“下値は限定的”とは見るが、“底打ち”と判断するのは…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/03/13 11:42

◆ 「米3月0.50%利上げ」は後退したが、基本的に想定内… - 米雇用統計


注目の米雇用統計は、“タカ派姿勢”を増幅させる内容ではありませんでした。
非農業部門雇用者数は“予想を上回り(+31.1万人)”、前月分の下方修正も“わずか(+51.7万人→+50.4万人)”に留まったものの、平均時給は“鈍化(前月比+0.2%/前年比+4.6%)”しました。
また労働参加率拡大の影響とはいえども、失業率も“悪化(3.4%→3.6%)”しています。
このため「米3月0.50%利上げ」を後押しするほどの内容とはいえず、“ドル売り(戻し)”が先行しました。

◆ ただ波乱は“信用不安” - SVB破綻


さらに『米SVBファイナンシャルが破綻』との報が加わったことで、マーケットでは“信用不安”が取り沙汰されました。
このためセンチメントは急速に“リスク回避”へ傾く中、米10年債利回りは“さらに低下(3.87%→3.67%)”、そしてドル円は“急落(136.985円→134.121円)”を演じています。

◆ すでに落ち着いた印象が強いが…?


FRBが「預金者保護の追加資金供給」を早々に発表したこともあり、週明けの本日は幾分ですが“リスク回避”が緩んだ印象が強いです。
ただ“信用不安”を回避しても、そのために「米3月0.50%利上げ」がさらに後退するとなれば、もう一段の“ドル売り(戻し)”が台頭する可能性は否めません。

あくまで“ポジション調整(積み上がったドルの売り戻し)”と見ますので、自ずと“下値は限定的”とは考えます。
それでも“底打ち”と判断するには、まだ材料不足…?
神経質な揺れ動きを想定しつつ、その中で臨機応変に対応する柔軟さが、目先は求められることになりそうです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

137.907(3/8高値、+2σ)
137.506(200日移動平均線)
137.349(3/9高値)
136.985(3/10高値、3/8~3/10の76.4%戻し、大台)
136.678(ピボット1stレジスタンス)
136.596(+1σ)
136.461(3/8~3/10の61.8%戻し)
上値5:136.014(3/8~3/10の50%戻し、大台)
上値4:135.855(100日移動平均線、週足・一目均衡表先行スパン上限)
上値3:135.723(日足・一目均衡表転換線、20週移動平均線)
上値2:135.567(3/8~3/10の38.2%戻し、50週移動平均線)
上値1:135.423(20日/20週/50週移動平均線)
前営業日終値:135.093(大台)
下値1:134.814(ピボット1stサポート)
下値2:134.121(3/10安値)
下値3:134.047(2/24安値、大台)
下値4:133.915(2/17-20安値、-1σ)
下値5:133.858(日足・一目均衡表基準線)
133.617(2/16安値、日足・一目均衡表先行スパン上限)
※133.538(本稿執筆時までの本日安値)
133.000(大台)
132.902(2/10~3/8の61.8%押し)
132.626(-2σ)
132.530(2/15安値、50日移動平均線、週足・一目均衡表転換線、ピボット2ndサポート)

《11:20》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想