S&P500月例レポート(23年7月配信)<後編>

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インデックス・レビュー

◇S&P 500指数

 S&P500指数は7月に3.11%上昇して4588.96で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス3.21%)。6月は4450.38で終え、6.47%の上昇(同プラス6.61%)、5月は4179.83で終え、0.25%の上昇(同プラス0.43%)でした。過去3ヵ月では10.06%の上昇(同プラス10.51%)、年初来では19.52%の上昇(同プラス20.65%)、過去1年では11.11%の上昇(同プラス13.02%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年は26.89%の上昇(同プラス28.71%)、2020年は16.26%の上昇(同プラス18.40%)、2019年は28.88%の上昇(同プラス31.49%)、2018年は6.24%の下落(同マイナス4.38%)でした。2022年1月3日の高値からは4.33%の下落(同マイナス1.83%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは35.32%の上昇(同プラス43.06%)でした。

 7月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は6月の0.88%から再び0.68%に低下(5月は0.96%、4月は0.92%、3月は1.51%)、年初来では1.11%となりました。2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした。7月の出来高は、5月に前月比8%増加、6月に同4%増加した後、11%減少し(営業日数調整後)、前年同月比では9%の減少でした。2023年7月までの過去1年では前年比17%増加しました。2022年は同6%の増加でした。

 7月は20営業日中に前日比で1%以上変動した日はありませんでした。6月は1%以上変動した日数は21営業日中4日(上昇が4日、下落は0日)、2%以上変動した日はありませんでした(直近で1%以上下落したのは5月23日)。5月は1%以上変動した日数は22営業日中5日(上昇が3日、下落が2日)、2%以上変動した日はありませんでした。4月は1%以上変動した日数は19営業日中3日(上昇が2日、下落が1日)、2%以上変動した日はありませんでした。

 年初来では、1%以上変動した日数は124営業日中41日(上昇が25日、下落が16日)、2%以上変動した日数は2日(上昇が1日、下落が1日)でした。2022年は、1%以上変動した日数は122日(上昇が59日、下落が63日)、2%以上変動した日数は46日(上昇が23日、下落が23日)でした。2021年は、1%以上変動した日数は55日(上昇が34日、下落が21日)、2%以上変動した日数は7日(上昇が2日、下落が5日)でした。

 7月は20営業日中2日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動と3%以上の変動はありませんでした(6月は21営業日中5日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上と3%以上の変動はありませんでした)。年初来では1%以上の変動が68日、2%以上の変動が12日、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日、4%以上の変動が4日ありました。2021年は1%以上の変動が93日、3%以上の変動が3日ありました。

 7月は、6月と同様、11セクターが揃って上昇しました(5月は3セクター)。7月のパフォーマンスが最高だったのは7.28%上昇したエネルギーで、年初来では0.50%下落、2021年末比では58.25%の上昇でした。7月の騰落率2位となったコミュニケーション・サービスは6.74%上昇、年初来では44.72%上昇、2021年末比では13.77%の下落でした。金融は7月に4.70%上昇し、年初来でも上昇に転じて3.12%高となりましたが、2021年末比では9.62%下落しています。一般消費財セクターは7月に2.40%上昇し(年初来では35.51%上昇、2021年末比では15.41%下落)、生活必需品は1.99%上昇(年初来では1.95%上昇、2021年末比では1.28%下落)しました。情報技術は7月に2.63%上昇し、年初来では45.81%上昇(指数内で最高)、2021年末比では3.66%の上昇となりました。

 騰落率最下位となったのはヘルスケアで、7月は0.85%上昇、年初来では1.49%下落、2021年末比では4.99%の下落でした。不動産は7月に1.19%上昇、年初来では3.06%上昇でしたが、2021年末比では26.26%下落(指数内で最低)と、依然としてマイナスでした。

 市場の値上がり銘柄数は引き続き増えましたが、その牽引役が上位銘柄に偏っていることに変わりはなく、上位80銘柄を除外すると、S&P500指数の7月のトータルリターンはマイナスに転じます(6月の場合は44銘柄、5月の場合は8銘柄)。7月は値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は縮まりましたが、依然として値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。7月の値上がり銘柄数は362銘柄(平均上昇率は6.24%)で、6月は454銘柄(同8.90%)、5月は124銘柄(同7.13%)でした。10%以上上昇した銘柄数は77銘柄(同14.55%)で、6月は155銘柄(同16.00%)、5月は32銘柄(同16.55%)でした。25%以上上昇した銘柄は4銘柄(同32.83%)で、6月は10銘柄(同34.82%)、5月は3銘柄(同32.52%)でした。

 一方、7月の値下がり銘柄数は141銘柄(平均下落率は4.02%)で、6月は49銘柄(同3.83%)、5月は379銘柄(同7.63%)でした。7月は10%以上下落した銘柄数が12銘柄(同11.39%)で、6月は3銘柄(同12.97%)、5月は90銘柄(同15.20%)でした。25%以上下落した銘柄数は6月と同様ゼロで、5月は8銘柄(同29.62%)でした。

 過去3ヵ月間では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数の差が広がりました。値上がり銘柄数は340銘柄(平均上昇率は13.45%)と、6月末の304銘柄(同11.10%)と、5月末の173銘柄(同10.39%)から増加し、値下がり銘柄数は163銘柄(平均下落率は6.88%)と、6月末の199銘柄(同7.74%)、5月末の330銘柄(同11.39%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は190 銘柄(平均上昇率は19.99%)と、6月末の133銘柄(同19.25%)から増加し、10%以上下落した銘柄数は38銘柄(平均下落率は15.53%)と、6月末の58銘柄(同16.67%)から減少しました。過去3ヵ月間で25%以上上昇した銘柄数は36銘柄(6月末時点は27銘柄)で、3銘柄(同6銘柄)が25%以上下落しました。

 年初来でも、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差が広がりました。値上がり銘柄数は329銘柄(平均上昇率は22.23%)と、6月末の300銘柄(同20.92%)から増加しました。値下がり銘柄数は174銘柄(平均下落率は9.89%)と、6月末の203銘柄(同11.56%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は222銘柄(平均上昇率は30.28%)と、6月末の200銘柄(同29.02%)から増加し、10%以上下落した銘柄数は72銘柄(平均下落率は17.39%)と、6月末の92銘柄(同19.69%)から減少しました。年初来で25%以上上昇した銘柄数は98銘柄(6月末は88銘柄)で、9銘柄(同19銘柄)が25%以上下落しました。

 2022年通年では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数は139銘柄(平均上昇率は 22.21%)、値下がり銘柄数は 363銘柄(平均下落率は24.58%)でした。10%以上上昇した銘柄数は93銘柄(平均上昇率は30.94%)、10%以上下落した銘柄数は283銘柄(平均下落率は30.02%)でした。2022年通年で41銘柄が25%以上上昇し、162 銘柄が25%以上下落しました。

◇世界の株式市場:S&Pグローバル総合指数

 S&Pグローバル総合指数は、5月の1.45%下落、6月の5.64%上昇の後に、7月は3.72%上昇しました。グローバル市場は、5月は米国の0.25%上昇を除くと3.78%下落、6月は米国を除くと4.11%上昇となった後に、7月は米国の3.51%上昇を除くと4.03%の上昇となりました。グローバル市場は過去3ヵ月間では7.98%上昇、米国の10.74%上昇を除くと4.21%上昇、年初来では16.08%上昇、米国の19.35%上昇を除くと11.65%上昇しました(2022年通年では20.04%下落(11月末時点では16.82%下落)で、米国の20.73%下落(同15.66%下落)を除くと19.13%の下落(同18.48%下落)でした)。2023年7月までの過去1年間では10.37%上昇、米国の10.80%上昇を除くと9.74%上昇しています。より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。グローバル市場は過去2年間では3.90%下落しましたが、米国の0.89%上昇を除くと、10.24%の下落でした。過去3年間では27.51%上昇しましたが、米国の38.30%上昇を除くと、14.20%の上昇でした。2020年11月3日の米大統領選以降では、グローバル株式市場は23.33%上昇しましたが、米国の33.14%上昇を除くと11.09%の上昇でした。

 S&Pグローバル総合指数の時価総額は2023年7月に2兆6780億ドル増加し(6月は3兆7980億ドル増)、年初来では10兆2120億ドルの増加となって、総額は75兆9710億ドルとなりました。米国以外の市場の時価総額は7月に1兆1590億ドル増加し(同1兆1530億ドル増)、総額は30兆9950億ドルとなり、年初来では3兆1320億ドル増加した一方、米国市場の時価総額は7月に1兆5180億ドル増加し(同2兆6450億ドル増)、総額は44兆9750億ドルとなり、年初来では7兆800億ドル増加しました。2022年に、グローバル市場の時価総額は13兆3950億ドル減少し、米国以外の市場の時価総額は4兆2960億ドル減、米国市場の時価総額は9兆990億ドル減でした。

 セクター間のリターンのばらつきは縮小し、7月は6月と同様に全11セクターが上昇しました。5月は2セクターが上昇していました。7月のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、7.05%上昇)と最低のセクター(ヘルスケア、1.41%上昇)の騰落率の差は5.64%と、6月の7.45%、5月の18.59%から縮小しました。年初来でのパフォーマンスが最高のセクター(情報技術、39.79%上昇)と最低のセクター(公益事業、0.31%下落)の騰落率の差は40.10%となっています。2022年のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、28.08%上昇)と最低のセクター(コミュニケーション・サービス、36.30%下落)の騰落率の差は64.38%でした。

 新興国市場は5月の2.33%下落、6月の3.68%上昇の後に、7月に全体で5.56%上昇しました。新興国市場は過去3ヵ月間では6.90%上昇、年初来では8.69%上昇しています(2022年は20.46%の下落を記録)。過去1年間では5.88%上昇、過去2年間では15.41%下落、過去3年間では0.53%上昇となっています。7月は24市場中22市場が上昇し、6月の18市場、5月の6市場を上回りました。

 7月は(6月のパフォーマンスが最低だった)トルコのパフォーマンスが最も良く、20.49%上昇し、年初来では8.58%下落、過去1年間では82.76%上昇(過去2年間では15.41%下落)しました。2番目はパキスタンで7月は15.35%上昇し、年初来では8.72%下落、過去1年間では4.06%下落しました。3番目は南アフリカで7月は11.95%上昇し、年初来では2.12%上昇、過去1年間では2.93%の上昇でした。エジプトのパフォーマンスが最低となり、7月は0.61%下落し、年初来では3.73%下落、過去1年間では15.73%上昇しました。これに続いたのがハンガリーで7月は0.33%下落し、年初来では25.26%上昇、過去1年間では40.76%上昇しました。3番目は台湾で7月は0.72%上昇し、年初来では19.54%上昇、過去1年間では10.08%上昇しました。

 先進国市場は、5月の1.35%下落、6月の5.87%上昇の後に、7月に全体で3.51%上昇しました。先進国市場は米国を除くと、5月の4.26%下落、6月の4.26%上昇の後に、7月に3.52%上昇しました。7月は25市場全てが上昇し、6月と同数となり、5月の3市場を上回りました。先進国市場は過去3ヵ月間では、8.11%上昇、米国を除くと3.33%上昇しています。年初来では17.00%上昇し、米国を除くと12.69%の上昇です(2022年のリターンは20.55%の下落で、米国を除くと19.26%下落)。過去1年間では10.93%上昇、米国を除くと11.16%上昇、過去2年間では2.42%下落、米国を除くと8.34%下落、過去3年間では31.31%上昇、米国を除くと19.41%上昇しています。

 パフォーマンスが最も良かったのはノルウェーで7月は8.84%の上昇となり、年初来では1.06%下落、過去1年間では8.13%の下落でした。2番目はイスラエルで7月は8.05%上昇、年初来では4.66%上昇、過去1年間では7.41%下落しました。3番目はシンガポールで7月は7.66%上昇、年初来では7.68%上昇、過去1年間では8.11%上昇しました。

 パフォーマンスが最低だったのはデンマークで7月は0.48%上昇し、年初来では12.84%上昇、過去1年間では19.64%上昇しました。2番目はフィンランドで7月は0.55%上昇し、年初来では5.16%下落、過去1年間では1.42%下落しました。これに続いたのがポルトガルで7月は0.93%上昇し、年初来では3.08%上昇、過去1年間では2.17%上昇しました。

 注目すべき点として、英国は7月に3.63%上昇し、年初来では9.79%上昇、過去1年間では7.47%上昇しました。日本は7月に3.30%上昇、年初来では13.78%の上昇、過去1年間では12.06%の上昇となりました。ドイツは7月に3.23%上昇、年初来では17.47%の上昇、過去1年間では23.43%の上昇となりました。カナダは7月に3.20%上昇、年初来では9.83%の上昇、過去1年間では2.52%の上昇となりました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム