カオナビ、通期の売上高・利益ともに過去最高 中期経営方針を発表し、競争力強化に向けた機能開発を加速
2023年3月期第4四半期決算説明
佐藤寛之氏(以下、佐藤):株式会社カオナビの代表の佐藤です。本日はお忙しい中、ご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日の決算説明では、中期経営方針の発表のほか、2023年度のことについてもお話しします。
パーパス
本日は中期経営方針のお話もするため、あらためて私どものパーパスをお伝えさせていただきます。
当社は「はたらく」という関係において、テクノロジーを使って企業と個人の関係性を変えていきます。個人の才能や個性、多様性から、社会の「はたらく」を変えていくことに取り組んでいる企業です。
本日お話しするの中期経営方針の一部にも、当社ならではの方針を盛り込んでいますので、引き続きご興味をお持ちいただければ幸いです。
カスタマーサクセスの進化
当社は従前から、カスタマーサクセスに力を入れてきました。
正解のないタレントマネジメント領域においては、機能の開発だけでなく、ユーザーである企業がタレントマネジメントのシステムをどのくらい使いこなすことができるか、どのようにHR領域を変化させられるかが、非常に大事になります。
そのためにはカスタマーサクセスが非常に大事なポイントであると、これまで再三お伝えしてきました。その強化の一環として、カスタマーサクセスの中に「カオナビキャンパス」というタレントマネジメントの大学を開校しています。
その中の1つのセッションとして、「カオナビキャンパスLab」をオープンしました。カオナビとパートナーシップを組む人事コンサルタントのみなさまには、人事制度の専門家や教育研修の専門家がおり、企業に属している方から、個人で取り組んでいる方まで、いろいろな方がいらっしゃいます。
人事のプロフェッショナルの方々と連携し、彼らの持っているノウハウを「カオナビキャンパス」の中で検索可能にし、テンプレートや資料をダウンロードできるようにしました。
これにより、「カオナビ」を使う際に「タレントマネジメントの実現に向けて、実際にどのように使えばよいのだろう」「使いこなすにあたって、その周辺のノウハウはどのようにあるべきなのだろう」と悩んだ時や、「専門家はテンプレートをどのように作るのだろう」と思った時に、簡単に検索し、使いこなすことができるようになりました。
中長期で見ると「カオナビ」が、人事のコンサルタントを結びつけるHR領域全体のプラットフォームとしての役割を担っていくと思っています。
今はまだ駆け出しで、質、量はともにこれからという段階ではありますが、ご覧いただいたユーザーのみなさまからはご好評いただいています。「カオナビキャンパスLab」に似たサービスも、今後強化していきたいと考えているため、ご興味を持っていただければと思います。
ハイライト
第4四半期の業績です。売上高は16億5,100万円で、前年同期比30.4パーセントの成長となりました。売上総利益は11億7,100万円で前年同期比24.9パーセントの成長、利益率は70.9パーセントで着地しています。営業利益は6,000万円でした。
売上高に関しては、引き続き堅調なペースで進んでおり、営業利益も黒字で着地しています。しかしながら、売上総利益率は若干低水準となっています。
先般からお伝えしているとおり、オフィスの移転に伴う加速償却の影響がありましたし、2022年度の第4四半期から2023年度にかけて、新機能を含め、既存機能のバージョンアップを行うための開発投資を加速させています。
ですので、この点については、意思を持って開発を進めているとご理解ください。
全体の業績としては、売上高、売上総利益、営業利益ともに、発表した業績予想を超過して着地しており順調でした。
また今回は特別損失として、投資有価証券評価損を2,800万円計上しています。当社は、カオナビネクストファンドで、事業シナジーがある領域のシード段階、あるいはシリーズA段階のHRテクノロジーやそれに準ずる企業に対し、情報収集や未来の投資のための出資をしています。
そのうちの3社について、その成長度合いを見て評価を再算出した結果、減損処理となりました。
ARRは63億6,900万円、前年比で29.7パーセントと期初の想定を上回って着地しました。ストックの新規獲得MRRも過去最高を更新しており非常に好調です。
解約率は12ヶ月平均で0.51パーセントと、引き続き低水準で推移しています。
フローの受注額も過去最高を更新しました。以前にテコ入れを行って以来、好調な結果が続いています。
採用環境は引き続き、厳しい環境は変わりません。エンジニアだけではなく、営業パーソンの採用も、競争が激化する一方です。ただ、当初描いていた採用計画どおりに着地できたため、従業員の拡充は問題なかったと思っています。
決算サマリー(2023年3月期 第4四半期)
橋本公隆氏(以下、橋本):CFOの橋本です。よろしくお願いいたします。
第4四半期の決算サマリーは、先ほど佐藤がご説明しましたため割愛させていただきます。
決算サマリー(2023年3月期 通期)
通期の決算サマリーです。売上高の成長率は前期比33.2パーセント、売上総利益率は73.8パーセントで着地しています。
売上高、売上総利益、営業利益に関しては、一番右の列に記載のとおり、いずれも業績予想を超過して着地できています。ガイダンスは出していませんが、経常利益、当期純利益も前年を上回り、堅調な進捗により増益となりました。非常に良い決算で2022年度を締めくくることができたと思っています。
売上高の推移
売上高の推移です。スライド左側のグラフは、ストックとフローの売上高を分解したものです。第2四半期以降は非常に好調な受注が続いており、ストック収益も大きく伸びています。その結果、今回初めて前四半期比での増収が1億円を超過しました。
フローについても、ストックの新規獲得が好調だったことにより、初期費用や有償サポートの受注が堅調に増加し、第4四半期の売上高は2億2,800万円と過去最高となっています。
売上総利益・売上原価の推移
売上総利益についてです。金額ベースで見ると毎四半期で右肩上がりに成長しています。
一方で、先ほど佐藤が申し上げたように、機能開発に向けた人員の増加や、昨年の第2四半期から継続している加速償却、そして毎年第4四半期に発生する、脆弱性診断費用といった項目の計上があり、原価が大幅に増加しました。
中期経営方針でもあらためてご説明しますが、開発ロードマップの実現に向けて、足元では正社員やSESなどの業務委託の人員増加を進めています。
開発投資の加速により、2023年度の売上総利益率に関しては、増加はせずに前年並みの水準になる見込みです。
営業利益・販管費の推移
営業利益は、売上総利益の成長に伴い、着実に利益が出せるP/Lの構造になってきました。
フリーキャッシュフロー・貸借対照表の推移
フリーキャッシュフローとB/Sです。ご覧のとおり、フリーキャッシュフローを安定して創出できています。そのおかげで現預金も積み上がってきており、前年同期比20パーセント弱の増加という結果を見ると、投資余力もかなりついてきています。
KPIサマリー
KPIサマリーです。ARRは前年同期比で29.7パーセント成長し、63億6,900万円となりました。 利用企業数は前年同期比で22.5パーセント成長し、3,059社となりました。単価のARPUは、前年同期より5.8パーセント成長し、17万4,000円でした。
解約率は0.51パーセントで、LTV/CAC(ユニットエコノミクス)は9.2倍、従業員数は283名となっています。
ARRの推移
ARRの推移です。前年同期比で29.7パーセント成長し、63億6,900万円となりました。グラフのとおり、ARRは順調に積み上がってきています。
利用企業数・ARPUの推移
利用企業数と単価についてです。純増社数は第3四半期の151社から、今期は179社に増加しており、過去最高を更新しています。また、利用企業数は3,059社となり、3,000社を突破しました。
ARPUも堅調に増加しており、昨年から5.8パーセント増え、17万4,000円となっています。
解約率の推移
解約率です。こちらもカスタマーサクセスの取り組みや、機能強化などを踏まえ、非常に低い水準を維持できていると思っています。
ユニットエコノミクスの推移
2022年度は、数年ぶりに首都圏でテレビCMを実施し、広告宣伝費が増えましたが、受注の増加により、着実に投資回収ができています。
LTV/CACは9倍を超えています。この水準であれば、今後のマーケティング投資の選択肢も広がり、柔軟性が高い投資ができると思っています。足元の非常に好調な事業環境をふまえ、2023年度は2022年度よりもさらに、マーケティング投資を拡大する計画です。
従業員数の推移
従業員数です。前期から54名の純増となっています。全部門で、偏りなく人員の強化を図れたと思っています。
2023年度も引き続き採用を進めますが、2022年度ほどの増員は想定しておらず、生産性とのバランスを重視しながら人員の増強を行っていく方針です。
続いて、中期経営方針について、佐藤よりご説明します。
中期経営戦略の見直し
佐藤:中期経営方針についてご説明します。今まではみなさまに、簡単なピンポイントの成長イメージだけを共有してきました。しかしながら、前回の決算説明会の時に、「もう少し解像度を上げた、当社のきちんとした中期経営方針を次回ご説明します」とお話ししました。
ですので、今回は昨今の経済環境、競合環境を踏まえつつ、解像度を上げた中期経営方針をみなさまに共有したいと思います。
中期経営方針
マテリアリティをベースに、パーパスやビジョンの実現に向けた中期経営方針を、3つの領域において定めています。
1つ目は継続的なARRの成長、2つ目は収益性の向上、そして3つ目は非財務的活動の推進です。この3つをポイントに、当社は中期的に経営を推進していきます。
1 継続的なARRの成長
中期経営方針1つ目の継続的なARRの成長については、「利用数の拡大×ARPUの向上」に取り組んでいきます。
1 継続的なARRの成長:利用企業数の拡大
利用企業数の拡大については、ここ数年ずっとお話ししていることと、あまり変わっていません。「カオナビ」のターゲット企業は、主に従業員数が100人以上の企業です。
「カオナビ」の利用企業数は今、3,000社を超えたところです。つまり、まだ6万社近く、我々のサービスを利用していないお客さまがいます。
日本国内に限ったとしても、まだホワイトスペースがあるため、そのような企業をいち早く獲得し、「カオナビ」を利用していただくために、営業していくことが大事だと考えています。
そのためにも、組織全体を筋肉質に大きくしていくことに取り組んでいます。採用については、コストを見ながら、拡大に寄与する人材をきちんと補充していきたいと思っています。
そして、2022年度には香取慎吾さんのCMも打ちましたが、まだリーチしていない顧客層にリーチするための広告宣伝は投資対効果があると思っています。先ほどお話ししたLTV/CACに関しても当社に余力がありますので、引き続きマーケティング投資を続けていきたいと考えています。
首都圏に比べ、地方での当社の認知度はまだ低い状態です。地方の優良企業を中心に事例を獲得し、それを伝播させることを目指して、積極的に進出を図っていきたいと思っています。
昨今、成果が出始めているポイントとして、パートナーの活用が挙げられます。例えば官公庁に強い、あるいは学校法人に強いといったコンサルティング会社がパートナーとして育ってきているため、これを増やしていきたいと考えています。パートナー経由の売上比率を高めていくことで、マーケティング投資では出会えないゾーンに対しても一定の成果が出ると確信できる状態になってきています。これに関しては今期も引き続き、力を入れたいと思っています。
1 継続的なARRの成長:ARPUの向上
続いて、ARPUの向上についてです。単価を上げていくという意味では、当然ARPUも上がっていきます。エンタープライズ企業へアプローチするにあたって、今までの中堅ゾーンとは違う要望が存在しますので、そこに対する抜本的な機能拡充を図る必要があります。
先ほど、今は開発に力を入れているというお話をしましたが、このようなエンタープライズ企業の希望に応えるという意味でも既存機能の拡充は欠かせません。
それはいみじくもエンタープライズ企業だけではなく、中堅ゾーンやSMBのお客さまに対しても新規機能のアップセル商材として生きると思っています。この機能開発がARPUの向上にも寄与すると考えています。
加えて、最近取り組んでいるのが周辺領域との協業です。当社の領域が拡大すれば当然ARPUの向上につながります。このあたりも後ほどご説明できればと思います。
スライド右側には、開発ロードマップを記載しています。お客さまにはもう少し詳細なものを開示していますが、分析、スキル管理、配置・発令、オンボーディングといった機能を2023年度で作り切ってしまおうということで、現在このロードマップを顧客にコミットしたかたちで開発を進めています。
eラーニングは、いわゆるLMSです。LMSも1つの市場がありますので、かなり大きな期待ができる機能かと思います。ダッシュボードは、データのタイムラインのような分析機能です。こちらは従前から競合企業に劣後すると指摘されていた機能であり、併せて一気に開発することで劣後性を解消する狙いです。
ジョブディスクリプションやスキル管理、社内公募は、大手企業向けの機能として開発を進めています。現在のHR領域のトピックとして、大手企業のジョブ型人事への移行があります。ジョブ型人事、あるいはリスキリングというキーワードに対応する機能を持たせたいと思っています。
いずれもすべてのゾーンのお客さまに対して意味のある機能開発ですが、特にエンタープライズ企業のニーズに対応できる機能を作りきります。2023年度に関しても開発投資を継続し、機能開発はこの1年で一定レベルまで完了できるよう取り組んでいる次第です。
人材データプラットフォーム
人材データプラットフォームについてです。このような図は以前からお見せしていたかと思いますが、「カオナビ」のデータベースと接続することで、機能の利用価値や頻度がより上がる領域があります。ここに対して徐々に、自前でも開発を進めています。先ほどのLMSのようなお話も含め、右側の「カオナビ」と書いてある領域が徐々に広がっています。
一方で、すべて当社で完結するのではなく、左側の領域にあるように、パートナーとの連携や、営業シーンで共同提案するということも進めています。「カオナビ」のデータベースやプラットフォームを活用して、いろいろな機能を使いこなしていただくような提案を積極的に行っています。
今後もパートナー企業と連携しつつ、自社でも一部領域を広げ、必要があればM&Aも視野に入れながら、隣接する領域に価値提供することでARPUを上げていきたいと考えています。収益の形態を複数持つことによって、ARPUのレバレッジをさらに効かせられるよう取り組んでいきます。
このように協業と領域拡大を同時に行い、お客さまにとって唯一無二のクライアントパートナーという位置を獲得することで、ARPUの向上を図っていきたいと思います。具体的なトピックは、今後も四半期ごとにご紹介していきます。
人材データプラットフォームによるTAMの拡大可能性
以前からお伝えしているとおり、いまだ多くのTAMがあります。データプラットフォーム領域をベースとしたさらなる新規事業や隣接領域への進出を踏まえると、まだチャンスがあります。当社としては成長を止めないよう、R&Dも含めた未来への投資を引き続き行っていきたいと思っています。
施策の実施状況
施策の実施状況をご説明したスライドです。人員はきちんと拡充できています。マス広告も一定レベルの費用対効果が出ています。新機能も競合に劣後していた分析機能を拡充するため、先般「カスタムガジェット」をリリースしました。今後も新しい機能がどんどん開発される予定ですので、ご期待ください。
2 収益性の向上
中期経営方針2つ目の収益性の向上について、コストアロケーションのお話です。
全体のアロケーションをきちんと図りつつ、中長期の財務モデルは売上総利益率80パーセント、S&Mは30パーセントから35パーセント、R&Dは10パーセントから15パーセント、G&Aは10パーセント、そして営業利益率は20パーセントから30パーセントとすることを目標としています。
売上総利益については、オフィス移転の問題や、開発に注力していく思いがありますので、2023年度は73パーセント台の横ばいが続くと思います。当然、既存機能がきちんと収益性にリーチすることが大事ですので、目標として80パーセントを目指していきます。
R&Dについては、今後は既存機能というよりも新規事業への投資が非常に大事になってきますので、比率を相対的に高めていきたいと思っています。既存事業への開発は2023年度であらかた終えてしまい、新たな開発という意味で、しっかりと投資を行っていきます。
そして、全体の売上が大きくなれば、S&Mの比率は必然的に30パーセントから35パーセントのゾーンに収まっていくであろうと捉えています。
G&Aについてです。当社は個人情報を扱うビジネスを行っているため、会社規模と比較してバックオフィスのコストが高いという特徴を持っています。ISMAPも取得しており、その運営・維持にもかなりのコストがかかっています。しかし、これらは全体の売上高が上がってくると相対的にレバレッジが効いてくるものですので、意味のあるコストアロケーションによって10パーセントに抑えられると思っています。
中長期の方針は、20パーセント以上の営業利益率を出せるP/L構造をしっかりと築いていくことです。また、今後は調整後営業利益率をみなさまとのコミュニケーションに使わせていただきたいと思っています。
例えば移転などのイベントがあると、営業利益率は本業とは別の要素の影響を受けることがあります。また、今後は必要に応じてM&Aなどの方法も考えていきたいと思っています。
今後、本業の収益性をきちんとコミュニケーションするにあたり、調整後の営業利益、または調整後の営業利益率を提示するほうが妥当であろうと考えています。したがって、今後はこの指標をみなさまとのコミュニケーションに使っていきたいと思っています。
株主還元方針
株主還元方針についてです。今後も利益は出していきますが、当面はキャピタルゲイン、つまり収益性の向上とARRの成長によって株価を上げていくことで還元したいと考えています。
ただし、長期的にはインカムゲインも大事です。短期的に配当を実施するという予定は今のところありませんが、将来的には株主のみなさまにきちんとリターンを返していきたいと思っています。
中期財務目標
全体の方針を踏まえて、中期財務目標についてご説明します。これはイメージではなく当社のコミットメントです。
2024年度に100億円というようなピンポイントな目標ではなく、継続的に20パーセントから30パーセントのARRの成長率を維持し続けることをコミットします。既存事業で足りないようであれば新規事業を含めて、継続的な成長を維持します。
利益率については、20パーセント以上の調整後営業利益率をきちんと確保できる収益性の高い企業になっていくということを、中期財務目標として置いています。
3 非財務的活動の推進:個を尊重する社会の実現
中期経営方針3つ目の非財務的活動の推進についてです。当社は「売上高と利益だけ上げていればよい」とは思っていません。タレントマネジメントシステムを提供している会社ですので、人的資本を開示していくことで、独自性のある企業としてみなさまに支持されたいという思いがあります。
人的資本の開示については後日、別途Webサイトを立ち上げ、より詳しいものを開示しますが、本日はサマリーをお話しします。
まず、パーパス実現のための経営目標と人材戦略が一気通貫でつながっていないと意味がありません。当社は成長企業として、冒頭にお話ししたパーパスの実現に向けて活動しています。今までとは違った働き方や企業と個人との関係性を、テクノロジーを通じて世の中に創出していくことが大事だと考えています。
社員の一人ひとりが企業に対して個性や才能を還元し、自分の人生がより良いものとなるように働く姿勢が大事だということを、従業員に対して訴求している会社です。当社では求める人材像に「UNIQUE PERFORMER」を設定しています。個性や才能を発揮して、常に自分らしくアウトプットできる人材を意味します。
「UNIQUE PERFORMER」が活躍するために、組織として5つのバリューを設定しています。顧客やステークホルダー、仲間に対し「誠実であること」、「ユーザー視点で考えること」、属人的な成果に依存せず、再現性の高い企業活動へとつなげるために「仕組み化へこだわること」、自立的にキャリアを考えるという意味での「オーナーシップを持つこと」、組織をエンパワーメントするために「コンフリクトを恐れず」議論し、ユーザー価値を高めていく覚悟を持つことです。このような5つのバリューを社内で共有し、企業活動を行う上で常に大切にしています。
3 非財務的活動の推進:個を尊重する社会の実現
「UNIQUE PERFORMER」に活躍いただくために、多様な価値観や才能、バックグラウンドを持った方々が公平に一生懸命働く環境を整えることが企業としての責務です。そのため、「多様性の確保」は当社において非常に大事だと思っています。
また、「UNIQUE PERFORMER」も成長していく必要があるため、社員一人ひとりのレベルや練度を上げるためのキャリア支援も、企業として大切だと思っています。
加えて、「UNIQUE PERFORMER」がいきいき働くという意味では、Well-beingの向上も大切な要素です。多様性の確保にもつながることだと思いますのできちんと支援していきたいと考えています。
「UNIQUE PERFORMER」が活躍する組織というのは、いろいろな価値観や才能、個性を持った人間が、それぞれの意見を戦わせながら共に働く環境です。異なるバックグラウンドを尊重し、何か不公平があればそれを公平にしていくのが、今後の企業のあり方だと考えています。これについては今後もしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
非財務的活動の推進:個を尊重する社会の実現
しかし、まだ成長中の企業であり、実現できていないことも当然あります。例えば「多様性が大事」「Well-being」と言いながら、男性の育休取得率は0パーセントです。ここには何らかの問題があると思っているため、当社としてはこれに取り組んでいかなければいけないと思っています。
女性の管理職比率や男女の賃金格差についてもさらなる改善が必要です。また、多様性と言いながら外国籍の方に働いていただくことを実行できていないことは経営として反省しています
一方で、多様な働き方を推進しているという観点で、テレワーク実施率や兼業率などについては、比較的高水準を維持しています。引き続き力を入れて推進していきます。
これらの数値について、「何パーセントになるためにどうする」「何パーセントだから良いことだ」という発言は人的資本において意味がないと考えています。しかしながら、当社が掲げている人的資本経営の目標に対して「今どのような状況か」というモニタリングについては、数字できちんと開示することがステークホルダーとのコミュニケーションとして意味のある行動だと思っています。
ですので、このようなかたちで都度、モニタリングの結果をご報告していきます。詳しい内容は、後日、専門サイトを立ち上げますので、そちらをご覧ください。
非財務的活動の推進:脱炭素社会の実現
社会活動をしている以上、脱炭素社会の実現は社会の一員として必達目標です。私たちIT企業も必ず達成しなくてはいけないことだと強く認識しています。
2028年までは自社のCO2排出量実質ゼロを実現し、2035年までにはScope3のCO2排出量実質ゼロを目標におき、調達先や販売先など私たちの影響力外の企業に対するアプローチを通じて、社会の一員としての責務を果たしていきたいと思います。
最後になりますが、継続的なARRの成長、コストアロケーションの改善による収益性の改善など、SaaSとして継続的に成長しながら高い収益性を実現していくことをコミットします。
また、そのバックボーンにある、数字に表れないような人的資本経営ないしは社会に対するマテリアリティ、SDGsに対する取り組みやESGなどにおいても誇れる企業にしていきたいと考えています。みなさまには、引き続きご期待いただきたいと思います。
以上のことを踏まえ、橋本より2024年3月期の業績見通しおよびコストの方針についてお話しします。
2024年3月期の業績予想
橋本:2024年3月期業績予想について、トップラインからご説明します。考え方は昨年と変わりません。順調な成長を見込んだ場合を上限、それに対して獲得社数の鈍化や解約率の悪化など一定のストレスを加味した場合を下限とし、トップラインは73億9,000万円から75億1,000万円で、順調にいけば25.4パーセントの成長になる見込みです。
ストック収益は27.0パーセントから28.8パーセントの成長ですが、フロー収益は0.7パーセントから4.3パーセントの成長率ということで、ほぼ横ばいの予想となっていることに違和感を持つ方もいらっしゃると思います。
競争環境が激しくなる中、顧客獲得にあたってストックの月額利用料の値引きをすることがありますが、その場合、新収益認識基準に基づく値引按分によってフロー収益が低下することがあります。また、最近はエンタープライズの企業を中心に、1年を超える長期の契約が増えてきています。契約期間が長期化するということは、長い間使っていただけるので会社としては非常にポジティブです。ただし、フロー収益に関しては、初期費用等などの按分期間が長期化していくため、ネガティブになります。
このようなことを踏まえて、フロー収益に関しては8億4,000万円から8億6,000万円、前年比でほぼ横ばい、もしくは微増と計画しています。
続いて、売上総利益です。これまでのご説明のとおり、開発ロードマップの実現に向けて、人件費や外注費などの開発費を踏む1年にします。以前より売上総利益率の向上を計画していましたが、今期に関しては見込んでいません。売上総利益率を意識して2年や3年かけて開発を進めるのではなく、1年で必要な開発は完遂したいという意志を込めた計画になっています。
この1年間でプロダクトの競争力をさらに高めて、中長期的な成長を実現してまいります。
調整後営業利益については、中期経営方針に沿って、S&MやG&Aなど販管費の機能別のコストの比率をコントロールしていく考えです。
売上総利益率は、昨年より少し低い水準ですが、販管費のコントロールによって調整後の営業利益率は向上する見込みです。2023年度の調整後営業利益は7億2,000万円から9億6,000万円、利益率は9.7パーセントから12.8パーセントを見込んでいます。
主要コストの前提
主要コストの前提です。当社のコストの中では人件費とマーケティング関連費用が非常に大きいため、今期の見込みをあらかじめガイダンスしています。
スライド左側の人件費について、2023年度末の従業員数は310名から325名と計画しています。当然、採用数によって人件費は変わりますが、そのヘッドカウントのレンジの中で、人件費は24億8,000万円から26億3,000万円を見込んでいます。
スライド右側はマーケティング関連費用です。2022年度よりもさらにマーケティング関連費用を積み増し、15億1,000万円から15億6,000万円と前年同期比20パーセント程度増加する計画にしています。
本社移転に伴う費用の見込み
最後に本社移転に伴う費用の見込みです。2023年7月に本社移転を予定しており、それまでの間、加速償却費と二重家賃等の特別損失が見込まれています。
加速償却費は第2四半期で終わるため、第1四半期と第2四半期合わせて8,000万円を見込んでいます。特別損失は、6月から新本社の契約がスタートする一方で、6月中は引き続き現本社を使用するため二重家賃が発生します。特別損失は第1四半期と第2四半期を合わせて8,600万円の計上を見込んでいます。
2023年度の利益の達成イメージとしては、開発に向けた先行投資や本社移転の影響で第1四半期をボトムに、利益の金額が四半期ごとに上がっていく計画であり、そのようにして調整後営業利益率を高めていく考えです。
プロダクトを強化することでお客さまのタレントマネジメント実現に貢献していきたいという思いがあります。また、プロダクトの競争力を高めて持続的な成長を実現することで、株主や投資家のみなさまの期待に応えていきたいと考えています。
そのためにしっかりと完遂する1年にしたいと考えており、引き続きご支援をお願いしたいと思っています。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。
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