ベネッセHD、事業ポートフォリオを変革 コア教育・コア介護・新領域を3本柱に、持続的な利益成長を目指す

投稿:2023/05/30 18:00

アジェンダ

小林仁氏:本日はベネッセグループの変革事業計画説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長CEOの小林です。よろしくお願いします。

本日はスライドのアジェンダに沿って、順にご説明します。

変革事業計画策定の経緯と位置づけ

あらためて、変革事業計画を策定した経緯と位置づけについてお話しします。2020年11月に中期経営計画を発表しましたが、この3月に中期経営計画で示した最初の2年である、フェーズ1が終了しました。また、2022年5月には、中期経営計画の財務KPIも一部アップデートして発表しています。

その前提のもと、会社および各事業を取り巻くさまざまな環境の変化をふまえ、中期経営計画をブラッシュアップしようとした内容が今回の変革事業計画になります。

中期経営計画 フェーズ1の成果と課題

2020年11月に発表した中期経営計画のフェーズ1の成果と課題について簡単にお話しします。先週の決算発表でお話ししましたが、フェーズ1の財務目標は、「新型コロナウイルス影響からのV字回復」を考え、コロナ禍前の212億円を超えることを目指していましたが、若干未達となり、結果は206億円でした。

コア事業の進化については、国内教育でコロナ禍前の2019年の利益から大きくV字回復を果たしました。しかし、新型コロナウイルスの影響が残った介護事業・中国「こどもちゃれんじ」は回復途中です。

冒頭の財務目標の若干未達も、介護事業・中国「こどもちゃれんじ」の回復が遅れていることが主な要因です。一方で、コア事業のインオーガニック、周辺事業の成長に向けた準備は順調に進んでいます。

また、新領域に挑戦し、2023年以降にかたちにしていくこともフェーズ1の目標でした。新領域では、大学・社会人カンパニーを新設し、中でもUdemy事業が順調に拡大しています。大学・社会人領域での成長を加速するために、2つの会社に対してグループインや出資での提携を行う準備も進んでいます。

海外教育については、インドをターゲットにしたベネッセインドという会社を設立しています。後ほど詳細をお話ししますが、現地での学校教育支援事業が始まっています。

経営基盤については、長年の課題であった赤字事業のベルリッツの売却を実行し、収益性が改善しました。さらに、各事業発展のためにデジタル推進に力を入れて、推進組織の「DIP(Digital Innovation Partners)」を設置し、現在、力強く進めています。

変革事業計画が目指すこと

今回の変革事業計画が目指すことについてご説明します。私自身、責任者として次の3点を目指し、それを社内外に明確に伝えていくことが重要だと捉えています。

1つ目は、ベネッセグループがどのようなことを目指していくグループなのかを明確にしていくことです。後ほどご説明するグループパーパスとして言語化しました。

2つ目は、グループパーパスの実現や持続的な成長を果たすことです。事業領域ごとにメリハリのある目標を進めるため、ポートフォリオ戦略を採用して具体的なかたちにしています。

3つ目は、「コア教育」「コア介護」「新領域」の3つに分けて、それぞれが利益の3本の柱となる状態を実現させることです。この3つを重要なメッセージとしてお伝えしたいと思います。

目指すこと① ライフステージ毎の「人」を軸にした社会課題の解決

ベネッセグループはどのようなことを目指していくグループなのかについてご説明します。一言で言えば「ライフステージ毎の『人』を軸にした社会課題の解決に向けて取り組むグループ」です。このことにしっかりと向き合って取り組むことを目指す姿にしていきたいと思います。

スライドにあるように、人に関わる構造的課題はそれぞれのライフステージにより深刻化しています。教育・介護の事業を行うベネッセという認識が、みなさまにも強くあると思いますが、事業の実績や経験を活かしながら、大きな構造的課題に向き合い、取り組んでいくグループを作っていきたいと思います。

具体的には、妊娠・出産・育児から高校生まで、教育の構造的な課題は多々起こっていると思います。それらを解決し、教育・学びの領域で最も信頼のある存在になり、子どもから大学・社会人において、学びを通じて個人・企業の成長を支援する圧倒的ナンバーワンの存在になることを目指します。

また、シニアの領域では、従来から「その方らしさ」の実現を掲げてきましたが、加えて、特に人材と食について最も貢献する存在になることを、今回の変革事業計画の中で整理しました。

目指すこと② グループパーパス

「誰もが一生、成長できる。自分らしく生きられる世界へ。ベネッセは目指しつづけます。」というグループパーパスを制定しました。外部のみなさまに、ベネッセグループとはどのようなことを目指しているグループなのかご理解いただくだけではなく、社員一人ひとりの指針になることを目的としています。

目指すこと③ ポートフォリオ構造の変革を通し持続的利益成長を実現

先ほど、ポートフォリオ構造を変革するという手段を使いながら、持続的な利益成長を実現していくというお話をしました。ポートフォリオ分析を通して、事業のあるべき領域の考えを明確にし、持続的成長のためにそれぞれの領域がどのような姿を目指していくのかを明確にしています。

領域を「コア教育」「コア介護」「新領域」に再整理し、グループポートフォリオの中で担う期待と役割を定義しています。具体的には、コア教育は、構造改革・ニーズ多様化対応などで収益安定化を目指します。さらに、事業モデルの変革に挑戦する領域と捉えています。

コア介護は、新型コロナウイルス前の入居率、利益水準への早期回復を目指し、引き続き安定成長へしっかり取り組む領域と捉えています。

新領域は、2026年度以降のベネッセグループの利益成長の牽引に向けた戦略的な投資と売上成長を担う領域と捉えています。

これら3つの領域が、グループ全体の持続的な利益成長に貢献し、バランスよく利益を出す状態を作っていきたいと考えています。

【I】変革事業計画の全体構成

変革事業計画の事業内容についてご説明します。変革事業計画の全体構成では、グループパーパスを実現するために、事業全体を再整理します。併せて、先ほどお話しした既存のコア事業である教育・介護、新領域の位置づけを明らかにし、どのように事業変革するか深めていきます。

また、確実に実現するために、経営のあり方を変革する必要があると思っています。変革事業計画の実現のために、グループ経営そのものをどのように変えていくか、最後にご説明したいと思います。

【II-①】現在の事業ポートフォリオの状況

ベネッセグループ事業の現状です。ポートフォリオとして、縦軸に市場成長性、横軸に現状の利益額を位置づけています。また、青で示しているのがコア教育領域の各事業、緑がコア介護、黄色がこれから成長領域とする新領域です。

コア教育は、現状は利益でグループを支えていることは事実です。一方で、市場成長性は少子化を受けてどうしても低くなっています。

コア介護は、利益を生み出しているとともに、高齢化のさらなる進展の中で市場も成長するポジションになっています。

新領域は、市場として十分に成長することが見込まれており、事業も展開しています。ただし、ここから生み出す利益は、全体の中ではそれほど大きくありません。しっかりと重点化し、成長させていくことで、成長する市場の中で利益を生み出す柱にしていきます。

【II-①】ポートフォリオ変革の基本方針

領域別に基本方針のポイントを示しています。コア教育は、施策のROI評価を行いつつ、必要な投資を行い、コア教育事業を安定的に収益化できる事業にしていきます。一部で利益が十分に出ていない事業もありますが、こちらは事業状況を精査し、投資・存続形態をあらためて検討していきます。

コア介護は、早期回復・安定成長の実現を目指します。また、新領域は、先ほどお話ししたように、成長加速に向けて戦略投資・リソースアロケーションを行います。

このようなメリハリをつけながら、それぞれの領域のポジショニングや基本方針に沿って、取り組んでいこうと考えています。

【II-②】コア教育事業の変革とは

先ほどポートフォリオで整理した領域ごとに、変革事業計画の内容についてご説明します。まず、コア教育事業についてです。今の環境変化に対して何も手を打たないことはありませんが、危機感を持って事業を見つめるため、仮に何もしなければどのようになるか考えました。

そこで、まず、変革のポイントをより明確にし、2023年から2025年に取り組むことを検討しました。コア教育は、2025年のNext GIGA構想という日本における大きな節目の前後で2つのフェーズを設け、変革事業計画を検討してきたということです。

前半のフェーズでは、商品価値・営業手法の再設計を行います。顧客基盤維持・強化の取り組みやニーズの多様化への対応を、2023年から2025年に徹底的に行います。その際、ROI評価を取り入れながら、施策の精度向上を図ります。

また、コスト構造改革にも取り組みます。ゼミや学校という単位ではなく、国内教育全体で組織の枠を超え、固定費構造の見直しや削減を行っていきます。

さらに、2025年のNext GIGA構想以降は、大胆に次世代化と事業モデルの変革に取り組もうと思います。

【II-②】<校外>商品・営業の再設計 顧客基盤維持強化(ゼミ)

2025年までのフェーズにおける、校外学習での取り組みについてご説明します。まず、商品・営業の再設計と強化、それらを通した顧客基盤の維持に取り組みます。

校外学習をとりまく環境の変化の中で、最も大きく捉えているのは、子どもの学びに対する意欲および学習力の低下、ニーズの多様化、二極化が進んでいることです。まずは「やってみたい」という意欲を生み出し、それをきっかけにしてサービスの利用が始まった時には、やる気が続く個別コミュニケーションの強化を今まで以上に図っていきます。さらに、販売では、始める前の体験機会を充実させていきます。このようなことを徹底的に強化していきたいと思います。

これらの施策は、実はすでに2022年から始めており、販売のピーク時に手応えを感じている施策です。学年を広げたり頻度を上げたりすることで、「進研ゼミ」を利用してもらえる必然性を強く醸成していけるように考えていきたいと思います。

【II-②】<校外>商品・営業の再設計 多様化するニーズへの対応

一方で、多様なニーズや学びに対する二極化にも対応していきます。「進研ゼミ」の顧客基盤の上に、ニーズが明らかになっている商品を提供することで、個別対応力を強化していきます。

その1つが、中学生と高校生の一部ですでにサービスを提供して学習成果につながっている「EVERES」です。この商品の対象学年の拡大を図ります。

もう1つは、教科だけではない多様な学びのニーズに対する「チャレンジスクール」の展開強化です。「チャレンジスクール」でもどのような領域のニーズが高いかが見えてきており、特に「STEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)」の領域でニーズが高くなっています。これらの講座を拡充していく方針です。

【II-②】<学校>商品・営業の再設計 顧客基盤維持強化

学校領域についてです。スライドは義務教育領域ですが、GIGAスクール構想を機に2020年から有償の教育ソフト「ミライシード」の導入が拡大しています。現在、全国で約9,000校に採択していただき、シェアは約30パーセントとなっています。すでにナンバーワンのシェアと規模で展開しています。

これは新型コロナウイルスを機に一気に進められたGIGAスクール構想により、自治体の有償ソフトの導入が機会点になりました。

また、Next GIGA構想の時期には、端末リプレイスが起こりますが、同時に有償ソフトの切り替えも起こります。5年間の契約のため、2025年度に切り替わりますので、これを機会点に、さらに採択校やシェアを高めていきます。

そのため、2025年までに必要な戦略投資を行い、商品強化や学校のフォロー体制整備を行っていきます。Next GIGA構想以降、さらに採択校数の増加やシェアの拡大を図っていきます。

【II-②】<学校>商品・営業の再設計 顧客基盤維持強化

高校領域においては、年内入試の進展と大学教育の特色化によるニーズの多様化・多層化が起こっています。スライド左側にあるように、進学校・進路多様校という区分から、現在は進学校・中堅校・進路多様校、さらに中堅校の中にも2つの区分がある状態です。

多層化する学校のニーズに対して、我々はアセスメントを強みにしてきたことをベースに、それぞれのニーズに応えていきます。アセスメント&デジタル学習サービスの強化、アセスメント&年内入試プログラムの強化、アセスメント&進路達成プログラムの強化といった多様なニーズに対して商品群を充実させます。これが2025年までに学校、特に高校領域で力を入れて取り組むポイントです。

【II-②】<地域>商品・営業の再設計 多様化するニーズへの対応

学校や校外学習、家庭、それ以外の場で起こっている大きな変化としては、我々は教育ニーズが多様化している地域を意識しています。地域ごとに取り組むテーマやニーズが異なりますので、それらの把握と対応を迅速に進めていきます。

また、そのような活動の中で、地域ごとの教育課題の解決と新しい事業のモデルを探っていくことも考えています。2023年4月にはエリア事業推進本部を設置しました。すでに活動を開始し、いくつかの事例が起こっています。

例えば、奈良県の不登校のケースです。不登校は現代社会の大きな問題ですが、その支援ネットワーク作りに「ベネッセに協力してもらいたい」というお声をいただきました。我々の商品を使いながら奈良県の教育課題に協力し、新しいモデル作りに取り組みます。

【II-②】コスト構造改革 検討中の実行策

コスト構造改革を行うとお話ししましたが、事業ごとのコスト削減努力を継続しつつ、その枠を超えて全社・組織横断でコスト構造改革を大胆に取り組もうと考えています。

構造改革のテーマとしては、ITや電話窓口、編集などがあり、現コスト規模は約340億円です。それに対してトータル30億円から50億円のコスト構造改革を図ることができると考えています。スライドに記載した具体的な活動をこれから進めていきます。

【II-②】コア教育事業における重要な転換点

コア教育において、2025年が1つの機会点になるとお話ししました。節目となるNext GIGA構想において、1人1台の端末のリプレイス、校務支援システムのクラウド化、アセスメントのCBT(Computer Based Testing)化と教育データ利活用の促進を進めていきます。ここには機会点と脅威の両方があることを十分に踏まえ、2026年以降のコア教育の変革を進めることが非常に大きなポイントとなります。

【II-②】長期 (FY26以降) 次世代化と事業モデル変革

2026年度以降に長期でどのようなことを考えているかご説明します。現在、3つ考えていることがあります。1つ目は「進研ゼミ」を中心としたタブレットのBYOD化です。これを機会点に「進研ゼミ」の次世代化を図っていき、より多くの、より多様なご家庭・お子さまに支持・活用いただける事業モデルに変革していきます。

2つ目は、学校校務クラウド化です。これは文科省が進めようとしているテーマです。これを機会点に学校教育そのものの次世代化に貢献していこうと考えています。現在、教員の業務負荷の問題は非常に大きなものになっていますので、そこを含めて、データ利活用による新しい学校教育のあり方に取り組み、学校教育に貢献していきます。

3つ目は、アセスメントのCBT化です。我々はアセスメントに非常に強く、アセスメントを起点に学校での日常学習や進路、年内入試に対応していくと先ほどお話ししましたが、それらをCBT化することで、迅速に機会点を広げられる可能性が十分にあると思っています。

【II-②】(A) BYOD化を機会点とした進研ゼミの次世代化

BYOD化についてご説明します。現在の根本的な事業課題として、校外学習の中で経済格差が大きくなっています。「進研ゼミ」の価格で利用できる家庭の数は決して多くはありません。実際に「価格がネックで継続ができない」「新規で申し込みできない」という声がたくさん挙がっています。誰もが受けやすい「進研ゼミ」にならないといけないと思います。

一方で、自社タブレットを提供し続けることにより、年間105億円の受講前のキャッシュアウトが起こっていますので、この点は財務的な改善にもつながると考えています。さらに、子どものやる気・学習力低下にもしっかりと取り組んでいきます。

また、Next GIGA構想がなぜ機会点になるのかというと、個人端末の保有率が上がると思うからです。あらゆる端末でWebから「進研ゼミ」に取り組める可能性が広がると考えています。

そして、BYODを前提に低価格で日本中の家庭が頼れる「進研ゼミ」を目指すと同時に、キャッシュフローを改善します。

さらに、学校や我々、競合各社も進めていますが、デジタル学習だけで学びきれない子どもが多いことも事実です。そのような意味合いで、我々は教室も持っています。デジタルと教室のリアルをつなぐことで、子どものやる気をしっかりつなぎます。「進研ゼミ」ではこのような点にチャレンジしていきます。

実際に「進研ゼミ個別教室」に通う会員の継続率は、そうでない方の継続率よりも10パーセント高くなっています。ここもしっかり拡大させていこうと考えています。

【II-②】(B) 学校校務クラウド化を起点とした学校教育の次世代化

学校校務クラウド化がなぜ機会点になるかご説明します。現状、EDUCOM社が校務支援を行っています。また、評価については、非常に多くのアセスメントを行い、日常学習も「ミライシード」「Classi」を利用いただいています。しかし、これらを十分につなぎきれていないため、学校では個別に活用している状態です。まず、校務支援をクラウド化することで、教員の業務負荷が格段に改善できます。

その中で、評価や日常学習をデータ利活用によってつなぎ、教員の負担を減らして学校にあるデータを活かす、新しい学校教育のあり方を提案していきます。それが学校教育における次のかたちを作ると考えています。

【II-②】 K&F中国事業の変革 環境変化と回復・成長に向けて

  少しお話が変わりますが、冒頭に、中国「こどもちゃれんじ」は新型コロナウイルスからの回復が遅れているとお話ししました。こちらの回復を図ることが非常に大きなポイントになっています。

実は、中国でも日本と同じ、あるいは日本以上に少子化が進んでいる状態です。さらに新型コロナウイルスでさまざまなことが起こり、ゼロコロナ政策で我々の事業も非常に傷みました。

一方、新型コロナウイルスの前に双減政策という民間教育事業に対する規制の強化がありました。中国では、日本以上にさまざまな事業を取り巻く変化がありましたが、双減政策による民間の教育事業者の締めつけは、我々の事業にとっては追い風になっています。我々の事業は双減政策のターゲットにはなっておらず、ゼロコロナ対策が緩和されたことによる追い風も起こっているということです。そのような中で、コロナ禍やさまざまな環境変化で傷んだこの事業を着実に回復させていこうと考えています。

また、2025年までに利益バランスを重視しながら講座在籍を回復させていきます。さらに、LTVを向上させるための商品もリリースしながら、この中国事業の回復と再成長を図っていきたいと思います。

加えて、中長期では、3級から4級都市への事業の拡大も図っていきます。

【Ⅱ-②】コア介護事業変革 環境変化と回復・成長に向けて

コア介護をどうしていくのかという問題です。みなさまご承知のとおり、85歳以上の人口は2065年まで増加し続けます。一方、その周辺課題として、介護人材の不足がさらに進んでいくことが見えています。

また、短期の課題として、新型コロナウイルス感染症が5類に移行されました。この事業領域では、コロナ禍に対する回復が遅れていた入居率の問題について、早期に回復させることにいち早く着手するというテーマがあります。

実際、2月から3月の入居率は改善しています。見学問い合わせの数も確実に増えてきています。入居率の回復を早期に目指すために、今まで以上に病院やケアマネージャーとの関係構築をはじめ、ショートステイを通じて入居率の回復へ早期に取り組んでいきます。そのために営業強化も行っていきます。

ここまでがコア事業についてです。

新たな成長への挑戦:大学・社会人事業

新たな成長への挑戦である大学・社会人事業は、今までもみなさまにお伝えしてきました。そのたびに、みなさまからは「具体的にどうしていくのか?」「ベネッセが今ここに着手して成功できるのか?」とお問い合わせをいただいてきた領域です。本日は、挑戦しようとしているかたちや領域について具体的にお話しします。

まず、世の中の変化に対してベネッセならではの強みを整理しました。みなさまご承知の部分が多いと思いますが、世界、日本、民間、行政と、どの切り口からみても、大学や特に社会人のリスキル・学び、キャリアに投資する活動の活発化が起こるのは間違いないと思います。

一方で、人的資本開示の義務化や、持続的な成長に向けた人材投資・育成の強化は、民間の事業者がまさに目の前の課題として大きく取り組み始めたという認識です。実はベネッセを経営している私も、ベネッセの持続的な経営のために、リスキリングや人材強化が非常に大きなテーマであると実感しながら取り組んでいるところです。

また、政府がリスキリングに対して5年で1兆円の投資をすると表明しています。それぞれに違いはありますが、行政でもさまざまな動きが起こっているテーマであることは間違いありません。

ベネッセならではの強みとしては、教育にずっと取り組んできた会社ですので、リスキリングをわかりやすく教える技術を持っていると自負しています。また、幅広い顧客基盤を持っています。「Udemy」の顧客基盤もかなり強くなってきました。ベネッセの他の事業がもつ顧客基盤も、この事業にかなり大きくつなげられると考えています。そして、学びに留まらず、キャリアの構築からの支援ができるため、そのような事業モデルを作ろうとしています。

大学・社会人カンパニーとして目指す姿

目指す姿の全体像です。スライドには「To B」と「To C」がありますが、この両方に対して、大学・社会人事業を十分に展開していけると思っています。

実はこの「To B」「To C」の中に書いている4つの輪のサイクルは、ほぼ同じようなかたちになっています。企業(To B)の場合、「目指す姿の明確化」とは企業の人事戦略や組織強化戦略のことです。「現状/スキルの可視化」とのギャップにしっかりと力を入れなければいけません。そして、ギャップが見えたところに「ラーニング」として企業研修やリスキリングを促していきます。そのような中で、新たな事業や持続的な利益を創出するために「採用/異動」を行う必要があります。

個人(To C)でも同じようなことが言えます。自分のキャリア開発やこれから取り組んでいきたいことという「目指す姿の明確化」に対して、「どのようなスキルが必要なのか?」という「現状/スキルの可視化」を行い、「ラーニング」として必要なスキルをしっかりと学びます。そして、それを「就職」の機会にしていきます。このようなサイクルが個人の中で起こっています。

こちらのそれぞれを支援することで、企業や個人のニーズをマッチングしていきます。この全体像を実現していくことを考えています。

一方で、これは企業(To B)や個人(To C)にかかわらず、対行政(To G)や対学校(To S)でもニーズが大きく出てきています。そこに対してもしっかりとお応えしていく姿を目指しています。

2030年に向けた市場の見立て

どのように市場を見込んでいるのかについてです。こちらのスライドでは、2022年の状態と2030年にどのように広がっていくかを、「億円」の単位で示しています。どの領域も2030年に向けて市場が大きく拡大していくという見込みがすでに見えています。

リスキリング支援事業拡大の流れ

リスキリング支援事業拡大の流れです。スライドの4つの円を実現していくために、我々はまずラーニングの「Udemy」から事業を始めています。

また、現状のスキルの可視化ができるSkyHive社と資本提携しています。さらに、マッチングにおいては、Waris社にグループに入っていただき、次の手を打っているところです。

「Udemy」を起点に、スキルの可視化やマッチング、そして目指す姿の明確化のサイクルをしっかり成長させていくことを考えています。

Udemyの顧客基盤と売上高推移

すでに「Udemy」の顧客基盤はかなりの規模になっています。企業は1,000社を超え、個人では130万人以上の利用者を保有しています。さらに、売上は直近3年で3桁成長を実現しており、力強く右肩上がりに上がっていける計画も見えています。この顧客基盤を十分に使いながら、先ほどお話しした領域に事業を広げていこうと考えています。

ベネッセの顧客基盤の活用

一方、ベネッセがもつ「Udemy」以外の顧客基盤でも、この事業において十分にニーズがありますので、つないでいけると捉えています。

高校生向けの「マナビジョン」は、すでに100万人を超える高校生の利用者がいます。今の高校生は、大学入試が学びの目標にはなっていません。「大学を超えて、社会でどう活躍していくのか」「そのためにどのような進路を取っていくのか」が、今の高校生の大きなニーズであり、取り組むべき課題です。そこに対しても十分にこのラーニングを結びつけることができます。この活動はすでに動いており、鳥取県では、対応校の子どもに対して「Udemy」を利用する取り組みが始まっています。

大学生向けの「dodaキャンパス」は、学んできたことと就職をつなげるサービスです。このサイクルの中で、「自分で学んだことをより充実させていく」「やりたいことに対して学びを進めていく」ことと働くことをつなぎ、学んだことを十分に活かせる顧客基盤になっています。

「たまひよ」「サンキュ!」は雑誌と捉えられているかもしれませんが、実はすでにアプリ化やネットワーク化により、それぞれのお客さまの特定ができている状態です。女性が次のキャリアや就職を考える際に、我々が考えている学びと就職、スキルアップのサイクルにつないでいける基盤があると考えています。

行政と連携したビジネスの取組事例(1/2)

行政との関わりも進んでいることをお話ししましたが、具体的な取組事例をご紹介します。政府はすでに1兆円を投資し、しっかりとリスキリングの文化を作っていこうとしています。企業・個人だけでなく行政との関わりも、大きな期待であり機会点だと思っています。

各行政がリスキリングによって地域の人材支援を力強く進めている例をご紹介します。例えば、東京都では、すでにDX人材リスキル支援という事業において、250の中小企業に対し、DX人材育成のサービスの1つとして「Udemy」が使われています。

また、奈良県では、県で雇用者を支援するためのリカレント教育を行っています。補助から給料を支払い、転職支援とリスキリング・リカレントを進めていこうとしており、ここにも「Udemy」が使われています。

行政と連携したビジネスの取組事例(2/2)

5月10日に自治体を集めて「全国自治体リスキリングネットワーク」を設立しました。それぞれの自治体で起こっている取組事例を相互共有し、自治体のレベルや気づき、刺激を促進していこうというネットワークであり、こちらを運営しています。

5月10日のキックオフでは、45の自治体からこのネットワークに参画表明をいただきました。このような活動を、企業・個人のみならず、社会全体を変えていく活動に貢献していく事業として発展させていきたいと思っています。

売上計画数値

数字については、2028年に売上650億円、2030年に1,000億円を目指しています。この事業にしっかりとドライブをかけ、集中的な投資も行いたいと思っています。

出資先企業概要

出資先企業の概要です。本日は詳しくお話ししませんが、Udemy、SkyHive、Waris、コードクリサリスと、いろいろな会社にグループインしていただいたり、資本提携したりしながら、この事業のモデルを作っていくための連携強化も始まっています。

介護周辺領域の成長の方向性

大学・社会人以外の成長への挑戦として、介護周辺事業にも十分な成長の機会点があるかを検討しています。ここも十分投資しながら育てていこうと考えています。

ベネッセでは、施設介護を軸に、高齢者住宅、顧客紹介、福祉用具など多様な介護周辺事業を展開しています。市場のこれからの伸びや社会の課題を捉えた検討の中で、介護HRや介護食に我々の強みを活かして新しい柱を作っていけると見ています。

介護HRは、もともと人材が足りなくなっていくため、当然ながら高い成長率を示しており、社会の大きな課題にもなっています。ここに対して、我々が手を打っていくことを考えてきました。

また、介護食は嚥下状態が良くない方への特別な食事ですが、栄養を十分にキープしていかなければなりません。ここについてもさまざまな課題と機会点があり、成長率も高い領域だと捉えています。

この2つについて、新たに介護周辺領域の成長領域として力を込めて取り組んでいこうと決定しています。

(A)介護HR 事業戦略の考え方

介護HR事業の市場全体は、2022年から2028年まで大きな市場規模になっていきます。ベネッセは、すでにこの領域に取り組んでおり、派遣事業、人材紹介、メディア事業として、2021年度に、グループインをしたハートメディカルケアと、もともと事業を行っていたベネッセMCMがこの事業を行い、成長させていきます。

また、それとは別に、就労者と雇用者のより多様なニーズを満たすための新たなHR事業にも取り組んでいこうと考えています。

(B)介護食事業戦略の考え方

もう1つの成長領域として捉えているのが介護食です。介護食の中でも、企業や施設のTo Bに対して、調理済みの介護食の市場規模が広がることから、事業の機会点を見出しています。

スライド右側にあるのが、調理済みの介護食市場における現在とこれからの市場規模の広がりです。現在540億円の市場規模が、2028年には950億円まで広がっていくだろうと推定しています。

介護食事業・商品概要と競争優位

なぜベネッセに介護食事業ができ、機会点と考えているのかについてです。実はベネッセは、すでに自前の工場で自前の施設に対してこの事業を行っています。お客さまの身体の状況に合わせて、ソフト食やミキサー食をすでに作り、提供しています。

見た目や風味は健康な方の食事に劣ることなく、食べる楽しさを十分に味わっていただくための調理方法をはじめ、栄養効果を十分に測りながらアイテム数を充実させていくところは、既存の他社と比べても遜色なく、サービス的には超えるものが作れていると思っています。そのことを強みにしながら、市場が広がる中でこの事業を十分に広げていこうと考えています。

介護周辺事業の事業計画数値

今の介護HRや介護食の事業について、どのような拡大を目指しているかです。両事業を合わせた現在の我々の売上は50億円です。こちらについては、2028年までに300億円を十分に目指せるとみています。変革事業計画に投資しながら、この事業の確立にチャレンジしていこうと考えています。

海外事業開発の基本方針

新たな成長への挑戦の最後に、海外事業についてお話しします。海外事業は闇雲に開発すればよいということではありません。十分に方針を持って取り組んでいます。

まず、我々が国内で取り組んでいる事業の飛び地ではなく、自社に起点となる強み・ノウハウがあるドメインで着実に展開するというのが、1つ目の大きな方針です。

また、教育や介護をグローバルスタンダードで展開することは、実はそれほど簡単ではありません。これは、我々が今までいろいろなチャレンジや経験をする中で、自ら感じてきた経験です。

したがって、教育や介護は特定の国にしっかりと深くコミットメントしながら、それぞれの国の課題解決を行い、それを事業にしていく必要があると思っています。その意味で、現状はインドの教育を進めています。

自社に土地勘や組織能力が十分にない場合は、当然M&Aも視野に入ってくるシナリオです。その中においても、この2つの方針の上でM&Aも含めて考えていくことを基本方針に取り組んでいこうと思っています。

【インドでの学校教育支援事業】背景と概要

すでにインドで学校教育の支援事業を進めています。なぜインドなのかというと、国として圧倒的な生徒人口規模を持ち、教育において急激な市場成長を果たしているという魅力があるためです。

国の教育における規制の中で、インドは外資規制がなくライセンスも不要で、ハードルが低いこともあります。そして、教育・入試制度が日本と非常に近いです。ベネッセのノウハウ・強みを活かしやすいことも調査から見えてきたことです。

また、インドの教育の環境変化は非常に大きくなっています。その機会点も、我々がこの国に出ていこうと思った1つの大きな理由です。いくつかスライドに記載していますが、大学進学率が大きく増えてきていることに加えて、2025年度には日本で行っている「大学入学共通テスト」と非常に近いものが導入されようとしています。

そこで、日本で行っている学校向け支援事業を導入しながら、インドで展開できるようなかたちにカスタマイズし、事業展開するチャレンジを始めました。

【インドでの学校教育支援事業】現地法人設立1年目の活動

すでに現地法人を作り、新規顧客開拓、アセスメント実施、アセスメント結果の分析会・教員支援や、そのことを通したTo Cへのメンターシップサービスを行っています。かなり手応えを感じていますので、テストを通しながらしっかりと拡大できると考えています。

【インドでの学校教育支援事業】今後の展開と目指す姿

インド事業での学校教育支援事業において、今後の展開と目指す姿です。今、行っていることをさらに磨き込んでいくとともに、アセスメント顧客基盤の拡大、To Cのメンターシップ拡大、そして日本で起こったことと同じようなことが全国共通入試で起こります。そこに対する商品のローンチやスケール化を行います。

スケール化するために、インドの組織強化やパートナーの開拓を強力に進めていく段階になっています。インドにおいては、2030年度前後には300億円くらいの事業にしていけると見込んでいますので、目指す数字を持ってしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

【Ⅲ】実現に向けた経営の仕組みの変革

実現に向けた経営の仕組みの変革は、この変革事業計画の中で非常に重要です。ポートフォリオ変革を通し、メリハリをつけた事業を展開していきます。

そのためには、経営トップの私だけでなく、CXO体制を実行できる組織に変えていき、マネジメントの変革やコーポレート変革も起こしていこうとしています。

なぜなら、ポートフォリオ変革の実行には、全社視点・中長期視点でのリソース強化・最適アロケーションが必ず必要になるからです。また、コア事業における主要施策のROI検証の強化や低収益事業の事業性の適切な判断のさらなる強化、経営判断がより重要です。

そして、変革事業計画の目標達成をドライブするための経営チームのキャパシティや専門性、生産性向上にも当然取り組んでいかなければ、この変革事業計画は実現できません。そこでこのマネジメントを変革していこうと考えています。

【Ⅲ】【マネジメント・コーポレート変革(A)】CXO体制の強化

具体的には、CXO体制をもう一回、再構築・再整理します。そして経営トップ主体で、このCXOチームで全社リソースアロケーションを行う経営システムを作り、さらにコーポレートの生産性向上を図るということです。

スライドはCXO体制強化の表です。CSO、CFO、CHRO、CCO、CLRO、CDXOという6つのCXOとCEOがチームになり、変革マネジメントコミュニティを設置して、現状やコーポレート変革に必要な情報を常に共有化する状態で、最適な判断をグループで行えるようなコミュニティを作っていきます。

事業は進んでいますので、進捗に対してこのチームで十分にモニタリングし、必要な支援を行っていけるように作り直していきたいと思っています。

【Ⅲ】【マネジメント・コーポレート変革(B)】リソースアロケーション

人材強化・アロケーションを行っていくために、具体的にどのようなことを考えているかです。中期の要員計画から、必要な育成・採用、異動・配属、評価のサイクルを、事業最適解ではなく、ポートフォリオを実現するためのグループ最適解で作り出します。

また、投資アロケーションのアップデートでは、キャッシュアロケーション方針に沿って、CFO主体で投資計画の策定を行っていきます。

さらに、モニタリング・実行支援もしっかりと行いながら、先ほどお話ししたポートフォリオに沿ったそれぞれの事業の実現を目指していきます。

【Ⅲ】【マネジメント・コーポレート変革(C)】コーポレートの生産性向上

コーポレート変革においては、コーポレートそのものをどう再整理するかが重要です。コーポレートには、戦略部分と事業をサポートする部分、会社を行っていく上でシェアード化していくオペレーション部分があります。これを今回、機能で整理しました。戦略機能は強化し、オペレーション部分はシェアード化して生産性を向上させます。これまでも何度かトライしましたが、今回は大きく舵を切り、実現のために計画化して取り組もうとしています。

【財務目標①】2020年11月中計と今回の変革事業計画

財務・非財務目標です。2025年度の財務目標については、決算説明会でもお伝えしましたが、営業利益320億円以上、ROE10パーセント以上とします。2022年度から2025年度の売上の伸びは、新領域をしっかり見ていきます。

【財務目標②】FY28の目指すポートフォリオ構造 (営業利益 FY22-25-28)

2028年度までに目指すポートフォリオ構造です。今回整理したコア教育・コア介護・新領域の2022年度の売上比率は、スライド左の円グラフのとおりです。2025年度には、先ほどお話ししたポートフォリオ戦略により中央のグラフの割合に変化させていき、2028年度には右のようにバランスの取れた3本の柱となる構造を目指します。

【財務目標③】キャッシュアロケーションと投資配分

そのために、キャッシュアロケーションをあらためて整理しました。2023年度から2025年度のキャッシュアロケーションでは、3年累計キャッシュポジション約1,240億円を、コア事業の変革と新領域の成長に向けた投資、株主還元等で使っていくことになります。

投資計画のイメージとしては、コア教育30パーセント、コア介護20パーセント、新領域50パーセントとしており、コア介護・新領域は成長もさせていきます。コア教育を成長させないという意味ではなく、利益を強固に出せるようにしていく方針ですので、成長していく領域には、投資全体の約70パーセントをかけていこうと考えています。

【非財務目標】 考え方と指標

非財務については、まだ検討が必要だと思っています。スライド上部に記載のとおり、上場企業として、まずはESG経営のための目標をしっかり掲げて取り組んでいきます。

また、スライド下部には、今回のグループパーパスおよび変革事業計画の実現に向けた非財務目標を掲げています。こちらについては今後もしっかり検討しながら、必要なタイミングでみなさまとも情報共有していきます。

【事業領域別重点KPI】

こちらは重要な表です。今回、事業領域をコア教育・コア介護・新領域の3つに分け、それぞれ目指す状態をポートフォリオで、安定利益・安定成長・成長牽引の位置づけにしようとしています。

したがって、それぞれの重点KPIも、例えばコア教育であれば、量的指標から安定収益を作るための質的指標に変革するため、先行指標の検討を具体的に始めようと思っています。顧客満足度あるいはNPS的な観点での継続利用期間、学習習得度などを事業の先行指標として追いながら、安定的に収益を出していくためのKPIに変えていかなければいけません。つまり、在籍者数が最重要KPIとはならず、どのように在籍を作るかということがより重要になってきます。

コア介護については、安定成長分野であるため、量的指標に質的指標を加え、成長も安定的な収益も確保していきます。また、新領域においては、まずは着実に伸ばすために量的指標中心のKPIにしていきたいと思っています。

今後のエンゲージメント強化

今後もみなさまとのエンゲージメントを強化すべく、各セグメントごとの事業説明会や、昨年度、初めて行ったESG説明会などを通して、当社の変革事業計画の進捗や現状についてコミュニケーションを取っていきたいと思っています。ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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