為替相場まとめ12月5日から12月9日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2022/12/10 08:00
 5日からの週は、ドル安の流れが一服した。前週末の米雇用統計や週明けの米ISM非製造業景況指数が予想外に強含んだことがドル買い圧力となった。また、中国がコロナ規制に対する緩和措置を続々と発表したことが、ドル円主導のドル買いやクロス円の上昇につながる面もみられた。しかし、リスク選好的な動きは続かず、週半ば以降はドル売りが盛り返すなど方向性の定まらない相場展開が続いた。次週には米FOMCと米消費者物価指数、ECB理事会と英金融政策委員会(MPC)などの注目イベントが予定されており、市場が積極的な取引を手控えた面もあった。豪中銀は予想通り25bp利上げを実施。カナダ中銀は事前予想が25bpと50bp利上げに二分されるかなで、50bp利上げを実施した。ただ、いずれも市場反応は限定的だった。週末に発表された米生産者物価指数はサービス業が牽引し予想以上の上昇となった。インフレ圧力の根強さが示され、FRBの利上げ継続を正当化する内容ではあった。

(5日)
 東京市場では、ドル円が134円台で落ち着いた推移。先週末の米雇用統計後に136円に迫ったあと、134円台まで下落と振幅した後の週明け相場。朝方は仲値関連のドル買いで上昇、134.77近辺をつけた。一方、ドル安・元高の動きとともに次第にドル売り圧力に押された。ドル円は134.10台まで下落。午後には134.60付近へ下げ渋った。ユーロドルは午前のドル安で、先週末上値を抑えた1.0550前後の水準を超え、1.0570台に上昇。中国リスクの後退がユーロ買いにつながり、午後に入って1.0580台を付けている。中国では北京、深センなどで新型コロナでの規制を緩和する動きが広がり、中国経済の鈍化懸念が後退する形で元高となった。ドル/人民元は一時6.94台に下落した。

 ロンドン市場では、ドル買いが優勢。ドル円は134円台前半から135円台半ばへと上昇。ただ、先週末の米雇用統計直後につけた136円手前の高値には届かず。ユーロドルは東京市場で1.05台後半に買われたあとは上値が重くなった。ロンドン時間には1.0520付近まで下押しされた。東京早朝の安値1.0514近辺には届かず。ポンドドルは1.23台半ば近辺まで買われていたが、ロンドン時間には軟調な流れに転じている。安値を1.2230台へと広げている。米10年債利回りは3.51%付近へとやや低下。欧州株や米株先物は調整圧力が優勢。NY原油先物は82ドル近くまで再び買われている。ただ、中国でのコロナ規制緩和の動きが報じられるなど、リスク警戒の動きは一服。

 NY市場は、ドル買いが継続。ドル円は136円台に乗せると、136円台後半まで上昇している。134.60付近の200日線にサポートされた形。米ISM非製造業景気指数が予想を上回ったほか、サービス業のインフレが続いていることが示されたことも、ドル買い戻しを加速させた。株安や利回り上昇もみられ、ドルが支援された。ユーロドルは1.05台を割り込み、1.04台後半へと下落した。ポンドドルも下落。ロンドン時間には1.23台を付ける場面もあったが、その後は売りに押されている。NY時間には1.21台後半まで下落した。総じて、強い米経済指標結果にドル買いの動きが広がっていた。

(6日)
 東京市場では、ドル相場が振幅。ドル円は朝方に136.50割れと下押しされたあとは137.17近辺まで上昇。午後には伸び悩んで136円台後半に押し戻された。午後には米債利回りが上昇したが、137円台に乗せると上値を抑えられていた。ユーロドルは朝方に1.0520付近まで強含んだあと、午後には1.0480台まで下落。上に往って来いの展開だった。豪ドルは堅調。豪中銀が25bpの利上げを決定し、声明で今後さらなる利上げが想定されるとしたことが背景。豪ドル/ドルは0.6738近辺、豪ドル円は92.25近辺まで上値を広げた。

 ロンドン市場では、ドル買いが一服、円買いが優勢になった。欧州株が軟調に取引されたことを受けて、ドル円とともにクロス円も下押しされている。また、3.60%台まで上昇していた米10年債利回りが3.56%台に低下しており、全般にリスク警戒の動きとなっている。ドル円はロンドン朝方に137.43近辺まで買われたあとは、137円台割れから136.50付近へと反落。ユーロ円は144.00近辺まで買われたあと143.50割れへと下落。ポンド円も167.50付近の高値から166.10台へと下押しされている。ポンドは対ユーロでも軟調で、前日NY市場の動きを戻している。ドル買いの動きは一服し、ユーロドルは1.04台後半から1.05台乗せ水準へと下げ渋り。一方、ポンドドルは1.22台乗せでは売りが入り、1.21台後半で上値重く推移している。ただ、いずれも前日の水準からは大きく離れず、調整含みの動きにとどまっている。

 NY市場では、ドルが買われた。米株が大幅続落となり、為替市場はリスク回避のドル買いが強まった。先週の米雇用統計に続いて今週のISM非製造業景気指数などの米経済指標で予想を上回る内容が相次ぎ、それがFRBの利上げが想定以上に長期化するのではとの警戒感につながったようだ。ドル円はロンド時間には135円台に一時下落したが、NY時間後半には137円台を回復した。ユーロドルは1.04台へと伸び悩んだ。ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁の発言が伝わり、「金利は現在、金融政策が緩和的でもなく制限的でもない中立の水準に非常に近い」と述べていた。ポンドドルは1.21台まで下落。ロンドン時間に発表された11月英建設業PMIは予想を下回っていた。
 
(7日)
 東京市場では、ドル高の動きが継続。日経平均が下げるなど、リスク警戒の動きがドル高につながった。ドル円は137円を挟んだ上下動のあと、午後には前日高値を上回って137円台半ばへと買われた。ユーロドルは1.0455から1.0477までの狭いレンジ推移。ユーロ円は143円台で取引されるなかで、ドル円とともに一時143.80台まで買われた。中国のコロナ規制緩和が目立つ中で、ドル/人民元は6.99台から6.97台前半へと下落、人民元高が優勢だった。

 ロンドン市場では、ユーロが堅調。序盤に米債利回りの低下がユーロドルを下支えしたことに加えて、ECB調査で消費者が今後12カ月間のインフレ期待を高めていること、ユーロ圏GDP確報値が予想外に上方改定されたことなどが買いを誘っていた。ユーロドルは1.04台半ば割れへ軟化したあと、1.05台乗せまで上昇。ポンドドルはやや遅れて買われ、1.21台前半から後半へと上昇している。ドル円はロンドン朝方に137.86近辺まで高値を伸ばした。その後は売買が交錯し137円台前半から半ばで揉み合っている。中村日銀審議委員が当面の政策の微調整や変更の必要性を否定したことが円売りに作用した面も指摘される。また、中国が一連のコロナ規制が一段と緩和したが、香港株はむしろ売りを強めて引けており、リスク動向はやや不安定だった。NY原油先物は一時72ドル台と年初来安値を更新。カナダドルや豪ドルは上値重く推移。

 NY市場は、ドル売り優勢も、神経質に売買が交錯した。ドル円は上昇一服となり、137円台割れから136円台前半まで反落した。特段のドル売り材料は見当たらないがこのところの急速なドル買い戻しに一服感がでていた。NY勢は来週の米FOMCと消費者物価指数待ちで手をこまねいているとの声が聞かれた。ユーロドルは1.05台を回復。ロシアのプーチン大統領が「世界で核戦争のリスクが上昇しつつある」と述べたことで瞬間的に売りが強まる場面が見られたが、一時的な反応に留まった。ポンドドルも1.22台を回復。来週のECB理事会の英金融政策委員会を控えて、両通貨とも方向性は一定していない。カナダ中銀は50bpの利上げを実施し、政策金利を4.25%とした。市場では利上げは確実視されていたが、利上げ幅は50bpと25bpで完全に見方が二分していた。市場は、カナダ中銀は政策金利を4.25%まで引き上げて、今回の利上げサイクルを一旦停止すると見ている。カナダ中銀は声明で「追加利上げの必要性を“検討”している」と述べるに留まった。カナダドルは一時買われたが、すぐに売り戻されている。

(8日)
 東京市場は、ドルが買い戻された。ドル円は前日海外市場での下げから反発、136円台後半から午後には137.24近辺まで買われた。香港株の大幅高を受けて全般的なリスク選好の動きが円売りを誘った格好だった。ユーロドルは1.05ちょうど付近で落ち着いた値動きだった。前日海外市場での上昇が一服して、上値を抑えられている。ただ、一段の下押しの動きは見られず。ユーロ円はドル円とともに買われ、143円台前半から144円を付けた。ポンド円は166円台前半から167円台乗せ。

 ロンドン市場は、方向性に欠ける取引。ドル円は136.50台では下げ止まるも、上昇も137円台乗せでは売りが入っている。米10年債利回りは3.44-3.46%付近での揉み合いと動意薄。欧州株が小安い一方で、米株先物は前日終値付近での小動き。ユーロドルはロンドン朝方につけた1.0531近辺を高値に1.0490近辺までのレンジで推移。ポンドドルは序盤に1.2215近辺まで買われた後は1.2155近辺に下押しと上値が重い。きょうはユーロ買い・ポンド売りのフローが入っており、前日NY市場での下げを戻している。ユーロ円は143円台後半から144円付近での推移。ポンド円は167円台乗せでは売りが入り、166円台半ばへと軟化。ただ、いずれも前日からのレンジ内での取引にとどまっている。中国や香港のコロナ措置に追加緩和の動きがみられた。ロシアはウクライナで失った併合地域の奪還を目指すと表明。ただ、いずれの好悪材料にも特段の反応はみられなかった。

 NY市場では、ドル売りが優勢。米株式市場に買い戻しが入り、今週に入ってのリスク回避ムードが一服した。ドル円は一時137円台に上昇したあとは、NY時間には136円台前半まで下押しされた。引けにかけては136円台後半に下げ渋り。ユーロドルは1.05台前半から1.05台半ばへと上昇した。ポンドドルは1.21台半ばまでの下げを戻して1.22台半ばへと上昇した。全般に調整色が強かった。来週の米消費者物価指数(CPI)やFOMCを巡って様子見気分も強く、積極的な動きまでは見られていない。明日は米生産者物価指数(PPI)の発表もあり、インフレの鈍化傾向が期待されているが、その数字を確認したい意向もあるようだ。

(9日)
 東京市場は、ドル安・円高の動きが優勢。仲値公示と前後して本邦輸出企業からの大口の円買い・ドル売り取引が持ち込まれたもよう。ドル円は136円台後半から136円台前半へと下落したあと、昼過ぎには135.77近辺まで下値を広げた。その後は136円台を回復も伸びを欠いている。クロス円も同様の動き。ユーロ円は144円台半ばから143円台後半へ、豪ドル円は92円台後半から前半へと下げた。米債利回りが低下するなかで、ドル売りの動きも波及。ユーロドルは1.05台半ばから後半へ、ポンドドルは1.22台前半から後半へと上昇。前日海外市場からのドル安の流れを踏襲している。

 ロンドン市場は、方向性が定まらない展開。米生産者物価指数の発表を控えて、短期的なポジション調整の動きに終始している。東京時間に低下した米10年債利回りが前日終値付近へと戻す動きに、ユーロドルは1.05台後半から1.0550付近までじり安の動き。ポンドドルも1.22台後半から1.22台前半に下げたが、下げ足はユーロと比べると鈍い。ドル円は東京午後につけた135.77近辺を安値に136.50手前まで買い戻しが入った。しかし、買いも続かず136円ちょうど付近へ押し戻されている。クロス円も上下動。ユーロ円は144円台に乗せた後は売りに押されて143.50台まで反落。ポンド円は167円台乗せでは売りに押されており、一時166.50付近まで下げた。ただ、欧州株、米株先物いずれも底堅く揉み合っており、特段のリスク回避の動きはみられていない。

 NY市場はこの日発表の米生産者物価指数(PPI)やミシガン大消費者信頼感指数を経て、ドルの買い戻しが優勢となった。ドル円は135円台半ばに下落してNY市場に帰って来たものの、両指標を受けて136円台後半まで一時買い戻されている。米国債利回りが上昇していることもドル円の上げをフォローしたようだ。

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