ヴィアHD、二毛作型・ダブルネーム型への転換に加え、専門店業態の開発等で効率的な経営を推進

投稿:2023/01/24 20:00

2023年3月期第2四半期決算説明

楠元健一郎氏(以下、楠元):みなさま、こんにちは。株式会社ヴィア・ホールディングス代表取締役社長の楠元でございます。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

冒頭にお詫びとなりますが、本来この説明会は昨年12月に開催される予定でした。仕事の関係者の中で新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生したことが当日になって判明し、私が濃厚接触者となる可能性が非常に高かったため、このようなご時勢ですので、大変申し訳ないと思いましたが延期となりました。本日の開催とはなりましたが、たくさんの方にご参加いただけたことをあらためて御礼申し上げます。

会社概要

初めてご参加されている投資家の方もいると思いますので、簡単ではありますが、最初にヴィア・ホールディングスの会社概要についてご説明します。私どもは、沖縄を除いたほとんどの都道府県において店舗を持っており、現在は約330店舗を展開しています。

スライド一番下段に示したグループ会社に関して、事業会社としては株式会社扇屋東日本、株式会社扇屋西日本、株式会社フードリーム、株式会社紅とん、株式会社一丁、株式会社一源となっています。お店に掲げている屋号で言いますと、変動はあるものの、現在28ブランドほど展開しています。

ブランド紹介(やきとりの扇屋)

どのような業態があるのかについて簡単にご案内します。まずは「やきとりの扇屋」「備長扇屋」「炭火やきとりオオギヤ」についてです。「扇屋」は基本的にやきとりを中心とした業態で、グループ全体の約330店舗のうち、直営とFCを合わせて200店舗強を展開しており、最大の勢力となっています。

やきとり居酒屋として、主に全国の地方ロードサイド、郊外ロードサイドといった車で来られる場所に居酒屋を構えているため、20年くらい前から非常に注目を浴びています。ドライバーの方にはお酒を飲まずにやきとりを楽しんでいただき、一緒に来られた方にはお酒を楽しんでいただくという、徹底したオペレーションを強みとしています。

また、先ほどの会社概要に記載しているフードリームについては、イオンやマルイといったショッピングセンターの中の、いわゆる飲食店街に出店するレストランを中心とした業態になります。

ブランド紹介(パステル)

今店舗数が一番多いブランドと言いますと、パスタを中心とした洋食レストランの「パステル」になります。パスタとプリン、その他のスイーツを中心に展開しており、スライドに記載のように、こちらもスイーツを中心とした新しい業態として推進しています。

ブランド紹介(紅とん/一丁)

「日本橋紅とん」に関しては、豚を中心とした焼きとんの業態になります。一部は「ぼちぼち」というお好み焼き屋の鉄板業態も持っていますが、主に焼きとんの業態となります。

こちらは、ほとんどの店舗が関東1都3県といった首都圏に集中しており、まさにサラリーマンの方をターゲットとした業態です。スライドに「働くお父さんのエネルギー源!」がコンセプトと記載していますが、いわゆるビジネスパーソンに絞った業態です。

「魚や一丁」は、北海道に端を発している刺身居酒屋です。お刺身とお寿司を全面的に押し出しており、コロナ禍でも絶好調の業態となっています。

「魚や一丁」と「一源」については、現在別々の会社になっていますが、ほぼ同様のオペレーションで行われています。埼玉県を中心としたファミリー向けの居酒屋として、3世代の取り込みに併せて、ビジネスパーソンの方にも来ていただくという非常にローカライズされた業態になります。当社は、このあたりを中心に展開している会社になります。

事業内容については以上です。続いて、羽根より第2四半期の決算実績についてご説明します。

2023年3月期第2四半期 連結決算について

羽根英臣氏:2023年3月期第2四半期の連結決算についてご説明します。当第2四半期においては4月から、2年ぶりにグループ全体で制限のない営業が可能となりました。

売上高は、都心部を中心に想定を上回るスピードで順調に回復したものの、新型コロナウイルス感染症第7波の影響は6月頃から徐々に出始め、7月、8月に向けてピークを迎えたことにより、やきとり居酒屋である「扇屋」の最大の商盛期にあたる夏場の売上が、大きな影響を受ける結果となりました。

一方で、過年度に実施した不採算店舗の閉鎖や、本部コストの削減等による大規模な収益構造改革によって利益の出しやすい体制を実現しているものの、エネルギーコストや仕入価格の大幅な上昇に加え、人手不足や最低時給単価の引き上げによる人件費コストも増加しており、想定以上に大幅なコスト増の影響を受ける結果となっています。

店舗数については、不採算店舗や契約更新を行えなかった店舗に関して閉店を行ったことにより、前期末と比べて9月末時点で22店舗減少し、全体で約330店舗となっています。以上の結果、売上高は70億600万円、営業利益はマイナス5億6,300万円、経常利益はマイナス5億8,900万円、当期利益はマイナス5億3,700万円となっています。

2023年3月期第2四半期 連結決算(前期比)

当期の連結損益について前期と比較しています。先ほどお伝えしたとおり、当期においては、4月からグループ全店で制限のない営業を行えた一方で、新型コロナウイルス感染症の第7波の影響により、夏場の商盛期であるやきとり居酒屋業態の売上に大きな影響を受けてしまいました。また、不採算店舗や契約更新を行えなかった店舗の閉店により、売上高は前期と比べて29億6,900万円の増加にとどまり、70億600万円となっています。

当社グループでは、過年度に行った大規模な収益構造改革、具体的には黒字化の見込めない、もしくは黒字化には長期の時間を要することが見込まれる店舗についても閉店を行いました。また、早期退職者制度の実施に加えて、各事業会社がそれぞれ保有している本社機能をホールディングスに1本化することにより、売上規模に合わせたコンパクトな本部体制を実現させ、徹底的なスリム化を図っています。

しかし、急激な円安により、ありとあらゆるものの価格は上昇し、水道・光熱費に関しては驚異的な水準にまで上昇していることに加え、人手不足や最低時給単価の引き上げによって人件費コストも増え続けているため、想定以上に大幅なコスト増の影響を受けた結果となりました。

臨時休業期間中に発生した店舗家賃などの固定費については、その性質に臨時性があるとして、販売費および一般管理費から特別損失へ約12億円を振替計上していることもあり、営業利益は前期と比べて1億2,300万円の利益改善にとどまり、マイナス5億6,300万円となっています。

経常利益については、時短営業要請の遵守に対する雇用調整助成金の約3億円が、前期の営業外収益に計上されているため、前期と比べて利益額1億5,300万円が減少し、マイナス5億8,900万円となりました。

当期純利益についても、休業要請を遵守したことによる時短協力金や、雇用調整助成金による約30億円が前期の特別利益に計上されているため、前期と比べて利益額15億8,300万円が減少し、マイナス5億3,700万円となっています。

現在においても、新型コロナウイルス感染症第8波の影響を受けており、大型宴会の需要や2次会での店舗利用は減少しています。また、環境変化に伴う大幅なコスト増への対応が喫緊の課題となっています。

当社グループでは、引き続きメニューの改定、およびメニューミックスによる粗利益の改善、食材ロスの低減による売上原価の改善、店舗営業オペレーションの見直しによる労働生産性の向上などにより、コスト削減についてより一層努めていきます。

また、ウィズコロナからアフターコロナへのニーズに適用する新コンセプトや、居酒屋体験価値の向上を目指した店舗リニューアルの実施、成功している他社業態へのFC加盟による完全業態転換などにより、売上高の向上施策も同時並行で推し進めている状況です。

2022年3月期第2四半期の連結業績についてのご説明は以上となります。続いて、今後の事業方針について、社長の楠元よりご説明します。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

事業方針_既存店舗売上高前年比推移

楠元:ただいま説明のあったとおり、第2四半期は非常に厳しい決算となってしまいました。投資家のみなさまには大変ご心配とご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ないと思っています。

しかし、決算はこのような状況になっているものの、私どもは今後の戦い方、事業の進め方に関しては非常に手応えを感じており、明るい展望を持っています。ここからは、どうして明るい展望を持つことができているのかについてご説明します。

前回ご参加いただいたみなさまにとっては馴染み深いグラフであると思いますが、スライドの折れ線グラフは、コロナ禍前の2019年度と比べて、売上高がどの程度回復しているのかを示しています。

右下側のオレンジ色のグラフは、現在既存している店舗において2019年度との売上高を比較した推移になっています。2022年8月の、いわゆる新型コロナウイルス第7波の頃に69パーセントまで落ちました。一方で、グラフの数値は確定していませんが、第8波が始まっている2022年12月以降は11月と同じぐらいの約84パーセントで踏みとどまっています。

新型コロナウイルスの第7波、現在進行している第8波といった昨年7月から12月までの様子で、先ほど羽根がご説明した2023年4月から新型コロナウイルスに対する行動制限が一切撤廃された場合の人々の動きに関して、ウィズコロナがどのように進んでいくのかが完全に見て取れたと思っています。

それに対して、今まで打っていた施策や手段、戦略が結果を出し始めています。このまま取り組んでいけば、ウィズコロナの中でも収益を上げていける状態に回復していくだろうと手ごたえを感じています。

本日、岸田首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2類から5類に下げる基本方針の検討を指示したというニュースが流れました。

私は、全社員を集めて年頭の挨拶をした際に、「外食産業の我々にとってアフターコロナはない」という話をしました。今後もウィズコロナが続きますが、国は現在の状態をアフターコロナと定義づけようとしているため、その中で収益を出していかなければなりません。1年半の間に、どうやって生き残れる業態に制御していくか準備し実験していたことが、今しっかりと花を咲かせようとしています。

一方で、ウィズコロナにより決定的に変わったことがあります。我々は東京に住んでいるため東京23区内の居酒屋が集まっている繁華街を思い浮かべてしまいますが、東京の繁華街と地方郊外のロードサイドにある「扇屋」のコロナ禍でのお客さまの動き方はまったく異なりました。

地域によってお客さまの動き方にどのような格差があるかについても、この半年の間にしっかり把握ができました。都心部と地方での回復のさせ方は方法論を変える必要があることは明確ですので、そのための手を打ち始めています。

また、みなさまも感じられていると思いますし、マスコミでもよく言われていますが、人々の行動パターンをよく見ると、一見変わってないところでも劇的に変わっていることがあると思います。そのような状況変化に対して、お客さまの来店頻度や来店客数をいかに大きくしていくかが、今後を生き残るための勝負になっていくと思っています。

事業方針_事業再生の3フェーズ

事業方針について、もう少し具体的にお話ししますと、我々は事業再生ADR制度の認定を受けて金融機関ならびにファンドからの出資をいただいた再生会社です。再生フェーズを第1フェーズ、第2フェーズ、第3フェーズと分けて、現在は第2フェーズに入っています。これも新年冒頭の社内挨拶で説明したのですが、今年は再生フェーズから再成長フェーズに切り替える1年でなければいけません。

具体的に何をするかについて、ご覧のスライドでご説明します。羽根の話にもありましたが、コロナ禍で居酒屋需要が大きく変化し、大型宴会が少なくなりました。さらに、新型コロナウイルスの第7波、第8波と波が来れば宴会はキャンセルになります。2次会もなくなり、夜9時以降の入店者数は激減したまま戻ってきません。

いずれにしても、コロナ禍の前に戻る、戻らないということ議論ではなく、この状態でどのように経営していくのかが重要になります。

事業方針_第2フェーズ(脱・旧居酒屋)

具体的な数字は示していませんが、業績を埋めていくための実験として、今まで二毛作型/ダブルネーム型への転換に取り組んできました。

例えば、「紅とん」と「扇屋」で「麺屋はなび」監修の「元祖台湾まぜそば」を提供し、二毛作型に取り組みました。コロナ禍で居酒屋需要がない時に「麺屋はなび」に来ていただき、ほぼすべての店が2周年から3周年を迎えました。

「紅とん」が3店舗、「ぼちぼち」が4店舗、「扇屋」としては5店舗の計12店舗が、二毛作型で取り組んでいます。

「紅とん」に関しては12月末時点で、30店舗のうち24店舗で単月黒字化を達成しており、コロナ禍でも黒字が達成できます。さらに、半数近くの14店舗は、2019年との売上対比で100パーセント以上、つまりコロナ禍前の売上よりもさらに売上を伸ばしています。

また、「紅とん」と「ぼちぼち」の7店舗のうち5店舗は黒字に寄与しました。「紅とん」自体の売上はコロナ禍前の89パーセントまでしか戻っていませんが、「麺屋はなび」の売上と利益が計上されたことにより、7店舗中5店舗が2019年比で売上が約105パーセントとなりました。

二毛作型は、「扇屋」や「紅とん」といった既存業態と親和性やシナジーがある中でも、まったく異なるお昼の顔を持ってきています。そのようなコラボレーションによってコロナ禍前の数字を上回る業態へ変えていこうという狙いにおいて、今ようやく知名度と安定度が増し、お客さまも定着しました。

「紅とん」の居酒屋の業態へのブラッシュアップを重ねて利益を出し、コロナ禍前の数字を上回る実績が出せているため、今年あるいは来年度の第2四半期までで、ご説明した数字には出ていない効果がアドオンで入ってくると確信しています。

事業方針_第2フェーズ(脱・旧居酒屋)

同様に取り組んできた「宇奈とと」と「扇屋」は、まだ利益に寄与していませんが、足元で大きく変化しています。

2022年7月に「宇奈とと」と「扇屋」で土用の丑の日を提供し、非常に売れ行きがよかったのですが、そこで初めてみなさまに「扇屋」が「宇奈とと」を展開していること、「宇奈とと」はそもそもどんなうなぎ屋なのかを認識していただきました。我々のマーケットに「宇奈とと」があることを広く知らしめることができました。

さらに、12月26日から1月の三が日まで非常にうなぎの需要が高まりました。来店ではなく、ほとんどがテイクアウトかデリバリーです。年末年始の需要もあったのかもしれませんが、新型コロナウイルス第8波により忘年会が中止になったことが要因だと考えています。年末の最終営業日にランチでうなぎを食べて忘年会とする需要があり、一度に20個や30個という発注がありました。

また、年明けは自宅で家族や親戚が集まったことで、「宇奈とと」への発注があったのだと思います。どのぐらいのクオリティでどのぐらいの価格でうなぎを楽しめるのかが、ある程度マーケットに知れてきたことによって、年末年始の需要があったものと、「宇奈とと」のフランチャイズを行う本家が分析しています。知名度と使い勝手が広まったことで、「宇奈とと」のコラボ店は今後ゆっくり伸びていくともおっしゃっていました。

今年で「宇奈とと」を始めてから2年目に入りますが、これからプラスの数字に乗ってくると思っています。ダブルネーム型が効果を発揮するのは今年あるいは来期だと確信しています。

事業方針_第2~3フェーズ(事業展開方針)

一方で、夜の需要や宴会需要がなくなった分を何によって埋めていくかについては、同じようなコラボレーションを考えるのではなく、自前で埋めるために業態転換の実験をずっと行ってきました。

まったく異なる業態に転換していくのかというと、再生フェーズにある会社の現状では、非常に時間と手間とコストがかかるため、今持っている業態の磨き上げで、業態転換につながるようなところをどうしていくかが非常に重要になっていくと思います。

そのキーワードが専門店です。つまり、「焼き鳥屋であれば鳥が強い」「焼きとん屋であれば豚が強い」「刺身酒屋であれば魚が強い」といった専門店としての力をつけていくにはどうすればよいか、その専門性をどうやって売りにしていくかといった実験を水面下で行っており、しっくりはまりそうな方法がたくさん出てきています。

事業方針_第2フェーズ(脱・大型店舗_一丁)

その例の1つをご紹介します。「魚や一丁新宿三光町店」は、北海道札幌市で生まれたため、今まで北海道を推してきましたが、よりいっそう押し出すために、刺身の品質を上げて、刺身に特化した店に変えました。さらに寿司カウンターを作り、一貫ずつ頼めるオペレーションに変更しました。

この店舗がある新宿三丁目界隈の他の居酒屋を見ていると、大体月次の売上高は900万円から1,000万円の店が多いのですが、このかたちに変えてからは、コロナ禍でも月平均1,400万円の売上を維持しています。

さらに12月は2,000万円ほどの売上を出しました。「少量でも、しっかりおいしい魚が食べられる一丁に行く」というお客さまが半年の間に増えています。小型化、専門店化していく実験は非常に大事だと考えて取り組んでいます。

また、本日は間に合わなかったので写真はありませんが、田町で営業している「紅とん」の店舗でも、これまではランチタイムに生姜焼きや唐揚げ、とんかつなどの定食を多く揃えていました。

しかし、「豚肉の店なんだから、豚に特化した専門店のランチを出してみよう」と、現在のランチタイムは豚丼専門店として営業しています。しかも、普通の豚丼ではありません。通常はバラ肉の牛丼や豚丼のイメージが湧くと思いますが、我々は少し厚切りにして、見た感じは海鮮丼のような、豪華に見える豚丼を出しています。さらに6種類のサイドメニューと7種類のトッピングをつけ、自分で定食をカスタマイズすることができます。肉の部位はロースかバラ、あとはサイズの違いのみで、基本的には同じ商品です。

専門店として営業し、豚丼を狙ってお客さまに来ていただいた結果、どのくらい客数が伸びるのかを実験しました。転換前の1.5倍の客数を目標に11月後半から始めて1ヶ月半ほど経ちましたが、転換前の状態と比べて、実はこの1ヶ月半でお客さまの数も売上も1.3倍になっています。したがって、目標の1.5倍はもう目の前に来ています。

くどいようですが、元々の強みを徹底的に主張し、徹底的に活かした専門店をしっかりと押し出していくほうが、業態転換としては十分価値があると思っており、これを進めていきます。

本日はまだお伝えすることができませんが、店舗数が一番多い「扇屋」で、鳥専門店としての新しい業態の実験が完成しつつあります。次回の決算説明会では、より具体的に、みなさまにお伝えできる日が来ると思っています。

昼間でも夜でも、鳥専門店の焼き鳥を食べることができます。もちろんお食事だけでも楽しめますし、焼き鳥を食べながらお酒も飲めます。このような新しい専門店に生まれ変わった店が今春に登場しますので、ぜひご期待ください。

そのようなことを組み合わせて、ウィズコロナの中でも戦える業態への切り替えの実験がほぼ出揃ったため、今年あるいは来年度は、それを横展開していくことで、間違いなく前に進めると確信を持っています。

それでもやはり、鳥専門店でも豚専門店でもなかなかはまらない可能性がある立地も実際には存在しますが、「麺屋はなび」や「宇奈とと」のようなブランドとコラボし、二毛作型/ダブルネーム型で付加価値をつけていく戦略を取っています。

事業方針_第2フェーズ(新業態/新規事業)

ヴィアグループとしてはおそらく初めての試みとして、東京の亀有駅前で「やきとりの扇屋」として営業していた店舗を、2022年11月に「しんぱち食堂」として、完全な業態転換を行いました。

「しんぱち食堂」は、越後屋という会社が運営しているブランドで、干物を中心とした焼き魚のみの定食屋です。もちろんビールも置いてあるため、お酒を飲みながら食事ができます。しかし、居酒屋ではないため、お酒のラインナップを多くは揃えず、とにかくお食事をしていただくことが目的です。

マーケットの動向から、亀有駅の周辺は食動機の店にどんどん転換していました。居酒屋に来られるお客さまは、居酒屋がひしめいているところに集まります。「やきとりの扇屋」は、食動機の店の中にポツンと1店だけ残った居酒屋だったため、非常に不利でした。したがって、一度実験で専門店を強く主張している業態とぜひ組んでみたいと考えました。

ここに「宇奈とと」を出しても「麺屋はなび」を出してもよかったのですが、このようなカードがさらに2つ、3つ欲しいと思っていたため、「しんぱち食堂」を出店しました。

結果として、2022年12月の単月ですが、「やきとりの扇屋」だった頃と比べて売上は倍以上になっており、当然ながら利益が出ています。やはり、みなさまは食動機のこのような食堂に非常に興味があり、かつ専門店というものに惹かれるため、そこに行くという目的で来ていただいています。

ファミリーレストランなどのように、総合的にいろいろなものを揃えて、そこに行けば何でも食べられることが好まれる部分もありますし、強みも当然あります。ただ、やはり我々の業態の攻め方として、強みを活かした専門店にしていくのであれば、業態転換も専門店色の強いものにして、お客さまに来ていただきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症の拡大でどうしても、需要全体のパイは減っています。大型の宴会もなくなっており、一度に多くのお客さまが入る効率的な経営は難しくなっています。

その中でも、客数を伸ばすのは専門店です。「あえてそこを選んだ」という部分を徹底的に磨き上げていく業態のほうが、我々の強みを活かすことができ、お客さまもできるだけ短い時間で辿り着けます。また、今の既存のインフラを活用でき、投資コストも少なくて済むため、そのような業態にチャレンジしています。

次回の決算説明会では、このようなお話がみなさまにたくさんできると思っていますので、ぜひご期待いただければと思います。

事業方針_事業再生の3フェーズ

ウィズコロナ以降は、もはや新型コロナウイルス感染症は外食業の敵ではないと感じています。我々は「新型コロナウイルス感染症を敵ではない状態にしなければいけない」「ウィズコロナに決着をつけよう」という言葉を合言葉にしていますが、より大きな問題である、コスト高への対応として「収益を生み出す構造革新」が必要です。

毎日報道されているため、「またその話か」と思われるかもしれませんが、やはり食材の原価はもうとどまるところを知りません。人件費もどんどん上がっています。

一方で、今年から来年にかけて、おそらく日本は未曾有の労働力不足に襲われると言われており、労働力がどんどん減っています。我々だけではなく、ほとんどのサービス業がそのような事態に陥っています。

バスの運転手もトラックのドライバーもなかなか見つからず採用できないため、その分いろいろな動きが鈍くなり、滞っている状態です。したがって、人件費のコストを下げたり節約したりすることも難しい状況です。

加えて、戦争や円安の影響もあり、光熱費も大変な勢いで高騰しています。業態や地域によって差が大きいため、平均した数字をとっても意味はない可能性がありますが、売上高に対するコストをパーセントで表すと、およそ6パーセントか7パーセント上昇しています。よって営業利益率が5パーセントから6パーセントの会社ですと、その利益はすべて消滅します。

あらゆるコストが上がっている時代になっており、専門店を磨き上げながら業態を変えていく時には、業態論と収益を生む構造の2つにビジネスモデルを分けつつも、セットで収益を生み出すための構造そのものも変えていかなくてはいけないフェーズにあります。

1つ目として、主に店舗のオペレーションやトレーニングで動きを変える事が一番大事です。

2つ目はMD(マーチャンダイジング)です。他社とのコラボなどいろいろな専門店を磨きあげる間、専門店化するには、鶏や豚、刺身など専門の食材に対する圧倒的なバイイングパワーが必要です。それに関しては、この1年半かけて、バックヤードの構造を変えてきました。先ほどの豚丼屋の話ではありませんが、和豚(わとん)という非常によい豚が手に入るようになり、そこで原価をコントロールしています。

店舗のオペレーションを変え、トレーニングの方法を変え、MDを徹底し、最後に今の人数を正とします。本当はさらに人を採用したいのですが、人員不足が必ず襲ってくるのであれば、巨額な投資をしてセントラルキッチンのようなものを作っても、これからの時代はそう簡単に回収できません。そうなると、店舗が最後に行うのは、現在の人数を正として、生産効率や労働生産性をどう上げていくかです。

業態の磨き上げや専門店化をするプロセスの中で、例えば焼き鳥の注文が殺到した場合に、現在は2台の焼き台で2人の焼き師が焼いていますが、1人や1.5人で行うにはどうしたらよいかといった研究を、この一年間行ってきました。

「扇屋」から新しく春に出す実験店は、メニューや業態論だけではなく、店内のオペレーションからキッチン内の機材、すべてを新しい時代の新しいコストに見合ったものへ入れ替えます。すでに出店の準備は終わりましたので、1ヶ月から2ヶ月で明確な答えが出れば、来年度は「扇屋」の3分の1から半分ぐらいをそのような業態に積極的に切り替えていき、今のコスト高に対しても戦える店舗や業態に生まれ変わっていけると思っています。

来年度の第2四半期が終わったあたりの決算説明会で十分にご説明しながら、第3フェーズの「新たな価値の創造」、まさに再生から再成長のフェーズに移行していく準備を十分にしていきたいと思っています。

本日は業態の写真をお見せしながらお話ししましたが、次回の決算説明会では、あと4ページほど増えている予定です。楽しみにお待ちいただきながら、もしお近くに新しいタイプのお店が出店しましたら、ぜひみなさまに足を運んでいただきたいと思います。実際に体験いただき、よい面も悪い面もお気づきの点は忌憚なくご意見をおっしゃっていただけると本当にありがたいと思っています。

私からのご説明は以上になります。

配信元: ログミーファイナンス

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