ細かなトータルサポートで安心してお任せいただける点でご好評いただいております。
以上が、ニチモウとは何をしている会社なのかというご説明でございました。
当社の特徴・強み
ここまでの説明を踏まえて、当社を一言で言い表すと将来性の高い水産・養殖業のノウハウをベースに独自のプラットフォームで水産業や食をトータルにサポートするエンジニアリング会社になります。
それを裏付ける3つの強みとして1つ目が、100年以上の歴史から蓄積された技術とノウハウを有していること、2つ目が、環境にやさしい水産業をエンジニアリングしていること、3つ目が、漁業・水産業から派生し、多角化した事業展開と当社独自のネットワークを確立していることです。この特徴を活かして、今後とも「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を合言葉にきめ細かな営業展開を図ってまいります。
2023年3月期決算:増収減益、期初計画は上回る
続きまして、前期決算と2024年3月期業績見通しおよび足元の動向についてご説明いたします。
まず、2023年3月期決算につきましては、スライドのとおり増収減益となりました。特に営業利益は28億円で前期比マイナスの10.2パーセントと、期中での水産物の相場下落や価格転嫁に対してタイムラグを生じた影響を受けて利益率が低下し、期初の計画は上回ったものの、減益となりました。
事業別業績:食品・海洋・機械・資材が4大事業
事業別の増減分析につきまして、主要事業である食品・海洋・機械・資材の売上高は、原材料価格の高騰の影響により、合計では二けた増収となりました。
一方、営業利益につきましては、養殖用資材の販売が順調に推移した海洋事業は増益でしたが、水産物の相場下落の影響を受けた食品事業、大型案件が一巡した機械事業、価格転嫁にタイムラグの影響を受けた資材事業がそれぞれ減益となりました。
2024年3月期の事業動向:事業環境は前期より良くなる見通し
次に、2024年3月期の業績見通しにつきましてご説明いたします。まず、本年の事業環境ですが、インフレ基調による原材料価格の高騰が継続していくものと予想されますが、それを上回るコロナ禍の収束による世界的な経済活動の本格化が、当社事業にとってプラスに働くものと見込んでおります。
スライドのマトリックスにあるとおり、期待できる要素として挙げている消費行動活発化、外食・インバウンド需要の回復、設備投資活発化、海外販売の拡大といったものは、主要事業にとってプラス効果が期待されます。
続いて、本中計で掲げた新規事業につきましても順調に進捗しており、北海道紋別市の二大製造拠点の内、本年4月からカニ・ホタテの製造会社として「オホーツクニチモウ」が始動し、すり身を製造する「ヤマイチ水産」には今期も積極的に設備投資を行い、さらなる安定供給体制を構築してまいります。
また、陸上・海面の両輪で展開する養殖事業においても収益の機会を捉えていきたいと考えております。
2024年3月期見通し:利益面での業績回復を見込む
これらの事業環境を踏まえて、2024年3月期の業績予想は、売上高は1,310億円で前期比3.3パーセント増、営業利益は31億円で前期比7.9パーセント増、経常利益は35億円で前期比8.7パーセント増、最終の当期純利益は25億円で前期比2.6パーセント増と、本中期経営計画の最終年度目標の近似値を見込んでおります。
2024年3月期見通し(事業別)
次に、事業別の業績予想ですが、中長期に向けた収益拡大の機会を捉えるべく、積極的に研究開発費用を投じるため、海洋事業のみが減益予想ではありますが、その他の事業は安定的な収益向上を見込んで増収増益予想といたしました。
2024年3月期1Q決算: 売上微増、減益だが期初計画への進捗は予定通り
次に、2024年3月期第1四半期の決算についてご説明いたします。売上高につきましては、食品事業の市況低迷、機械事業の海外案件での前期反動の影響などがありましたが、海洋事業の養殖関連需要が好調で、わずかながら増収となりました。
営業利益につきましては、海洋事業は増益でしたが、食品・機械・資材など、他の事業の原価上昇や市況低迷などの影響をカバーしきれず、減益となりました。
2024年3月期1Q決算:業績ハイライト
第1四半期の業績ハイライトですが、原価上昇等の影響で収益性は低下したものの、ほぼ想定の範囲内での決算でございました。
今後の見通しにつきましては、期初想定の前提条件とおり、新型コロナの5類引き下げや入国規制の緩和により、インバウンド需要など、消費行動の活発化による観光客向け外食・お土産用商材の販売増への期待感がございます。
また、主力の食品事業が売上のピークにあたる第3四半期の年末商戦に向けて、機を逃さず鋭意、営業活動に努めてまいります。
中期経営計画・基本方針(2023年3月期〜2025年3月期)
続きまして、第137期中期経営計画の進捗状況についてご説明いたします。
始めに本中計の基本構想についてですが、ニチモウの経営理念は、「会社は社会の公器であるとの精神に立ち、業界をリードする技術とサービスをもって広く社会の発展に貢献する」ことでございます。
この経営理念に則り、ニチモウ独自のビジネスプラットフォームである「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」ことで事業を拡大、新たな価値を創造し、豊かで健康な生活づくりに貢献することを経営方針としております。
SDGs 視点で水産中心に新規事業を展開
次に、本中計のテーマですが、主要4事業を中心に既存事業を維持・発展させ、事業基盤を固めながら、SDGs視点の新規事業を推進し、成長ドライバーへと育成することで、中長期経営目標の達成につなげていくことを掲げております。
この最大のテーマとしてSDGs視点の新規事業である「陸上養殖の事業化」ほか、三本柱の進捗についてご紹介いたします。
中計三本柱① 陸上養殖は初出荷に向けて最終準備段階へ
まず、1つ目の「陸上養殖の事業化」の進捗についてご紹介いたします。九州電力さまをはじめとした4社共同で「フィッシュファームみらい合同会社」がスタートして早1年以上が経過し、九州最大のサーモン陸上養殖場の一次工事は昨年末に完了いたしました。
3月には生産を開始したものの、濾過槽の調整に時間を要し、当初の出荷予定から若干の遅れは生じておりますが、現在では順調に生育中で、安定した通年出荷に向けて最終の準備段階となっております。
また、本年度から、将来的に生産規模を3,000トンに拡大するための事業計画について検討を開始いたしました。まもなく開始するサーモンの流通が、本事業を軌道に乗せるための大事な試金石となりますので、引き続き徹底した生産管理に努めてまいります。
中計三本柱② バイオマス漁網の実用化
次に、2つ目の「バイオマス漁網の実用化」の進捗についてご紹介いたします。ニチモウは次世代に、より良い環境を受け継ぐべく、バイオ・生分解性プラスチックを用いた海洋資材の研究開発に日々取り組んでおります。
その中でも、生分解性素材を用いた海洋資材として「土のう袋」は国交省の公共工事等の活用システム「ネティス」に登録され、本製品を利用することで、公共工事の入札時に利点があります。また、「生分解性のタコ壺」と「海藻使用のバイオマスロープ」は、漁獲・生育に優位性があることを確認しました。
このように、すでに実用化した商材を含めて、研究成果を積み重ね、引き続きお客さまのニーズに合わせた研究開発を進めてまいります。
中計三本柱③ 水産物加工の安定供給体制
最後に、3つ目の「水産物加工の安定供給体制の構築」の進捗についてご紹介いたします。ニチモウグループは、北海道の紋別市に水産加工の二大製造拠点を有しております。
まず、すり身を製造するヤマイチ水産は、昨年、最新鋭のすり身工場とフィッシュミール工場が本格的に稼働し、業績に大きく貢献しました。今期も10億円規模の設備投資を行い、さらなる省人省力化と生産力の強化を図ってまいります。
続いて、本年4月にカニ・ホタテの製造会社としてオホーツクニチモウが始動しました。製販一貫体制をとることで事務効率化を図るとともに、引き続き労働力の安定確保に向けて就労環境を整備してまいります。また、ふるさと納税の返礼品として、カニやホタテの納入など、地場に根付いた事業を展開し、地方創生にも貢献してまいります。
中期経営計画:KPI(2023年3月期~2025年3月期)
これらを踏まえた本中計のKPIです。2025年3月期の最終年度の目標値は、スライドをご覧のとおり、売上高で1,300億円、営業利益で33億円、経常利益で35億円でございます。今期の業績見通しは、この目標値の近似値を見込んでおり、前倒しで達成の可能性が視野に入ってきております。
今期は、この見通しに狂いが生じないよう業績管理を徹底し、中長期目標への布石を打っていきたいと考えております。また、進捗次第では、長期ビジョンである経営目標も視野にさらなる展開を図ってまいります。
設備投資計画の進捗:概ね計画どおりに進行中
次に、本中計で掲げた設備投資計画の進捗ですが、大きな進展といたしましては、③の「水産物加工の安定供給体制の構築」として、北海道紋別市にある二大製造子会社に対して、新工場の追加工事と寄宿舎の新設に14億6,000万円を投じました。
①の陸上養殖の事業化、②のバイオマス漁網の実用化、⑤のシステム費用などにつきましても、フェーズごとに進捗管理を行い、概ね計画どおりに進行しております。
今期につきましても、事業環境が好転することを見込んで積極的に投資を行ってまいりたいと考えております。また、第三者割当による第1回新株予約権は、本年6月23日にすべての行使が完了し、調達額は19億4,300万円となりました。調達した資金は、使途に沿って確実に実行してまいります。
収益構造:主力の食品事業・機械事業+αの海洋事業
続きまして、新たな可能性についてご説明いたします。
始めに、現在のニチモウの収益構造ですが、ここ近年、収益を着実に上げられる体制になった一番の要因は、主力の食品事業と機械事業の収益が安定的に成長していることです。また、資材事業も収益を底堅く下支えしております。
これに、本中計で掲げているサステナブル経営を推進していく上で欠かせないのが、当社のコア事業である「海洋事業」になります。従来の「漁船漁業」から「養殖漁業」へ転換する上でも、長年の技術とノウハウを有する海洋事業には秘めたるポテンシャルがあり、今後の収益性でも+αが期待できる事業です。
収益拡大の新たな可能性としては、ご覧のスライドのとおりになりますが、これらの取り組みが、食品・機械・資材の主要事業に対しても、収益での波及効果が期待でき、まさしく浜から食卓まで網羅し繋ぐ事業展開だと考えております。
トピックス① 養殖事業における協業エリアの拡大
まず、収益拡大の新たな可能性として、「養殖事業における協業エリアの拡大」についてご紹介いたします。現在、中期経営計画の三本柱として「陸上養殖の事業化」を推し進めておりますが、養殖事業に携わって40年以上の経験を活かして引き続き「海面養殖」にも注力しております。
スライドの左側が岩手県の久慈市漁協と連携して取り組んでいる「久慈育ち琥珀サーモン」のブランド展開です。昨年から本格出荷がスタートし、本年も4月に今シーズンの初水揚げが行われました。この取り組みは、食品事業とも連携して、東北における大手量販店や生協をはじめ、関東へも出荷、さらには大手回転寿司チェーンなどに販路を拡大し、全国へ展開していく予定です。
これに対してスライドの右側は、北海道で海面養殖をサポートする取り組みでございます。ここ近年の漁獲不振から天然魚が豊富な北海道でも海面養殖の機運が高まっております。各自治体や地元漁協と連携して、当社のこれまで培ってきた技術とノウハウをもとに、昨年からは釧路で、今年からは根室で、実証実験をサポートしております。
トピックス② 藻場造成への活用/ブルーカーボン事業への参画
次に、「藻場造成を活用したブルーカーボン事業への参画」についてご紹介いたします。当社が研究開発した生分解性のバイオマスロープが従来品のロープと比較して、海藻の生育に優位性があることが確認されました。
短期では藻場造成基質としてバイオマスロープを供給し、中長期では藻場造成などのコンサルティングを行い、最終的には藻場造成を活用してブルーカーボン事業に参画するといった壮大な取り組みをイメージしております。
試行錯誤にはなりますが、今までにない新たな収益の可能性を秘めており、段階を踏みながら本活動を推し進めてまいります。
配当金:2024年3月期 年間180円、配当性向30パーセントを前倒しへ
続きまして、株主還元・企業価値向上への取り組みと株価動向についてご説明します。
始めに配当政策ですが、本中期経営計画から段階的に配当性向30パーセントに引き上げ、株主還元の積極化を図ることを公表いたしました。
2024年3月期の配当予想につきましては、ここ近年の業績が安定したことに加えて、本中計で段階的に配当性向30パーセントに引き上げる目標を前倒しで実現すべく、年間配当金は前期実績より20円増配の1株当たり180円を予定しております。
なお、配当性向30パーセント達成後も当社の持続的な成長に合わせて累進配当政策を維持し、積極的な株主還元策を推し進めてまいります。
第1回新株予約権の行使完了
次に、2022年9月13日から行使を開始した第1回新株予約権は、本年6月23日にすべての行使が完了いたしました。
本行使は、株式の希薄化をともなうことから、当初2025年9月30日までの3年間を期限とし、株式市場への影響を配慮しながら時間をかけて進めていくスキームでございました。
ところが、行使開始後、株価は下落するどころか上昇傾向となり、想定を上回る調達額をもって9ヶ月強という異例の速さですべての行使を完了することができました。
本新株予約権の発行にあたり、サステナブル経営を推し進めるための資金使途に対して、株主のみなさまからご理解を得られた結果であるものと考えております。
株価動向:新株予約権行使を伴いながら堅調に推移
株価動向につきましても、先にご説明の希薄化を伴う新株予約権の行使を行いながらも堅調に推移し、8月25日現在の株価は3,945円で、流通株式時価総額は119億円となりました。ちょうど、東証の市場区分見直し前の株価から現在ではおかげさまで約2倍の水準まで上昇しております。
「資本コストや株価を意識した企業価値向上への取り組み」について
最後に、当社の喫緊の課題であるプライム市場への上場維持基準の適合状況でございますが、5月中旬頃から流通株式時価総額が100億円を突破し、現在においてもすべての項目で上場維持基準を超える状況を維持しております。
これもひとえに、業績が安定してきたこともさることながら、本説明会のように積極的なIR活動に注力したことで、投資家のみなさまに当社の事業内容や潜在的な成長性などをご理解いただけた結果であるものと感じております。
今後とも株主のみなさまにご評価いただけるよう、ニチモウの魅力を発信するとともに、成長のステージを引き上げ、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
ご参考 各事業の戦略など
参考資料として、各事業別の戦略などを添付しておりますのでご覧ください。
IRに関するお問い合わせ
本件に関するお問い合わせは、スライドに記載のIR担当までご連絡いただければと存じます。
以上で、ご説明を終了いたします。本説明会で当社の取り組みをご理解いただき、少しでも魅力を感じていただけましたら幸いです。
ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:中国の日本産水産物に対する禁輸措置について
司会者:「ALPS処理水の海洋放出にともなう、中国の日本産水産物に対する禁輸措置について、どのように見ていらっしゃいますか?」というご質問です。
八下田:先週の8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始され、その対抗措置として、中国による日本産水産物の禁輸措置が行われました。
中国にはホタテなどの水産物を納入しておりますが、当社の食品事業は、基本的に輸入水産物を国内に流通することを主としておりますので、現段階において業績に及ぼす影響は軽微でございます。ただし、海外に打って出ようとした矢先に、このような事態となったことは大変遺憾でなりません。
今回の問題に対して物申す立場にありませんが、我々は水産業のビジネスパートナーとして、漁業・水産業の関係者とこの難局を乗り切り、新鮮でおいしい水産物をみなさまの食卓にお届けすることを責務として、対応に努めてまいります。
質疑応答:海外展開の見通しについて
司会者:「海外への展開について、見通しを教えてください」というご質問です。
八下田:第137期中期経営計画において、海外売上比率20パーセントを目標に営業活動に努めております。前期はコロナ禍ではありましたが、主にアジア向けに食品の凍魚販売や機械の食品加工ラインの納入が進み、海外売上比率は16.9パーセントでございました。今後の海外展開への見通しは、コロナ禍収束による世界的なサービス活動が復調することを見込んでおり、特に期待できる事業は、海洋と機械でございます。
具体的な取り組みとして、海洋事業はニチモウグループで製造した高品質な漁網漁具を、アジアを中心に販売展開すること、機械事業はヘルシー志向による豆腐製造ラインや麺ブームによる中華総菜の機器類などを、コロナ禍以降できなかった北米やヨーロッパへの展示会に積極的に出展してアピールしております。
まだ内需型企業の側面はありますが、海外の新たなる航路を切り拓いてまいります。
質疑応答:株主優待制度について
司会者:「株主優待制度を導入する可能性はありますか?」というご質問です。
八下田:当社の利益配分は、株主への安定的な配当の維持を基本としながら、企業体質の一層の強化および将来の事業展開に備えるため、内部留保の充実を勘案し配分を決定することを基本方針としております。本方針のもと、今中計では段階的に配当性向30パーセントに引き上げることを目標に、積極的な株主還元策を図ってまいりました。
株主優待導入のご要望は、お問い合わせ等でよく承っておりますが、現時点におきましては、株主優待よりも配当で利益を分配することを優先しております。今後必要に応じて検討してまいりたいと考えております。現状ご理解のほどお願いいたします。
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