■企業特長
1. 成長モデル
アウトソーシング<2427>の主力事業は、顧客に対する「人材提供数(外勤社員数)」の拡大が業績の伸びをけん引する成長モデルである。したがって、景気後退時を除けば、提供する人材の採用数をいかに積み上げていくかが業績拡大のカギを握る。採用難が成長のボトルネックとなっている業界において、人材育成カリキュラムによるキャリアチェンジなど、採用コストが低いうえ、求職者を惹き付ける人材獲得の仕組みに優位性を発揮してきた。また、M&Aにも積極的であり、グループガバナンス体制の強化によるPMI(買収後の総合プロセス)やグループシナジーの実現も同社の成長をけん引している。今後は外国人材の管理業務受託にも注力する方針であることから、「委託管理人数」の伸びも重要なKPIとなるほか、将来的には派遣DX化の推進等を通じて、人材ストックビジネスからの脱却やプラットフォーム(フィービジネス)の構築を目指しており、ビジネスモデルの変革に伴うKPIや収益構造の変化にも着目したい。
2. 同社の優位性
(1) 人材獲得におけるアドバンテージ
既述のとおり、人材サービスはストックビジネスであり、採用におけるアドバンテージが重要な成功要因となっているが、同社では各セグメントにおいて同業他社と差別化した人材ニーズ対応スキームを構築し、多くの求職者から支持されてきたことが事業拡大につながったと言える。新卒採用人数も国内首位を争う規模となっており、2022年4月には連結で3,200名超の新卒者が入社した。具体的には、技術者派遣の入り口をローエンドからスタートでき、キャリアチェンジやキャリアアップも可能な独自の人材育成カリキュラム(国内技術系)をはじめ、拡大する外国人活用の関連ビジネスの推進(国内製造系)、安定的な職種として求職者からの人気が高い米軍施設内アウトソーシング事業の展開(国内サービス系)、国境を越えた人材流動化への対応(海外製造系及びサービス系)、景気の影響を受けにくい公共関連事業及び政府系BPO事業のグローバル展開(海外技術系)などが挙げられる。今後は、人材への生活インフラを提供するプラットフォームの構築にも取り組む戦略であるが、プラットフォームの存在が人材獲得にもプラス(相乗効果)に働く可能性も期待できる。なお、独自の人材育成カリキュラム(KENスクール)の仕組みについては、以下のとおりである。
(2) スクール事業を生かしたキャリアチェンジによる人材育成
同社が注力しているIT及び建築、医薬品分野においては、スクール事業を生かした人材育成カリキュラムによる差別化を図っている。具体的には、同社グループで運営するKENスクールが通信キャリアと共同で開発したIT系育成プログラムや、大手ゼネコンOBと共同で開発した建築系の教育プログラムを活用することで、未経験・異分野からのキャリアチェンジによる人材育成を推進しており、成長産業で技術者が不足しているIT及び建築産業向けの事業拡大を支えている。また、同社グループのアドバンテックが医薬品メーカーと共同で開発したカリキュラム(新薬の研究・開発要員等の育成)にも注力している。したがって、技術系派遣会社が抱える「ハイエンド技術者の採用困難によってトップラインが大きく成長できない課題」を、同社は独自のスキームで克服していると言える。最近では、最先端技術活用を手掛けるアウトソーシングテクノロジーの取り組み(AR匠※1、AI、タピア※2等)が、求職者へのブランディング効果を創出しており、採用のアドバンテージをさらに強めている。また、様々な分野でのエンジニア不足が世界的な課題となっているなかで、豪州でもKENスクールと同様のスキームを開始しており、海外への展開にも意欲的である。
※1 AR(拡張現実)技術を活用して同社グループが開発・提供する、遠隔での共同作業環境を実現する先駆的プラットフォーム。
※2 ロボット事業での用途・目的に合わせたプログラムの開発・組み込み。
(3) 派遣DX化を通じたビジネスモデルによる差別化
コロナ禍の影響が環境変化に拍車をかけ、派遣先ニーズにも変化が生じているなかで、エンジニアとテクノロジーを融合した「派遣2.0」や派遣スタッフ管理システム「CSM」など、派遣DX化を見据えた次世代型ビジネスモデルの提案により差別化を図っている(詳細は後述)。
(4) 安定したキャッシュ・フローを生み出す事業ポートフォリオ
同社は、かねてより「国内製造系」に依存した景気変動の影響を受けやすい事業特性からの脱却を図るため、1) 成長性や付加価値の高い「国内技術系」の強化、2) 景気変動の影響が少ない公的業務や米軍施設向け事業への進出、3) サービス業界向けなど「国内製造系」とは景気サイクルの異なる分野への参入、などに取り組んできた。その結果として、安定したキャッシュ・フローを生み出す事業ポートフォリオも同社の強みとなっている。今後も新たなビジネスモデルの構築への投資やM&Aを成長戦略の軸に据える同社にとっては、大きなアドバンテージになるものと評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
1. 成長モデル
アウトソーシング<2427>の主力事業は、顧客に対する「人材提供数(外勤社員数)」の拡大が業績の伸びをけん引する成長モデルである。したがって、景気後退時を除けば、提供する人材の採用数をいかに積み上げていくかが業績拡大のカギを握る。採用難が成長のボトルネックとなっている業界において、人材育成カリキュラムによるキャリアチェンジなど、採用コストが低いうえ、求職者を惹き付ける人材獲得の仕組みに優位性を発揮してきた。また、M&Aにも積極的であり、グループガバナンス体制の強化によるPMI(買収後の総合プロセス)やグループシナジーの実現も同社の成長をけん引している。今後は外国人材の管理業務受託にも注力する方針であることから、「委託管理人数」の伸びも重要なKPIとなるほか、将来的には派遣DX化の推進等を通じて、人材ストックビジネスからの脱却やプラットフォーム(フィービジネス)の構築を目指しており、ビジネスモデルの変革に伴うKPIや収益構造の変化にも着目したい。
2. 同社の優位性
(1) 人材獲得におけるアドバンテージ
既述のとおり、人材サービスはストックビジネスであり、採用におけるアドバンテージが重要な成功要因となっているが、同社では各セグメントにおいて同業他社と差別化した人材ニーズ対応スキームを構築し、多くの求職者から支持されてきたことが事業拡大につながったと言える。新卒採用人数も国内首位を争う規模となっており、2022年4月には連結で3,200名超の新卒者が入社した。具体的には、技術者派遣の入り口をローエンドからスタートでき、キャリアチェンジやキャリアアップも可能な独自の人材育成カリキュラム(国内技術系)をはじめ、拡大する外国人活用の関連ビジネスの推進(国内製造系)、安定的な職種として求職者からの人気が高い米軍施設内アウトソーシング事業の展開(国内サービス系)、国境を越えた人材流動化への対応(海外製造系及びサービス系)、景気の影響を受けにくい公共関連事業及び政府系BPO事業のグローバル展開(海外技術系)などが挙げられる。今後は、人材への生活インフラを提供するプラットフォームの構築にも取り組む戦略であるが、プラットフォームの存在が人材獲得にもプラス(相乗効果)に働く可能性も期待できる。なお、独自の人材育成カリキュラム(KENスクール)の仕組みについては、以下のとおりである。
(2) スクール事業を生かしたキャリアチェンジによる人材育成
同社が注力しているIT及び建築、医薬品分野においては、スクール事業を生かした人材育成カリキュラムによる差別化を図っている。具体的には、同社グループで運営するKENスクールが通信キャリアと共同で開発したIT系育成プログラムや、大手ゼネコンOBと共同で開発した建築系の教育プログラムを活用することで、未経験・異分野からのキャリアチェンジによる人材育成を推進しており、成長産業で技術者が不足しているIT及び建築産業向けの事業拡大を支えている。また、同社グループのアドバンテックが医薬品メーカーと共同で開発したカリキュラム(新薬の研究・開発要員等の育成)にも注力している。したがって、技術系派遣会社が抱える「ハイエンド技術者の採用困難によってトップラインが大きく成長できない課題」を、同社は独自のスキームで克服していると言える。最近では、最先端技術活用を手掛けるアウトソーシングテクノロジーの取り組み(AR匠※1、AI、タピア※2等)が、求職者へのブランディング効果を創出しており、採用のアドバンテージをさらに強めている。また、様々な分野でのエンジニア不足が世界的な課題となっているなかで、豪州でもKENスクールと同様のスキームを開始しており、海外への展開にも意欲的である。
※1 AR(拡張現実)技術を活用して同社グループが開発・提供する、遠隔での共同作業環境を実現する先駆的プラットフォーム。
※2 ロボット事業での用途・目的に合わせたプログラムの開発・組み込み。
(3) 派遣DX化を通じたビジネスモデルによる差別化
コロナ禍の影響が環境変化に拍車をかけ、派遣先ニーズにも変化が生じているなかで、エンジニアとテクノロジーを融合した「派遣2.0」や派遣スタッフ管理システム「CSM」など、派遣DX化を見据えた次世代型ビジネスモデルの提案により差別化を図っている(詳細は後述)。
(4) 安定したキャッシュ・フローを生み出す事業ポートフォリオ
同社は、かねてより「国内製造系」に依存した景気変動の影響を受けやすい事業特性からの脱却を図るため、1) 成長性や付加価値の高い「国内技術系」の強化、2) 景気変動の影響が少ない公的業務や米軍施設向け事業への進出、3) サービス業界向けなど「国内製造系」とは景気サイクルの異なる分野への参入、などに取り組んできた。その結果として、安定したキャッシュ・フローを生み出す事業ポートフォリオも同社の強みとなっている。今後も新たなビジネスモデルの構築への投資やM&Aを成長戦略の軸に据える同社にとっては、大きなアドバンテージになるものと評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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