*12:47JST ムサシ Research Memo(7):選挙サイクルに左右されない分野を一段と強化し、収益基盤のさらなる安定化を図る
■ムサシ<7521>の中長期成長戦略
選挙関連ビジネスを中心に既存事業を伸ばすことに注力するのは言うまでもないが、今後は特にメディアコンバート事業、業務用ろ過フィルター事業、印刷システム機材、金融・汎用システム機材、選挙システム機材の5分野に注力して業績を伸ばす方針だ。これら事業の進捗状況は以下のようになっている。
1. メディアコンバート事業
以下のような要因で、需要サイドからもメディアコンバート事業の拡大が期待できる。
(1) 民間企業の需要
民間企業では、コロナ禍の影響で在宅勤務が急増し、テレワークへの移行が進んだ。テレワークの環境整備が進むにつれて、文書や資料の電子化需要が拡大したが、アフターコロナでもこの流れは継続している。さらに以下のような法的整備の面からも、文書のデジタル化は必須となってくる。同社ではこれらの需要を取り込むべく、営業活動を強化している。
a) 業務効率向上のためのIT化進展=財務・税務書類:電子化文書で保存可能
b) 「e-文書法」施行
c) 企業改革法(日本版SOX法)、個人情報保護法の施行:文書管理の強化
d) マイナンバー制度の運用
(2) 官公庁・自治体の需要
また、官公庁・自治体市場においても、「デジタル庁」の新設など政府が行政のデジタル化に向けて積極的な取り組みを進めており、文書や図面、資料などの電子化需要の拡大が見込まれている。政府の発表では、2026年度を目途に公文書の管理は全面的に電子化する目標となっている。実際には、官公庁や各自治体の職員が作成する文書はほぼ紙のため、そのまま紙で保存されているが、それらを電子化することで、分類や整理をする手間が大幅に省けるようになるため、大きなメリットがある。よって、行政のデジタル化推進のため、文書などの電子化に対しては優先的な予算が見込まれており、同社としても積極的に営業活動を展開する計画だ。
また民間・官公庁・自治体に共通した流れとして、「働き方改革」によってオフィス移転が増加している。これに併せて、保管文書の電子化需要が拡大しており、これも同社のメディアコンバート事業にとっては追い風だ。
2. 業務用ろ過フィルター事業
同社は、富士フイルムの業務用ろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業を展開している。
富士フイルムのミクロフィルターはこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。同社の事業は2018年1月にスタートし順調に拡大してきた。残念ながら2021年3月期にはコロナ禍の影響により売上高は落ち込んだが、2022年3月期の売上高は、647百万円(前期比20.0%増)と回復し、2023年3月期は698百万円(同7.9%増)となった。さらに2024年3月期は730百万円(同4.6%増)と固めの予想となっている。需要がこれまでの食品・飲料向け中心から、半導体向けなどのエレクトロニクス業界向けに広がりつつあるのは注目に値する。
3. 印刷システム機材:多目的インクジェットプリンター
同社が販売する「多目的インクジェットプリンター」は、プリンターヘッドの高さが自動で調整されることで、さまざまな厚みに対応し、多種多様な材料に出力が可能である。具体的には、段ボール素材、紙袋、和紙、不織布、木箱など様々な素材や高さがある成型済み素材への印刷が可能となった。ブランドオーナー向けの次世代プリントソリューションとして多くの需要が期待できる。
4. 金融・汎用システム機材:新紙幣への対応
日本では、2024年上半期に新紙幣が発行される予定となっており、これに伴い足元では貨幣処理機器の買い控えが起きているが、2023年後半からは関連製品の更新需要が出てくる見込みだ。金融市場だけでなく、流通・小売市場も対象になるので、同社では関連製品の開発を進めている。さらに、各種製品の更新需要だけでなく、関連したソフトウェアの変更に伴う保守売上の増加も期待できる。
5. 選挙システム機材
選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では依然として“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているからだ。事実、2022年3月期の選挙システム機材の売上高(単体ベース)は過去最高となった。
また同社では現在、選挙関連の売上高の平準化を図るべく「業務管理ソフト」の開発を進めている。これは、デジタル庁が推進しているDXに伴い、総務省などが進めている自治体情報システムの統一・標準化に準拠したものだ。これにより、住民基本台帳関連業務の4システム(名簿管理システム、期日前投票システム、当日投票システム、在外投票システム)が標準化される。同社では、この業務管理システムをクラウド(月額課金方式)で各自治体へ提供する計画で、これにより選挙のない期間でも売上を確保することになり、事業が平準化される。計画では、2025年度中に各自治体がシステムを移行予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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選挙関連ビジネスを中心に既存事業を伸ばすことに注力するのは言うまでもないが、今後は特にメディアコンバート事業、業務用ろ過フィルター事業、印刷システム機材、金融・汎用システム機材、選挙システム機材の5分野に注力して業績を伸ばす方針だ。これら事業の進捗状況は以下のようになっている。
1. メディアコンバート事業
以下のような要因で、需要サイドからもメディアコンバート事業の拡大が期待できる。
(1) 民間企業の需要
民間企業では、コロナ禍の影響で在宅勤務が急増し、テレワークへの移行が進んだ。テレワークの環境整備が進むにつれて、文書や資料の電子化需要が拡大したが、アフターコロナでもこの流れは継続している。さらに以下のような法的整備の面からも、文書のデジタル化は必須となってくる。同社ではこれらの需要を取り込むべく、営業活動を強化している。
a) 業務効率向上のためのIT化進展=財務・税務書類:電子化文書で保存可能
b) 「e-文書法」施行
c) 企業改革法(日本版SOX法)、個人情報保護法の施行:文書管理の強化
d) マイナンバー制度の運用
(2) 官公庁・自治体の需要
また、官公庁・自治体市場においても、「デジタル庁」の新設など政府が行政のデジタル化に向けて積極的な取り組みを進めており、文書や図面、資料などの電子化需要の拡大が見込まれている。政府の発表では、2026年度を目途に公文書の管理は全面的に電子化する目標となっている。実際には、官公庁や各自治体の職員が作成する文書はほぼ紙のため、そのまま紙で保存されているが、それらを電子化することで、分類や整理をする手間が大幅に省けるようになるため、大きなメリットがある。よって、行政のデジタル化推進のため、文書などの電子化に対しては優先的な予算が見込まれており、同社としても積極的に営業活動を展開する計画だ。
また民間・官公庁・自治体に共通した流れとして、「働き方改革」によってオフィス移転が増加している。これに併せて、保管文書の電子化需要が拡大しており、これも同社のメディアコンバート事業にとっては追い風だ。
2. 業務用ろ過フィルター事業
同社は、富士フイルムの業務用ろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業を展開している。
富士フイルムのミクロフィルターはこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。同社の事業は2018年1月にスタートし順調に拡大してきた。残念ながら2021年3月期にはコロナ禍の影響により売上高は落ち込んだが、2022年3月期の売上高は、647百万円(前期比20.0%増)と回復し、2023年3月期は698百万円(同7.9%増)となった。さらに2024年3月期は730百万円(同4.6%増)と固めの予想となっている。需要がこれまでの食品・飲料向け中心から、半導体向けなどのエレクトロニクス業界向けに広がりつつあるのは注目に値する。
3. 印刷システム機材:多目的インクジェットプリンター
同社が販売する「多目的インクジェットプリンター」は、プリンターヘッドの高さが自動で調整されることで、さまざまな厚みに対応し、多種多様な材料に出力が可能である。具体的には、段ボール素材、紙袋、和紙、不織布、木箱など様々な素材や高さがある成型済み素材への印刷が可能となった。ブランドオーナー向けの次世代プリントソリューションとして多くの需要が期待できる。
4. 金融・汎用システム機材:新紙幣への対応
日本では、2024年上半期に新紙幣が発行される予定となっており、これに伴い足元では貨幣処理機器の買い控えが起きているが、2023年後半からは関連製品の更新需要が出てくる見込みだ。金融市場だけでなく、流通・小売市場も対象になるので、同社では関連製品の開発を進めている。さらに、各種製品の更新需要だけでなく、関連したソフトウェアの変更に伴う保守売上の増加も期待できる。
5. 選挙システム機材
選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では依然として“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているからだ。事実、2022年3月期の選挙システム機材の売上高(単体ベース)は過去最高となった。
また同社では現在、選挙関連の売上高の平準化を図るべく「業務管理ソフト」の開発を進めている。これは、デジタル庁が推進しているDXに伴い、総務省などが進めている自治体情報システムの統一・標準化に準拠したものだ。これにより、住民基本台帳関連業務の4システム(名簿管理システム、期日前投票システム、当日投票システム、在外投票システム)が標準化される。同社では、この業務管理システムをクラウド(月額課金方式)で各自治体へ提供する計画で、これにより選挙のない期間でも売上を確保することになり、事業が平準化される。計画では、2025年度中に各自治体がシステムを移行予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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