*14:51JST ドーン Research Memo(1):2023年5月期2Qは概ね期初計画どおり推移、通期は8期連続の増収増益を予想
■要約
ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災や防犯関連のクラウドサービスで業績を伸ばしている。主力の「NET119緊急通報システム」が全国の消防で採用され、人口カバー率は60.3%とデファクトスタンダードとなっている。次期の主力商品として、消防向けの映像通報システム「Live119」が拡大期に入っている。同様の映像通報技術を応用した映像通話システム「Live-X」、災害情報共有サービス「DMaCS」も好調に推移している。
1. 主力事業・サービス
システム開発においては“所有から利用へ”の流れのなか「クラウド」へのシフトが進行中である。顧客にとって、最新のシステムを初期投資を抑えてすぐ利用でき、自前で運用・保守をする面倒もない。クラウド化の進展は、同社の成長にも大きく貢献してきた。2016年5月期に全社売上高の20.5%だったクラウド利用料の売上高構成比は、2022年5月期には50.3%まで上昇している。現在の主力事業は、クラウドサービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やけが、地震や風水害・火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。2022年11月末時点の国内人口カバー率は60.3%に上り、中期的には70%前後を予想する。また、次期の主力システムと期待されるクラウド型映像通報システム「Live119」の稼働が東京消防庁をはじめ各地で本格化しており、2022年11月末時点の人口カバー率は24.8%に上昇した。
2. 2023年5月期第2四半期の業績概要
2023年5月期第2四半期の売上高は517百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益134百万円(同17.6%減)、経常利益135百万円(同18.7%減)、四半期純利益94百万円(同17.9%減)と減収減益となったものの、上期を終えて順調に進捗している。自治体向けクラウドサービスにおいて、既存契約の継続に加え「Live119」や「DMaCS」をはじめとした新規契約が積み上がったことから、ストック型の利用料収入が順調に増加した。また、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス環境でのシステム開発等(受託開発)も着実にこなした。一方で、第2四半期に納期が到来する案件が前年同期と比較して少なかったことから減収となった。
3. 2023年5月期の業績予想
2023年5月期の業績は、売上高で前期比8.0%増の1,320百万円、営業利益で同8.8%増の435百万円、経常利益で同8.9%増の440百万円、当期純利益で同6.4%増の301百万円と、8期連続の増収増益を予想する。同社の業績は、年度末に納期を迎える受託開発プロジェクトが多いため下期偏重となる。第2四半期を終えての進捗は、売上高の2Q進捗率で39.2%(前年同期は43.0%)、営業利益の2Q進捗率で31.0%(同44.1%)であり、前年同期を下回るものの、社内計画どおり順調に推移している。同社では、ストック型収入(定常収入)が5割を超えている点や、自治体の防災・防犯予算は安定しており十分な受託開発の受注がある点から、業績予想の下振れリスクは低いと考えている。
4. 株主還元策
同社は、安定的・継続的な株主還元を基本方針としている。2023年5月期の配当金は、前期比1.0円増の15.0円、配当性向15.9%を予想する。業績予想のとおりに推移すれば、8年連続の増配が期待できる。
■Key Points
・2023年5月期第2四半期実績:映像通報システム「Live119」や災害情報共有サービス「DMaCS」などクラウドサービスが伸び、おおむね期初計画どおりに推移
・2023年5月期は8期連続の増収増益を予想。自治体向け各種クラウドサービスは順調に成長
・犯罪発生情報配信アプリ、映像通話システム「Live-X」等の消防向け以外のクラウド商品も利活用が拡大中
・社会課題解決に向けたグループシナジーにもつながるM&Aを積極検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災や防犯関連のクラウドサービスで業績を伸ばしている。主力の「NET119緊急通報システム」が全国の消防で採用され、人口カバー率は60.3%とデファクトスタンダードとなっている。次期の主力商品として、消防向けの映像通報システム「Live119」が拡大期に入っている。同様の映像通報技術を応用した映像通話システム「Live-X」、災害情報共有サービス「DMaCS」も好調に推移している。
1. 主力事業・サービス
システム開発においては“所有から利用へ”の流れのなか「クラウド」へのシフトが進行中である。顧客にとって、最新のシステムを初期投資を抑えてすぐ利用でき、自前で運用・保守をする面倒もない。クラウド化の進展は、同社の成長にも大きく貢献してきた。2016年5月期に全社売上高の20.5%だったクラウド利用料の売上高構成比は、2022年5月期には50.3%まで上昇している。現在の主力事業は、クラウドサービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やけが、地震や風水害・火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。2022年11月末時点の国内人口カバー率は60.3%に上り、中期的には70%前後を予想する。また、次期の主力システムと期待されるクラウド型映像通報システム「Live119」の稼働が東京消防庁をはじめ各地で本格化しており、2022年11月末時点の人口カバー率は24.8%に上昇した。
2. 2023年5月期第2四半期の業績概要
2023年5月期第2四半期の売上高は517百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益134百万円(同17.6%減)、経常利益135百万円(同18.7%減)、四半期純利益94百万円(同17.9%減)と減収減益となったものの、上期を終えて順調に進捗している。自治体向けクラウドサービスにおいて、既存契約の継続に加え「Live119」や「DMaCS」をはじめとした新規契約が積み上がったことから、ストック型の利用料収入が順調に増加した。また、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス環境でのシステム開発等(受託開発)も着実にこなした。一方で、第2四半期に納期が到来する案件が前年同期と比較して少なかったことから減収となった。
3. 2023年5月期の業績予想
2023年5月期の業績は、売上高で前期比8.0%増の1,320百万円、営業利益で同8.8%増の435百万円、経常利益で同8.9%増の440百万円、当期純利益で同6.4%増の301百万円と、8期連続の増収増益を予想する。同社の業績は、年度末に納期を迎える受託開発プロジェクトが多いため下期偏重となる。第2四半期を終えての進捗は、売上高の2Q進捗率で39.2%(前年同期は43.0%)、営業利益の2Q進捗率で31.0%(同44.1%)であり、前年同期を下回るものの、社内計画どおり順調に推移している。同社では、ストック型収入(定常収入)が5割を超えている点や、自治体の防災・防犯予算は安定しており十分な受託開発の受注がある点から、業績予想の下振れリスクは低いと考えている。
4. 株主還元策
同社は、安定的・継続的な株主還元を基本方針としている。2023年5月期の配当金は、前期比1.0円増の15.0円、配当性向15.9%を予想する。業績予想のとおりに推移すれば、8年連続の増配が期待できる。
■Key Points
・2023年5月期第2四半期実績:映像通報システム「Live119」や災害情報共有サービス「DMaCS」などクラウドサービスが伸び、おおむね期初計画どおりに推移
・2023年5月期は8期連続の増収増益を予想。自治体向け各種クラウドサービスは順調に成長
・犯罪発生情報配信アプリ、映像通話システム「Live-X」等の消防向け以外のクラウド商品も利活用が拡大中
・社会課題解決に向けたグループシナジーにもつながるM&Aを積極検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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