「リスクは下方向」を意識しつつ…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/11/04 11:28

◆ 壮絶な「往って来い+α」 - FOMC


往って来い、いやそれ以上か…。

注目のFOMCでは、想定通り“0.75%利上げ”が実施されました。
しかし声明に『利上げが時間差で経済を鈍化させる点を考慮』との文言が盛り込まれたことで、“ハト派寄り”と捉えられました。
この影響にて公表後は“ドル売り”が加速し、一時“145.672円”へと値を落とす場面が見られました。

しかしその後に行われたパウエルFOB議長会見では、『最終的な金利水準(ターミナルレート)は従来の予想より高い可能性』と発言し、一転して“タカ派寄り”との認識が高まりました。
このため米10年債利回りは“急上昇(3.96%→4.22%)”を見せる中、ドルは“公表前水準(147.20円)”を上回り、“148.441円”へと駆け上がっています。

◆ ただ実際の思惑は“割れている”…?


こうして「往って来い+α」を演じたわけですが、今回のFOMCを総括すれば「今後の金融政策に“柔軟性”」を持たせた上で、「あくまで“中立(経済データ次第)”」は変えていないと見られます。
このため現在は“タカ派寄り”がより意識されている格好ですが、実際の思惑は“割れている”というのが実状といえそうです。

◆ 反転する可能性も…!? - 米雇用統計


そしてこうした中で行われるのが、本日の「米雇用統計」ということになります。
「非農業部門雇用者数/失業率/平均時給」ともに“控えめ(+20.0万人/3.6%/前年比+4.7%)”が想定される中、どこまで思惑に傾斜がかかるか…?

仮に予想を上回れば、“タカ派寄り”との認識にさらに弾みがかかる可能性が否めないところです。
一方で下回れば、一転して“ハト派寄り”と認識される可能性も…?

すでに“タカ派寄り”へと傾斜している以上、個人的には「リスクは下方向」と考えています。
また当該水準から上では「日銀ドル売り介入」への警戒感も残存することから、少なくとも“さらなる上伸”は手控えられると考えますが、後は“結果次第”…?

いずれにしても予断を持つことなく、臨機応変な対応が求められるところと見たいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しております。

151.952(10/21高値、大台)
151.000(大台)
150.540(+2σ)
150.112(ピボットハイブレイクアウト)
150.000(大台)
149.701(10/24高値)
上値5:149.341(10/21~10/27の61.8%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:149.180(+1σ)
上値3:149.082(10/25高値、大台)
上値2:148.836(10/31-11/1高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:148.441(11/3高値)
前営業日終値:148.271
下値1:148.000(大台)
下値2:147.678(20日移動平均線、日足・一目均衡表基準線)
下値3:147.383(11/2~11/3の38.2%押し、ピボット1stサポート)
下値4:147.103(11/3安値、日足・一目均衡表転換線、11/2~11/3の50%押し)
下値5:147.000(大台)
146.730(11/2~11/3の61.8%押し)
146.600(ピボット2ndサポート)
146.462(-1σ)
146.030(週足・一目均衡表転換線、ピボットローブレイクアウト、大台)
145.672(11/2安値)

《10:45》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想