養命酒製造、通期業績は増収増益を達成 今期はくらすわ関連事業の通信販売及び外販の強化を図る
目次
塩澤太朗(以下、塩澤):みなさま、おはようございます。養命酒製造株式会社代表取締役社長の塩澤です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日はご覧の内容をご説明します。
損益計算書(P/L)
それでは、2023年3月期の決算概要についてご説明します。はじめに、損益計算書です。2023年3月期の業績は、前期に対し増収増益となりました。売上高は前期比0.7パーセント増の106億4,700万円となりました。
営業利益は前期比8.1パーセント増の10億7,700万円、経常利益は前期比8.7パーセント増の14億8,000万円、当期純利益は前期比7.4パーセント増の10億2,000万円となりました。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析です。営業利益は、2022年3月期が9億9,600万円、2023年3月期は10億7,700万円となりました。
増加要因には、広告宣伝費の効率的な使用による2億7,900万円の節減等が挙げられます。一方で、減少要因には、原材料及びエネルギー価格高騰による影響が1億3,200万円生じたこと、また、主に退職給付の償却年数を短縮したことにより、人件費が8,300万円増加したことが挙げられます。
セグメント別の売上高
セグメント別の売上高です。本スライドでは、前年同期の売上高についてのみ、セグメント変更後の区分に組み換えたご参考値を記載しています。
養命酒関連事業の売上高は、物価高による節約志向の高まりの影響等により、96億9,200万円、前期比0.6パーセント減となりました。
くらすわ関連事業の売上高は、「くらすわ」店舗にて、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、減少していた来客数が回復しつつあり、9億5,400万円、前期比15.2パーセント増となりました。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表です。資産合計は前期比で9億4,800万円増加し、495億6,200万円となりました。こちらは主に、保有株式時価評価額の増加によるものです。負債合計は前期比で3億3,800万円増加し、67億7,200万円となりました。
純資産合計は、前期比で6億1,000万円増加し、427億9,000万円となりました。なお、自己資本比率は86.3パーセントであり、健全な財務基盤を維持しています。
キャッシュ・フロー計算書(C/F)
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動の結果、増加した資金は17億4,800万円となりました。投資活動の結果、減少した資金は14億5,100万円となりました。こちらは主に、定期預金の純増、債券等の投資有価証券の取得、有形固定資産の取得によるものです。
財務活動の結果、減少した資金は5億5,400万円となりました。こちらは主に配当金の支払いによるものです。結果、現金及び現金同等物の期末残高は2億5,800万円減少し、21億7,300万円となりました。
養命酒関連事業(国内養命酒)
各事業の取り組みについてご説明します。国内養命酒は、プロモーションとして、引き続き草刈正雄さん出演のCM及び新聞広告、Web広告等を実施しました。店頭では、卸店やドラッグストアと協働した店頭陳列の拡大と販売促進を行いました。
売上高は、物価高による節約志向の高まりの影響等により、79億8,500万円となりました。
養命酒関連事業(酒類・食品)
酒類・食品は、採算性改善のため、重点商品を推進し、販促費、流通費等のコスト削減、営業の効率化を推進しました。
売上高は、主に「養命酒製造クロモジのど飴」が寄与したほか、「グミ×サプリ」も堅調に推移し、8億9,300万円となりました。
養命酒関連事業(海外)
海外についてです。「養命酒」は、春節等の時期と販売地域に合わせた広告や販促活動を実施しました。酒類は、「クラフトジン」を中心に商談を進め、オーストラリアや台湾、香港等へ輸出しました。
売上高は、コロナ禍による経済活動及び行動制限等の規制が緩和されたこと等により、主に「養命酒」の売上に回復傾向が見られたことで、4億4,600万円となりました。
くらすわ関連事業
くらすわ関連事業についてです。店舗では、各店の人流増加状況に合わせた店舗運営と、イベントの実施等を行いました。
通販では、「くらすわ」商品の販売強化、通販商品の開発に注力しました。
ギフト向け販売では、郵便局等の既存取引の拡大と、新規取引先の開拓に取り組みました。
売上高は、リニューアルによる「くらすわ駒ヶ根店」の一部営業縮小があったものの、全体では新型コロナウイルス感染症の影響を受け減少していた来店客数が回復しつつあることに加えて、ギフト向け販売取引先が増加したことにより、9億5,400万円となりました。
くらすわ関連事業
ブランドコンセプトとブランドロゴを一新しました。ブランドコンセプトを「広げる、すこやかなくらしの輪」とし、「おいしい体験 たのしい体験 すこやかな体験」を「くらすわ」の3つの体験としました。
ロゴマークは3つの体験が「輪」になっていく姿をモチーフとしており、親しみやぬくもりが感じられるような、くらしに寄り添うブランドでありたいという想いを込めています。
中期経営計画(2022年4月〜2027年3月) 主要方針
中期経営計画の進捗をご報告します。当中計では、基本戦略を「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」としています。
「養命酒」及び酒類・食品の卸売販売を中心とする既存事業の深化と、新規事業の探索を同時に行う「両利きの経営」を推進し、収益性を確保しつつ成長投資を行うことで、新たな企業価値の創造を目指します。
進捗状況
中期経営計画初年度の2023年3月期は、売上、利益ともに前年を上回る結果となりました。2024年3月期は、くらすわ関連事業に係る先行投資等により、増収減益となる見込みです。減益理由の詳細は、後ほど営業利益増減の分析にてご説明します。
中期経営計画では、最終年度である2027年3月期に、売上高200億円以上、営業利益率10パーセント、ROE4パーセントを目指します。
中計戦略と課題
中計初年度の成果と、課題・強化点です。まず、戦略課題の1つ目「効率を重視した既存事業の収益力強化」については、商品政策の見直しのほか、広告・販促を中心とした施策の見直しを行いました。
課題・強化点としては、収益性を重視した商品開発や、生産性向上に向けたさらなる効率化があると考えています。
戦略課題の2つ目「『くらすわ』ブランドを軸としたダイレクトチャネル事業の構築」については、体験型施設建設に向けた既存施設の工事の実施や、「くらすわ」ブランドの再構築を行っています。
課題・強化点としては、体験型施設の全面開業及び新店舗展開に向けた取り組みのほか、通販の体制強化に向けた検討が必要と認識しています。
中計戦略と課題
戦略課題の3つ目「サステナビリティ経営の推進」については、サステナビリティ基本方針及び重要課題の設定、TCFDに沿った分析の実施等を行いました。
課題・強化点としては、サステナビリティ全般における実効的な取り組み内容、短期及び中期KPIの設定と認識しています。
戦略課題の4つ目「事業領域の拡大に向けた多様な人材活用と人的資本・知的財産等の無形資産への投資」については、人的資本経営に関する基本方針等の作成、ならびにKPIの設定、DMPを活用した各種の顧客接点強化施策の安定運用を行いました。
課題・強化点としては、多様性を尊重した風土づくりのほか、くらすわ事業推進に向けた組織体制の強化等が必要と考えています。今期は以上の課題・強化点を中心に取り組みます。
体験型施設「くらすわの森」について
中期経営計画戦略課題の取り組みの1つである、体験型施設「くらすわの森」の進捗についてご説明します。
まず、施設名称についてお話しします。「くらすわ」ブランド構築に向けたシンボルとしての位置づけと、お客さまに自然豊かな信州駒ヶ根の森の魅力を体験していただく施設を目指し、「くらすわの森」と命名しました。
当施設は当社の駒ヶ根工場敷地内に建設します。敷地面積は、工場敷地の3分の1強となる13万8,000平方メートルを使用する予定です。こちらの大きさは、東京ドーム約3個分に相当します。投資予定額は、約43億5,000万円です。
着工時期は2023年7月を予定しており、竣工は2024年8月、グランドオープンは2024年秋頃を予定しています。
体験型施設「くらすわの森」(イメージ)
体験型施設「くらすわの森」全体のイメージイラストです。森林エリアの各所に「森のプレイパーク」や「森のライブラリー」などのコンテンツを配置し、ご来場いただいたお客さまには、森の中を散策しながら、より良い時間を過ごしていただきたいと考えています。
また、メインとなる円形商業施設には、ガラス張りの通路を敷き、菓子工房やベーカリー等の飲食施設を併設することで、冬の寒い時期や天候の悪い日でも、1年を通して楽しんでいただくことを狙いとしています。
そのほか、現在運営している「くらすわ駒ヶ根店」に加え、新たな蔵をもう一棟移築し、大変ご好評いただいている信州野菜と当社オリジナルブランドの「信州十四豚」をメインとしたレストランの運営も計画しています。
通期業績(予想)
2024年3月期の業績予想です。くらすわ関連事業の通信販売及び自社以外のチャネルにて販売を行う外販の強化により、売上高は前期比5.6パーセント増の112億4,000万円となる見込みです。
続いて、利益面です。エネルギーや原材料価格高騰によるコスト負担の増加、広告宣伝や商品開発等のくらすわ関連事業に係る先行投資により、営業利益は前期比33.2パーセント減の7億2,000万円、経常利益は前期比25パーセント減の11億1,000万円、当期純利益は前期比18.7パーセント減の8億3,000万円を見込んでいます。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析についてご説明します。2023年3月期の営業利益は10億7,700万円でした。2024年3月期の営業利益予想は7億2,000万円です。
減少要因としては、原材料及びエネルギー価格高騰による影響が1億4,300万円、くらすわ関連事業に係る先行投資として、広告宣伝と通販商品等の研究開発を行うための費用が3億2,300万円、本店ビルの修繕費が9,800万円発生することが挙げられます。増加要因としては、売上総利益の増加が1億9,600万円です。
セグメント別売上高(予想)
セグメント別売上高の予想です。養命酒関連事業全体の売上高は前期比0.5パーセント増の97億4,000万円を見込んでいます。
内訳として、国内養命酒は前期比0.1パーセント増の79億9,000万円、酒類・食品は前期比2.9パーセント増の9億1,000万円、海外は前期比6.2パーセント増の4億7,000万円、不動産賃貸・太陽光発電は前期比1.2パーセント減の3億6,000万円を見込んでいます。くらすわ関連事業全体の売上高は、前期比57.1パーセント増の15億円を見込んでいます。
2024年3月期の重点施策
養命酒関連事業は、「すこやかなくらしの支え」をテーマとしたプロモーションの実施、収益性を重視した商品戦略の推進、市場の開拓と新規顧客の獲得、効率化による収益改善を重点施策としています。
くらすわ関連事業は、体験型施設の建設を進めるほか、リブランディング等によってブランドの強化を図り、通信販売や他社チャネルにて販売を行う外販と一体となった事業化を目指していきます。
また、引き続きM&Aや業務提携先の検討も進めていきます。
プロモーション(養命酒)
6月1日より放映予定の「養命酒」のテレビCMには、引き続き草刈正雄さんにご出演いただきます。新CMでは、すこやかな暮らしを「薬用養命酒」で支えたいという思いを込め、「すこやかさ、つづけ」というメッセージを新たに掲げました。
草刈正雄さん演じる祖父が、遊びに来た孫と野球をする内容で、孫の成長を願い、成長した姿を見届けるためにも健康でありたいと願う草刈正雄さんの姿を通して、「薬用養命酒」を飲用することで、すこやかな生活を送っていただきたいという思いをお伝えしています。
現状分析:市場評価及び資本コストについての認識
3月末に、東証より資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請されました。こちらについての当社の分析と、分析に基づく方針をお話しします。
まずは、市場評価及び資本コストについての当社の認識です。スライドのグラフは、当社のPBR推移を示しています。過去10年間を見ると、PBRが1倍を下回る水準が続いています。
また、当社の株主資本コスト認識は、3.5パーセントから4パーセント程度と認識しています。
現状分析:企業価値向上のためのROE目標
企業価値向上のためのROE目標です。スライドのグラフは、当社のROE推移と株主資本コストを示しています。中期経営計画を着実に推進することにより、収益性の向上とバランスシートの効率化を通し、株主資本コストを上回るROEの実現を目指していきます。
方針・目標:中期経営計画の着実な推進
方針・目標についてです。中期経営計画を着実に実行することにより、ROE4パーセントを目指します。収益性を確保しつつ、「くらすわの森」の建設を中心に60億円から70億円の成長投資を行うほか、配当性向・配当下限の引き上げによって株主還元の強化も図っていきます。
具体的な取組み:配当政策2022年5月に公表済)
すでに実施している具体的な取り組みとして、2022年5月に配当政策の基本方針を変更しています。2023年3月期より、配当性向60パーセント程度を目安とし、原則として1株当たり年間配当金の下限を45円で実施しています。
2023年3月期の配当は、当社が2023年6月20日に創立100周年を迎えるため、普通配当45円に記念配当10円を加えて、1株当たり55円で実施する予定です。
なお、2024年3月期の配当は、期末配当金として1株当たり45円で実施する予定です。
駒ヶ根工場見学・「くらすわ駒ヶ根店」(ショップ)リニューアル
最後に、トピックスについてお話ししたいと思います。2023年4月12日に駒ヶ根工場見学施設と「くらすわ駒ヶ根店」をリニューアルオープンしました。
工場見学は、これまでガイド付きでご案内していましたが、お客さま自身のペースでご覧いただけるような仕組みに変更し、ご予約も不要となりました。また、見学施設には、「養命酒」をはじめとする当社製品をご購入いただけるショップを併設しています。
「くらすわ駒ヶ根店」は、建設予定の「くらすわの森」との世界観の統一、商業性、運営効率を意識し、ショップをリニューアルしました。売場面積の拡充を行い、取り扱いアイテムの充実を図っています。
会社創立100周年を記念した取り組み
みなさまのおかげで、当社は2023年6月20日に会社創立100周年を迎えます。100周年を記念して実施する取り組みは、主に4つです。
1つ目は、会社創立100周年記念サイトの開設です。1月12日にプレオープンし、コンテンツを随時追加しています。本オープンは、創立記念日である6月20日を予定しています。
2つ目は、2024年秋頃オープン予定の体験型施設「くらすわの森」の見学会等を検討しています。
3つ目は、社会貢献活動の一環として、未来を担う次世代の教育にお役立ていただきたいと考え、長野県、工場のある長野県駒ヶ根市、会社創立の地である長野県中川村に、合わせて2,100万円の寄付金を贈呈しました。
4つ目は、株主のみなさまへの感謝の気持ちを込め、2023年3月期の配当として、普通配当に加えて1株あたり10円の記念配当を行う予定です。
塩澤氏からのご挨拶
最後になりましたが、会社創立100周年を迎えるに当たり、この場をお借りして、長きにわたり支えてくださったすべてのみなさまに心より感謝を申し上げます。
2023年は当社にとって、新たな100年への始まりの年となります。これからも会社創立の思いを胸に、一歩一歩、歩みを進めていきますので、一層のご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願いします。
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