*15:07JST エーバランス Research Memo(7):2023年6月期第2四半期は太陽光パネル製造事業が高成長
■業績動向
1. 2023年6月期第2四半期累計の業績概要
Abalance<3856>の2023年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比320.5%増の112,071百万円、営業利益で同870.5%増の5,167百万円、経常利益で5,860百万円(前年同期は340百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益で同182.3%増の2,269百万円といずれも過去最高を大幅更新した。世界的な太陽光発電需要の拡大を追い風に、太陽光パネル製造事業の売上高が急拡大し、利益面でも需要の拡大による増収効果に加えて販売価格の値上げ効果、並びに海上運賃の下落が増益要因となった。売上原価率は販売構成比の変化により前年同期の82.1%から88.7%に上昇したが、増収効果により販管費率が同15.9%から6.7%に大きく低下した結果、営業利益率は同2.0%から5.2%に上昇した。
営業外収支が前年同期比で885百万円改善したが、主にはVSUNの為替差益増加(621百万円増)と明治機械に係る持分法による投資利益の増加(355百万円増)によるものとなっている。
(1) 太陽光パネル製造事業
世界規模での太陽光発電に対する旺盛な需要を背景に、太陽光パネル製造事業の売上高は前年同期比368.7%増の107,441百万円、セグメント利益は4,612百万円(前年同期は223百万円)と大幅増収増益となった。前年同期はコロナ禍でベトナム工場の稼働が一時低下したほか、港湾の停滞により製品出荷の制限を受けるなどの影響がでたが、こうした外部要因の影響は緩和しフル操業で出荷を継続できたことが大幅増収につながった。地域別では米国向けが大幅増となり、欧州向けも好調に推移した。売上高に占める割合はまだ大きくないが、南米やアフリカ、東南アジア向けについても売上を伸ばしたようだ。
利益面では、需要の拡大による増収効果に加えて2022年6月期下期から取り組んできたコスト増に対応した値上げが浸透してきたことや、海上運賃が下落したことも増益要因となった。四半期ごとの利益率で見れば、第1四半期は2.2%とまだ低く、第2四半期に6.3%と上昇し大きく回復した。なお、製品価格の値上げ効果や海上運賃の下落傾向は下期も続きそうなことから、下期の営業利益率については6%台の水準からもう少し上昇する可能性があると弊社では見ている。また、2022年10月に竣工したVSUNの第4工場で順次テスト稼働を開始し、2023年1月よりフル稼働に入っている。第4工場の稼働により年間生産能力は従来の2.6GWから5.0GWに増強されており、下期の売上高、利益は一段と拡大する可能性がある。
(2) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前年同期比22.3%増の4,425百万円、セグメント利益は同50.6%増の932百万円となった。同事業では従来の太陽光発電所及び物販の販売によるフロー型ビジネスから、太陽光発電所の自社保有化による売電収入を安定収益基盤とするストック型ビジネスへとビジネスモデルの転換を進めている段階にある。
売上高の内訳を見ると、発電所の販売及び物販等のフロー売上で前年同期比10.0%増の2,840百万円、売電及びO&Mによるストック売上で同53.0%増の1,585百万円となり、ストック売上が順調に拡大していることが窺える。2022年6月期下期以降に売電を開始した発電所やM&Aで取得した発電所の売電収入が増加要因となった。また、O&M収入も安定収益源として堅調に推移した。そのほか、サスティナブル経営に対する企業の関心が高まるなかで、脱炭素経営に対するソリューションの企画・提案力の強化を図っており、PPA※1事業者としてNONFIT案件※2やソーラーシェアリング案件などについても積極的に推進した。海外事業では、渡航制限の緩和とともにプロジェクトも徐々に動き始めているようで、今後は南米やアフリカなどの地域でも現地企業や商社などと協業しながら事業展開する方針となっている。
※1 PPAとは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略で、施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有、管理を行う会社(PPA事業者)が設置した太陽光発電システムで発電された電力をその施設の電力使用者へ有償で提供する仕組み。
※2 NONFIT案件とは、FIT(固定価格買取制度)に頼らない太陽光発電所を指す。FITを活用した太陽光発電所の電気は、再エネ賦課金という形ですでに環境価値への対価が支払われているという理由で、100%再生可能エネルギーとして認められていない(環境価値は再エネ賦課金を支払っている人に帰属するため)。NONFIT電気の場合、100%再生可能エネルギーとして認定されるため、売電による利潤獲得が主目的ではなく、100%再生可能エネルギーを利用したい自家消費目的のNONFIT太陽光発電所のニーズが増加している。
(3) IT事業
IT事業の売上高は328百万円(前年同期は11百万円)、セグメント利益は11百万円(前年同期は0百万円の利益)となった。2022年3月に子会社化したデジサインの収益が上乗せされたことが増収増益要因となった。
Abitではナレッジ(情報・知識・経験)の共有や業務プロセスの再構築を通じた労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket(R)」やMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等の提供に取り組んだ。また、グリーンエネルギーの供給やRE100の推進等に関連して、SDGsを志向する企業や自治体等のニーズについては、グリーンエネルギー事業、ヘルスケア関連事業との連携を図りつつ事業を推進しており、業績は堅調に推移した。なお、デジサインは強みとするデータセキュリティ技術を生かして2023年2月に電子契約サービス「e-Digi Sign」をリリースしており、データセキュリティを啓発するためのオウンドメディア「情報資産管理マガジン」やセキュリティ商材を中心としたECサイト「Johoいっちば」などの運営、プロフェショナル人材の紹介サービスなどと合わせて、事業拡大を進める方針だ。
(4) 光触媒事業
光触媒事業は、コロナ禍による感染対策ニーズが一段落した影響を受け、売上高で前年同期比66.9%減の18百万円となり、セグメント損失23百万円(前年同期は9百万円の利益)を計上した。2022年11月に日本光触媒センターがWWB及び明治機械と業務提携を締結しており、今後は明治機械の顧客基盤などを活用しながら畜産業界向けでの抗菌・抗ウイルス製品の需要掘り起こしを進めることにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年6月期第2四半期累計の業績概要
Abalance<3856>の2023年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比320.5%増の112,071百万円、営業利益で同870.5%増の5,167百万円、経常利益で5,860百万円(前年同期は340百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益で同182.3%増の2,269百万円といずれも過去最高を大幅更新した。世界的な太陽光発電需要の拡大を追い風に、太陽光パネル製造事業の売上高が急拡大し、利益面でも需要の拡大による増収効果に加えて販売価格の値上げ効果、並びに海上運賃の下落が増益要因となった。売上原価率は販売構成比の変化により前年同期の82.1%から88.7%に上昇したが、増収効果により販管費率が同15.9%から6.7%に大きく低下した結果、営業利益率は同2.0%から5.2%に上昇した。
営業外収支が前年同期比で885百万円改善したが、主にはVSUNの為替差益増加(621百万円増)と明治機械に係る持分法による投資利益の増加(355百万円増)によるものとなっている。
(1) 太陽光パネル製造事業
世界規模での太陽光発電に対する旺盛な需要を背景に、太陽光パネル製造事業の売上高は前年同期比368.7%増の107,441百万円、セグメント利益は4,612百万円(前年同期は223百万円)と大幅増収増益となった。前年同期はコロナ禍でベトナム工場の稼働が一時低下したほか、港湾の停滞により製品出荷の制限を受けるなどの影響がでたが、こうした外部要因の影響は緩和しフル操業で出荷を継続できたことが大幅増収につながった。地域別では米国向けが大幅増となり、欧州向けも好調に推移した。売上高に占める割合はまだ大きくないが、南米やアフリカ、東南アジア向けについても売上を伸ばしたようだ。
利益面では、需要の拡大による増収効果に加えて2022年6月期下期から取り組んできたコスト増に対応した値上げが浸透してきたことや、海上運賃が下落したことも増益要因となった。四半期ごとの利益率で見れば、第1四半期は2.2%とまだ低く、第2四半期に6.3%と上昇し大きく回復した。なお、製品価格の値上げ効果や海上運賃の下落傾向は下期も続きそうなことから、下期の営業利益率については6%台の水準からもう少し上昇する可能性があると弊社では見ている。また、2022年10月に竣工したVSUNの第4工場で順次テスト稼働を開始し、2023年1月よりフル稼働に入っている。第4工場の稼働により年間生産能力は従来の2.6GWから5.0GWに増強されており、下期の売上高、利益は一段と拡大する可能性がある。
(2) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前年同期比22.3%増の4,425百万円、セグメント利益は同50.6%増の932百万円となった。同事業では従来の太陽光発電所及び物販の販売によるフロー型ビジネスから、太陽光発電所の自社保有化による売電収入を安定収益基盤とするストック型ビジネスへとビジネスモデルの転換を進めている段階にある。
売上高の内訳を見ると、発電所の販売及び物販等のフロー売上で前年同期比10.0%増の2,840百万円、売電及びO&Mによるストック売上で同53.0%増の1,585百万円となり、ストック売上が順調に拡大していることが窺える。2022年6月期下期以降に売電を開始した発電所やM&Aで取得した発電所の売電収入が増加要因となった。また、O&M収入も安定収益源として堅調に推移した。そのほか、サスティナブル経営に対する企業の関心が高まるなかで、脱炭素経営に対するソリューションの企画・提案力の強化を図っており、PPA※1事業者としてNONFIT案件※2やソーラーシェアリング案件などについても積極的に推進した。海外事業では、渡航制限の緩和とともにプロジェクトも徐々に動き始めているようで、今後は南米やアフリカなどの地域でも現地企業や商社などと協業しながら事業展開する方針となっている。
※1 PPAとは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略で、施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有、管理を行う会社(PPA事業者)が設置した太陽光発電システムで発電された電力をその施設の電力使用者へ有償で提供する仕組み。
※2 NONFIT案件とは、FIT(固定価格買取制度)に頼らない太陽光発電所を指す。FITを活用した太陽光発電所の電気は、再エネ賦課金という形ですでに環境価値への対価が支払われているという理由で、100%再生可能エネルギーとして認められていない(環境価値は再エネ賦課金を支払っている人に帰属するため)。NONFIT電気の場合、100%再生可能エネルギーとして認定されるため、売電による利潤獲得が主目的ではなく、100%再生可能エネルギーを利用したい自家消費目的のNONFIT太陽光発電所のニーズが増加している。
(3) IT事業
IT事業の売上高は328百万円(前年同期は11百万円)、セグメント利益は11百万円(前年同期は0百万円の利益)となった。2022年3月に子会社化したデジサインの収益が上乗せされたことが増収増益要因となった。
Abitではナレッジ(情報・知識・経験)の共有や業務プロセスの再構築を通じた労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket(R)」やMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等の提供に取り組んだ。また、グリーンエネルギーの供給やRE100の推進等に関連して、SDGsを志向する企業や自治体等のニーズについては、グリーンエネルギー事業、ヘルスケア関連事業との連携を図りつつ事業を推進しており、業績は堅調に推移した。なお、デジサインは強みとするデータセキュリティ技術を生かして2023年2月に電子契約サービス「e-Digi Sign」をリリースしており、データセキュリティを啓発するためのオウンドメディア「情報資産管理マガジン」やセキュリティ商材を中心としたECサイト「Johoいっちば」などの運営、プロフェショナル人材の紹介サービスなどと合わせて、事業拡大を進める方針だ。
(4) 光触媒事業
光触媒事業は、コロナ禍による感染対策ニーズが一段落した影響を受け、売上高で前年同期比66.9%減の18百万円となり、セグメント損失23百万円(前年同期は9百万円の利益)を計上した。2022年11月に日本光触媒センターがWWB及び明治機械と業務提携を締結しており、今後は明治機械の顧客基盤などを活用しながら畜産業界向けでの抗菌・抗ウイルス製品の需要掘り起こしを進めることにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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