【IRアナリストレポート】フロイント産業(6312)

著者:鈴木 行生
投稿:2023/08/04 12:18

~医薬品製剤用機械で世界の先端を走り、高採算の医薬品添加剤も拡大~

【ポイント】
・今期の1Qは改善傾向にある。米国子会社フロイント‐ベクターは、新規受注について値上げを実施している。国内でも納期に合わせて、コストを見積り、価格に反映させている。機械部門の採算は今下期から来期にかけて逐次回復してこよう。

・国内の製剤機械の受注は引き続き好調である。大半が今期ではなく、来期以降の納入である。当社にとって、前期、今期の受注増は一時的なものではなく、今しばらく堅調な需要は続く見通しにあり、新製品のニーズも広がっている。

・フロイント‐ベクターは、ポストコロナ下でサプライチェーンがうまく回らず、前期は大幅赤字となったが、今期は採算重視の受注で黒字化を目指し、来期は収益性も戻ってこよう。

・また、イタリアの子会社コスメックで、前期に約9億円の減損損失が発生した。アジア、中東、中南米、アフリカを市場とする中、前期に黒字化は達成したが、のれん等の減損を余儀なくされた。しかし、コスメックの戦略上の重要性は何ら変わっていない。

・上海に合弁で技術開発研究所(上海FCセンター)を設立した。製剤機械と医薬品添加剤のラボは、この6月に開所した。今後日本からの輸出増が徐々に寄与してこよう。

・化成品部門は好調で、主力の医薬品添加剤は前年度比で採算も改善し、順調に伸びている。フル稼働が続いており、生産能力の増強が必要になっている。品質保持剤も生産効率が改善し、収益性が高まっている。

・中長期のビジョンとして、日米伊中印の5極体制で、新市場の開拓を進めている。人材の増強も急務で、海外人材や技術系の人材は継続的に採用していく方向にある。組織再編を踏まえ、今期中に次期の中期計画を策定する。

・当面の目標として、過去のピークである営業利益20億円への復帰が見えてくれば、PBR1.0倍をクリアしてこよう。

目次
1.特色 医薬品用製剤機械の独自開発で発展
2.強み 日本では圧倒的No.1、世界でも3強の1社
3.中期経営計画 M&Aや合弁の展開で海外市場の拡大が進展
4.当面の業績 好調な受注増は今2024年2月期の業績から貢献
5.企業評価 新市場の開拓に期待

フロイント産業 <6312>
企業レーティング
株価
(2023年8月3日)
663円
時価総額 122億円
(18.4百万株)
PBR 0.80倍
ROE 3.3%
PER 24.6倍
配当利回り 3.0%
総資産 22605百万円
純資産 13854百万円
自己資本比率 61.3%
BPS 827.4円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.2 17424 1150 1249 695 40.4 15.0
2016.2 19027 1346 1394 961 55.7 12.5
2017.2 21164 2041 2097 1064 61.7 20.0
2018.2 19801 1971 1994 1477 85.7 20.0
2019.2 18408 1223 1326 843 50.2 20.0
2020.2 16772 558 582 381 22.8 20.0
2021.2 16765 1111 1308 970 58.0 20.0
2022.2 17632 981 1032 543 32.5 20.0
2023.2 19658 451 559 -538 -32.2 20.0
2024.2(予) 20000 700 650 450 26.9 20.0
2025.2(予) 21500 1300 1250 860 51.3 20.0

(2023.5ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは2024.2期予想ベース。2009年6月に1:2、2016年2月に1:2の株式分割を実施。EPS、配当は修正ベース。2015.2期の配当は50周年記念配2.5円(修正ベース)、2017.2期の配当は上場20周年記念配5.0円を含む。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/furoinntosanngyou202308.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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