■横浜冷凍<2874>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画「創る力」
持続的な企業価値の向上と地球環境への貢献を実現するために、事業ごとに重点施策と定量目標を設定している。冷蔵倉庫事業においては「ひろげる」「ふかめる」「のばす」「つなぐ」の4つをキーワードに事業の拡大を図る。食品販売事業においては、5つの改革と成長パッケージを策定し、業績の拡大と収益性の向上を実現していく。
a) 冷蔵倉庫事業
「経営環境の変化を先取りした事業モデルを創造し、顧客へ新たな価値を提供する」という事業方針を策定している。具体的には以下の各施策を実行することによって2023年9月期にセグメント売上高305億円、セグメント利益67億円を目指す。
a-1) 「ひろげる」環境配慮型物流センター
物流センターの新設を軸とした戦略的投資を行うなかで、再生可能エネルギーの活用や自然冷媒の導入を推進する。具体的な目標として、物流センターの数を57事業所にすること(2020年9月期は53事業所)、太陽光発電導入事業所を21事業所にすること(同17事業所)、太陽光発電の発電能力を7MWにすること(同5MW)、CO2排出削減量を年間3,200トンにすること(同2,400トン)、自然冷媒の導入率を70%にすること(同60%)を設定している。2022年9月期末時点で、自然冷媒導入率は68.1%、太陽光発電能力は6.5メガワットとなっている。
a-2) 「ふかめる」ヨコレイ品質
同社の強みの1つであるヨコレイ品質(庫内での社員オペレーションや食の安全を確保する高いトレーサビリティなどのこと)をさらに強化していく。具体的には、トラック予約システムや無人搬送機、ロボットアームなど効率性向上のための投資を行う。これに現場を熟知した同社社員のノウハウを組み合わせることによって「ヨコレイ品質」の創造性をさらに高めていく考えだ。2022年9月期においては、トラック予約受付システムを10事業所で導入完了、ロボットアームを1事業所でテスト稼働させるなど自動化に向けた投資が着実に進行した。
a-3) 「のばす」国内事業の新たな展開
社会や消費者のニーズに対応する形で新事業の創造を目指す。1つは「複合型マルチ物流サービス」への注力である。既に同サービスの提供は実施しており、今後も順次対応可能な冷蔵倉庫を拡大する方針である。2022年9月期においては、同サービスにおいて大型の案件を獲得しており、顧客からのニーズが旺盛であることが窺える。加えて、新たなサービスや事業の検討も継続し、業績と企業価値の向上を目指す。
a-4) 「つなぐ」海外事業の拡張
THAI YOKOREIを地域の拠点としてASEAN地域におけるコールドサプライチェーンの構築を加速させていくものである。2022年9月期においては、同地域での冷蔵倉庫新設に向けた準備・調査を推進した。
b) 食品販売事業
「過去からの脱却、強みと絆を生かし、時代のニーズに適応した食の価値を創出する」という事業方針の下に、2023年9月期にセグメント売上高935億円、セグメント利益18億円を目指す。
b-1) 収益性向上のための構造改革
在庫コントロールの最適化、事業所間連携の強化、主力商材の絞り込みをはじめとする戦術によって、市況に左右されにくい利益体質の実現を企図するものである。2022年9月期においては在庫管理をはじめとした販売管理体制が強化されたほか、事業所間連携も進んだ。
b-2) 事業品の販売拡大
同社の強みの1つである食資源の調達力を生かすことができる事業品の販売拡大に注力するものである。具体的にはノルウェーのサーモン、マレーシアのエビ、ペルーのイカ、トビコ、凍結加工品、養鰻品などの拡販に注力していく。事業品の販売拡大も順調に進捗している。一例として、2022年9月期においてはノルウェーサーモンの品質が顧客から高く評価され、新規顧客の開拓が順調に進んだ。
b-3) 独自商品の開発・販売チャネルの開発
消費者の需要と要求を先取りした商品と販売チャネルの開発によって、ヨコレイ品質とヨコレイブランドにさらに磨きをかける。商品開発の方向性としては同社の強みを最大限に発揮し、量販向け、外食向け、中食用、市販用の4軸で開発を行う計画である。販売チャネルの開発としては、ECを通じたB2C型のビジネスモデルの構築に向けて実証を行っている。加えて、平戸アイスファクトリーでは鮮魚向けの氷販売を実施する予定である。2022年9月期においては、全国量販店の開拓が順調に進んだほか、EC事業に関してもプラットフォーム等の基盤整備が順調に進んだ。
b-4) 海外における販路拡大
タイの拠点を中心に徹底した市場調査によって現地販売を加速させる。2030年時点での海外売上比率20%以上を目指していく。2022年9月期においては、ホタテの中国向け輸出を強化したほか、ペルーイカ、トビコの取り扱いを拡大するなどの進捗が見られた。
これら重点施策の着実な実行によって、2023年9月期には連結売上高1,240億円、連結営業利益50億円、EBITDA110億円を達成する計画だ。財務目標としては、自己資本比率40%台半ばの維持を目指している。また、事業目標に加えて、同社事業を支える経営基盤の強化も推進していく。グローバル化を支える人材を創り、企業価値向上に資する改革を絶え間なく推進する構えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2. 中期経営計画「創る力」
持続的な企業価値の向上と地球環境への貢献を実現するために、事業ごとに重点施策と定量目標を設定している。冷蔵倉庫事業においては「ひろげる」「ふかめる」「のばす」「つなぐ」の4つをキーワードに事業の拡大を図る。食品販売事業においては、5つの改革と成長パッケージを策定し、業績の拡大と収益性の向上を実現していく。
a) 冷蔵倉庫事業
「経営環境の変化を先取りした事業モデルを創造し、顧客へ新たな価値を提供する」という事業方針を策定している。具体的には以下の各施策を実行することによって2023年9月期にセグメント売上高305億円、セグメント利益67億円を目指す。
a-1) 「ひろげる」環境配慮型物流センター
物流センターの新設を軸とした戦略的投資を行うなかで、再生可能エネルギーの活用や自然冷媒の導入を推進する。具体的な目標として、物流センターの数を57事業所にすること(2020年9月期は53事業所)、太陽光発電導入事業所を21事業所にすること(同17事業所)、太陽光発電の発電能力を7MWにすること(同5MW)、CO2排出削減量を年間3,200トンにすること(同2,400トン)、自然冷媒の導入率を70%にすること(同60%)を設定している。2022年9月期末時点で、自然冷媒導入率は68.1%、太陽光発電能力は6.5メガワットとなっている。
a-2) 「ふかめる」ヨコレイ品質
同社の強みの1つであるヨコレイ品質(庫内での社員オペレーションや食の安全を確保する高いトレーサビリティなどのこと)をさらに強化していく。具体的には、トラック予約システムや無人搬送機、ロボットアームなど効率性向上のための投資を行う。これに現場を熟知した同社社員のノウハウを組み合わせることによって「ヨコレイ品質」の創造性をさらに高めていく考えだ。2022年9月期においては、トラック予約受付システムを10事業所で導入完了、ロボットアームを1事業所でテスト稼働させるなど自動化に向けた投資が着実に進行した。
a-3) 「のばす」国内事業の新たな展開
社会や消費者のニーズに対応する形で新事業の創造を目指す。1つは「複合型マルチ物流サービス」への注力である。既に同サービスの提供は実施しており、今後も順次対応可能な冷蔵倉庫を拡大する方針である。2022年9月期においては、同サービスにおいて大型の案件を獲得しており、顧客からのニーズが旺盛であることが窺える。加えて、新たなサービスや事業の検討も継続し、業績と企業価値の向上を目指す。
a-4) 「つなぐ」海外事業の拡張
THAI YOKOREIを地域の拠点としてASEAN地域におけるコールドサプライチェーンの構築を加速させていくものである。2022年9月期においては、同地域での冷蔵倉庫新設に向けた準備・調査を推進した。
b) 食品販売事業
「過去からの脱却、強みと絆を生かし、時代のニーズに適応した食の価値を創出する」という事業方針の下に、2023年9月期にセグメント売上高935億円、セグメント利益18億円を目指す。
b-1) 収益性向上のための構造改革
在庫コントロールの最適化、事業所間連携の強化、主力商材の絞り込みをはじめとする戦術によって、市況に左右されにくい利益体質の実現を企図するものである。2022年9月期においては在庫管理をはじめとした販売管理体制が強化されたほか、事業所間連携も進んだ。
b-2) 事業品の販売拡大
同社の強みの1つである食資源の調達力を生かすことができる事業品の販売拡大に注力するものである。具体的にはノルウェーのサーモン、マレーシアのエビ、ペルーのイカ、トビコ、凍結加工品、養鰻品などの拡販に注力していく。事業品の販売拡大も順調に進捗している。一例として、2022年9月期においてはノルウェーサーモンの品質が顧客から高く評価され、新規顧客の開拓が順調に進んだ。
b-3) 独自商品の開発・販売チャネルの開発
消費者の需要と要求を先取りした商品と販売チャネルの開発によって、ヨコレイ品質とヨコレイブランドにさらに磨きをかける。商品開発の方向性としては同社の強みを最大限に発揮し、量販向け、外食向け、中食用、市販用の4軸で開発を行う計画である。販売チャネルの開発としては、ECを通じたB2C型のビジネスモデルの構築に向けて実証を行っている。加えて、平戸アイスファクトリーでは鮮魚向けの氷販売を実施する予定である。2022年9月期においては、全国量販店の開拓が順調に進んだほか、EC事業に関してもプラットフォーム等の基盤整備が順調に進んだ。
b-4) 海外における販路拡大
タイの拠点を中心に徹底した市場調査によって現地販売を加速させる。2030年時点での海外売上比率20%以上を目指していく。2022年9月期においては、ホタテの中国向け輸出を強化したほか、ペルーイカ、トビコの取り扱いを拡大するなどの進捗が見られた。
これら重点施策の着実な実行によって、2023年9月期には連結売上高1,240億円、連結営業利益50億円、EBITDA110億円を達成する計画だ。財務目標としては、自己資本比率40%台半ばの維持を目指している。また、事業目標に加えて、同社事業を支える経営基盤の強化も推進していく。グローバル化を支える人材を創り、企業価値向上に資する改革を絶え間なく推進する構えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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