S&P500月例レポート(23年5月配信)<後編>
インデックス・レビュー
◇S&P 500指数
S&P500指数は4月に1.46%上昇して4169.48で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス1.56%)。3月は4109.31で終え、3.51%の上昇(同プラス3.67%)、2月は3970.15で終え、2.61%の下落(同マイナス2.44%)でした。過去3ヵ月では2.28%の上昇(同プラス2.72%)、年初来では8.59%の上昇(同プラス9.17%)、過去1年のリターンはプラスに転じ0.91%の上昇(同プラス2.66%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年末からは9.98%の下落(同マイナス6.12%)でした。
シリコンバレーバンク(SVB)破綻前の2023年3月8日からは4.45%の上昇(同プラス4.67%)、金融セクターは4.90%の下落、2022年1月3日の高値からは13.07%の下落(同マイナス11.16%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは23.13%上昇(同プラス29.64%)でした。
4月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は3月の1.51%から0.92%に低下(2月は1.31%)、年初来では1.43%となりました。2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.31%でした。4月の出来高は、3月に前月比16%増加、2月に同5%増加した後、24%減少し(営業日数調整後)、前年同月比では横ばいでした。2023年4月までの過去1年では前年比19%増加しました。2022年は同6%の増加でした。
4月に前日比で1%以上変動した日数は19営業日中3日(上昇が2日、下落が1日)、2%以上変動した日はありませんでした。3月は1%以上変動した日数は23営業日中11日(上昇が6日、下落が5日)、2%以上変動した日はありませんでした。2月は1%以上変動した日数は19営業日中9日(上昇が4日、下落が5日)でした。
年初来では、1%以上変動した日数は81営業日中32日(上昇が18日、下落が14日)、2%以上変動した日数は2日(上昇が1日、下落が1日)でした。2022年は、1%以上変動した日数は122日(上昇が59日、下落が63日)、2%以上変動した日数は46日(上昇が23日、下落が23日)でした。2021年は、1%以上変動した日数は55日(上昇が34日、下落が21日)、2%以上変動した日数は7日(上昇が2日、下落が5日)でした。
4月は19営業日中7日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動と3%以上の変動はありませんでした(3月は23営業日中14日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動が6日、3%以上の変動はありませんでした)。年初来では1%以上の変動が52日、2%以上の変動が12日、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日、4%以上の変動が4日ありました。2021年は1%以上の変動が93日、3%以上の変動が3日ありました。
4月は11セクター中8セクターが上昇しました。3月は7セクターが上昇、2月はわずか1セクター(情報技術、0.29%)が上昇しました。4月のパフォーマンスが最高だったのは3.56%上昇したコミュニケーション・サービスで、年初来では24.46%の上昇(指数内で最高)、2021年末比では25.85%の下落となりました。僅差で4月の騰落率2位となった生活必需品は3.44%上昇し、年初来では3.60%上昇、2021年末比では0.32%上昇でした。一般消費財は0.99%下落しましたが、年初来では14.61%上昇、2021年末比では28.45%下落しました(指数内で最低のセクター)。エネルギーは4月に3.20%上昇、年初来では2.55%下落でしたが、2021年末比では54.99%上昇して、この期間では指数内で最高のセクターとなりました。金融は4月に3.02%上昇(年初来では3.22%下落、2021年末比では15.17%下落)、ヘルスケアは2.96%上昇(同1.90%下落、同5.39%下落)、情報技術は4月に0.42%上昇(同22.00%上昇、同13.27%下落)となりました。騰落率最下位となったのは資本財・サービスで、4月に1.22%下落、年初来では1.77%上昇、2021年末比では5.46%下落となりました。
4月は値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りました。4月の値上がり銘柄数は266銘柄(平均上昇率は4.71%)で、3月の263銘柄(同5.41%)、2月の113銘柄(同4.67%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は22銘柄(同13.26%)で、3月の32銘柄(同15.56%)から減少しました(2月は11銘柄で同16.46%)。25%以上上昇した銘柄はゼロで、3月の2銘柄(同29.82%)、2月の1銘柄(同27.39%)から減少しました。
一方、4月の値下がり銘柄数は235銘柄(平均下落率は5.09%)で、3月の240銘柄(同6.98%)、2月の390銘柄(同5.91%)から減少しました。4月は10%以上下落した銘柄数が28銘柄(同16.21%)と、3月の53銘柄(同18.96%)、2月の56銘柄(同13.90%)から減少しました。25%以上下落した銘柄数は1銘柄(同74.91%)で、3月の10銘柄(同36.92%)から減少しました(2月は1銘柄で同35.24%)。
過去3ヵ月間では、値下がり銘柄数が増加して値上がり銘柄数を逆転しました。値上がり銘柄数は185銘柄(平均上昇率は8.23%)と、3月末の274銘柄(同13.02%)から減少し(2月末は185銘柄で同8.59%)、値下がり銘柄数は318銘柄(平均下落率は10.57%)と、3月末の229銘柄(同8.59%)、2月末の317銘柄(同7.88%)から増加しました。10%以上上昇した銘柄数は55銘柄(平均上昇率は17.52%)と、3月末の133銘柄(同21.34%)から減少し、10%以上下落した銘柄数は138銘柄(平均下落率は17.93%)と、3月末の73銘柄(同17.94%)から増加しました。過去3ヵ月間で25%以上上昇した銘柄数は5銘柄(3月末時点は31銘柄)で、17銘柄(同7銘柄)が25%以上下落しました。
2022年通年では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回り、値上がり銘柄数は139銘柄(平均上昇率は22.21%)、値下がり銘柄数は363銘柄(平均下落率は24.58%)でした。10%以上上昇した銘柄数は93銘柄(平均上昇率は30.94%)、10%以上下落した銘柄数は283銘柄(平均下落率は30.02%)でした。2022年通年で41銘柄が25%以上上昇し、162 銘柄が25%以上下落しました。
◇世界の株式市場:S&Pグローバル総合指数
4月のグローバル市場は先進国市場に後押しされて上昇しましたが、米国市場はアンダーパフォームしました。新興国市場は大半の市場が上昇したものの、全体では先進国市場に出遅れ、リターンはマイナスとなりました。
S&Pグローバル総合指数は、2月の2.90%下落(1月は7.26%上昇)、3月の2.11%上昇の後に、4月は1.09%上昇しました。グローバル株式市場は、2月は米国の2.48%下落を除くと3.48%の下落、3月は米国の2.48%上昇を除くと1.62%の上昇となった後に、4月は米国の0.91%上昇を除くと1.34%上昇しました。世界の株式市場は年初来では7.51%上昇し、米国の7.78%上昇を除くと7.14%上昇しました。2022年通年では20.04%下落(11月末時点では16.82%下落)で、米国の20.73%下落(同15.66%下落)を除くと19.13%の下落(同18.48%下落)でした。過去3ヵ月間では、グローバル市場は0.23%上昇、米国の0.85%上昇を除くと0.60%下落しました。
2023年4月までの過去1年間では、S&Pグローバル総合指数は0.49%の下落で、米国の0.35%下落を除くと0.74%の下落となりました。より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では8.59%下落しましたが、米国の4.81%下落を除くと、13.50%の下落でした。過去3年間では33.32%上昇しましたが、米国の41.53%上昇を除くと、23.14%の上昇でした。2020年11月3日の米大統領選以降では、グローバル株式市場は14.22%上昇しましたが、米国の20.23%上昇を除くと6.60%の上昇でした。
S&Pグローバル総合指数の時価総額は2023年4月に7370億ドル増加し(3月は1兆3550億ドル減)、年初来では4兆7650億ドルの増加となって、総額は70兆5230億ドルとなりました。米国以外の市場の時価総額は4月に3700億ドル増加し(同4820億ドル減)、年初来では1兆9520億ドル増加した一方、米国市場の時価総額は4月に3670億ドル増加し(同8730億ドル減)、年初来では2兆8130億ドル増加しました。2022年に、グローバル市場の時価総額は13兆3950億ドル減少し、米国以外の市場の時価総額は4兆2960億ドル減、米国市場の時価総額は9兆990億ドル減でした。
4月は3月と同様に11セクター中8セクターが上昇し(2月は全11セクターが下落、1月は全11セクターが上昇)、セクター間のリターンのばらつきは縮小しました。4月のパフォーマンスが最高のセクター(ヘルスケア、3.42%上昇)と最低のセクター(情報技術、1.42%下落)の騰落率の差は4.84%と、3月の16.14%、2月の5.05%、1月の13.86%から縮小しました。
年初来でのパフォーマンスが最高のセクター(情報技術、17.97%上昇)と最低のセクター(エネルギー、0.73%下落)の騰落率の差は18.71%となっています。2022年のパフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、28.08%上昇)と最低のセクター(コミュニケーション・サービス、36.30%下落)の騰落率の差は64.38%となり、11月末時点の65.76%から縮小しました。
新興国市場は大半の市場が上昇したものの下落し、1月の6.62%の力強い上昇、2月の5.65%の下落、3月の1.85%の上昇の後に、4月は全体で0.76%下落しました。新興国市場は過去3ヵ月間では4.64%下落、年初来では1.67%上昇しています(2022年は20.46%下落)。過去1年間のリターンは改善したものの、なおマイナスで、7.97%下落しており(3月末時点は12.49%下落)、過去2年間では24.13%下落、過去3年間では9.68%上昇しています。
1月の19市場、2月の8市場、3月の13市場に対して、4月は24市場中14市場が上昇しました。ポーランドのパフォーマンスが最も良く、4月は13.06%上昇し、年初来では14.90%上昇、過去1年間では12.74%上昇しました。2番目はハンガリーで4月は9.84%上昇し、年初来では14.03%上昇、過去1年間では2.81%上昇しました。3番目はアラブ首長国連邦(UAE)で4月は7.49%上昇し、年初来では0.02%上昇、過去1年間では19.34%の下落でした。トルコのパフォーマンスが最低となり、4月は5.48%下落し、年初来では18.85%下落、過去1年間では44.11%上昇しました。これに続いたのがタイで4月は5.18%下落し、年初来では7.94%下落、過去1年間では6.29%下落しました。3番目は中国で4月は4.69%下落し、年初来では0.39%下落、過去1年間では6.50%下落しました。
先進国市場は新興国市場よりも好調で、1月の7.34%の力強い上昇、2月の2.56%下落、3月の2.14%上昇の後に、4月は全体で1.31%上昇しました。先進国市場は、米国を除くと、1月の8.19%上昇、2月の2.72%下落、3月の1.54%上昇の後に、4月に1.34%上昇しました。4月は25市場中19市場が上昇し、3月の17市場、2月の9市場を上回りました(1月は24市場)。先進国市場は、過去3ヵ月間で0.83%上昇、米国を除くと0.80%上昇、年初来では8.23%上昇、米国を除くと9.06%の上昇となりました。2022年は20.55%の下落、米国を除くと19.26%の下落でした。
過去1年間では0.46%の上昇、米国を除くと1.92%の上昇、過去2年間では6.48%下落、米国を除くと9.46%下落、過去3年間では36.57%の上昇、米国を除くと23.21%の上昇でした。パフォーマンスが最も良かったのはスイスで4月は5.20%の上昇となり、年初来では11.78%上昇、過去1年間では2.97%の上昇でした。2番目は英国で、4月は4.97%上昇、年初来では9.86%上昇、過去1年間では2.59%上昇しました。3番目はフランスで、4月は4.58%上昇、年初来では18.88%上昇、過去1年間では17.96%上昇しました。
パフォーマンスが最低だったのはルクセンブルグで4月は4.33%下落し、年初来では3.73%上昇、過去1年間では15.19%下落しました。2番目はイスラエルで4月は2.39%下落し、年初来では4.81%下落、過去1年間では22.70%下落しました。これに続いたのがオランダで4月は1.93%下落し、年初来では13.77%上昇、過去1年間では9.36%上昇しました。注目すべき点として、ドイツは4月に2.77%上昇し、年初来では16.76%上昇、過去1年間では9.40%上昇しました。カナダは4月に2.25%上昇、年初来では6.17%の上昇、過去1年間では6.15%の下落となりました。日本は4月に0.45%上昇、年初来では5.14%の上昇、過去1年間では2.69%の上昇となりました。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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