■業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の連結業績
昭和産業<2004>の2023年3月期第2四半期(2022年4~9月)の連結業績は、売上高163,410百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益2,317百万円(同3.7%減)、経常利益3,312百万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,947百万円(同8.0%増)となった。世界的に旺盛な需要とウクライナ情勢の長期化による供給懸念によって原料穀物相場は引き続き歴史的高値で推移し、円安の影響により輸入コストやエネルギーコストの上昇につながるなど厳しい経営環境となった。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大による行動制限の緩和によって外食業界の需要には回復が見られた。同社においては価格改定を繰り返し実施した効果が表れたほか、前期に立ち上げたソリューション営業部において顧客への提案を進めたことによって、業務用小麦粉の販売数量が増加した。収益構造改革を進めている焼成パン事業についても改善効果が表れた。
2022年6月より、プレミックス事業の基幹工場として「船橋プレミックス第2工場」の操業を開始した。年間生産能力は約2万8千tで、これまで小袋製品を生産していた船橋パッケージセンターと比べ約2倍の能力となった。今後増加が見込まれる小容量業務用製品の生産にも対応可能な製造ラインとなり、労働力不足や価格競争力の確保に向けた体制を整えた。同年8月には油脂食品・糖質事業において、製品供給の安定化、コスト低減、付加価値向上を目的に、辻製油(株)と業務提携を発表した。
2. セグメント別業績
製粉事業の売上高は42,944百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益2,171百万円(同38.5%増)となった。コンビニエンスストア向けの日配品等は厳しい状況が継続したが、行動制限の緩和によって外食や土産品などの需要が回復基調となった。輸入小麦の価格改定の実施や、提案型営業の強化による新規取引先獲得によって、業務用小麦粉の販売数量は前年同期を上回った。焼成パン事業では、グループ4社の一体運営とする収益構造改革による収益改善が見られた。
油脂食品事業の売上高は57,652百万円(前年同期比19.5%増)、営業利益が509百万円(前年同期は185百万円の損失)となった。油脂製品については2021年から6度にわたる価格改定を発表し、販売価格の改定を最優先に取り組んできた。外食向け業務用食材(プレミックス、パスタ)の販売数量は増加したものの、製品価格の大幅な上昇に伴う需要減退等により、業務用油脂、家庭用商品の販売数量は減少した。一方で、ボーソー油脂(株)との共同提案による新たな販路開拓に取り組んだほか、プラントベースフードニーズ対応への強化に取り組んだ。
糖質事業の売上高は31,034百万円(前年同期比25.7%増)、営業損失は511百万円(前年同期は526百万円の利益)となった。複数回にわたり価格改定を行ったものの、原価上昇分をカバーしきれなかった。経済活動の回復や夏の記録的猛暑などの影響により、飲料等の業態において需要の増加が見られた。また、サンエイ糖化(株)とのシナジー発揮プロジェクト(原料資材の調達コストダウン、営業・研究開発の融合)の推進、「粉あめ」等の高付加価値製品の販売増加による利益確保、グループ3工場(同社、サンエイ糖化、敷島スターチ(株))体制による生産性向上に努めた。コーンスターチはビール用途等の需要が伸びたものの、トウモロコシからコーンスターチや糖化品を製造する過程において、他の事業よりもエネルギーコストが相対的に大きいことが響いた。
飼料事業の売上高は、29,228百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は143百万円(同69.6%減)となった。提案型営業や畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組みを強化したほか、高付加価値商材の拡販に努めた。価格改定の実施により増収となったが、値上げ幅を上回る原料穀物相場の高騰により売上原価が上昇したほか、畜産経営の安定を図るための配合飼料価格安定基金の負担増により大幅な減益となった。
不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等を行うその他の売上高は2,550百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は758百万円(同5.4%減)となった。倉庫業は商社や主要顧客との取り組みを強化し、荷役量の増加に努めたことで、貨物取扱量は前年同期を上回った。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2023年3月期第2四半期の連結業績
昭和産業<2004>の2023年3月期第2四半期(2022年4~9月)の連結業績は、売上高163,410百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益2,317百万円(同3.7%減)、経常利益3,312百万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,947百万円(同8.0%増)となった。世界的に旺盛な需要とウクライナ情勢の長期化による供給懸念によって原料穀物相場は引き続き歴史的高値で推移し、円安の影響により輸入コストやエネルギーコストの上昇につながるなど厳しい経営環境となった。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大による行動制限の緩和によって外食業界の需要には回復が見られた。同社においては価格改定を繰り返し実施した効果が表れたほか、前期に立ち上げたソリューション営業部において顧客への提案を進めたことによって、業務用小麦粉の販売数量が増加した。収益構造改革を進めている焼成パン事業についても改善効果が表れた。
2022年6月より、プレミックス事業の基幹工場として「船橋プレミックス第2工場」の操業を開始した。年間生産能力は約2万8千tで、これまで小袋製品を生産していた船橋パッケージセンターと比べ約2倍の能力となった。今後増加が見込まれる小容量業務用製品の生産にも対応可能な製造ラインとなり、労働力不足や価格競争力の確保に向けた体制を整えた。同年8月には油脂食品・糖質事業において、製品供給の安定化、コスト低減、付加価値向上を目的に、辻製油(株)と業務提携を発表した。
2. セグメント別業績
製粉事業の売上高は42,944百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益2,171百万円(同38.5%増)となった。コンビニエンスストア向けの日配品等は厳しい状況が継続したが、行動制限の緩和によって外食や土産品などの需要が回復基調となった。輸入小麦の価格改定の実施や、提案型営業の強化による新規取引先獲得によって、業務用小麦粉の販売数量は前年同期を上回った。焼成パン事業では、グループ4社の一体運営とする収益構造改革による収益改善が見られた。
油脂食品事業の売上高は57,652百万円(前年同期比19.5%増)、営業利益が509百万円(前年同期は185百万円の損失)となった。油脂製品については2021年から6度にわたる価格改定を発表し、販売価格の改定を最優先に取り組んできた。外食向け業務用食材(プレミックス、パスタ)の販売数量は増加したものの、製品価格の大幅な上昇に伴う需要減退等により、業務用油脂、家庭用商品の販売数量は減少した。一方で、ボーソー油脂(株)との共同提案による新たな販路開拓に取り組んだほか、プラントベースフードニーズ対応への強化に取り組んだ。
糖質事業の売上高は31,034百万円(前年同期比25.7%増)、営業損失は511百万円(前年同期は526百万円の利益)となった。複数回にわたり価格改定を行ったものの、原価上昇分をカバーしきれなかった。経済活動の回復や夏の記録的猛暑などの影響により、飲料等の業態において需要の増加が見られた。また、サンエイ糖化(株)とのシナジー発揮プロジェクト(原料資材の調達コストダウン、営業・研究開発の融合)の推進、「粉あめ」等の高付加価値製品の販売増加による利益確保、グループ3工場(同社、サンエイ糖化、敷島スターチ(株))体制による生産性向上に努めた。コーンスターチはビール用途等の需要が伸びたものの、トウモロコシからコーンスターチや糖化品を製造する過程において、他の事業よりもエネルギーコストが相対的に大きいことが響いた。
飼料事業の売上高は、29,228百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は143百万円(同69.6%減)となった。提案型営業や畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組みを強化したほか、高付加価値商材の拡販に努めた。価格改定の実施により増収となったが、値上げ幅を上回る原料穀物相場の高騰により売上原価が上昇したほか、畜産経営の安定を図るための配合飼料価格安定基金の負担増により大幅な減益となった。
不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等を行うその他の売上高は2,550百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は758百万円(同5.4%減)となった。倉庫業は商社や主要顧客との取り組みを強化し、荷役量の増加に努めたことで、貨物取扱量は前年同期を上回った。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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