【QAあり】WOWOW、1Qは減収減益 スポーツ・音楽コンテンツ等が好評、新規加入・解約件数ともに前年同期と比べ良化
目次
田中晃氏(以下、田中):社長の田中でございます。ご説明の前に、先日リリースした個人情報漏えいについてお話しさせていただきます。
テレビデバイスを含むWebブラウザで「WOWOWオンデマンド」にログインした時に、同時ログインした別のお客さまがいた場合、不具合が発生するという事象が起きました。同時ログインは1,000分の1秒単位で生じるもので、スマートフォンやタブレットでは発生していません。
ある方の契約情報が別の方に紐づき、結果としてコンテンツを視聴できなかったり、別の方の視聴履歴が見られたり、意図しない契約変更がなされるということが発生しました。お客さまには大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
ただし、氏名・住所・連絡先などの個人を特定できる情報は漏えいしていません。現在、原因を特定して対策を講じ、安全に運用しています。また、対象の可能性のあるお客さまにはメールをお送りし、個別に対応させていただいています。
そのような意味で、まだ対応は進行中です。あらためて、ご迷惑・ご心配をおかけしたお客さまにお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
2023年度第1四半期決算 ハイライト①
第1四半期決算のハイライトをご説明します。2023年度第1四半期の新規加入数は15万8,000件、解約件数は20万5,000件、正味加入件数は4万7,000件の純減となりました。
第1四半期は、サッカー・テニスなどのスポーツコンテンツや、Stray Kids、東方神起などの音楽ライブが好評でした。そちらに加えて、今期強化しているデジタルマーケティング施策が功を奏し、新規加入・解約件数とも前年同期と比べると良化しています。
第1四半期時点で正味加入件数はマイナスですが、2023年度正味加入件数プラスマイナスゼロの計画に変更はありません。
2023年度第1四半期決算 ハイライト②
収支のハイライトです。売上高は、前年同期と比べて会員収入が減少したことなどにより減収となりました。経常利益については為替差損益が改善したものの、売上高の減少による利益減の影響などにより減益となりました。数字の詳細は、経営戦略統括の山本からご説明します。
2023年度第1四半期決算 加入状況
山本均氏(以下、山本):2023年度第1四半期の新規加入件数は15万8,000件で、前年同期と比べて2万5,000件増加しました。解約件数は20万5,000件で、前年同期に比べて2,000件減少しました。新規加入・解約とも、前年同期に比べて改善しています。
結果として正味加入件数は4万7,000件の純減となりましたが、前年同期と比べて2万6,000件の良化となりました。また、累計正味加入件数は251万3,000件で、前年同期に比べ9万4,000件の減少となりました。
2023年度第1四半期決算 収支状況(連結)
連結の収支状況です。前年同期と比べて減収減益となりました。売上高は183億1,400万円で、10億2,200万円の減収です。経常利益は7億3,200万円で、3億7,900万円の減益となりました。
第1四半期時点で各利益は第2四半期の予想数値を超過していますが、こちらは番組費の期ズレの影響等によるものです。第2四半期以降に費用を投下する予定のため、計画に変更はありません。
セグメント別連結売上高/営業利益対比
セグメント別の状況です。メディア・コンテンツセグメントは、主にお客さまからの視聴料である会員収入が売上高の多くを占めています。会員収入が前年同期と比べて7億5,700万円減少となったことなどから、売上高は8億3,300万円の減収となりました。営業利益は、売上高の減少等により6億7,100万円の減益となりました。
テレマーケティングセグメントは、連結子会社のWOWOWコミュニケーションズの事業です。外部顧客からのテレマーケティング業務が減少したことなどにより、売上高は前年同期と比べて1億8,800万円の減収となりました。営業利益は、外部売上高の減少に伴い9,300万円の減益となりました。
連結経常利益 前年同期との差異要因
連結経常利益の差異要因です。スライドの左側には利益の増加要因を、右側には減少要因を記載しています。増加要因としては、為替差損益が前年同期と比べて3億2,800万円改善しました。
前年同期は急激に円安に振れたため、すでに計上していた外貨建て買掛金の評価損が発生し、為替差損を計上しましたが、第1四半期は為替差益の計上となっています。広告宣伝費は、前年同期と比べて1億9,900万円減少しました。こちらは主にテレビCMの減少によるものです。その他は、販売促進費などの減少が主な理由です。
減少要因としては、会員収入が7億5,700万円減少しました。番組費は、2億5,900万円増加しています。
番組費の推移
番組費の推移です。第1四半期は、ハリウッドメジャー映画のヒット作を多く放送・配信したことなどにより、番組費は前年同期と比べて2億5,900万円増加しました。
2023年度 加入計画(2023年5月15日公表値)
2023年度の加入計画です。正味加入件数はプラスマイナスゼロで、累計正味加入件数は256万件と、5月の公表値から変更はありません。
第1四半期時点で正味加入件数はマイナス4万7,000件ですが、サッカーや音楽コンテンツの終了による解約がある程度発生することは想定していました。今後、2023年9月にUEFAチャンピオンズリーグの新シーズン等が開始されることなどにより、解約されたお客さまが徐々に戻ると見込んでいます。
2023年度 収支計画(連結)(2023年5月15日公表値)
2023年度の収支計画です。こちらも5月の公表値から変更はありません。連結売上高は、イベント事業などのその他収入による増加を見込むものの、会員収入の減少などにより、前期と比べて減収となる見込みです。経常利益は、売上高の減少による利益減の影響などにより、前期と比べて減益となる見込みです。
2023年度 配当計画(2023年5月15日公表値)
2023年度の配当計画についても、5月の公表値から変更はありません。1株当たりの配当は30円を計画しています。
今期以降、会員ビジネスを再び成長軌道に乗せるため、コンテンツの強化を行います。また、会員事業を高度化するためのシステムへの投資や、今後の成長に向けたさまざまな新規事業開発への投資など、将来の成長に向けた取り組みを進めるために、減配の計画としました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
全米オープンテニス 錦織選手が出場予定
田代秀樹氏:コンテンツクリエイティブ統括の田代です。今後の注目番組について私からご説明します。今期は、お客さまにWOWOWを意識していただけるように、四半期ごとに世の中の注目を集める独自コンテンツをラインナップしています。
独占生中継を行う全米オープンテニスには、1年8ヶ月ぶりに復帰し、2023年6月の男子テニスチャレンジャーATP プエルトリコでいきなり優勝を飾った錦織選手が出場予定です。錦織選手は現在、ATP250(アトランタ・オープン)に出場中で、本日2回戦を突破して準々決勝に進みました。今後の全米での雄姿に期待が高まります。さらに、2023年の全豪オープンテニス、全仏オープンテニスで、ベスト16に進出した西岡選手の活躍も楽しみです。
また、数多くの日本代表選手の出場が期待できるUEFAチャンピオンズリーグと、UEFAヨーロッパリーグを今シーズンも放送・配信します。レアル・ソシアダの久保選手は、初めてのチャンピオンズリーグ出場となります。
また、冨安選手が所属するアーセナル、古橋選手や前田大然選手などが所属するセルティックがチャンピオンズリーグ出場を決めており、ヨーロッパリーグでは三苫選手が所属するブライトンや、堂安選手が所属するフライブルクも出場します。
チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグをあわせて11人の日本人選手が出場する予定です。
SUMMER SONIC 2023を独占ライブ配信
今期はWOWOWオンデマンドの強化を実施しています。日本を代表する都市型フェスSUMMER SONICを、2022年に続きWOWOWで独占ライブ配信します。海外からBLUR、Liam Gallagher、日本からは[Alexandros]、YOASOBIなどのトップアーティストが出演します。
さらにSUMMER SONIC前夜に開催されるオールナイトフェス、SONICMANIAもあわせて、8月18日から20日までの3日間、オフィシャルTVのWOWOWが熱いステージをライブ配信しますので、ご期待ください。
マーケティング施策について
横山誠一氏:メディア事業統括の横山です。マーケティング施策についてご説明します。2023年6月からウェブでの加入手続きがシンプルになり、興味喚起から契約完了までスムーズに行えるようになりました。
また、今期の戦略として、デジタルマーケティングの領域を強化し、WOWOWならではのコンテンツを多くの方に知っていただく取り組みをしていきます。例えば、Googleとの連携によるサッカー、テニス、ゴルフといったスポーツコンテンツのハイライト配信です。
そのほか、「WOWOWオンデマンド」にIDパスワード・ログイン不要の無料領域を設置し、全仏オープンテニスやウィンブルドンテニス、LPGA女子ゴルフツアーの初日・2日目等のスポーツコンテンツの無料配信を実施しました。「連続ドラマW フィクサー」は、シーズン2のスタートにあわせてシーズン1を全話無料配信し、非常に多くの方に観ていただいた結果、加入につながっています。
また、会員メリットの創出にも取り組んでいます。2023年6月には東方神起、7月には藤井フミヤのライブツアーにおけるライブ観覧や、リハーサル見学へのご招待を実施しました。先日のセルティックFC・ジャパンツアーでは、トレーニングセッションやエスコートキッズへのご招待など、普通では見たり体験したりできないプレミアムな時間を提供しました。今後もこのような体験価値の提供を継続していきます。
さらに、ユナイテッド・シネマと提携し、WOWOWの会員であれば、全国のユナイテッド・シネマでの映画鑑賞が割引となる施策を期間限定で実施しています。
イベント・映画事業について
井原多美氏:事業統括担当の井原です。イベント・映画事業、および投資実績についてご説明します。
収益拡大に向けたイベント・映画事業における取り組みです。2022年7月に開催予定だった「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ feat.アラン・メンケン」の延期公演が、ついに来月開催できることとなりました。ご好評いただき、3公演ともすでに完売しています。
さらに、2022年にWOWOWで放送・配信したオリジナルライブ番組「優しいスピッツ a secret session in Obihiro」を劇場版として再構成し、6月2日より全国の映画館で公開しています。こちらも大変ご好評をいただいており、館数を拡大しながら、またスピッツのライブのスケジュールとあわせながら現在も上映し、収益に貢献しています。
投資実績について①
当社は新たな収益機会の創出を加速すべく、既存事業の強化や新規事業の創出の手段として、国内外の企業やベンチャーファンド等を対象とした投資を進めています。
2023年7月には、3D実写映像をベースとしたVR/XRコンテンツの配信プラットフォーム事業を手掛ける株式会社アルファコードと資本業務提携を実施し、VR/XR市場に参入しました。今後、VR/XR市場はコンテンツ制作において幅広い表現方法が可能であることや、ヘッドマウントディスプレイ等の進化に伴い、めざましい成長が予測される有望な市場であると考えています。
さらに、オンラインライブ、およびファンエンゲージメントの領域で事業を展開するZAIKO PTE. LTD.と資本業務提携を実施しました。
音楽やステージ、スポーツといった幅広いライブエンターテインメントを提供する当社と、イベント、動画配信、eコマース、ファンクラブ、NFT(非代替性トークン)など幅広いプロダクトやサービスを持つZAIKOグループとの協業により、ライブ配信イベントのみならず、クリエイターやアーティスト、アスリートとファンをつなぐさまざまなサービスを今後提供していきます。
7月26日にはMR.BIGの日本武道館公演を当社で生中継しましたが、同時にZAIKOのプラットフォームを活用し、同公演を配信しました。
投資実績について②
2023年3月に資本業務提携を行った株式会社PLAYと、共同出資で2023年6月に「株式会社WOWOWクロスプレイ」を設立しました。本合弁会社の設立を通じて、双方のグループリソースを統合的に活用し、放送におけるDXを推進するとともに、コンテンツ配信における新たな価値創造を目指します。
また、株式会社サムライインキュベートが組成したファンドにLP出資しました。エンターテインメントの領域と親和性のある本ファンドへの出資を行うことで、グループの中長期的な成長に資する協業先の開拓や投資の知見の獲得などを目指します。
当社はこれらの投資の実行により、中期経営計画で掲げたWOWOWの世界観「コンテンツのことがもっと好きになる。毎日の生活がもっと楽しくなる。人生がもっと豊かになる。」の実現を目指します。
質疑応答:今期第1四半期の実績について
質問者:今期第1四半期の実績について、番組費のズレで少し乖離が生じているというご説明でしたが、理由としては何がどれくらい出ているのでしょうか? ほかにも御社の想定と違った動きや着地をした部分があれば教えてください。
山本:第1四半期は、主に音楽案件の期ズレの影響により、利益が計画と比べ超過していますが、第2四半期以降に費用投下する予定です。前年同期より多めに番組費を使っていますが、年間トータルでは予算どおりの進行を考えています。番組がオーバー気味に入っているわけではなく、予定どおりの進捗です。
質疑応答:今期の見通しについて
質問者:第1四半期の実績を踏まえ、今期の事業計画を見ると第2四半期が赤字になった上で、下期に大きく業績が改善するような想定に見えます。この赤字の背景と、下期以降の業績の牽引についてどのような前提で考えているか教えてください。
山本:上期・下期と分けて当期の計画をご説明します。会員収入は今期減少する見込みであるものの、下期に「その他事業収入」において、大型案件の計上を予定しています。また、利益面においては、上期は下期と比べ、大型アーティストの音楽ライブや大型オリジナルドラマの放送・配信を行うこと等により、費用が下期よりも発生する見通しとなります。期ズレはあったものの、2023年9月からUEFAチャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグが始まると、冬にかけて加入者を取り戻していくため、年間を通しては計画どおりの進捗を見込んでいる状況です。
田中氏からのご挨拶
田中:ご参加ありがとうございました。本日は今後のコンテンツ、マーケティング施策に加え、新しい事業開発投資についてもご報告させていただきました。
当社の事業の柱である放送・配信において、年度末の会員数の純増減プラスマイナスゼロを目標に、引き続き全力を注いでいきます。また、お客さまの満足度向上と収益源の多様化を目指して、ご説明したような積極的な事業投資に今後も取り組んでいきたいと思っています。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
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